『ラブレター』作者:スナフキン / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約5.27枚

「ラブレター」


〜遠くから見ているだけなのに   いつもあなたの事を考えています。
  話したことも一度もないのに    いつもあなたの事を思っています。
   
   声を聞くだけで  胸が苦しい
   目が合うだけで  心が切ない

  こんな私を あなたは知るよしもないでしょう

  声を掛ける勇気もなく  ただ ただ毎日あなたの事を思っています。〜


私が彼に宛てて書いた手紙はこれですでに十通を超えていた
しかし、そんな弾けんばかりの思いを詰め込んだ「宛先」の無い手紙は
彼の所に届くことは無かった。

ちょうど半年前の蒸し返るような熱帯夜の日、私は初めて夢の中で彼と出会った
そう、私は夢の中の見知らぬ彼に『恋』をしてしまったのだ。
その日から,ほぼ毎日といって良いほど夢の中で現れる彼に
私は届くことの無いこの手紙を出し続けている

毎日が平凡に過ぎ行く  現実の日々
目を閉じる度に訪れる彼との  夢の中の日々
どっちの世界の私が本当の私で
どっちの世界が本当の「時間」を刻んでいるのか
この二つの世界で真剣に生きれば生きるほど叶わぬだろう『恋』に
私は夢中になっていった。

夢の中の彼は私とは違う学校の生徒で毎日同じ時間の電車で通学している
私はいつも一つ早い電車でその駅に着き改札口の影でいつも彼を待っていた
息を潜め彼とすれ違うだけの二人のデートに一人酔いしれる毎日だった。
しかし、そんな彼との間に異変は突如として起こった
彼と会うたび夢の中の時間が短くなって行ったのだ
彼を思えば思うほど,彼に近づけば近づくほど
彼との限られた時間は短くなっていく

このまま遠くに離れてしまいそうな彼の存在に
私は最後のラブレターを出すことにした

直接、彼本人に……


〜私は毎日一人あなたのことを思っていました
   私は毎日一人あなたのことを考えていました

   あなたの名前は何ですか
   あなたの趣味は何ですか
   あなたの好きな食べ物は何ですか
   あなたに好きな人はいますか

  私はあなたのことを何も知りません

      でも「好き」です
        「すき」です
        「スキ」です

      私とお付き合いして下さい。〜

いつもの駅
いつもの空
いつもの風
そんないつもを装っているこの時間の中で
私は彼を待っていた。

そう、それは本当に「いつも」の様に……

彼が乗ってくる電車
彼が乗っている車両
彼が降りるホーム
何一つ、変わらぬこの風景にいつも
の彼の姿の無いことに気付いたのは駅のホームが
無人になってからだった。
目の前を通り抜けていく何本もの電車
”待つ”という行動、終わらない”夢”
辺りはすっかりと日が沈み,月明かりとホームの鈍い光を
放つ外灯だけが彼女を照らしていた。
「今何時だらう……」
時計に目を落とす彼女の前に入って着た電車は
23時50分
無人駅と化したこの駅を通る最後の電車だ

彼の存在を探す私の前をホームからゆっくりと最終電車が離れていく
彼はホームの向かい側に立ちうつむいたまま立ちすくんでいた

私は彼に近づいた
思いも、気持ちも、感情も、体も……
「これ、受け取って下さい。お願いします!」
静まり返った月光に照らされたホームの中で
震える私の手の先に見えたのは、
震えた手で受け取る彼の手と、涙で溢れた彼の瞳
そして、震えた声の

「さよなら……」

だった。

長い長い沈黙と静寂の末に
私がそっと眼を開けたのは、「アタリマエ」に満ち溢れた部屋のベットの上だった。

部屋の時計はまだ23時を指していない
彼に宛てて書いた「ラブレター」に眼を配る
いつもとは違う見慣れない便箋に私は言葉を失った。

〜遠くから見ているだけなのに   いつもあなたの事を考えていました。
  話したことも一度もないのに    いつもあなたの事を思っていました。
   
   声を聞くだけで  胸が苦しい
   目が合うだけで  心が切ない

  こんな私を あなたは知るよしもないでしょう

  叶わぬ恋だと解っていても  ただ ただ毎日あなたの事を思っていました。
   違う空間に生きる二人が接する事によって永遠に会えなくなることを
   知っていた私は、あなたの存在を無視し距離を置かなければなりま
   せんでした。
  なぜ、違う空間で出逢ってしまったのか……
 私はあなたを

        「好き」です
        「すき」です
        「スキ」です

   これからもずっと……〜


  彼の「ラブレター」と23時50分で止まった腕時計
  この世界で存在した彼に

  私は確かに「恋」をした。


2005-12-08 23:10:35公開 / 作者:スナフキン
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■作者からのメッセージ
不思議な感じのラブレターですが、率直な感想お願い致します。
この作品に対する感想 - 昇順
初めまして。水芭蕉と申します。拝読しました。空白を取るよりも、もっともっと描写を多くしたほうが小説らしくなると思いますよ。それと、ほとんどの文末に「。」をつけてないのは何故なのでしょうか? 正直に言うと、読みづらいです。一度利用規約を読む事をオススメします。それでは、辛口にて失礼しました。
2005-12-08 23:19:25【☆☆☆☆☆】水芭蕉猫
初めまして、凪風と申す者です。お話、読ませていただきました。
まずは利用規約を読んだ方がいいでしょう。僕も水芭蕉猫と同じく読みずらかったです。
しかし内容のほうはなかなかいいアイディアを使って書かれていました。宮沢賢治さんが読み手にどう印象づけるかで、よく書き方に特色を付けていましたが、それに類する物を感じました。努力が見受けられます。
後は描写と、効果的な文章構成を身に付ければ最高でしょう。あと、基本的な書き方も。
長々と失礼しました。次回作、頑張ってください。
2005-12-09 00:11:12【☆☆☆☆☆】凪風
 はじめまして。こんにちわ、ゆるぎの 暁(あき)と申します。正規表現につきましてはお二方もおっしゃっているようにご覧になった方がいいかと思いますよ。私もしっかりと読んでみて、目から鱗が落ちて非常に気分が高揚して、創作意欲が増しました(笑)書き方が分かると気分も一新できるので、一石二鳥です。
さて、お話についてですが。主人公のモノローグのみで構成されていて、彼女の心情が赤裸々に綴られていくのが素敵ですね。ただ、最後の彼からの最初で最後の手紙の文章があまりにも、冒頭の主人公が書いたものと酷似しているので新鮮な感じは受けませんでした。もうちょっと個性をつけた文章のほうがよいかもしれません。ですが、本当に詩のように綺麗で切ない作品でした。とても好みです。これからも頑張って下さいね。
2005-12-09 16:36:01【☆☆☆☆☆】ゆるぎの 暁
作品を読ませていただきました。詩的な感じですね。このような作品に背景を求めるヤボなのかもしれませんが、全体的に白っぽいイメージがありましたね。ラブレターの白さ、現実の多色を対比的に使ってもメリハリがついたと思います。不必要な改行(余韻提示のため必要な部分もありますが)、句読点などは皆さんと同じく違和感がありました。では、次回作品を期待しています。
2005-12-11 09:45:08【☆☆☆☆☆】甘木
拝読しました。物語性は神秘的でありながらも切ない恋愛だろうと想像することは出来得ますが、作中の殆どが朧であるために感情が揺り動かされることなくどこまでも現実味を味わえませんでした。幻想な物語とはいえ恋愛は現実的な感覚であり、そこにこそ切なさが潜んでいると思います。現実世界を確立しそこで苦悩する主人公を描かなければ、何ら感慨は無かったです。次回作御待ちしております。
2005-12-12 05:34:52【☆☆☆☆☆】京雅
計:0点
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