『風の旅人』作者:東西南北 / ِE - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
全角1801文字
容量3602 bytes
原稿用紙約4.5枚
「風の旅人ー01まがいもの」


あなたは、あなたです。
しかし、あなたではない、あなたがいたら、あなたはどうしますか?


1「黒色」

一歩、一歩、歩くごとに、石に生えた鱗(こけ)がキュッキュと鳴り響く。あたり全体は、大きな木々が埋め尽くし、木々の間から、木漏れ日が男の顔に照り付けた。
男は名は松野勇平。職業は薬剤師。歳は25歳。村々に、薬を売るために今日も旅をしている最中だった。
「たしか、この辺だったような…」
松野は頼りない表情で、辺りを見つめる。しかし、辺りは木々があるだけで、景色は一向に変わる気配は無い。
「はぁ」とため息を吐く。
そして、鱗が生えている石の上へ、腰掛けた。そして、背負っている薬の入った大きなバックを地面に置く。

「どこで、道、間違えちまったかなー」
松野はそう呟くと、持ってきたバックの中から携帯食料を取り出す。成分は栄養効果満点の野菜と、たんぱく質が少量はいっている。味は一言で言うとまずい。青汁の中に、ちぎった食パンを入れたような味がする。それでも、栄養を得ることができるし、なにより空腹を耐えることのできるので、しばし、食べることにした。

あれこれ、3日、松野はこの森をさまよっていた。山のふもとにあるこの森は、別名、迷いの森とも言われている。とある町であった商人からは、「地図どうりに行けば大丈夫」といわれて、この森の中へ入ったのだが、やはり迷ってしまった。

携帯食料は底を着く。
あと、もって今日ぐらいか…。と松野は再び、ため息をつく。

「あなた、迷ってますね?」

後ろから声が聞え、松野は振り返る。そこにいたのは、白色の長い髪をした綺麗な女性だった。鼻が高く、まぶたがパチリと大きく開いている。ただ、不可解なのは体に黒色が見当たらないことだった。ホクロは無く、瞳の色も黒ではなく青色になっている。
一瞬、松野は外人だと思った。

「どこの国の人っすか?」
と松野は聞く。すると女性は大声で笑い、松野にこういった。
「何を言う。わたしはこの国のものです」
女性はそういう。
「まあ、話は変わるが、分かるように、今、迷ってんだ。隣村まで、行かなきゃいけないんだが…。あんた行き方、知ってるか?」
「あなたに教えても、また迷うでしょう。今日は、私の家へおいでなさってください」
「かたじけねえな」
「一泊、15000円ですけどね」
「金取るきかよ」
「あら、不満かしら。なんなら、迷い続けなさい」
「分かったよ」

松野はポケットの中から、財布を取り出し、お金を女性に渡す。女性は「ありがとうございました」と笑顔で松野に言った。

「でわ、私の後へ着いてきてください」

女性はそう言うと、松野はバックを持ち、女性の歩く後を続く。
山を登り、くだり、そしてまた上る。かなり遠くに、女性の住む場所があるらしい。
そして、お目当ての女性の家が見えた。

「おい。こんな、豚小屋に泊まるのに15000円も出したのかよ」

松野はそう呟く。

「なんなら、また迷いますか?」

女性はそう松野に言った。
女性の家は相当古く、築70年はくだらないと、松野は見た。それもまた、一回も改築していないらしく、今にも壊れそうだった。

「今、帰りましたよ!!」

と女性は大声で叫んだ。すると、家の中から亭主と思われる男性と、その3歳ほどの息子が家の中から現れた。亭主は、いたって、普通の松野と同じ年ぐらいの、顔つきをしている。

「そちらは、どちらさんですか?」

と、亭主は言った。
松野はそう言うと、亭主は家族紹介をし始めた。

「薬剤師さんですか。私は金山 和輝と言うものです。で、そちらの女性が家の奥さんの、あやめと言います。あと、この子が家の息子の輝です」

そう言うと、家族は礼をする。それに従い、松野も礼をした。

「なんで、こんな土地に住んでいるんですか?」

と丁寧な言葉を使い、松野は亭主に聞いた。

「いや、私は墨を作る商人の家系でして、私が12代目なんです。この辺りの、木々がすばらしいものですから、いい墨がつくれるんです」

亭主はそう言うと、松野を家の中へ案内した。


2005-12-17 23:06:31公開 / 作者:東西南北
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新しく書きました。
更新していくので、よろしくお願いします。
この作品に対する感想 - 昇順
はじめまして。まずタイトルで損をしているような気がしました。安直なフレーズに逃げている感じがします。タイトルは小説の顔なので、もっとひねったものでもよかったかもしれません。
内容は薬剤師という折角の設定をいかしきれていない……というか人物の感情をもっと取り入れてみては?そうすればこちらは感情移入しやすく、面白い作品となると思います。
2005-12-18 01:39:00【★★☆☆☆】雨と剣
読ませていただきました。とにかく登場人物の表情が見えてきません。あと、文を区切りすぎです。たとえば【松野はポケットから財布を取りだしお金を女性に渡す。】と言った感じにストレートに読めるようにして欲しいです。いちいち区切っていたら、読む方にしたらこの上なく読みづらいです。
次回の更新をお待ちしています。
2005-12-18 19:00:35【☆☆☆☆☆】シンザン
作品を読ませていただきました。描写が少なくて設定の面白さを生かし切れていない感じを受けました。主人公の仕事のことや、森の雰囲気、あやめの細かい容姿など、もっと書き込んで欲しい部分が多かったです。また、行間が不必要に空いているのは、逆に文章のテンポを止め読み辛くさせていました。では、次回更新を期待しています。
2005-12-19 08:12:20【☆☆☆☆☆】甘木
拝読しました。後半が特に、キャラクターの感情が文章に表れておらず無機質に感じました。思考が無いので人物像も見えませんでした。私にはタイトルで損をしているようには思えず、作中の表現が簡略に書かれていることで損をしているように思えます。次回更新御待ちしております。
2005-12-19 17:13:35【☆☆☆☆☆】京雅
2006-01-23 14:48:06【☆☆☆☆☆】すうううううううううううううううううううう
計:2点
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