『原点回帰』作者:clown-crown / AE - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
 『僕』の中に息づく心象風景。 過去を振り返りながら、未来を見据える。
全角5645文字
容量11290 bytes
原稿用紙約14.11枚







愛しくて それ以上に 憂く思う すべての物書きに 捧げる






 原点回帰








 僕は缶ぼっくりを履いて、いつもより高い視点を楽しんでいた。
 目の前に横たわる大通りは、古い街並みを残しつつ同時に新しいものをゆっくりと飲み込んできた。
 この街は昔、城下町だった。
 簡単には城に攻め込まれないように、わざと曲がった道を敷いていたという。攻め入った敵は城の天守閣が見えているのに、その方向から道が逸れていくので進退を迷うこととなる。
 今もぐねぐねと曲がる通り沿いには、そうして改めて見ると異様として映る風景がある。
 住居として機能しているのか疑問になる木造一戸建ての壁に、昭和のものらしいレトロな看板が張り付いているかと思えば、その隣には真新しい消費者金融の看板が、同じようにしてかかっている。
 いくつもの時代の痕跡を残すこの街は、今日もゆるゆると時を重ねている。




 まるで出来の悪い小学生の作文のように、一人称『僕』から始まってしまったお話だけれど、なにぶん若い『僕』の書いたものなので許してください。
 お久しぶりです、crownです。
 覚えてないでしょうか? それはきっと悪戯っぽい怪盗さんが、もっともみすぼらしい宝石を盗んで、あなたの宝石箱を整理してくれたからでしょう。でも、心は忘れてはいないはずです。記憶は盗めても、心までは誰も盗めないのだから。思い出してきましたか? 焦ることはありません。ゆっくりと思い出していきましょう。
 『僕』のお話を聞きながら。



 右足には蜜柑、左足にはオレンジの缶詰でできた缶ぼっくりは、祖父が自慢の大工道具を引っ張り出して作ってくれたもの。錐で開けた穴に麻縄を通し、それが握り紐になっている。缶詰の種類が違っているので左右の高さが合っていないが、それも愛嬌だ。僕はこれに乗って街をパトロールするのが日課となっている。かこぉんかこぉんと缶ぼっくりを鳴らし、今日も見回りに出かける。
 大理石に『林』と彫られた表札の門をくぐり、中庭に入る。
「ゴン。元気?」
 中庭にはその広さに見合った大きな犬小屋があり、その中には僕がゴンと呼ぶ犬が暮らしいる。犬の本当の名前は権兵衛。年老いた柴犬だ。ゴンは気のない様子で僕をじろと睨み、眠そうに欠伸をするとまた目を閉じた。
 縁側を渡る林のおばちゃんが僕に気づき、ガラス戸を開けて、
「あら、せいちゃん。来てたの? 昨日、親戚から 羊羹 をもらってね。私ひとりじゃ食べきれないから、食べていかないかしら?」
 と、ゴンの頭を撫でる僕に声をかけた。
 いつしかゴンの様子を見るだけでなく、林のおばちゃんと世間話をすることも僕の日課になっていた。




 お話を途切れ途切れにしてしまう私を、あなたは疎ましく思うのかしら。もしそうなら、ここでお話を止めてしまったほうがいい。これからもお話だけが進むことはなく、私がでしゃばってしまうから。
あなたには物語を中断できる当然の権利がある。その権利の行使に私は口出しできない。でも、願ってしまう。私がお話に口を挟むのは、あなたを呆れさせるためじゃない。その逆、私はあなたを楽しませようとばかり考えている。その思いが届くようにと、切に切に願っている。



 取り分けられて、竹の爪楊枝が刺さった羊羹を口に運ぶ。
「とっても美味しいです」
 熱いお茶も用意してもらっている。
「そう言ってくれると嬉しいわ。いつも暇にしていてね、せいちゃんが来てくれるのをいつも楽しみにしてるのよ」
 林のおばちゃんは笑いじわを刻む。いかにも老婦人らしい、見るものを幸せにする柔和な笑みだ。
「ゴンベも日増しに元気がなくなってきてね。もうすぐお迎えが来るのかしらねぇ」
 林のおばちゃんはゴンをゴンベと呼んでいる。おばちゃんは通り沿いにこんな大きな一軒家をもっているけれど、ゴンとふたりでは寂しいそうだ。
 そのうちゴンも自分も死んでしまう。残されたほうは寂しいから一緒に死んでしまえないかねえ、とおばちゃんが呟くのを聞いてしまったことがある。
「せいちゃん。私の分も食べて」
 世間話をするとき林のおばちゃんは、ときおりお茶をすするのみで茶菓子には口をつけようとしない。僕が食べ終わるのを見て、自分の分を僕にくれる。
「もう少し、もう少しなのよねえ」
 林のおばちゃんは絶えずこの「もう少し」を繰り返すときがある。でもそれが何なのか訊ねたことはない。それは生きることに疲れてしまったのか、それとも自分の子どもと一緒に住めるようになるのがもう少しなのか、それとも他のもう少しなのか、“もう少し”が何なのか僕にはわからない。
「もう少し……もう少し……もう少し……」




 このお話しは『僕』が体験したままのお話なのです。ノンフィクションと言ってしまうと語弊があるのだけど。
 ファンタジーのようなおとぎ話でも、ドキュメンタリーのような事実に基づくお話でも、そこには必ず夢が詰まっている。すべてを与えられた少女パンドラも、希望の光だけはなんとかその小さな胸に留めていられたように、私もまた「夢を忘れることだけはしまい」と心に誓うのです。



 羊羹まるごと一本と熱いお茶三杯をお腹に収めて、見回りを再開する。
 寂れたスーパーの横には、年中無休のコンビニが建っている。バスの待合ベンチは、昔はもっと鮮やかな青だったはず。酒瓶を持った狸の置物のすぐそばに、真っ赤なポストが直立している。
 ペットショップの前を通ると、中から声をかけられた。ぴぎゃあぴぎゃあと鳥の鳴き声にまぎれて若い女の人の声。
「あれ、なーちゃん。トメさんならさっき田んぼに行ったよ」
「そう。ありがと」
 ペットショップの隣にあるのはトメさんの花屋だ。
 残念。トメさんとおしゃべりしたかったのに。今日はちょっと遠出して、トメさんの田んぼまで行ってみよう。




 夢はゴム風船のよう。
 自分の心の中のものを送り出して、膨らせる。子どものころ、強く息を吹きかけられなくて、なかなか大きくできなかった。今は、どこまでもどこまでも大きくできる。
 風船が割れてしまわない限りは。



 道幅がだんだん狭くなる。ぎゅうぎゅう詰めだった店と店の間に空き地が入り込むようになり、進むほどにその間隙が大きくなっていく。間隙はいつしか公園になるまでの広さをもった。
 遠目に、ブランコに乗る少女が見える。少女も僕に気づいたようで顔をこちらに傾げると、高く振り上がったブランコから飛び出した。
 すたん、という軽やかな着地音も、べたんという鈍い音も聞こえない。少女はそのまま中空に吸い込まれて消えてしまった。おかしいと感じる間もなく、僕は服のすそをつかまれた感触がして振り返る。
 少女が僕を見上げていた。




 夢とは、ただ優しいだけの存在じゃない。
 ときに現実より残酷で、太刀打ちできず絶望するほかないこともある。見せるその姿が甘美なだけに魔性。
 どんな息を吹き入れようと丸く膨む風船は、その中身の醜悪さを証明するかのように破裂する。



 おでこより少し上につけた紫色の大きなリボンの下から覗く、鋭い視線。少女の見かけと、その視線はあまりにも似合わない。
 僕は缶ぼっくりから降りた。差し出された缶ぼっくりを少女は不思議そうに眺める。やがて僕の意図がわかったらしく缶ぼっくりを履く。これでちょうどよくなった。僕と少女の視線が同じ高さになった。
 少女は相変わらず鋭い視線で僕に言った。
「あんたは全部を知ってるのに、自分自身では何も思い出せないんだわ」
 僕は「え?」と訊き返そうと少女をまっすぐ見ようとしたけど、その姿はもう消えている。公園のほうから何かが地面に落ちる、すとんという音が聞こえて、僕は理解することを諦めた。




 私は夢が叶うよう努める。
 夢が夢であり続けることを望まない。夢を夢で終わらせることをしない。私は未来を予感し、私は手段を構築し、私は私なりの世界を手に入れる。
 私がもつ想いのすべてを吐き出せるように。
 あなたの想いのすべてを包み込めるように。



 正対して左右きちんと並んだ缶ぼっくりを履きなおして、僕は歩み始める。
 道に沿って進む。やがて街を抜け、田園地帯が目の前に広がる。田舎の香水──肥料の臭いが鼻を刺激する。缶ぼっくりも、かこぉんかこぉんとは響かなくなり、どむぅんどむぅんとくぐもった音に変わっている。
 草むらの中にトメさんを見つけた。
「あぁれぇ、ゆきじゃないけぇ。こなんとこまでどうしたぁ?」
 草は腰の高さまである。トメさんは腰から先が直角に曲がっているので、ほとんど草の中に隠れている。
「わしのりんご食うか? ほぉれ」
 お腹がいっぱいであることを告げ、りんごを断った。
 トメさんは何をしているんだろう。さっきからきょろきょろと辺りを見渡している。
「井戸を探しとるけ。ここらじゃねがったかぁ?」
 一昨年の夏に来たときには確かに井戸があった。ここよりもっと道から離れたところだったはず。僕はトメさんの手を引き、夏休みに水を汲んだ場所に連れて行く。
「おお、井戸じゃ。ゆきぃ、ありがとぅ」
「若い頃に自分で掘った大切な井戸なんでしょ。忘れたら駄目だよ」
 僕の名前は『ゆき』ではない。それはトメさんの孫娘の名前だ。




 私は夢を見る。
 物語を通して、たったひとりと繋がることを。私が理解できるひとを。私を理解できるひとを。想いと想いを重ねることができるひと。
 だから私は物語を紡ぐ。
 だから私は物語を紡いでいく。



 道は続く。やがて道は川に並行する。ススキは風に流れる。川に沿って僕も流れる。
 土手の下にワゴン車が乗り捨てられているのが見えた。二度と動き出すことがなさそうな錆びついた車が、ごとごとと揺れたので目を凝らして見ると、中から車より大きな男が現れた。車の中から現れた男が、車より大きいはずがない。それはわかっているけど、そう思えるほどに男は巨大だった。
 大男は僕も見つけるなり手を振った。
「おーい。お前さんも契約なしに召喚されたのかー?」
 僕はあんぐり、と口を開けていた。大男はそれを見て“何か話しているのだけど遠くて声が届かなかった”と勘違いしたようだ。手を振るのを止め、手招きに変えている。
 近づいてみればみるほど、男の身体の大きさを実感した。造作が整っていないのではないが、縮れた髪とあご髭がくっついていてむさくるしい。虫食いのひどい山高帽のようなものをかぶっている。コートには色とりどりのシミがついていてカラフルなんだけど、清潔さを感じる要素は一切ない。
「アーティファクトの中には、この世界がどこだかわかるようなものはなかったぞ、レザス。もちろん、敵もな」
 レザス、と呼ばれて僕と同じぐらいの女の子がワゴン車の影から顔を出した。人見知りがちなのか僕と目を合わせるとふいっ、と目を逸らしてしまう。西洋の騎士にみられるような白金の鎧を着込んでいる。頭には三角の形をした大きな麦わら帽子。
 大男は再び僕に振り返る。
「おいらの名はグーレン・ゲーテン・モーデン。お前さんもいきなり召喚されて戸惑ってんだろ?」
 僕は「違う」と言おうとしたのに、頷いていた。僕は夢を見たかったのだと思う。彼らと仲間になることを願った。大男やレザスと一緒に旅に出る、そんな自分を心の中で描いていた。
 ワゴン車の中からまた、人が現れた。まさか大男が車に入っていて、なお人が入れるスペースがあるなんて思わなかったから驚いた。でも、中から現れた人はそれだけでなく、容姿も大男やレザス以上に奇妙で僕をさらに驚かせた。その人は目を瞑っていた。僕が見ている限りで言えば、ずっと。その開くことのない右目の下には雫模様の装飾が施されている。羽織っている純白のコートはどこか芝居じみていて、しぐさもそれに近い。その人を前にすると、観客である自分が舞台に上がってしまったかのような漠然とした不安感を覚える。そして何より奇妙なものが、腰にある。どう見ても日本刀にしか見えない物体を左右の腰に三振りずつ帯びている。
「お前の態度は威圧的なんだ。ただでさえ、わけもわからず戸惑っている人間の前に立つんじゃない」
 大男の声を聞いているのかいないのか、その人はますます僕の顔を覗き込む。
「あなた、名前は?」
 不思議な声だった。他のどこでも聞いたことがない、耳の中で反響するような印象に残る声。まったく口を開かずに発声している。大男も驚いているようだった。この人は大男やレザスとは口を利かなかったのだ、そんな空気が読み取れた。
 僕はしどろもどろになってしまうのを覚悟で、とっさに夢の住人らしい名前をでっち上げることにした。
「クラウン。僕の名前はクラウンだ」
 僕は見逃さなかった。その人がまぶたの裏で眼球がぐるり、と回したことを。
「そう。私の名──え──……




 私を思い出してもらえましたか?
 『僕』のお話はこれで終わりです。なぜなら『僕』はこの後、目覚めてしまったから。







2005-09-06 07:14:22公開 / 作者:clown-crown
■この作品の著作権はclown-crownさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ

 私は本気です。
 本気の感想をください。
この作品に対する感想 - 昇順
最初から「だから私は物語を紡いでいく」までが良かったです。特に解説(?)の部分がとても。「私は夢を見る。〜だから私は物語を紡いでいく」――そうなんだよなぁ、と微かに共感。本気の感想ということですが、あたしは作品を分析したりするのが苦手なので、ただ素直な感想を書いてみました。
2005-09-06 07:49:33【☆☆☆☆☆】ゅぇ
読ませて頂きました。レトロな看板〜にはたいへん共感できます。そういう光景は私の中にもあります。懐かしい調子を保って何かが起きてほしかった。押さえた書き方を狙ったのかもしれませんが。出だしの城下町〜も良かったですし。いいなあ、好きだなあと感じました。(誤解でしょうが)異世界に逃げてほしくはなかったです。
2005-09-06 08:23:36【☆☆☆☆☆】一読者
 はい、読みましたよ。心象風景というわけだけれども、この夢幻的な文脈の中に書き手の切実さというものがあるんだよね。僕らには夢想しかないわけで。さて、語るという場合にはその位相を意識しなければなりません。特にこのような、何処から切っていいかわからない作品に対しては(笑) うん、ひとつの心象風景を見つめるときにね、それが心的リアリズムにかなっているとは思うのだけれども、見つめるまなざしに僕は執拗さがないと思うのよ。夢がね、それゆえに淡白で美しく見えてしまう。どうなんだろう。心象風景というのは、もっと残酷なものではないかしら。まあこれは僕の固有の事情によるものだとは思うのだけれども、僕は長らく自分の心象風景、自分の思いというものに、呪縛されてきた。いまだにそういう夢を見るもの。いや勿論単に夢を見る、見ないということではなくね。心象風景を捉えるとなるとさ、やはり骨子を把握した上で、ではなくて、とにかく全容のわからない、得体の知れないそれを丹念にスケッチしていかないと、断片しかつかめないんじゃないかなあ。何ていうんだろうね、つまらない先入観なのかもしれないけどさ、心象風景って脈絡がなくて支離滅裂でしょ。そして細部がやたらとリアルだよね。これはさ、やたらと細部を盛り込んで、全体として全くチグハグになっているようなかたちになるべきなんじゃないかなあ。
 自分の解説的意識を差し挟むことについては、これはより慎重さを有すると思うな。それが単なる夢の階層と解説という意識なのか、無限の中を漂っている最中に、緩慢に苦痛もなくおぼれるその中にあって、全く別の意識として流れているのか、あるいはこの心象風景の自分とアポロン的な自分というのかな、それの対峙を構成して描いてみるとかね。うんまあ、といいつつも、この作品は心象風景のタッチを模写した寓話のような側面も感じるね。それが他人に対してか自分に対してか、それはともかくとしてもさ。
 語感に詩性がある。ただ、これはそう企図したことかもしれないけれど、惜しむらくは視覚的であることだね。もっと五感的であるのが僕には好み。羊羹の甘さとかさ、井戸の清浄さ、そこかしこにもっと視覚外のイメージの種子があると思うんだよ。
2005-09-06 12:55:38【☆☆☆☆☆】タカハシジュン
お久しぶりです、じっくり拝見させて頂きました。抽象的な表現が多くちりばめられ、幻想?というか現実とは違う雰囲気を私は感じ取りました。丁寧に書かれていて読みやすく、心地良かった。中々読んでいて心地良い作品ってお目にかかれないので嬉しかったです。クラウンさんは感受性豊かだなとこの作品を読んでいて思いました。膨らせるは脱字でしょうか。私も皆さんもそうでしょうけど自分の作品をしっかり読み取ってくれる方は宝ですよね。私なんかの感想でもクラウンさんが喜んでくれる事を願ってます。ではでは
2005-09-06 14:18:24【☆☆☆☆☆】猫舌ソーセージ
はじめまして。読ませていただきました。文章も丁寧だったし共感できるところもありました。でも、物語自体はよくわかりませんでした……私の読む力、あるいは人間性に問題があるんでしょうね(苦笑) 今の私ではclown-crownさんを理解できる人になれないのかなぁ……もっと経験を積んでからこの作品を読み返してみようと思います。では、今回はこの辺りで失礼させていただきます。
2005-09-06 16:06:41【☆☆☆☆☆】夜来香
初めまして。羽乃音(はのね)と言います。作品の方を読ませていただきました。ただどうにも……、読んだと言うよりは寧ろ眺めたという表現の方が適切なのかもしれません。風景写真に閉じ込められた風景を眺めているみたいな気分になりました。読者と作者の交点が無いな、なんて偉そうな事を言える筋合いじゃないんですけど、正直そう思いました。本気の感想ということでしたので書かせて頂けば、この作品についてはどうも作者と読者の間に温度差がありすぎるなと。映像が鮮明であるだけ、それは多分鮮明な夢という意図に繋がってくるのでしょうが、clown-crownさんとの距離の遠さを感じさせられてしまいました。失礼なことばかりを並べてしまい申し訳ありません。それでは失礼いたします。
2005-09-06 17:28:56【☆☆☆☆☆】羽乃音
 とても不思議な作品だな、とまずは思いました。ジャンルが現実と異世界というある意味で対極に位置する二つであった時から、どんな物語が紡がれるのかという期待感がわきました。
 そして、冒頭文に至ります。すごく断片的で、それでいてどこか古臭く、謎めいていて。悪くいうならば、すごくシュール。良くいうならば、シュール。どちらに転んでも現実的ではなく、それでいて現実感のある話なんですね。
 合間に挟まれる氏の言葉は詩的で、読み手である私は、夢という場面の切り口をあえて自身の言葉で埋められた文章に、思わず惑わされていました。最終的な夢から覚める直前。あえてファンタジー的な異世界をもってきていましたが、それでも異世界というのは夢全体のことでもあり、夢から醒めた現実のことでもあるのでしょうか。
 そして、私はcrownさんを思い出すことはできなかった。なぜか? 何を思い出せばいいかわからなかったからです。でも、それも当たり前ですよね。だって、夢なんですから。
 目が醒めたらうろ覚えになった記憶のような、そんな読後感。
 そしてcrownさんの後書きの二言を読んで、感想を書いています。
 私はいつでも本気だと思っていますが、それでも今は、crownさんの作品を読んだ上での今を語るべき本気の感想として、添えさせていただきます。
2005-09-06 17:35:35【★★★★☆】座席
 ふわりふわり。ゆらりゆらり。そんな読後感。ほとんどの物語にある、すとん、が無い。この作品の世界に踏み込もうとしても、どこからがその世界なのか分からない。ただ心地よさが残る、不思議な感じでした。個人的にはとても気に入りました、この感じ。私は物語を読んで作者の言わんとしている事を読み取る、という事をしない(というよりうまく出来ない)ので、うまく書けていないのでしょうが、私にとって本気の感想を書かせて頂きました。感じた事を書いたのみですが、この辺で失礼します。
2005-09-06 18:23:31【★★★★☆】シルヒ
本音を言いますと、本編(?)の朦朧としたシュールな感じ、ノスタルジーから夢に直結してしまう趣向(全部が夢なのかしら)は大好きです。しかし時々間に挟まるモノローグは、蛇足に感じました。
自分はメタ趣向で書き手として本編に参加するのも大好きなのですが、この話の場合は、ただ自作解説に終わっているような気がします。
その気合いが本編(?)の描写、たとえばワゴン車の塗装色とかコートの色とりどりのシミの具体性などにまで至っていれば、より同調できたのではないでしょうか。自分には、どんな車なのかどんなシミなのか、画像として推測できなかったわけです。そこまで同調不要で読者の推測に委ねるなら、いっそただ『大きな車』『汚れたコート』でいいような気もしますし。
自分は創作物に接する時、そこに描かれた世界がまず自分のエゴと折り合うか、描かれた心理や情景が自分の心と目に浮かぶか、キャラたちはきっちり生きているか(あるいはキャラは死んでいても話がそれを越えるほど面白いか)――そんな感じで、そこいらが同調できたら、もう勝手に作者様と同調できたと思ってもいいわけですよね、読者としては。
2005-09-06 19:29:19【☆☆☆☆☆】バニラダヌキ
うむむ。いやはや、活字は映像として頭の中に展開するのですが、物語の中身がまるで頭に流れて来ない。その場その場のスライドを、音無しで見せられている気分でした。だからたぶん、この物語を読んだ誰よりもまともな感想を書けないのだと思う。難しい、と言ってしまえばそれまでなのですが、その言葉でなくもっと別の言葉で述べたい。とは思うのですがそれを表現する術を神夜は持っていない。何とも役立たずだ(苦笑)が、途中途中で紡がれる詩的表現は好みです。神夜が理解でき、ちゃんと考えられたのはその程度でしょうか。しっかりとした感想を書けず、申し訳無いです。
2005-09-06 20:03:05【☆☆☆☆☆】神夜
表現の仕方が分からないので他の方々の感想を見ていましたが――一番近いのはバニラダヌキさんの感想かもしれません。ただ、モノローグが蛇足だとはあたしの場合は思わなくて、あれがとてもいい味を出していたような気がします。個人的に「読みやすい」作品ではありました。
2005-09-06 20:09:06【☆☆☆☆☆】ゅぇ
 『本気の感想』って書くと誰も書いてくれなくなるかなぁ、と思ってたのだけど。そんな悪い想像とは逆の、素晴らしい感想を多く寄せていただけました。皆様の本気、ありがたくいただきます。
【ゅぇ様】
 どこが悪かったのだろう。「どうして失敗したのだろう?」という意味では、悪いところこそ指摘してほしいのですよ(やりたかったものが成功した、という手応えももちろん嬉しいのだけど)。そうした感想をほしいからこその『書き手に友好関係は要らない』発言だったんですよ。
 三人があまりにも“ファンタジーっぽ”っくて露骨だったのかな。淡さを出した前半部分とは巧く接合できていなかったのかな。いつもだったらバラバラ仕掛ける伏線もなかったから、唐突さを感じてしまったのかな。でも『僕』本人も唐突さを感じていたから、それを表したかったのだけど。驚きの後で湧き上がる、嬉しさも。
 私はあまりにわがままな書き手ですよね。私の『感想もらえない予言』をいち早く崩してくださってありがとうございました。
【一読者様】
 参ったな。『僕』と同じ体験をしてもらおうと思ったのだけど。お話の中でも言っているので二重になってしまいますが、これは『僕』の体験したままのお話です。その体験と同じ世界を書き物で著して、読み手に体験してもらうことこそ“想いを重ねる”ための一歩だったのです。まず、そこからけつまづいてしまうとはね。
 私はまだまだ幼い。夢を実現するための力が全然足りない。そのことがよくわかりました。感想、ありがとうございました。
【タカハシジュン様】
 『僕』の見る夢は過去を象徴する夢で、『私』の見る夢は未来を象徴する夢を表しています。でも、『僕』と『私』には最後の最後まで接点がありません。これは『僕』あるいは『私』がゲストである読み手をもてなす書き物であって、『僕』と『私』を比較対照させようとしたのではないのですよ。どちらも私なのです。
 『僕』の夢は過去のように、目を奪うほどに美しく、でも触れることなく通り過ぎていきます。そんなすべての始まりである原点なら誰もがもっているはずで、だから共感してもらえると思って書きました。でも、巧くいかなかったみたいです。 “ハッキリ書”くことができていないからでしょうか?
【猫舌ソーセージ様】
 お久しぶりです。ええと、【膨らす】は【膨らます】と同じ意味です。夢の中の感じを出したかったので普段使わない【膨らす】を使ってみました。
私は読み手と通じ合っていればそれに勝る喜びはありません。幻想の中での心地よさ、その感触の中に私はいたのでしょうか?
【夜来香様】
 はじめまして。共感してもらうための物語なのだから、共感してもらえれば後は物語なんてどうでもいいや、なんて考えてしまいました。でも、それが本心なのかもしれません。でも、私はまだまだ欲張りです。物語の仔細を観察してもらい、その上で書き手である私を認めてもらう。そうなれば、嬉しさもひとしおでしょうね。
【羽乃音様】
 夢という題材をもってきたのは、“一か八か”だったのではないかと今更ながら思いました。現実味が薄ければ、濃厚に体を触れ合わせることができない。あるのは心だけ。原点、という始まりの場所で私は待っていたのですが、羽乃音様とは合えなかったようですね。私が原点を間違えたのか、もともと羽乃音様とは原点の位置が違っていたのか。
 とてもわかりやすい感想をいただき、ありがとうございました。
【座席様】
 自分の心の中にも異世界と呼ばれる部分があるのだと思います。そこはとても広大で、やっぱり全部を知ることはできないのです。今回、私は異世界だった自分の心の原点を見つめなおしました。
私を思い出してはいただけませんでしたか。私を思い出すのに記憶はいらない。心だけで──心だからこそ繋がることができるのだと私は夢を信じるのです。
夢は覚まさないほうがよかったのかもしれませんね。
【シルヒ様】
 “ゆるゆると時を重ねる”このお話。シルヒ様に心地よいと感じてもらえたその感触、それそのものが私の断片なのでしょう。すとん、と落ちることもできないような、そんな夢見心地だったのであれば私は嬉しいのです。

 だんだん感想返しが連鎖してきて、抽象的になっているな……。私自身には物語移入度がすこぶる高いようです。
皆様、お優しい方ばかりでよかった。「なんだ、夢オチかよ」と言われたら、首吊って死のうと思ってましたよ(!)。
 感想を寄せていただき、ありがとうございました。
2005-09-06 20:42:42【☆☆☆☆☆】clown-crown
所々で語りが挿入されますが、その内容が何を伝えたいかわからない漠たるものなので、読み手ひとりひとりの解釈の問題になりすぎてしまうと思います。読み手に何を提供したかったのか、何を伝えたかったのか、何を楽しんでほしかったのかがわかりませんでした。最終的な形が見えませんでした。
2005-09-06 20:52:07【☆☆☆☆☆】メイルマン
おまえは何回感想つけたら気ぃ済むねん!!って感じですスミマセン。
ううむ、clown-crownさんとあたしの間に友好関係はないと思うけど、だからといって、今回の作品はあたしにはどこが悪いとも指摘できず(笑)ファンタジーっぽいのは別に良かったと思います。で、あたしは伏線とかに気付ける人ではないので別に唐突――確かに唐突さは感じましたけど、別に厭な感じではなかったです。ただ、何だろう。心象風景ならでは、なんだろうけど日本刀みたいなものを帯びてるとか眼球ぐるり、とかそういうのがワケがわからなかった、というかなぁ。最後の最後で迷路に迷い込んだ感じです。ただ『原点回帰』ってタイトルがとてもclown-crownさんの心中を表しているような気が、しました。(あくまでそんな“気がしました”)『その人がまぶたの裏で眼球がぐるり、と回したことを』→『その人がまぶたの裏で眼球をぐるり、と回したことを』でしょうか。ぱっと見て誤字だと思ったんだけど、clown-crownさんの作品だと、もしかして故意につくった文章かと思っておそるおそる確認してみるゅぇなのでした。何回もごめんなさいね〜ホント(汗
2005-09-06 21:23:11【☆☆☆☆☆】ゅぇ
 ううんとさあ、作品構成上、ライブとしての夢なのか、夢を語るということなのか、それによってモノローグ的「私」のポジショニングが変わってくるんじゃないかなあと思ったんだよ。区別がないなら「僕」「私」と区別する意図がちょっと見えなくなっちゃうんだよね。であれば夢の中からさ、読者に呼びかけてもいいかもしれないなとも思うんだ。さてと、原風景(のようなもの)の共有だけれどもさ。僕ね、あんまりこういう幸福な原風景って持ってないねん。田舎とか、じいさんやばあさんとかって、僕にとっては時として苦痛でもあったんだ。それは僕が悪い子だったんじゃなくて(笑) 何ていうんだろうね(笑) アタシのお年寄りはみんなエゴむき出しみたいな人たちだったんだよね(笑) イヤもちろん、アタシにも人の心はありますから(笑) この風景、好きなんだ。幸福だと思う。自分もこういう風景を持ちたかった。でもさあ、みんなこういう原風景を持っていないかもだよ。やっぱさ。実体験として持っているもっていないっていうのじゃなくてさ、例え空想、妄想であっても、自分にそれを当てはめることができないというかねえ。すごい、何ていうんだろう、オレ自分の恥部をさらけ出しちゃってるね(笑)
2005-09-06 21:34:15【☆☆☆☆☆】タカハシジュン
読みました……が、自分にはストーリーが見えてきませんでした。物語の断片らしきものは見えましたし、言葉を部分的に切り取れば気持ちの良いものも多くありましたが。ただやはり、小説としての感想を聞かれたら『いまいちよくわからなかった』となってしまいます。読み取る事のできなかった僕が悪いのか、単に作者さんが伝えきれていないのか……という議論にあまり意味はないと思うのですが、今回は『わかりやすい話が好き』という自分の好み&今まで多用してきた言い訳は封じておこうかな、と。せめて物語を理解する手がかりが欲しかったです。
2005-09-06 21:48:35【☆☆☆☆☆】ドンベ
 すれ違いすみませんです。
 前回の感想返しはなんだか、ひとりよがりな感じがするなぁ。どうしたらいいのだろう。まだ自分の信念が形になっていないような感じがしてきた。小説への態度を決めるのに急ぎすぎていて、基盤が固まっていないような……。これからは、ゆっくりと書き物をしてみるかなぁ。

【バニラダヌキ様】
 いきなり手厳しいですね。愛のむちむちですね。余談めきますが、これはバニラダヌキ様のお話をかなり意識しています。ですがそれはメタである【たかちゃんシリーズ】ではなく、-20050430ログの【羽根】です。これに対峙するに正面からでは、夢の内容が弱い気がしました。自分の夢の有利な点はどこか考えた結果が、作中作にまで落とし込むことでした。作中作を提示するに、書き手(ちょっと違うが)を登場させるのは安易だったかもしれません。最近思うところがあって、小説としての面白さより、自分の主張を先行させてしまったようです。その主張には書き手(代理)は格好の人物であり、奇行を助長させた要因のようです。さらに言えば、書き手を登場させることは(わかりやすい意味での)書き手と読み手の邂逅だったともいえます。
 描写の曖昧化は、夢であることを重んじてのことでした。でも最後の三人が登場する部分、そこは描写を今までより多めに入れています。それは夢の印象がそこだけ強く残っており、物語としても要になる“夢が覚めたときのやるせなさ”それに繋げたかったのです。
【新夜様】
 無音映画のよう。そんな感じであれば、過去を孕む夢らしくて、それはそれで世界観にマッチしているような気もします。もともとはっきりした世界ではなかったのだし(世界観ではなく)。そんな夢のような印象を受けてもらえたのなら満足すべきなのかもしれませんね、私。
 よくわからないのはお互い様ですね……。
【ゅぇ様】前回の感想返しで失礼なことをのたまってますが。やはり、ゅぇ様の感想はよくわからないですね。私の頭、そろそろ知恵熱で暴走しそうです。なんだか今日、真剣に文章考えてばかりです。

 そういえば今日、誕生日だった……。

 皆様の感想はプレゼントとしていただきますよ。どうも、ありがとうございました。
2005-09-06 22:11:13【☆☆☆☆☆】clown-crown
“消える魔球はキャッチャーミットに入らなければただの暴投”という言葉を思い出しました。嘘です。今思いつきました。
全編夢作品、私も書いたことがあるのであまり偉そうなこと言えないのですが、例えば、“A−B−C−D”といった感じで、何の脈絡もなく場面が目まぐるしく変わるならまだ夢っぽいし入りやすい。あるいは“A−B”が均等な分量でもわかる。しかしこの作品は“A−A−A−(中略)−A−B”となっているので最後のBが浮き上がってしょうがない。しんみり童謡を聴いていたのになぜ最後だけデスメタルなのですかと。うるさいだけですと。「これが本当なんだもの」と言われても、clown流感想を真似るなら、“夢日記”をそのまま放り出すのが小説なの?加工が必要なんでないの?といったところでしょうか。
後半の「私」の独白は完全に詩になっていて、これは作者は意図してなかったのかもしれませんが、結局この詩が一番キャッチーなのですよね。詩が簡単という意味ではなく、これって楽な方向に走っているというか、子供騙しというか。それと三つ目の独白部で作品の解説しちゃってませんか?
以上、本気のつもりですが本気ってよくわからない。本気じゃない感想を書いたことがないから(なんてね)。
2005-09-06 22:26:45【☆☆☆☆☆】明太子
お久しぶりです。ミノタウロスです。誕生日プレゼントになど全くならない駄文を送らせて頂きます。あいも変わらぬ異常な世界観と表現方法に、らしいなぁと思いながら読ませて頂きました。冒頭【愛しくて〜捧げる】で先ず引っ掛かってしまってました。兎に角読み終えて、再度頭から読み返してみました。どうもclown-crown様の文章には裏がありそうでどうしても深読みしながら読んでしまいます。物語の所々で挿入される作者の言葉が徐々に詩的になっていくのは私には心地よかった。次第に流れ出した思考の流出とでも言いましょうか。【私は夢を見る〜だから私は物語を紡いでいく】に冒頭の言葉が集約されていくのかな?と。だから私はこの下りに惹かれたのではないかと思う訳です。原点回帰……原点に返れと(読み手側に)言われた気がしていたのですが、ご自身が帰りたいのかなと読後は思えました―――少しclown-crown様の弱さを垣間見た気がしてちょっぴり嬉しかったです。←何言ってんのこいつっとか思ったら無視して下さい。こっぱずかしいので。さて、下らないが本気の感想を長々と書かせて頂きました。今度はどんな物語を紡ぐのか、楽しみにしています。
2005-09-06 23:22:38【☆☆☆☆☆】ミノタウロス
 悩みを抱えたまま、感想返しをするのは不義だろうか……。

【メイルマン様】
 う〜ん。語りの挿入で伝えたかったのは、書いてある通りの、そのままの漠然としたことなのですよね。特定しないことによって、大多数を手に入れる。そんな浅はかな企みだったような……。最終解脱は書き手と読み手の融和です(馬鹿)。
【ゅぇ様】
 感想は何度書かれても嬉しいものですよ。でも友好関係はないのか……(ゅぇ様、さり気にキツいね)。元のこの書き物の名は【モノカキ考】でした。それは今より主義・主張が前面に出ていて(議論じみていた)、今よりもっと面白みが欠けていました。今のような挿話になったとき、それでは合わないということで【原点回帰】になりました(本当に原点回帰できたのか、わからなくなってきました)。
 唐突さが驚愕を呼んで、それが認識を阻害したのかなぁ、なんて難しく考えてみる。その部分はもともとファンタジーを書くつもりでいたので、読み手には気合を入れた認識力が必要だったのではないかなぁ、と。曖昧模糊とした世界からファンタジーへの変換は思った以上に困難だったということかなぁ、と。
 誤字指摘ありがとうございます。でも、どうしようか。修正で更新かけるのって、どうも抵抗あります。

【タカハシジュン様】
 作中作における中と外では同一人物でも次元の上下関係があるのですよ。とか、のらりくらりと言ってみるものの、このふたりについては意見を書くのはやめておこうと思います。再登場させます。絶対。
 原風景は、もってないと同調してもらえないですかねぇ。

【ドンベ様】
 理解する手がかりですか。なんだか書き手自身も理解しているのか怪しくなってきましたよ。物書きとしての最終解脱に飛び込むつもりで書いたんです。何も見えてこないのは間違いなく、力量不足のせいですね。その夢自体が達成不可という話も出ていますが。

 頭が痛くなってきましたが、書いてよかったです。書き物としてはあまりよくない出来でしたが収穫がたくさんありました。いただいた感想を肥やしにして次回、より出来のいい書き物を投稿したいと思います。
 期待していただけるなら応えます(予想は裏切りますが)。
2005-09-06 23:33:05【☆☆☆☆☆】clown-crown
 なんだかハイになってきました〜っ。

【明太子様】
 夢の内容ですか。でも、どーしてもAもBも書きたかった。同じ書き物内で。そんな『どっちもほしくて駄々をこねる子ども』じゃ駄目ですか? 駄目ですよね。小説らしい『何らかの加工』はいつも私が思っていることなので、自ら禁を破ってしまっていますね。馬鹿ですね。
 『私』はカウンセラーのような立場であるような(そうでないような)。
【ミノタウロス様】
 私の書き物に“らしさ”が現れている? それは私を書き物の中から見つけてくださった、少なくとも私の輪郭は見えた、そういうことなんでしょうか。──こだわり過ぎているかもしれませんが、この書き物はそういう趣向ですので。
 読み手であり、ときに書き手である皆様に「原点に帰ってみたら」。そんなメッセージを送ったつもりです。ですが私自身、原点に帰ることができていないようです。「人に言う前に自分でやれよ」。そうですね。自分ではできているつもりだったのですが……。
 えぇ。この書き物では私、充分に弱気になりましたとも。ですが見ていてください。私はビッグになって帰ってきますよ(馬鹿)。

 最初に比べて、だいぶ感想の書き方が変わっている……。やはり真面目モードは長続きしないのですね。
 本気の感想をどうもありがとうございました。
2005-09-07 00:26:52【☆☆☆☆☆】clown-crown
作品を読ませていただきました。本気と言うよりは本音で書きましょう。まずは読んでいてタルコフスキィーの「ノスタルジア」と言う映画を思い出していました。戻りたい、帰りたいけど決して戻れない場所への郷愁。そんな感じが全体を覆っているように感じました。と、同時に「ノスタルジア」同様、映像的には美しいのですが理解しきれない……この作品の本質が理解できないと感じています。作者と読者を繋ぐ(議論するため)ために書いたのかなという印象も持っています。ともかく、美しいイメージばかりが残って、本質のようなもの(作者の書いた意図と言うべきかな)に触れることができない作品というものでした。では、次回作品を期待しています。
2005-09-07 00:41:59【☆☆☆☆☆】甘木
【甘木様】
 『本気』より『本音』のほうが私も何かと都合がいい(特に今のオツムの状態だと)。ですが、やっぱり映画はわからない。ちょっと調べてみたのですが、難しそうですね(それだけ?)。はてさて、原点には返れないものなのでしょうかね。淡い感じは出せたようですけれど。理解しきれないのは、何かもぶち込んだからでしょう。もう、洗いざらい書いてしまおう。
 いろいろな試みを全部、ここでやってしまったのです。一番大きなものが最終解脱なのですが、その前段階や、他の思惑も限りなくあって、つっかえつっかえなのですね。欲張りすぎです。この文量では、無理だとわかるはずなのですが、今回はそのブレーキも働かなかったんですね。そんなこんなで不明瞭な書き物になってしまいました。
 議論……してもらうはずだったのです。でも、ややこしすぎて書き手が匙を投げました(駄目だこりゃ)。
2005-09-07 01:34:40【☆☆☆☆☆】clown-crown
拝読しました。……本気、ね。先ずわたくしにはこの書き物が何を伝えようとしていたのか一端しか見えなかった。見えなかったと言うより一片しか見せてくれなかったと言うのが正直なところで、繋がり合おうとしているのではなく解ってもらおうと必死に足掻いているみたいに感じます。一方通行に想いがそそがれておりますね。だからclown-crown様を朧にしか感じられず、わたくしの想いもおそらくあなたには届いていない。純粋に書き物としてのみ覗くなら中中読めない系統だし面白かったのだけれど。それと、これはほんとうに主観的なものなのですが、夢でひとは繋がれないと考えております。夢は誰しも見るものですが、その夢の見方、夢の感じ方、夢にたいする想いは一つとして同じではない。ひとが他人の心を理解し得ないように、夢の感覚を共有することは出来得ない。夢から心の融解を目指すなら、目覚めたあとの一瞬、そこにあるのではないでしょうか。過去から未来を見据えるなら、見据えている現在にあるのではないでしょうか。夢の断片なんて、起きてから推測と解釈でつけたしてゆくしね。まあ、clown-crown様の何かを魅せられたことには違いなくて、心地好いことには変わりなかったです。次回作御待ちしております。
2005-09-07 11:33:52【☆☆☆☆☆】京雅
ずるいなと、読んでまずそう思った。こういう趣向を出来る勇気(clown様はそう感じていないのかも知れないのだけれど)が羨ましいです。何でもあり的なこの感じは何だかちょっといただけないぞとか思いつつも、読んでしまう。この物語は理解する類のものではないのでしょうか? 合間合間に放たれる詩的な言葉から感じるものはあったけれど、本編(おそらく)からは感じるものはなかったです。影舞踊の感受性が悪いのかもしれませんが、少なくとも自分にはそうでした。明太子様も書かれていたように、途中まで普通に進んでいた物語がいきなりおかしな登場人物によって世界観から壊されていく。もしくは異質なものの進入によって夢が現実だと思わされる? まぁよくわかりませんが、それが夢のままの姿なんだからしょうがないじゃないかって感じですか? なんだか腑に落ちない感じでした。影舞踊自身そう思うときもありますのでこれを書いたclown様の気持ちはわかる気がします。もしそうなのであればちょっと同じで嬉しいです(黙れ でもclown様はもっと違う感じで、そういったもの全て吐き捨てて、って感じでもあります。何を言っているかよくわからないですね、すいません。原点回帰ということでしたがclown様の原点はこれからは読み取ることが出来ませんでした。でもあなたの主張はよくわかりました。何だか真面目に書いたつもりでもふざけているようですいません。面白くなくはなかったです(コラ むしろ変な騎士(?)が出てくるまでは大好きでした(途中の言葉の羅列は除いて)
色々辛らつなことを書きましたが許してください。心が若干荒れているのかもしれません。こんな心理状況で書いて申し訳ないです。お誕生日おめでとうございましたw
2005-09-07 14:06:28【☆☆☆☆☆】影舞踊
 一夜明けて、ちょっと冷静になれた。

【京雅様】
 皆様の感想を読んで全体的に眺めてみると『空回り』。そんな感じがします。巧くいけば最大入力・最大出力だった気がするのですが。その出力装置にシャワー口を取り付けてしまったがために、エネルギーが分散してしまったような。
 原点でも交われませんか? 進化の枝分かれ、それの根本を目指すつもりで、物書きの原点を見ようと。夢を含まない過去、という形のほうがよかったのか。未来にこそ、繋がる可能性があるのか。頭で考えるのもなんか違う気がするなぁ。
【影舞踊様】
 今回はアレです。読み手、置いてけぼりです。私の嫌いなタイプですね(ぇ)。(おそらく)ファンタジー好きの影舞踊さんが拒否反応示すとは、重症で末期な書き物ですね。ずるい? そう言われてもねぇ。最近、書き物をそんな風にしか受け取れなくなってしまったのですよ。私の原点回帰はゆっくりとやっていきましょう。今回失敗したのは、一足飛びに原点に近づいたからだったような気がするんです。
2005-09-07 18:43:00【☆☆☆☆☆】clown-crown
こんばんは。再読させてもらいました。私は以前の感想で「よくわからなかった」みたいな感想をつけたと思います。けど今更考えてみたら、前までの私は読み手であって書き手ではありませんでした。物語の最初に書いてあるとおり、この作品は物書きに捧げられた文章なのだから、自分もその立場になってみなければ分からないじゃないか、とか思いSSを書いてみた後で「そんな付け焼刃でわかるわけないじゃん」と自分で突っ込みを入れたりしてみました。じゃあ結局何が言いたかったのかというと「clown-crownさんの意図とは違うと思いますが、私が文章を書くキッカケを与えてくれた作品として感謝しています」ということです。ありがとうございました。それに一方的に再読する約束もしていましたのでね(笑) それでは。
2005-09-27 01:59:05【☆☆☆☆☆】夜来香
計:8点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。