『現実逃避の仕方 【読みきり】』作者:影舞踊 / AE - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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 退屈な毎日。変わらないリズム。向き合う自分。消えそうなプライド。
 どうしてだろう?
 いつからだろう?
 俺はいつからこんな風に……思ってる?

 日々の毎日は単調で淡白で、風が吹けば飛んでいってしまいそうな、薄っぺらいものだ。だから俺は頑張って頑張って、濃密にしようと、何とかしようと頑張っている。
 何ともならないのに、何とかなるんだと思い込ませて、頑張っている。
 ときどきふっと思うことがある。
 天使か何かが舞い降りてきて、俺のところに舞い降りてきて、何だか急に舞い降りてきて、チュウでもしてくれたらなって、その絹肌で抱きしめてくれたらなって、そんな風に妄想を抱く。現実に起こりえないことなんだけれど、百パーセント妄想なのだけれども、ときどきふっと思うことがあるんだ。



    「現実逃避の仕方」



 きらきらぴかぴか小学生。
 ふわふわもじもじ中学生。
 とげとげうじうじ高校生。
 暖簾に腕押し大学生。
 どうしようもなくつまらなくて、どうしようもなく夢がなくて、どうしようもなく味気ない。昔はいっぱい、数え切れないぐらいの夢があったのに、今じゃ指折りすぐ止まる。何だってこんな風になっちまったんだろう。俺は大統領にだってなれたはずなのに、何だってこんなに可愛げがなくなったんだろう。
 唐突にそう思ったら、涙があふれそうだった。
 もちろん、電車の中で泣くなんてどこのキチガイかわかったもんじゃない。俺は唇をかみ締めたよ。

 大学生活は半分が過ぎた。もう半分。もう半分過ぎてしまった。
 何をやってたんだろう? 何を思ってたんだろう?
 考えたところで思い出は出てこない。ないんだから当たり前だ。しょっちゅう考えることだから、結末への過程もかなり省略されてきた。もうわかんない。どうやってその結末を導いたのかも、今の俺にはわからない。
 けれどもだ!
 けれども俺はちっとも悲観的じゃないぜ。
 思い出なんてすぐに消えるさ。老化現象は誰にでもやってくるのさ。だからちっとも悲観的じゃないぜ。
 俺は大学ノートの切れ端に、バカな漫画の絵を描いた。
 全然似てないそのキャラクター、見れば見るほど憎らしかった。本物を見たらあんなにかっこいいのに、俺の書いたそいつは不細工で、無愛想で、どうしようもないぐらいにまぬけだった。
 くしゃくしゃに丸めて捨てる。同時に授業終わりのベルがなった。ほら、暇つぶし大成功!
 俺はちっとも悲観的じゃないぜ!

『どうやったらああなれるんだろう? すごいなぁ、俺にはできないよなぁ』
 わかってるさ。もちろんわかってるんだ。
 知ってるのに繰り返す、安っぽい疑問とお決まりのせりふ。努力すればそうなれる。才能なんてなくたってそうなれる。そんなことはわかってるんだ。
 俺はタバコの煙を無理やり押し込んで同時に息も止める。苦しかった。
 でもそのまま我慢して、しばらく考える。
 今日もバイトだ面倒だ。今日は晩飯何しよう? 今日は昼飯食ったっけ? そういや昨日は水曜日か……明日が終われば休日だ。休日ごろごろ何しよう? 何だか苦しくなってきた。そういや奈菜川今フリーか? そういや柏木今フリーか? あぁだめだ、マジ苦しい。てか奈菜川も柏木も男だっての。やばいぜ俺、死ぬぜ俺……
「ごほっ!!」
 ついに俺は噴出した。大学構内の喫煙所とは呼べない場所で、俺は盛大に咳をする。恥ずかしい。
「大丈夫!? 矢鳴(やなり)くん!?」
 授業の合間にタバコを吸いに来るこの場所で、俺は何を考える?
 俺は何を望んでる?
 気遣わしげに俺の背中に手をやった女を見やる。
 そしてこいつは何なんだ?

 どうしたって避けられないものがあるんなら、俺はそれを運命だと思う。ならば運命だと思わなければそれはそれで運命ではないのかもしれないが、この場合は運命だと俺は思う。運命でなければ、神様の悪戯だとかメルヘンチックなことも考えてみるが、やはりそれも運命ではないか? 何だかよくわからなくなってきたが、とにかく運命だ。とにかくこれは運命であってくれないといろいろまずい。あぁいかん……混乱している――それは確かだ。
 そういう状況に俺はいた。
 誰だこいつ?
 俺の訝しげな視線を直に受けながら、それでもなおまっすぐに見つめ返してくる女。だれだこいつ?
 俺はこんな女のこと知らないし、知りたいとも思わない。けれども、女は俺のことを知っている。不可解だった。不愉快ではなかったが、不可解だった。若干気持ちは悪かったが。
「矢鳴くん、タバコ吸うんだ。知らなかったぁ。でもすごい咳してたってことは慣れてないの?」
 誰だよこいつ。いい加減俺のことをそんな目で見るな。そんなまっすぐで穢れのない目で見るな。俺は薄汚れたダメ野郎だぞ、なんでそんな生まれたての子供を見るような目で見るんだよ。勘弁してくれ。
 俺は何も答えず視線をそらした。とたん女が反応する。
「あー、私のこと覚えてないのぉ? 矢鳴くんとおんなじ学部で、おんなじクラスなのにぃ」
 知るか。知るかボケ。俺が笑ってるうちに消えろ、女。俺は悪魔に魂を売れるぞ。いいのか、俺は悪魔に魂を売れるんだぞ!
「へぇ、そうなん? 全然知らんかったわ、ごめ〜ん」
 ほぉら、悪魔もそっぽ向きやがったぜ……勘弁してくれ閻魔様。今すぐ死神送ってくれよ。
「ひどーい。わたし鳴本(なきもと)、矢鳴くんと一字おんなじなんだからぁ。覚えといてよぉ」
 俺を誰だと思ってやがる。お前なんて知るか、知っててたまるかよ。大体なんだ、タバコを吸う女はろくなのいねぇんだよ。誰が覚えといてやるかよ!
「鳴本さんね……へぇ、泣き虫みたいでなんかおもろいなぁ」
 こっちを見るな。嬉しそうにこっちを見るな!
「よく言われる。でも実際泣き虫じゃないからね」
「うそぉ? 実は涙腺ぼろぼろなんちゃうん? マスカラぼろぼろやでぇ」
「え? 嘘! まじ!?」
「うっそ〜」
「もぅ〜」
 …………。
 俺は何をやっている……。俺は何をやっている? 俺は何をやっている!?
 楽しいはずがなかった。運命だとしても俺はこれを受け入れるわけにはいかない。俺の運命はこんなもんじゃないはずなんだ!
 久しぶりの女との会話が弾んだだけだ。久しぶりに人と喋った会話が明るかっただけだ。久しぶりに……いや、やめよう。
 とにかく俺は認めない。楽しいはずはないし、俺の心はやはり沈殿してしまっているし、そんな風な感情も出てきていないのだから。
 なにより、
 鳴本は限りなく不細工なのだから……。

 夢があった。金はなかった。気持ちがあった。力はなかった。
 いつだって両手は満たされない。うまい具合にひとつだけしか手に入らない。みんなは違うのかもしれないけれど、俺は少なくともそうだった。
 欲しいものがあった時、ねだって買ってもらうようなことはしなかった。いつだって黙って、押し隠して、ひそかにそれを狙ってて、気づいてもらえるのを願ってた。人に迷惑をかけるのが嫌だった。自分以外の人には迷惑をかけるのが嫌だった。
「床磨いといてね」
「ごみ捨ててきて」
「レジお願い」
「ドリンク入れてぇ」
「おい、料理冷めるわ。はよ運べ」
 俺は聖徳太子じゃねぇんだよ!
「はいすいません! 今やります」
 明るい厨房。暗い倉庫。冷房の効いた部屋。ぬるい外気。
 飛び交う注文。従う俺。
 とにかく俺は頑張ってる。
 誰かが俺を見てくれてる。
 人に嫌われるのは嫌だった。

 誰だって寂しいはずだ。きっと俺だけじゃないはずだ。みんな枕を濡らしてるんだ。
 そんな馬鹿なことをぼやきながら、俺は寝苦しい布団の上でぼんやり天井を眺めていた。暗い暗い、面と向かってなお暗い。
 俺は寝る時灯りを全部消す。別にそうしないと寝られないわけじゃないが、いつもそうしてるからそうしてる。深い理由なんてない。
 そんな明かりのない黒の部屋で、ぼんやり天井を眺めては、いろいろどうでもいいことを考える。暗いけれども黒いだけで、真っ暗じゃないから退屈ではないし、明るくもないからそうしてる内に自然と眠りに入る。この時間が好きだった。
 耳を澄ませば時計の針が進む音が聞こえる。目を凝らせば見えないものが見える気がする。時間の流れを感じて、得意の妄想を繰り広げて、徐々に徐々に虚ろになってゆく意識の中で、俺はある種の酩酊憾を覚えて眠る。そんな感覚が好きだった。
「……」
 静かな夜。
 何にもない。
 寝返りを打ってみる。顔を枕にうずめてみる。
 ……真っ暗だ。
 何のために生きてるのか、わからなくなった。

「おはよー」
 勘弁してくれ。話しかけるな。
 昨日は久しぶりに早く寝たから、うまい具合に一コマから出ることが出来た。俺はちょっとだけまじめだなとか思いつつ席についてたら、話しかけられた。頼むから近寄るな。俺は話すの苦手なんだ。
「おぉ。おはよう。真面目やなぁ、ちゃんと一コマから出てるんや」
 バカか俺。バカだ俺。あー、何で隣に座る!
「矢鳴くんも出てるやん〜」
 ええ、そうですね。すいませんね。
 何の面白みもない授業。何の面白みもない生活リズム。生み出す変化か、吐き出す先が欲しかった。
「矢鳴くんって休みの日何やってるの?」
「現実逃避」
 正直な気持ち、彼女は笑った。俺はむかついた。
 でも笑った。
 行き着く先は現実逃避で、これじゃダメだとわかってるから余計苦しいのに。何か掴んだ気になって、取り出してみたら当たりじゃないってわかってるのに。
 俺にはくじを引く順番さえ回ってこない。俺には整理券さえ渡されない。腹が立つ。
 でも、原因は俺がくじひきに行ってないからで、だからもうどうしようもない。
「現実逃避って具体的にどうするん? 面白い?」
 バカな女だ。隙間なくバカな女だ。俺は笑った。
「冗談やって」
 女はまた笑った。不細工、笑うな。
 俺はむかついた、けど笑った。

 部活……今日は部活だ。四コマ終わりに俺は颯爽とチャリにまたがり、構内を駆け抜ける。
 部室前。開いていたドアを開けて、臭くて掃除が行き届いていない部室に足を踏み入れた。ちわーす、おなじみの声が聞こえる。ちわーす、おなじみの声で返す。
「あっ、そうだ! 矢鳴さん、タバコすってはるんすか?」
 どきりとした。
「え、あ、なんで?」
「いや、この前教室前のとこで咳してたの矢鳴さんでしょ? 俺見てたんすよー」
 笑う後輩、うつむく俺。
「……あー、すまん。見られてた? すまん、殴ってくれ」
 笑いながら答える俺。けれども本当は申し訳なさで死にそうだった。
「いやいや、ちょっとがっかりーみたいな感じでしたけど殴んないすよ。倍にして返されるじゃないすか。でも体力大丈夫すか?」
「あー、やめらんとなぁ」
 笑う後輩、笑う俺。どうすればいいのかわからなかった。
 部活やってるんだから、タバコ吸うなんて最悪やぞ。スポーツマンにあるまじき行為!
 そんなことをぼやぼや言ってた俺はどこにいってしまったんだろう。
「ですね」
 答える後輩のその言葉が、なんとなく諦めに聞こえてしまって――惨めでくずな俺は決まって、黙して独り鬱になる。笑顔はずっと保ってる。
 やっぱり殴って欲しかった。



 はいすいません。ごめんなさい。忘れてました、今やります。
 最近一日に何度この言葉を使っているんだろう。俺はどれだけこの言葉に頼っているんだろう?
 店内は活気付いている。もうすぐお盆だ、祭りも近い。夏休みに入って、くる客は増えるかと思っていたがそうも変わらない。ただ、元気よさは大分違った。暑さは増しているのにみんなよく笑ってる。気持ちよさそうに笑ってる。
「お待たせしましたぁ」
 営業スマイル、今日は――いや、いつも抜群。
「あぁ、はいはい。で、あーそこはそいつな。でもそれをこうすると、やっぱり金かかんべ?」
「まぁあいつまだきてないしよ、それからでもええんちゃうか? とりあえず飲も――」
 失礼します、俺は小さくそう言って空のお盆を下げて戻る。楽しそうな祭りの打ち合わせだ。代名詞だらけで何を言っているかはわからなかったが、楽しそうな雰囲気は伝わった。まだ酒も入っていないのに、熱気が伝わってきた。羨ましい。
 最近は祭りなんて全然行ってない。行く相手もいないし、金もない。そもそも行く気がないからどうしようもないのだけれども、けれどもやはり羨ましかった。
 一組しかいない客の個室から戻り、俺はボーっとする。
 今日はいつもより若干暇だ。注文も少ない。
 俺はお客に向ける笑顔を潰しながらボーっとする。楽して金が稼げるんなら願ったりだ。俺は無表情でボーっとする。そうしてるうちに時間は過ぎていく。
 ラストまでそんな感じだった。俺は適度に動いて、時々ボーっとしてた。
 家に帰る途中タバコをふかす。マッチで火をつけたら、火傷しかけた。
 明日何しよう。バイトまでの時間何しよう?
 家に着く。鍵を探す。ポケットから零れ落ちた。
 明日何ある? 明日何曜日?
 ベッドに横になる。汗のにおいが臭かった。
 明日はあるのか?
 目を閉じた。
――……疲れた。
――…………なんでだろ?

 休みの日。俺はなんとなく早く起きる。うん、俺は早起きだ。
 でも時計には目をやらない。なんとなく目をやらない。
 しばらくしてから、目をやって、あぁもうこんな時間かと一人つぶやくのが好きだから。俺は充実した時間を過ごしてるから、こんなに時間がたつのが早いんだろうと、その感じが好きだから。
 間違いない。俺は早起きだ。
 ぴこぴこぴー♪
 携帯が鳴った。
 鳴本だった。

 シャワーを浴びる。歯を磨く。服を着替えて、財布を確認。
 とりあえず、おーでころんなんていうのもつけてみて、やっぱり臭いなと洗い流す。
 タバコをくわえて、外に出た。
 鳴本からのメールは『暇だったらあそぼ』という内容だった。自分のことに自信を持っている女だなと思った。身の程を知れと思った。
 俺はメールで『おk』と返した。
 なんだってんだ。俺は俺で忙しいんだ。現実逃避に忙しいんだ。チャリに乗って吸っているせいでタバコの減りが早い。それも俺のイライラを募らせた。
 今日は紛れもない休日。夜にバイトがあるとはいえ、あんなことやこんなことが十分堪能できる俺の休日なのだ。それがあんな女に使わされるのかと思うと腹が立った。俺にかまうな、そう思った。
 チャリで十分程度の場所が待ち合わせ。遅れていってもいいだろうと思い、五分前に家を出たのにやたら早くついて、時間ぴったしに俺は駅前の広場に来ていた。
 俺は緩慢な動作でチャリから降りて、緩慢な動作で鍵を閉める。わざと鍵を手からこぼしてみたりして、時間を稼ぐ。その場でタバコを一本新たに取り出してみたりする。マッチ箱を探す振りをして、俺は目だけで確認する。最悪だった。
 鳴本がいない。
 いや、いないのはいい。いないのはいいのだ。それはそれで全く問題がない。
 ただ最悪なのは来た場合だ。このような場合遅れてくるというのは俺の特権のはずで、鳴本にあるはずがない。あんな女に俺を待たせる資格があるはずがないのだ。俺は無愛想にタバコをふかし、そのまま挙動不審な動作で大きな円形の花壇へと歩み寄る。
 最悪だ最悪だ最悪だ。
 周りを見れば待ち合わせのカップルばかり。
 なんだこいつらいちゃいちゃいちゃいちゃ。お前らが地球温暖化の原因なんだよ。お前らが俺の家から温かさを奪ってるんだよ!
 叫びたい気持ちをこらえ、俺は時計を確認する。待ち合わせは10時のはずだ。ただいまの時刻10時5分。時計から目をはずし、周りを確認する。
 最悪だ最悪だ最悪だ!
 俺は今何をした。俺は今何をした? まるで俺が待ち焦がれているみたいじゃないか? まるで俺が恋してるみたいじゃないか!?
 そわそわそわそわ落ち着かないのは俺の気性であって、けっしてそういのではない。断じて違う。言い切れるぜ、俺は。俺は違うぜ! 俺は恋なんて知らないぜ! 俺は鳴本なんて――
 不意に背後から声がした。
「矢鳴くん」
 振り返るな俺。耳を貸すな俺。前を見ろ! 空耳だ! 幻聴――
「おぉ! なんや来てたんかぁ」
 女は笑顔で出迎えた。

「どこ行くん?」
「えーと、遊園地! 遊園地いこう!」
 女は少しだけ考えてからそう言った。俺はべただなぁと思いながらも、何も言わなかった。
「わーどきどきするなぁ」
 うるさいよ。黙れよ。死ねよ。そうだ、とりあえず死ねよ。
 俺は怒りでわなわなと(そうに違いない)震える拳を握り締めて前を見続ける。鳴本の顔など見たくなった。ただでさえ、こいつのこんな発言で俺たちは完璧カップルとか思われているに違いないのだ。ほら、前の席の人を見てみろ。俺たちを見て笑っている。俺たちみたいな釣り合いの照れていないカップル(ではないが、この場合はそう形容するのがふさわしい気がする)を見て笑っているんだ。
 不細工は黙ってろ。それ以上俺に近寄るなよ。この時間帯の電車はすいてるんだ。ほら、十分スペースはあるだろう!
「ねぇ、矢鳴くん?」
「ん? なに?」
 手つないでいい? そんな馬鹿げたことを言った日にはお前の家に不幸の手紙を送りつけるからな。お前の部屋をネコとか犬とかの毛でいっぱいにしてやるからな。
「手震えてる?」
「え、あ、あぁ。気にせんといて」
 てめえのせいだよ全部。てめえのせいなんだよ!
「握ったげよか?」
 はぁ? はぁ!? お前何様よ!!?
 なんだその上からの口調は? なんだその優しげな眼差しは? 俺様のご主人にでもなったつもりか? そういうのは男がご主人様で、女は可愛い小さいメイドって決まってんだよ!
 ふざけんじゃねぇぜ!
「ははは、じゃあお願いします」
「うむ、よかろう」
 そして俺はメイドか? メイドなのか?

 遊園地は楽しかった。文句なく楽しかった。昼飯もうまかったし、暑さも苦にならないぐらいに面白いことの連続だった。エンターテイメントだった。
「やっぱり面白いねー。次もう一回あれ乗ろうよー」
 嬉々としている鳴本の顔は鬼気としている。俺は思わず視線をそらした。
 違うんだ。遊園地は楽しいように作られているんだから当たり前なんだ。俺は子供心を忘れていないんだから当たり前なんだ。ただアトラクションが楽しいだけであって、この女と一緒にいるのが楽しいのではない。こんな不細工はこの世から排除されるべきなんだ。
「いや、やっぱりお化け屋敷行こう。また怖がりやぁ」
「えー」
 断じて違う。違う違うんだ。俺は違うんだ。そんなもの望んじゃないない。
「んじゃ、じゃんけんしよ。俺が勝ったらお化け屋敷、鳴本さんが負けたらジェットね」
「んーいいよ。よーし、負けん」
 鳴本は嬉しそうにそう言うと、両手を組み合わせて腕をねじった。
 馬鹿だろこいつ。なんだそのポーズは。
「さいしょはぐー」
「じゃんけん……」
 俺は変なポーズにひれ伏した。
 ジェットに乗って、でもやっぱり最後にもう一度お化け屋敷に入って、俺たちは遊園地を後にした。

 なんとも今日はお祭りだった。バイトで見かけたお客さんたちはいるだろうかと、ほんの少しだけ思ったりもしたがどうでもいいことだった。暗くてここからではよく見えない。露天も十ほどの小さな祭り。広場に集まっているのもご近所の人だろう。近所づきあいのない俺には、全くどうでもいいことだった。
 それよりも、重大なことがあった。
 俺は鳴本とくっついて座っていた。
 遊園地から出て、帰り道をとぼとぼこそこそ歩いていたら、祭りの匂いと明かりに中てられて俺たちは公園内に侵入した。なのに俺たちは何となく遠くからそれを見ているだけで、けして近づこうとはしなかった。
「矢鳴くんて、彼女いるん?」
 唐突に、またどうでもいい質問をしてくれる女だった。
 お前に言ったところで何もかわらねぇよ。それとも何か、馬鹿にでもしたいか? この不細工が。
「お、おらんでっ。さっぱ、り、さっぱり〜」
 出来るだけ明るく、勤めて冷静に言ってみたつもりが、出てきた声は緊張していた。
 俺は何を期待している? 期待、している……?
「そっかぁあたしもいないんだぁ」
「ふーん、お互いがんばらなあかんね」
 俺は言ったよ。言ってやった。
 隣でため息の声が漏れた。
 俺は震えながらタバコを取り出した。
「矢鳴くんさぁ、タバコ嫌いなんでしょ?」
 どきりとする。
「なんで?」
「だって苦しそうに吸ってるもん」
「そう? そんなつもりはないんやけど」
「かっこつけるため?」
「え? いや、違う思うけど」
「思うって……曖昧なのかよ」
 突っ込みのセンスはそれなりにある女だった。俺はマッチで火をつけた。
「タバコってさ、体に悪いんやでぇ」
「知ってる。でも鳴本さんも吸ってるやん」
「わたしは……いいんだよ。体に悪くてもいいの」
「何で? 赤ちゃん産むときとか大変らしいで」
「いいの、産まないもん……あたし、ブサイクだし」
「ふ〜ん、そう……。子孫残せないね」
 冗談を言った。隣で頷く気配がした。
 それきり彼女は口を開かずに。
 紫煙が俺たちの間に割って入った。

「ちわーす」
「ちわーす」
 毎度おなじみの挨拶を交わして部室に入る。汗の染み込んだソファやら、誰のものかわからない運動靴とジャージが散乱していてとても臭う。とりあえず俺は窓を開けた。
「くっさいわ! ファブリーズ、ファブリーズ!」
 どうでもいいからこの臭さを何とかしないと俺はここにいられない。きっとアンモニア臭的なものが漂っているに違いないのだ。だから俺はここにいられないぜ。俺は部活をやめてもいいぜ!
「あー、すんません。ファブリーズきれましたぁ」
 暢気に言うな。命にかかわるぞ、大体窓も開けてなかったし、お前はマゾか? あれか、追い詰められたほうが快感なのか?
 俺は舌打ちをして苦笑する。
「買っとけよ。あーくそ、もぅさっさと着替えよ」
 俺は上着を脱いで、とりあえずきれそうな椅子の上に置いた。コンテナの椅子だから、ごみを払えばばい菌はそうはいまい。……たぶん。
 マゾが口を開く。
「……部費ないっすよ」
 あぁそうだった。
「部員必要だな……」
 二人から集めたんじゃただの割り勘だ!

 現状を変えるのは面倒くさくてひどく恐くて、一人の力じゃ無理で、二人の力でも無理だった。俺たちはそんな現状に満足してはいなかったけれど、どうしようもないあきらめ癖のせいで体も心も言うことを聞いてくれなかった。
 そのくせときどき、けれどもやっぱり――何か変化が欲しかった。
 些細なことでいい。たとえば練習中に水を持ってきてくれる一日マネージャーがいたり、たとえばちょっとした経験者が体験入部で話を聞かせてくれたり、たとえば隣で踊るダンス部をセクシーだなぁと笑いあったり、些細なことでよかった。
 だらだら続くパターンを、俺たちは何とか変化させたかった。刺激が欲しかった。マゾも俺も独り身だったから余計そうだったのかもしれない。
 とにかくなんだか悔しかった。
「あーいたー」
 鳴本だった。今日も変わらず不細工だった。
「あたしマネージャーやっていい? 誰もいないのでしょう?」
 むかつく女だった。ニヤニヤしながらマゾが俺のほうを見たから余計思った。むかつくブスだった。
 次の練習日から女は俺たちのマネージャーになった。
 乾いた地面に雑草は生えた。

 俺はいつも語り合っていた。終始無言で語り合っていた。
 すごく疲れる会話だった。
――俺はこんな未来を望んでいなかった。こんな未来は僕が作ったんだ。
――俺はどうすればいいんだろう? 僕は何にもしていないのに。
――俺に勇気があれば。僕にプライドがあれば。
 俺は……僕は……僕は……俺か?
 俺は……俺で……俺は……僕……?
 なんだかよくわからないこの会話は時に一晩中続いた。俺はうんざりしていた。
「幸せだ幸せだ幸せだ」
 ときどき呟いてみる。ニュースなんかを見て呟いてみる。すごく悲惨な映像を見て呟いてみる。
「幸せだ幸せだ幸せだ」
 ちっぽけな悩みなんて消えてくれそうだった。
 俺は一晩中続く会話にへこたれなかった。眠くもなかった。
 なぜならそれは、レム睡眠とノンレム睡眠の狭間の出来事だったからだ。
 でも目の下のクマはたまに濃くなったりした。
 本当になんだかよくわからなかった。
「何が?」



 一月がたった。女が俺たちのマネージャーになって一月がたった。
 いつまでたっても雑草のままだった彼女だけれども、マネージャーとしての貫禄はもう十分に出来上がりつつあった。
 一月がたっていた。
 俺はいつだって前向きだった。俺の中の僕とはいつだって殴り合っていたし――それは心の中だったけれども、それで俺と僕は通じていた。だから、別になんとも思わなかった。『俺たち』には関係なかった。話のネタが出来たと喜んでいた。
 マゾに彼女が出来た。
 後輩であり変態であるやつに先に彼女が出来て、俺にいないのが非常に腹がたったがまぁ許してやった。
 だって、相手は鳴本だった。
「えへへ、ラブラブなんです」
 むかつく女だった。
「実はそうなんです」
 口の利き方を知らない小僧だった。
「末永くな」
 口の利き方を知らない俺だった。

 部活終わり、俺は一人で帰っていた。とぼとぼふらふら帰っていた。途中で公園に立ち寄った。別に理由はなかったが、ふらふらとぼとぼ立ち寄った。
 きぃ。
 錆びたブランコは鉄の鎖をきしませて俺の重みに耐えてくれた。なんだか申し訳なく思い立ちあがろうかとも思った。
 きぃ。
 ブランコが揺れる。俺が足で地面を突っぱねたから。ブランコは揺れる。
 きぃ。
 ポケットをまさぐってタバコを探す。ぼろぼろのソフトケースの中のタバコは、汗で若干湿っていた。臭いかもとか思ったが、どうせタバコは臭いのだから気にしない。俺は続けてマッチ箱を探した。
 きぃ。
 マッチ箱はバイトからくすねた。いや、まぁそんなに高価なものでもないから全然問題はない。むしろ今度から一箱づつぱくろうかとも思っている次第だ。同様に湿ったマッチ箱がポケットから出てきた。
 きぃ。
 夜空が明るい。というか周りがビル群だから小憎らしいぐらい明るいのであって、星が見えて明るいわけではない。
 う〜む、これでは俺が月夜に包まれて格好よくタバコを吸うことが出来ないではないか。俺はぷりぷりと怒りながらも湿ったマッチをこすった。湿ってなかなかつかなかったから何度も何度もこすらなければいけなかった。
 きぃ。
 きぃ。
 きぃ。
 俺は目をぐしぐしとこすった。タバコの煙が目に染みたから、もういよいよフィルター付近ではないかと今更気づく。俺はタバコをもみ消し――
 ぎぃ。
 隣のブランコに幽霊が舞い降りていた。

 奇妙なことを喋る幽霊だった。とんでもなく不細工な幽霊だった。
 幽霊というのはどうも白いワンピースに長い黒髪の女というのが定番らしい。俺の隣に座った幽霊もそれだった。
「矢鳴くんさぁ、どうしてこんなとこで泣いてんの?」
 これまた奇妙なことにどうやら俺は霊感が強いらしい。幽霊の手が俺の頬に触れた。
「泣いてないよ。別に泣いてない」
 俺は独り言のように言った。口ごもった何だか気持ちの悪い声が自分の耳に届いた。風が頬をかすめる。
「私ね……矢鳴くんのこと好きだったんだよ」
 突然だった。
 が、幽霊に何を言われても動じるはずもない。彼女はここに存在しないのだから。俺は俯いたまま頬に触れていた彼女の指をそっと払った。
「でも矢鳴くん私の気持ちに気づいてへんかったからね〜」
 喋れなかった。
「私さ、彼女になるのが夢だったんよ」
 俺の知ったことではない。幽霊風情が俺に話しかけるな。消えろ消えろ消えろ。
 頭の中で念じ続けても、どうやら俺は相当に霊感が強いらしい。一向に幽霊が消える気配はなかった。
「できれば、矢鳴君の彼女がよかったんやけどなぁ」
「……」
「矢鳴くんてさ、優しいくせに自己ちゅーだよね? そのくせ人に嫌われるのが嫌いで、強がりで、陰ではいっつも苦労してさ」
「……ぉ」
「だからね。私ね、何だか矢鳴君と似てるなぁって思ったん。矢鳴君は私を受け入れてくれるかなぁって」
「…………俺は」
「でもね。私、いますっごい幸せやで、矢鳴君とは大違い」
 ぎぃ。
 隣の幽霊は立ち上がった。しっかりとした二本の細く白い足で。
「矢鳴くんはさ、どうしてそんなに苦しそうなの?」
 俺はついに答えなかった。



 どうにかしたらどうにかなる。そんな風にいつも思えと言い聞かせる。プラス思考を維持しろと言い聞かせる。
 そうしないと壊れてしまいそうだった。
「がんばれー」
 (うるせぇなぁ)
「おぅ!」
 (調子よく答えてんじゃねぇよマゾが! そんな余裕があるっていいたいのかこら!)
 ぱんぱんぱんぱん。たまにぱすぱす。そしてどむどむ。
 グローブがヒットする音、こすれあう音、そしてボディに決まる音。俺たちは殴り合っていた。三分間殴り合っていた。マゾと俺の一騎打ち。別に鳴本を取り合って闘ってるんじゃない。俺はそんなに馬鹿じゃない。まぁ部活だ。単純なスパーだった。
 三分が終わる。
「打たれすぎー。マゾ大丈夫ー?」
 (うるせぇなぁ……)
 相手のパンチをよけたつもりで、その実全然よけれてなかったマゾがへたり込む。いやそんなに打ってないんですけど……てか俺のほうが喰らってるんですけど。
 どうやら彼女が出来ると精神的に弱くなってしまうらしいな――俺はそんな風に思った。ほら、俺はこうして立っているぜ。
「大丈夫さ。矢鳴さんこう見えて紳士やから」
 (紳士だから男にはきついぜ……あとブスにもな)
 俺は心の中でそう毒づいてヘッドギアをはずす。汗が頬から滴り落ちた。
「もぅ、そんなこと言って! 鼻血出てるって! 矢鳴君もっと手加減してあげてや!」
 (は? 何だとブサイク?)
 それでは練習にならんだろうが! 大体いつもと同じことをしてへばっているはずもないマゾだ。お前がしらなすぎるんだよ!
「まじで? ティッシュちょーだい」
 とマゾ。俺の拳が真っ赤に燃えそうだ。
「はい、ふいたげる〜」
 いちゃいちゃいちゃいちゃ――俺はこいつらを殺してやりたい衝動にかられた。目の前で繰り広げられるバカップルほどムカつく光景はないぜ!
 俺はグローブをはずした拳を握り締める。鳴本の顔はサンドバッグよりも随分殴りやすそうな構造をしているな。俺は少し二人に歩み寄った。……あと半歩踏み込めば届く距離だ。
 いかんいかんいかん! 俺は思いとどまる。漸くわれに返り、このばかげたトラップにかかるところだった自分を見つめなおす。あと一息で俺は人生を棒に振るところだったのだ。後先を考えなければ失敗しか生まれないのだ。……まぁ、俺にはよくあることだが。
「お前らふざけんなよ。それじゃ練習にならんやろうが」
 俺は拳を解放し、唇からこぼれた冷静な言葉に安堵する。よかった、俺はクールだ。
「だいたい付きあっとるからって、部活中にいちゃいちゃすんな。目障りや」
 俺は軽くお前らうざいんよ、というニュアンスをこめてつぶやく。どうやらそれが少しばかりバカッポーの気に触ったようだった。
「ぁ、すいま……」
「ええやん別に、矢鳴君に迷惑かけてないでしょう。矢鳴君は彼女いないからそんな風に思うんだよ」
 かちんときた。
「は? 何お前? 調子のんなよブサイク!」
 一瞬、時が止まった。

 つつ、つつつ。
 涙は一筋に床へと向かっていった。俺はちょっとばかりの罪悪感を感じ始めていた。
「先輩……」
 マゾの言葉は何やらブス彼女ではなく、俺を気遣うものだった。
「アホ! 最悪! 最低!!」
 マゾのブス彼女は走って体育館から出て行った。
 泣きながら。



 俺は若干焦っていた。気分は高揚してはいないけれども、たたたと走る足取りは速かった。
『矢鳴さん……鳴本さん、先輩のこと好きなんすよ。……それで、その、演技やったんです』
 俺は無駄に広い大学構内をたたたと駆け抜けながら、さっきのマゾの言ったことを思い出していた。いや、正確にはそのことが勝手に頭の中を支配していた。
『は?』
『矢鳴さんにぶいでしょ? やからなんかぢぇらしーを感じさせる作戦やったんです。鳴本さんの作戦……』
 たたたたた。走る足音は、アスファルトを踏みつける足音は徐々に速くなっていく。
『知るかいそんなん』
『何で嫌なんすか? 鳴本さん先輩が言うほどブサイクやないやないですか?』
『……』
『めっちゃ矢鳴さんのこと好きなんすよ……矢鳴さんも楽しそうにデートしてくれたって言うてはりましたよ』
 たたた、たた、たた。
『それに矢鳴さん……』
 たったっ、たっ、たっ。
『……ぢぇらしー、感じはったから怒ったんでしょ?』
 た……。
 辿り着いたのはべたべたの始めてあった場所だった……。

「……ぁ」
 鳴本はうつむいたまま声をあげた。体育座りで顔を伏せているのによくわかるな、と俺は何だか関係ないことを思った。
「……まぁ」
「…………何よ」
 何だか腹が立った。俺がきれられる理由など何もないのだから腹が立った。だが俺は我慢した。
「その、……悪い。ごめん」
「…………嫌い」
「あ?」
「矢鳴君なんて大嫌い!」
 ああそうですか。俺は一向に構いませんが何か?
「もっと優しい人だと思ってたのに。そんな人じゃないと思ってたのに!」
「あぁそうですか」
 俺のその言葉にはっとして顔を上げた鳴本の顔は文句なくブサイクだった。
「俺は別にお前に好かれようなんて思ってないし」
 また顔を伏せる鳴本。肩を震わせる彼女を見て俺の決心がついた。
「わた、しは――」
「俺は!」
 鳴本の涙声をかき消して俺は声を出した。張り上げたといったほうがいいかもしれない。それだけ感情が高ぶっていたのかもしれない。
「現実逃避の仕方……知りたがっとったやんな?」
 俺は張り上げた声を今更恥ずかしく思いつつ、ゆっくり静かに言った。鳴本は肩を上下させている。
 俺は構わず続けた。
「最悪なことばっかりが身の回りにあるとよ、それが嫌で嫌でしょうがなくなってどこかに逃げたくなるんよ。でも金はないし、そんな明確な目的地もない。そもそも嫌なことから逃げるんやから、楽しいとこでないとあかん。結果それは俺の頭の中で構成されるわけ」
 俺は一度胸に手を当てた。走ってきたせいで動悸がする。
「休みの日は現実逃避をするって言うたやろ? 俺の趣味は現実逃避なわけ。あー、何でってそれが楽しいからで、それ以外に理由はない。何でも適って、自分の思い通りになる世界。時間の速度もばらばらで、速く進むときもあれば遅く進むときもある。そんなステキ空間なわけよ」
 タバコの吸いすぎかもしれない。
「やから俺は現実逃避が大好きや。誰がなんと言おうと俺は現実逃避をする。極端な話、それが俺の一部でもあるんよ。やから俺には現実逃避が必要なんです」
 ドキドキした。今から俺は嘘をつくからかもしれない。
「だからな、現実逃避の仕方がないと俺はどうしたらええんって話。現実逃避はもはや俺の一部やからな。んで最近全然充実してきてな。なかなかそれが難しくなってきたんよ。だから何とかして現実逃避をする方法を見つけらなあかんわけ」
 俺は続ける。鳴本の肩の揺れは落ち着き始めてきていた。
「だから俺は思った。最悪なことを身の回りにおいとけば現実逃避できるんやないかって。最悪な、大嫌いなやつがそばにおったら大好きな現実逃避ができるんやないかって……だからな、つまりは」
 少し止まる。鳴本が顔を上げたからだった。俺は視線をはずさずにじっと鳴本の目を見返した。
「つまりは、俺は大嫌いなやつがそばにおらんとあかんわけや……鳴本」
 深呼吸して歩み寄った。体育座りの鳴本は妙に縮こまっていた。
「俺の側におってくれ」
 俺は、まじかで見つめた鳴本のブサイクさ加減と、走ってきた動悸のせい(そうに違いない)で今にも倒れそうだった。



 神様は手厳しい。どうやらそうそう思い通りに運命というやつは進んでくれないらしい。
 あの時俺が言った告白まがいのことは消えることなくやつの頭に残っているはずなのに、俺はなんとも宙ぶらりんな時間を過ごしていた。
『どうしよっかな〜』
 そもそもこの一言が全ての元凶で、この文字の羅列がいけないのだ。どうして数ある言葉の組み合わせからやつがこれを選んだのか、俺には到底理解できないがどうでもいい。ただこの今現在の状況がムカつくということは確かだ。
「矢鳴っち、マゾ君ふぁいと〜」
 ブサイク糞マネは二人しかいない部活を盛り上げようとバカみたいにメガホンを持ち込んでいる。いやおそらく、百パーセントバカなのだろうが……はっきり言って迷惑だ。他の部活にも。
 バンバン!
 糞マネは無駄に元気にメガホンを叩く。
「うるさいですよ」
 マゾもさすがに感じているようで、俺が注意する前に鳴本へと進言する。笑いながらだが。
「ふぁいと〜」
 バンバン! やはりブサイクは言語が違うのだろうか? ていうか、やっぱり人種が違うのだろうか? どうやら言葉を理解できないらしい。
「あのなぁ」
 今度は俺が進言する。
 バンバン!
「うっさいわ!」
 バンバン!
 現実逃避の仕方を考え改めようかと思う今日この頃です。
 一人称は俺より僕のほうがいいのだろうかなぁ。





2005-09-02 22:56:48公開 / 作者:影舞踊
■この作品の著作権は影舞踊さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
――えーまー人生色々ありますよ
どうもすいません。影舞踊です。とりあえず、はじめましてこんにちわから入ろうかなと思います。はい、「はじめましてこんにちは」(何?
もしかしたら誰にも読まれることはないだろうと思いながらの投稿。ほんと容量削ってすいません(汗
あのこれ実話じゃないですから(とりあえず 珍しく影舞踊の書いた(てか小説投稿自体が久しぶり……)恋愛(?)ものですが、ショートにおさめようとしたらこんな糞長い文に……。読んでくださった方にはお礼のしようがありません。本当にただただ感謝です。てか、ろくすっぽ感想書いてないダメ読者ですので、ほんと投稿するのが申し訳ない……(汗
てかこの作品もろにある作品の影響を受けております。もう、全然比べることも出来ないほど程度が低いのでわからないと思いますが(苦笑 色々おかしいところがあるかと思いますが、そんなのを見つけてくださった方はどうぞ指摘してやってください。骨の髄まで喜びます。
感想・批評等いただければ幸いです。
あ、ほんと無理して読まないでください。時間の無駄ですから。あーまた冬眠するんだろうなぁ自分。復活できるかなぁ……。
誤字修正いたしました。報告ありがとうございますm(__)m
この作品に対する感想 - 昇順
お久しぶりです影舞踊さん、これ実話でしょ?違うの?ホントに違うの?実話でしょ?ねえ実話でしょ?違うの〜……?(爆笑
途中で「鳴本」が「鳴元」になってました。「動悸」が「動機」になってました。あとどこかに誤字があったんだけど、わ、忘れちゃいました(汗)さてさて、やっぱり影舞踊さんの青春チックな短編は大好きなゅぇなのです。あれですよね、●大って、構内自転車多すぎですよね。中国並に構内みんなチャリですいすい走ってますよね。授業のこと「コマ」で数えますよね。…………やっぱり実話だろ!?(黙れ
 こう、女の立場から読むと「何じゃこの男、えらっそーに」と思うのですが、客観的にさらりと読むと矢鳴くんの心の葛藤に通じるものが、自分の心の中にもあると思いましたね。大学生って立場が同じだからでしょうかね。大学生って、中高のころに思い描いていたような素敵なものでは決してない。少なくともあたしにとって、素敵な美しいものではなかった――もしかすると将来思い返せばまさに「美しき日々」なのかもしれないけれど。まっ、自分と重ね合わせて色々と考えることはありました、と。そして卒論!!っと我に返ったところで、今回は失礼しますっ。
2005-09-01 07:30:34【★★★★☆】ゅぇ
きみの〜ゆく〜みちは〜♪ はてし〜なく〜とおい〜♪ って、一曲歌ってどうする自分。
けしてからかっているわけではありません。ハンパな声と自己賛美でこの歌を歌われると、今でもムカつく成人しそこねの自分にとって、今回の話はほぼストレートに決まりました。
いっさいの懊悩からオサラバするための現実逃避を意図的に選びきってしまうと、たぶん影舞踊様の世界そのものが崩壊してしまうと思うので、今の影舞踊様は理想的立ち位置なのではないかと思ってしまったり。懊悩をまんま書き流しているような感じに見えるほど自然に練られておりますし、ラストも「うんうんうん」でした。
しかしそのブサイクぶりが具体的になにも描写されないのは、やっぱり主人公のただの主観・自己投影なのかなあ、自分のようなおっさんから見るとあんがい「おうおうじょしだいせーやあ。ぴちぴちやあ。となりのひょーろくだま、ありゃなんじゃい。ワシの若い頃はなあ、ぶつぶつぶつ」なのかなあ、とか……すみません。
2005-09-01 13:20:29【★★★★☆】バニラダヌキ
ああもう、ええもん読ませてもらいました――って東日本人がえせ関西弁すみません。影舞踊さんの小説はやっぱり好きだ。中でもこれは、今まで読ませていただいた中でベストかも。あなたの辞書にブランクという言葉はないんですか。
良い感じに力が抜けてて、読んでると言葉がパズルのようにすたーんすたーんとはまっていくんですね。自分も大学生だからよけいにそう思うのかも。心地よかったです。そして絶妙な言い回しが最高に綺麗。かざりけのない文章は、影舞踊さんのお人柄なのでしょうか、とにかく好感がもてました。これはホント良かった。おめでとうございます(?)

追記;ゅぇさんの感想を見て思ったんですが。授業って全国一律で『コマ』数えじゃないんですかッ???
2005-09-01 14:02:16【★★★★☆】有栖川
お久しぶりです。そして久々に読ませてもらった影舞踊さんのショート作品。ああ、こら面白いわ。やっぱり影舞踊さんのショートは面白い。しかし、この主人公好きだ……めっちゃ好きだ。なんていうのだろうか、もう態度がすごい好き。めちゃくちゃ好感が持てました。いやそりゃかなり態度の悪い主人公ですが、それがまたいいのです。神夜のようなヤツにはぴったりなのです。が、そこまで「不細工」なのかどうかはともかく、読み切り小説でそのキャラをヒロインにする影舞踊さんの勇気に拍手。小説を書く、ということはつまり、妄想であり、神夜にとっての現実逃避なのです。故にヒロインは絶対に美少女でなければならないのです。……狭い小説範囲だなあ、と今ふっと思った(笑)さてさて、次回の影舞踊さんは一体どんな小説を見せてくれるのか、楽しみにお待ちします。
2005-09-01 15:31:17【★★★★☆】神夜
あーもーなーんかねー、死にたいです。えへw(アホ いや、あれですよ。死にたいぐらい嬉しいってことです! 読んでくださった上に感想まで書いていただいて、本当にありがとうございます。
>ゅぇ様 実話じゃありませぬ。断じて実話じゃありません。百パーセント妄想です。影舞踊はたとえブサイクでも鳴本ちゃんのようなこ大好きですが(黙って 大学生活はね、うん。そうなの、中高と階段を上がっていくにつれ、徐々に大人の世界へと足を踏み入れていく。中にはそうじゃない人もいるけれど、親にお金を出してもらって社会勉強をする場所が大学。勉強よりも何よりも、将来社会に出たときに人としてどういった風に振舞えるか、それが大学の意味なんやと思います(ホント黙って 卒論頑張ってくださいませwてか普通コマで数えるでしょうよ? えぇ違うの? ねぇ、有栖川様w(黙れ p.s ほんとに実話じゃないでございますw(信じる信じないはあなたしだいですが(もうだから黙れって
>バニラダヌキ様 鳴本ちゃんのブサイクぶりを書くかどうかは悩んだところなのですが、書いてしまうと何だか面白くなくて。主人公が感じるままに、そのこはブサイクだと思うがままに書きなぐりました。実際鳴本ちゃんはそれほどブサイクではないはずだと思います(決めろよ 懊悩を書き流している……おうおうおうw(マネ バニラダヌキ様にはわかるのだなぁやっぱり。悶え悶えで書き上げた作品w影舞踊の実生活に酷似している箇所がありますので(笑 いやまぁ実話じゃないですよ(汗 ラスト「うんうんうん」でかなり胸をなでおろしております。
>有栖川様 あーとりあえず、関西弁でいってみようか(嘘ですw 「あなたの辞書にブランクという言葉はないのですか?」ですと? 全然こっちが言いたいですよ! なんですかあの大人チックな作品を書いておいて。影舞踊なんてねぇ、この作品書くのがどれほど辛かったか。力量的にじゃなくて精神的にだけどさ!(意味なく切れるな あーすいません。情緒不安定ですいません。ただただすいません。力が抜けてたってのは自分でもわかるかも。「書きたいことを書いてやったぜ」的な感じで書き終わりましたもんwてかおめでとうって何がですか? 何もめでたいことなどないのですが? なんですか、嫌がらせですか?(被害妄想
>神夜様 えへw 意味なくえへw(きも過ぎる! よかったなぁ。暇つぶしになったのであれば、本当によかったなぁ。今回はすごくストレートな作品だったので、臆病な影舞踊としてはいやこれ面白いか? とかびくびくしてました(ま、いつもですがw てか主人公性格悪いかなぁ……。すごく人当たりはいいのだけどなぁ。ブサイクとか絶対言わないのだけれどもなぁ……(意味深 鳴本ちゃんですが、ヒロインになっておりましたか? ブサイクでもヒロインになれる。可愛い子は可愛いんだ。男は度胸、女は愛嬌だ。そんなことを思いつつ書き上げた女の子ですから、ヒロインの座を射止めてさぞかしご満悦でしょうw 次はなぁ何かこうかなぁ……ってこの書き方が最高に楽しかったなぁ。筆よ進め!(苦笑
てか誤解されてる人がいますからもう一回言うと、実話じゃないですから(笑 こんな恋してみたいですね? 「そーですねー」って感じです。
御読了ありがとうございましたw(ぺこ
2005-09-01 16:50:31【☆☆☆☆☆】影舞踊
拝読しました。面白かったです。何がどう良かったというのはちょっと難しいのですが、こういう関係の男女は、少なくとも物語として読む分にはいいなぁと思いました。ブサイクの連呼も、連呼する男だって世の女子からちやほやされるほど美男子ではないのだろうなぁと思えば(笑)、それほど引っかかる事もありませんでした。……で、この話を読んでいて自分の引っかかったところを少し。できれば具体的な現実逃避の形が文中に欲しかったなぁと僕は思いました。現実逃避という言葉がエンディングでいきなり重みを増したように感じ、そこが少し自分には引っかかりました。こんなはずじゃないと繰り返す主人公は、理想が高いだけで現実はしっかり見つめているとも受け取れると思うので(僕にはそう受け取れたと言う事で)。後は会話文について、もう少し誰のセリフかわかりやすくしてくれると嬉しかったです。スパーが始まったあたりで、もしかして主観転換した?とか一瞬思ってしまったので。うだうだ書きましたが面白かったです。エピローグがもっと長くてもっといちゃついてても良かったかなぁ。
2005-09-01 23:36:25【★★★★☆】ドンベ
 ブランクかスランプかでいうのなら、この書き物はブランクですね。成功続きであれば、それは失敗を溜め込んでいる状態であるとも言え、失敗続きであれば、それは幸福を呼び込もうとしているとも言える。この主人公にはそうした成功も失敗も感じられない。今の自分に満足し、諦めている。変化をしない。そうでありながら、なぜか状況だけは進展していく。やっぱり、男の願望ってやつなのかな。もう一人の自分を知覚し、その意識を完全否定という形で認めている。理想とは逆張りであっても、構造的には条件の揃った王道なのだった。
 なんだか水晶玉を覗き込みながら話しているような曖昧な感想だな。いつもの影舞踊さんのSSには青臭さがあって、そこから物語内に入り込むのだけど、今回はその移入ができなかった。おそらく、私は主人公と似たような感覚をもつからこそ、微細な違いにも過剰に反応し、それが自分がもつものとは異種であるのだと排斥するのだろう。
2005-09-02 00:21:34【☆☆☆☆☆】clown-crown
あー暑いです。すっごく暑いです。
>ドンベ様 いちゃいちゃも糞も、結局はこの二人なんも進展してませんから――いや、まぁ告白という時点で一歩は踏み出したのかもしれないけれど、これからだという期待を込めてのエピローグでした(死 そうですね。そのこと(主人公が全く全然普通の美男子でも何でもない)を最初に書いておけばよかったですねぇ。でもあれです、恥ずかしさを紛らわせるためのブサイクってのもいいんじゃないかと(何? 現実をしっかり見つめていても、時に夢を見たくなるときがあります。うまくいかないことだらけだと、わかっていてもそういうことを願ってしまう。まぁそんな心情だったわけですが……(笑 会話文の読みやすさはすいません。以後努力しますっ(汗
>clown-crown様 お久しぶりです。感想をいただけて嬉しすぎです。てかかたくるしーよー(黙れ いやいや、真摯なお言葉ありがとうございます。満足して、諦めて、それでも事態は変化していく。男の願望ですね(苦笑 成功失敗をもっと細かに書いていけばよかったのだなぁ。そうすれば長くなるけれど、ちょっとは主人公が努力しているように見えたのかも……。さて、今回のはいつものとはかなり違います。影舞踊自身が青臭さから卒業したのでしょうか(マテ いや、すいません。まだまだ青臭いことばかり思っています。移入できる物語を頑張って書こうと思いました。
お二方様、ありがたい指摘と感想ありがとうございました。言葉に出来ないぐらいまことに感謝しています。
2005-09-02 14:43:28【☆☆☆☆☆】影舞踊
こんばんは、はじめまして。おんもうじです!こりゃいいなあ!(^_^メ)
作品読ませていただきましたー。これ、スキです。で、この作品、すごいな〜なんか時間を忘れて読めるというか文の工夫が良いのかな?飽きさせないというか、純粋に面白かったです。はい。惹きこまれるように面白かったです。笑えました。言葉とは裏腹なことを思ってる主人公、良いですねー。キャラが確立してますね。現実逃避を告白にうまくつかうとは!てか、彼女が不細工なのかそれほど不細工でないのか微妙なところですね。でも不細工な女を想像してたんで身をわきまえないようなでしゃばった行動に笑わせてもらいました笑
ひきこまれるような文章で、とっても楽しませてもらいました。独特な雰囲気がかなりツボでしたー。あと誤字報告を、校内が構内になってました!
それではそれでは〜(^○^)
2005-09-02 21:04:14【☆☆☆☆☆】おんもうじ
あー、お腹すいたけどなんだか食欲がないなぁ。いよいよ本格的に心が空腹だからかなぁ(黙れ
>おんもうじ様 笑えましたか!? よっしゃよっしゃwジャンルお笑いなのに笑えなかったらどうしようかなぁですんで、すごく安心しました。うん、笑えるよねこの主人公(お前が言うな この文章の書き方はかなり影舞踊にあっているのですが、影響を受けた作品を読んでいる方にしてみればこれはぱくりなのではないかとか思われますねきっとw(ていうかぱくり!!? 長さを感じない作品。そういうのを書ければなぁと日々思っております。えと、それと大学の「構内」はおそらくこれでいいと思いますです、でも報告は嬉しいです。そこまで気を配っていただいてありがとうございます。御読了お疲れ様でございました☆
2005-09-02 23:05:15【☆☆☆☆☆】影舞踊
こんばんは、初めまして。作品の方を読ませていただきました。
主人公の語り部進行とのことで、どことなく滝本・竜彦先生を連想されられました(笑)彼は好きですので、この作品も楽しく読ませてもらいまいたよ。読んでいる途中、これだけ現実逃避をしまくって、どうやって締めるのかなと期待していましたが、まさか鳴本とあぁいうようにしてくっつくなんて……。あんびりーばぼーです(何

ただ、語り部進行だから仕方ないかもしれませんが、描写が余り含まれて居なかったのが残念です。心理描写は面白かったですので、この場合風景描写等ですね。各登場人物の容姿についても想像し辛かったです。鳴本の顔は本当に気になりますよ(笑
では、長々となりましたがこれにてしつれいさせていただきます。次回作、期待しておりますので、ご無理をなさらぬように頑張ってください。
2005-09-03 00:00:45【☆☆☆☆☆】turugi
水分補給が必要な一日でした。今日頑張ってみたら死ぬんじゃないか? と思いました(黙って
>turugi様 初めまして。よろしくお願いしますね。てか、おぉ! って感じです。何がって、滝本竜彦さんはこの前勝手に弟子入りしましたからw!(マテ ぱくってる雰囲気ありまくりだったでしょうか? かなり、この書き方楽しかったです。あんびりーばぼーの言葉嬉しいです。意外性があれば落ちにもなってるんじゃないかとか勝手に思ってます(いや、しかしこの作品は落ちとかじゃないかなぁ(苦笑
情景描写ですねぇ。いや書けば書ける(何?)んですけど、今回は短くしたかったので……と嘘です。影舞踊の読みきりはいつも描写なしでした(汗 容姿の描写は普通に省いてしまっているのですが、風景描写に関してはそれとなく地の文から感じてもらえるかなぁという試みでもありました。描写せず、ちょっとした言葉でイメージさせるというのを……(偉そうに 御読了お疲れ様&ありがとうございました。
2005-09-03 21:03:50【☆☆☆☆☆】影舞踊
>ぱくってる雰囲気ありまくりだったでしょうか?
ぱくっているというより、あぁ、参考にしているんだなぁというのが伝わってきました(笑 でもそれを連想させるということは、影舞踊さんがその書き方を分かっているということだろうと思いますので、あとは自分のものに出来るように昇華していけばいいと思います。
何事も上手い人の模倣から始めるのが上達の近道ですよ、うん(勝手に納得
お互い頑張りましょう!
2005-09-03 23:27:10【☆☆☆☆☆】turugi
いや、ほんと、わたくしは煙草を吸う方と御付き合いするつもりは御座いません(えっ けれど影舞踏様とならいいかもなんて思います(帰れ 何て言いましょうか、もう、人の生には色色ありますねぇ(泣)。さて、と。拝読しました。情景描写等を極力排斥した独白形式は、どれほど感情移入し自己を重ねることが出来得るかにわたくしは着目します。此度は京雅の気質と合わなかったのでしょう、リンクしませんでした。面白可笑しいポイントはいくつかありますが、どうにも中弛みして、うん、縮めてもよいかと。文章の思考があちこち飛び交っているのは、現実逃避と言うものを仄かにあらわしていて、そのあたりは曖昧に感じ入りました。次回作御待ちしております。
2005-09-04 04:41:21【☆☆☆☆☆】京雅
お久しぶりです。影舞踊さんの作品が読めて嬉しいなぁ。さて感想書かないと。大学生と言う主人公の曖昧な立ち位置が良いですね。社会に出ると、高校までは学生という感じがするのですが、大学は社会と学生生活の間にあるモラトリアム期間のように感じられるのです。そして、主人公の立場もモラトリアム。いや、4年間の現実逃避期間かも。あまり真面目ではない大学生の雰囲気がでていて良かったです。文章の書き方はturugiさんも書いていますが、滝本竜彦を連想される書き方でした。以前の影舞踊さんが持っていた染み入るような感情を排除しているため、以前のように読んでいる最中に感情を刺激されることはなかったなぁ。淡々と読んで読後にジワジワと余韻が来るような不思議な感じです。個人的には以前の書き方の方が好きですが、とことんこの書き方を推し進めてもらいたいような気持ちもあります。どちらにしても影舞踊さんのこれからの作品が楽しみです。では、次回作品を期待しています。
2005-09-04 15:06:48【☆☆☆☆☆】甘木
えへw 褒められてないのに可愛く笑ってみる影舞踊です(身の毛もよだつアホ
>turugi様 レス返しにレス返しされると何かこう来るものがありますね(何? いやぁ嬉しいなぁ。滝本先生を知ったのはごくごく最近の話で、読んでいて笑いが止まらなかったのを覚えています。本当に面白い作品をお書きになるかただなぁと感化されました。こういう書き方は以前からしてみたいと思っていた一方、こんなのあかんやろとか思ってましたので、何だかいい感じにかけてたようで嬉しいです。ていうか人の真似したのって初めてです(笑
>京雅様 これに感情移入してしまうのはおそらくクズばかりだと思われますので、きっと京雅様は素敵な方なんでしょうね(感情移入できてしまわれた方に暴言 人の生。人生をそんな風に言うあたり素敵ですね。インテリジェンスです(爆笑 中弛み……んまぁ、そうでしょうそうでしょうwだらだらしてるのがこの作品の味とか思ったりもしました。ていうか、意味のない作品だなぁと読み返してみて確認。どうもすみませんです(ぺこ 情景描写を意識して書くと心情描写が伴わず、どちらか一方にしか集中できないあたり修行が足りませんね。短い作品ならかろうじていけることもあるのですが。んまぁ、要努力ということで次回作も読んでくれるとありがたいです(ぺこぺこ
p.s この主人公は影舞踊ではありませんのであしからず。実話じゃないと言っているのになぁ(苦笑 あ、でもタバコは吸っちゃうや(爆
>甘木様 最近ある方に大学というのは親から金をくすねて、社会勉強をさせてもらう場だ! 勉強なんてする場所じゃない! と叱られました。その場は謝ったのですが、なんかよく考えると勢いだけだよなぁ(爆笑 染み入るような感情。影舞踊君はそんなものを持っていたのか……ちょっと感動です。師匠にそういうことを言われるとは、感動です(黙って 以前の書き方は出来るだろうと思いながらも、最近筆を薦めていないので自信がないです。この書き方も多分もう出来ません(鬱 ですので、執筆をやめるわけではないですから次回作は出すと思うのですが、もう期待とかはしないでください(滝汗 ぷれっしゃに弱いタイプです。あぁ、どういう書き方をすれば人を揺さぶられるかなぁ(もぞもぞ
三人様ありがとうございました。turugi様は二度目のレスで本当に嬉しいです。今後とも精進していきますので、どうぞ御贔屓に。たぶん出現は稀でしょうけど(苦笑 御読了お疲れ様&ありがとうございました!
2005-09-05 17:21:57【☆☆☆☆☆】影舞踊
どうも、昼夜です。遅ればせながらの感想ですね。遅れすぎ。非常に久しぶりに影舞踊様の著作拝読させて頂きました。自分の稚拙さを棚にあげて言わせて頂くと、腕、あげましたな(にやり)いや、こう言うと前ヘタやったんか、と語塀を生みかねませんが、そこは影舞踊様の心根にお任せするとして……前とは段違いに読みやすく、テンポが良くなっているように思います。いやー、良かった。
2005-09-10 23:36:29【★★★★☆】昼夜
計:24点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。