『メール』作者:瑠璃奈♪ / ~Xe - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
重い病気を患った少女・涼子と突然、涼子と知り合った少女・朱実の織り成す殺人ストーリー
全角1852文字
容量3704 bytes
原稿用紙約4.63枚
 この物語は、重い病気を患った一人の少女の話である―…。 


何の面白味も無い毎日、話すのだってうざったい。
何もかも消えればいい。 ―― 最近はそう思う。一つの疑問が浮かぶ。

どうして世界はこんなに残酷で、たった一人の少女さえ助けてくれないのだろう―…?


―― ここは、歩道橋。今は午前3時だ。誰も、いない。
「ここから飛び降りたら死ぬのかなぁ…?」
ふふふと、涼子は笑う。背後ですっと人影が通る。
「死なないよ、電車に向かって飛び込まない限り。」
会話もしていないのに答えた。
「そっか、つまんない」
「だね。」
相手は見ず知らずの人なのに、会話を始める。
話題は、どうでもいいことだ。相手の名は朱実といい、涼子と同じ考えをしている。
珍しく涼子が他人と楽しそうに喋っている。いつもなら必要最低限のことしか言葉を交わさないのに。
「ねぇ」
「何?」
涼子は、朱実に一つ、教えてほしいことがあった。
「あのさ、メールアドレス教えてくれない?」
おずおずと聞く。
「別に…いいよ。」
―― この時から、二人はメールをするようになった。


とある街のホテル。涼子は誘われるがままにここへ来た。
相手の男によると、涼子としたいらしい。
「別にいいよ、…暇だし。」
適当に答えた。別にしてもいい、そう思っている。
部屋に、入った。いきなり涼子の制服を脱がすと、男は始めた。
涼子は思った。 こんなことして何がおもしろいんだろう。快感を味わいたいからか?
何故だろう?そもそも「これ」は子孫を作るためのだけのことではないか。特に理由も無いのにやって楽しいのか…? その間も涼子は、朱実をメールをし続けていた。

「ねぇ。あのさ、どうでもいいならそいつ、殺しちゃえば?」
そう、送信してきた。
「別にいいよ。こいつがどうなっても別にいいし。」
そう、返信した。
「んじゃ、今殺してよ。」
「い い よ」
そう…返信した。
涼子は、右手に自分のブラジャーのワイヤーを持つ。きゅっと拳を握る。
次の瞬間、男の首にワイヤーを回し、絞めた。男は、びくっと反応する。
必死に抵抗してくる。うざったいと思った涼子は、ブレザーのポケットの中に入れておいたナイフを片手に男に向かって振り下ろした。ぶしゃっと血が噴出す。涼子の顔についた。制服にも。
「汚い…。何こいつ、ムカつく」
男に思い切り蹴りを入れた。息はもうすでに、無い。
              ――3日後…――
涼子は早朝から朱実とメールをしていた。
「ねぇ、朱実さん。久しぶりに会おうよ。」
「いいわよ」
「んじゃ、あの歩道橋でいい?」
「うん」
メールを朱実から受け取ると、電源を消し、携帯電話を閉じた。用意を全て終わらせると、さっさと家を出た。
「…そっか。今日で朱実さんとのメールもおわりかぁ。寂しいな。ちょっと」
ふふふと、笑う。しかし、瞳は笑っていない。
―…何故か、ポケットにはナイフが入っている。

涼子は、歩道橋にいる。待ち合わせ時間まで後、10分。時計に目と通す。
「もうそろそろ…」
ポケットからナイフを取り出すと、手でくるくると回す。
「おぉ〜い!涼子さ〜ん!」
左の階段から朱実の声がする。涼子は、ナイフをポケットへと隠す。
「おっおまたせ!早かったんだね。ご免ね」
「いや、いいよ。私も来たばっかりだから!」
おきまりの会話。涼子はつまらなさそうにため息をつく。
「ねぇ」
「ん?何?」
「何じゃないよ!何のためによんだの?」
沈黙が走る。冷たい風が吹いた。朱実を声をかけようとすると、涼子がそれを遮った。
「…それは、私と一緒に死んでもらうためよ」
「え…?」
その瞬間、血が噴出した。それは涼子のものなのか、朱実のものなのか少しも理解できなかった。その血は…朱実のものだった。朱実は涼子に刺された。
「何…?」
朱実は状況を把握できていなかった。涼子は涙を溜めた瞳で朱実を見つめる。
「貴女を殺したかったの―…。せめて、自分が死ぬのなら誰かと一緒に死にたかったから…。」
涙を流しながら、涼子は言った。
そして、朱実に最後のとどめをさした。
「さようなら…」
そう言うと、涼子は自分の喉を刺した。そして、絶命した。

   ――涼子は微笑みながら、死んだ。
2005-10-08 18:03:15公開 / 作者:瑠璃奈♪
■この作品の著作権は瑠璃奈♪さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
こういう殺人ストーリーは前から書いてみたかったんです。でも、何かが足りないなーという感じです。皆様もそう思われませんでしたか?まだまだ修行中の身ですので、これからも精進いたしたいと思います。それでは!
この作品に対する感想 - 昇順
ちょっと分かりにくい内容かなと思いました
もうちょっと涼子の病気の事や悩みなどが入っていたら
この物語の怖さが感じられたのではないでしょうか?

それでも、話の流れはとても暗く、怖いものでした
未熟な黒ネコが言うのもなんですが、がんばってください
次回作、期待しています
2005-10-08 23:46:57【☆☆☆☆☆】黒ネコ
 初めまして。
 ふむ、確かに何かが足りないなー……と。内容はリアルで好きなのですが、展開が早すぎる気がしますね。心情の書き込みと背景が少ないせいでしょうか?淡々とその小説の中で起きた事実をそのまま書いてあるだけのような「物足りなさ」を感じました。自分、未熟者なのにこんな偉そうな事をスイマセン。次回作、期待しております。
2005-10-09 00:58:48【☆☆☆☆☆】Town Goose
初めまして、恋羽(ここは)と言う者です。読ませて頂きました。愚にもつかない感想を述べさせていただこうと思います。まず感じたのは、情景が平たいな、ということでした。平板、というか。板に張り付いた紙に書き付けられた輪郭線、そんな感じでした。立体感が無いが故に、同時に現実味が無い。もっと言えばそこにいるのが人間であるのかすらも見えてこないのです。そこに存在し、呼吸をし、様々な思惑を巡らせている筈の人間の姿が無い。背景が無い世界に一筆書きで描かれた絵、そういう感じでした。どんな表情をしていますか、どんな感情を抱いていますか、その様はどんな風に見る者に訴えかけますか。それがあれば物語が生きてくると思います。たとえば演劇の演出を担当している演出家のように、登場人物に細かい指示を与えるつもりで書いてみてはどうでしょう。長々と失礼なことを書いてしまって申し訳ありません。それでは。
2005-10-09 10:16:53【☆☆☆☆☆】恋羽
 登場人物に動作を起こさせるには、なにかの理由が必要となってきます。
 たとえば。
 太郎君が一郎君を殴ったとします。そしたら、なぜ殴ったのか。そういうことを述べなければなりません。一郎君に上靴に画鋲をいれられたからだとか、遊戯王カードを取り上げられたからとか、親の敵だとか、実は今ボクシングの試合中だとか。そこには理由がなければいけません。
 ではなぜ。一郎君は太郎君の上靴に画鋲をいれただとか以下略をしたのでしょうか。それは、太郎君に丑の刻参りで呪われただとか、背中にガムテープを貼られただとか、そういう色々諸々なあらゆる理由が考えられるのです。そして、一郎君はなぜ――。それらを巧く繋げ、伏線を示したりして、素晴らしい文章になっていくのだと思います。
 ただ、殴っただけ。殺しただけ。理由は不確か。一応考える材料も用意はされているが、そこに繋がりはない。あくまで推測の域を出ない。バラバラ。伏線だと思われたものも、収束されずに在らぬ方向へいってしまう。それでは、何かがたりないなぁ。そう思わざるを得ないような作品になってしまうのではないでしょうか。
 失礼極まりない言葉を延々と羅列してしまい、すいません。因みに、俺は「すばらしい文章」とやらは書けません。書けないくせにアーだの、コーだのリコーダーだの、誠に申し訳ありませんです。ギャグが寒くてすんませんです。それでは。
2005-10-09 19:13:14【☆☆☆☆☆】むぅ
初めまして。淡々としているのが怖いのは確かだと思います。
ただ、朱美と涼子の差が掴みづらいんですね、何か。同じ人間の思考回路のような気がします。生を諦めざるえない事と、生を諦めたく思うのとは、違う感情だろうと思うのです。あえて、同じにしたのかもしれませんね、そうであれば、それは正しい事なのだろうとは思うのですけど、そういう風に感じられてしまったという事と理解してもらえたらって思います。
でも、一気に読ませてしまう文章力はすごいなーって思います。また、次も読みたいなって思いました。本当、僕も下手な文章しか書けない人間なので、失礼な事書いてしまってたらごめんなさい。
2005-10-10 14:19:15【☆☆☆☆☆】カメメ
作品を読ませていただきました。なんだか実際にありそうな話で怖いですね。ただ、登場人物に血肉が付いていない感じがしました。涼子にしろ、朱実にしろ、抱えている感情(それは虚無感でも、厭世感でもかまいません)をもう少し前面に描いてほしかったですね。死に直結する感情を読者に提示しても良かったと思います。何となく淡々と物語が進んでいった感じがして、少々物足りなさを感じています。なんだか辛口の感想になってしまいすみませんでした。では、次回作品を期待しています。
2005-10-10 20:47:55【☆☆☆☆☆】甘木
拝読しました。イベントの前に平素を描いていないがために人物像を理解するに至らず、そのせいで彼女等の思考経路を辿れなくなってしまい、結果的に感情移入等出来得ないまま凄惨な事象のみを見せられたように感じてしまいました。どれだけ残酷な出来事も、そこへ読者を連れてゆかなければ怖くないと思うのです。殺す、殺されると言う役割をあたえるなら、それ相応な裏づけとなる心情構築が必要と思います。殺人と言うメインディッシュを際立たせる(美味しくなる)ような前菜を用意してあげてください。次回作御待ちしております。
2005-10-11 02:55:43【☆☆☆☆☆】京雅
初めまして、ミノタウロスと申します。既に皆様がご指摘されていますが、その部分をこの作品で修正加筆されるのか、今後の作品発表の際に、これらを踏まえてステップアップされるのか、それは貴方様の自由ですが、勝手を申しますと、此方を修正される事をお勧めいたします。精進されたいとの事。いい材料であると思いますので。題材はいいものを選んでいますし、所々にドキリとさせられる表現があったり、このまま埋めてしまうのは残念です。【重い病気を患った】の意図する病が掴みきれません。鬱病なのか、殺人狂なのか、自殺志願者なのか、人格障害者なのか…etc、と。修正する事で、作品を見つめ直す力、ご自分の作品への愛情が生まれ、必ずや貴方様の執筆力となるでしょう。
長々と失礼致しました。では、また。
2005-10-14 00:30:10【☆☆☆☆☆】ミノタウロス
計:0点
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