『カタリナギ 〜優罪の記〜 第2話』作者:影舞踊 / t@^W[ - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
全角15845文字
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原稿用紙約39.61枚



――優しさは罪だ 相手に対しても 自分に対しても
       けれどもそれには罰がないから 僕らは罪を繰り返す――






プロローグ  「ドラム缶の焚き火とともに」



 少年と少女、まだ成人していない顔つきの二人が、明らかに酒のにおいがする場所で寄り添っている。
 腰掛けているのは古いコンテナで、手をつけば錆がついてしまう。座っている部分にはダンボールを敷いてあるから大丈夫なのだが、迂闊に動くとひどく汚れてしまう。少年はぐいとコップを口に運んだ。
 バックミュージックもない瓦礫の町は静かでありながら、そこにいる人々は和気藹々と安い酒を酌み交わしている。夜空には星を隠す薄い雲と、刺々しい形の三日月がぼんやりと浮かんでいる。
 唐突に、思いつめた表情をしていた少年が口を開いた。
「どうなんだろうね……」
 覇気のない声に少女は首をかしげた。
「時々思うんだ。『笑う』ってなんだろう? って。泣くのも、怒るのも理由があるだろう? だって悲しいから泣くんだし、辛いから怒るんだ。けれどもね、笑うのはいつでもできるだろう? 悲しいときも、辛いときも、何にもなくたって笑うことはできるんだ。すごく薄っぺらで、けれどもすごくわかりにくい感情だと思うんだよ」
 少年の目は鬱々として、それでもその顔には一抹の光を宿して語る。
 少年よりずっと小さい少女はぼんやりとその顔を見ながら言った。
「それでいいんじゃない? 嬉し涙だってあるし、照れ隠しに怒ることだってあるもの。笑うだけが特別なことじゃないわ。ナギは考えすぎなんだよ」
 少年は顔を上げる。焚き火の光で火照ったような頬をすっと水滴が湿らせる。
「そうかもしれないね。僕は考えすぎなんだと思う」
「雨、降ってきたね……」
 少女は躊躇いがちに言った。赤い炎が一瞬小さくなる。
「あぁもういこうカタリナ。ごめんね、君は僕と違って雨が嫌いだったね」
 少年は申し訳なさと嬉しさが入り混じったような表情をして立ち上がった。ドラム缶を囲っていた輪に空きができる。だがすぐさまその輪は修復した。
「違うよ。濡れるのが嫌いなの」
 少女は少年の肩口から伸びたマントの切れ端のような布を引っ張ると、すっと少年の背中に飛び乗った。
 少年は突然重くなったわが身を可愛がりながら焚き火を離れる――雨が本降りになる前に。
「同じだよ」
 ちらちらと燃えているドラム缶の焚き火はまもなく消えるだろう。
 少年は苦笑して言った。
「きっとね」





第一話  「空は青いよね」





 春風になびく雲間に見えるのは、まるで穢れのない青空。窓辺から除くその景色に見飽きては、また見上げる。
 そんな本気で意味のないことを何度か繰り返し、やっと退屈したような顔をして少年は部屋の中へと向き直った。開いた窓から春風が舞い込む。
 黒く高級感漂う回転椅子に腰を落としながら、少年――ナギは面白おかしく日々をすごしている少女へと目をやった。
「これはきっと運命なんです。私はあなたに憧れて、あなたは私を見つけてしまった。好きです、お願い。私をだい――」
 じっと自分を見つめるナギに少女は気づいたようだった。急に顔を赤くしてむっとする。
「なによ」
「いや、別に」
 ナギはくるりと向き直って、再び窓のほうへと椅子を回転させた。高級感溢れる椅子である。きぃと回転した拍子に出た音も高級感溢れていた。
 みし。
 聞こえなかったようにナギは口を開く。
「こうして空を見ていると思うことがあるよ。空が青いのは光の波長のせいだけど、やっぱりそんな理屈よりも海が青いからとか、青は明るいからとか、そんな理由のほうがいいよね――人はロマンを持ってないと生きていけないと思うしさ。
 僕は思うんだよカタリナ。君がたとえどんなに夢を見てもさ、すごく非現実的なことを言っても思うんだ。ロマンだなぁってね。それはすごくいいことなんだよカタリナ。僕らは今仕事をしてる。それは全部現実のことで、そこに含まれたロマンなんてないに等しい。そんなありふれた毎日が退屈だからこそロマンを求めるんだろう?
 けれどもね、時々こうも思うんだ。ロマンを追い求めすぎると現実逃避につながるんじゃないかなぁってね。いつだって人は夢を見るしさ。僕だって見るよ。
 そうそうこの前は仕事でへまをする夢を見たかな。依頼人の人がすごく綺麗な女(ひと)でね、ついつい仕事そっちのけにしちゃった夢だったよ。僕も若いなって思っちゃった。
 でね、そんな夢を見た後は思うんだ。見なきゃよかったって。だってね、起きたらそこにあったはずの幸福がないんだよ。温かいご飯も、柔らかいすべすべの肌もさ。全部ないんだ。もうね、むなしさがこみ上げてくるんだよ。
 カタリナ、空は青いよね。」
 むぅと頬を膨らます少女――カタリナは、ナギの長科白を聞いているうちに結局何を言っているのかわからなくなって、最後の問いにだけ答えた。
「空は青いよ。今日は快晴だもの」
 ふぅとナギはため息を零した。
「カタリナ、今日の予定を教えて」
 そう言われるとカタリナはてくてくてくと本棚――いや、そう見えるだけでどうやら食器棚らしい。コップや、お皿が置かれている――まで行って、小さな赤い手帳を手に取った。
 あほ毛とでも言うのだろうか。カタリナの黒髪はところどころぴんぴんと毛がはねている。幼い顔をしてほほにはゆるゆるとしたお肉をつけている。すらっとした体躯には凸凹などなく、スマートこの上ない。もっともそのことをナギが褒めると激怒するのであるが。
「今日は特に用事はありません」
「そうか。じゃあ明日は?」
「明日も特にありません」
「ふむ、これは二連休だね。じゃあ明後日は?」
「以下同文です」
「なるほど三連休か。こいつはいいね、どこか行こうかカタリナ。連休明けはどうだい?」
「以下同文」
「なるほど、どうやら僕の夢は切実なものだったらしいね。二つの欲求が表れていたらしい。さて、どうしようかカタリナ。どうしたらいいと思う? お願いだからそんな目で僕を見ないでくれるかな。カタリナ、やめてくれ。そうか、そんなに僕が好きかい? ……ほぉらはずした。はずしたねカタリナ。前から言おうと思ってたけれど、そうやって露骨に人を嫌うのはよくないよ。僕は自分のことに自信がもてない人間だけど、矮小とかそんなふうには思ってないのだから、その見下した視線はやめてもらえるかな。うん、カタリナ――その蔑むような目もだめだよ」
 ナギの青く繊細な髪の毛が流れた。
 窓から流れ込む春風ではない。違うところからの風の流れがそれを引き起こしていた。
 一つしかない部屋の扉が開き、けして広くはない部屋の中へと新しい匂いが混じる。甘くさっぱりとした、果物でたとえるならば若々しいスモモのような、そんな匂い。
 女性特有の気品を背中越しに感じ、ナギは振り向いた。
「こんにちは」
 ぴっちりとして体のラインがわかるシャツを着ているのは自信の表れだろうか。その上に薄手のカーディガンを羽織っているとはいえ、健全な未成年男子――つまりナギ――にはちょっとした挑発である。ロングヘアーでも明るい亜麻色のせいか重さを感じない。ふわふわとした印象を受けるスカートに、麦藁帽子をかぶった女性は、ナギよりも少し大人っぽく見えた。
「いらっしゃいませぇ。どうぞどうぞ」
 カタリナが細面の美女をソファに通す。薄い緑色で柔らかなソファだ。カタリナは彼女をソファへと案内して、台所へと姿を消した。
 腰を下ろした美女を見てナギは軽い挨拶の後名前を聞いた。そして聞いてからまだ自分が名乗っていなかったことに気づく。慌てて名乗ろうとしたが、美女は不審な顔もせずごく普通に答えてくれた。
「わたくしはケルト=アーノイド。ケルトと呼んでください」
「僕はナギ、ナギ=ナミマです」
 栗色の瞳は捉えることができないぐらいふわふわしていて、鋭いのだが挙動不審な印象を与える。少し長めの青髪は珍しく、町に出れば人目を引くのでいつもは帽子をかぶっている少年。それがナギだ。
 鼻筋は通っているけれど、どこか不恰好に見えてしまうのは服装のせいで、だぼだぼよれよれのシャツと、穴が開きまくったジーンズなんかを履いているからそんな風に見られてしまう。ナギは決して貧弱で卑屈な男ではない。けれども彼のこういった風体は、初対面の相手にけしていい印象を与えなかった。
 現にこの時訪問者は『虚弱そうな優男だ』と、ナギを判断した。
「お若いんですね。びっくりしました」
 ケルトの丁寧な言葉遣いに少し違和感を覚えながらも、ナギは「はい」と返事をした。
「突然の訪問ですいません。わたくしレンガ街の出身で、この辺の地理は詳しくないんですけれども、ここはすぐに見つけることができましたわ。綺麗なおうちなのですね」
 部屋の中を見回してみる。山積みの本、しみだらけの絨毯、つぎはぎのソファ。とても年季が入っていて好感が持てるね。
 近くに眼科はない。
 ナギはしょうがなくその件をスルーした。
「わたくし、こういうところは初めてなんです。どんな風にすればいいのかわからなくて……」
 ナギは「とりあえず上着を脱ぎませんか?」と言おうとしてやめた。あまりにも自分が馬鹿だと思ったのである。
「大丈夫ですよ。どんな依頼も承ります」
「ありがとうございます」
 ケルトがそこまで言った瞬間、今度は耳鼻科を探さなければいけないことが起こった。
「もちろんですゎ! 私達『ばいおれっと』にご相談下されば、どんな悩みもちょちょいのちょいです。ね、ナギ!」
 カタリナである。彼女が奇を衒ったように出現した。
 麦茶か何かわからない――おそらく飲めるものである、ことを祈る――飲み物を差し出してにこりと笑う。いきなりの話の割り込み方にケルトも戸惑っているようだ。目が点になっている。
 ナギが冷静にかつ強引に話を戻した。
「それでどのようなご依頼で?」
「あっ、あたしはカタリナです。カタリナ=ルル、気軽に読んでください」
「うるさいよカタリナ」
 すごくしみったれて呟きつつも、ナギは正面を向いてケルトを捉えた。
 いやに美しいが、どこか悲しげだ。唇のかすかな震え、視点の落ち着かなさ。緊張しているのとはまた違う、何か隠し事をしているのが見て取れた。何となく――別に見比べたわけではないが――カタリナに目をやると、「秘密は女を高めるのよ」と言いたげな視線を送ってきたので、「それじゃカタリナには無理だろうね」と送り返しておいた。
 アイコンタクトは苦手らしい。カタリナはえへと笑った。馬鹿だと思った。
 ケルトが話し始める。
「わたくし、すごく不安ですの――」
 ケルトの不安は言葉を聴かずともわかるほどだった。
 わなわなと震え始める彼女の仕草は可憐で、男ならば誰でも抱きしめたい衝動に駆らせる。ナギよりも幾分年上であろう彼女の指にはきらりと光るものがあったけれども、そんなことはあまり重要ではなかった。
 ナギは態度を改めた。カタリナもそれに倣う――隣でもぞもぞと動いたから、そうであってほしいと願う。
 黒皮の回転椅子が軋む。
 不安とともに紡がれたケルトの依頼は変わったものだった。





第二話  「そして二人は街に出た」





「『連続死体誘拐事件! ダンピンググラウンドに何が!?』うわーすごい見出しだよ」
 新聞の一面を声高らかに読み上げる少女は、夏になく蝉のようだ。特に変わらない日常でも騒がしくしてくれる。何もなくても、何かありそうな気を起こさせてくれる。相手をしなくとも退屈させてくれないのだ。
 底なしに明るい。絶え間なくうるさい。つまるところ鬱陶しい。
 もちろんナギはそんなことは微塵も顔に出さず、蝉に話しかけた。
「へぇ、珍しいね。カタリナが新聞を読んでるなんて」
 むぅとこちらを見返してくる蝉、もといカタリナ。何かを言おうとしたみたいだが、すんでのところで口を閉じる。おそらく否定したかったのだろうが、事実であることを理解したのだろう。何気に蝉もといカタリナは賢かった。
 それでもやはり時間がたつに連れその欲望は高まってくるのか、一分も経たないうちに新聞を机の上において彼女はナギのほうに顔を向けた。
「私だって『ばいおれっと』の副社長なんだから。これぐらいは当然です。ケルトさんの話を聞いたんだから、なおさらです」
 狭い木造の一軒家。探偵とはまた違う、プレゼント事務所『ばいおれっと』のお茶汲み係兼副社長は断固として言い切った。珍しくやる気である。ナギは苦笑して謝った。
「ごめんごめん。で、新聞にはなんて書いてあるの?」
 ナギはその事件をカタリナよりずいぶんよく知っていたが、改めて訊ねた。そうしたほうがいいと視覚が伝えたのだ。
「さすがナギ! ケルトさんの話に関係あるもんね!」
 カタリナが得意そうに胸を張る。ナギはなぜかケルト夫人のグラマーな姿を思い出し、同時に彼女の依頼にも思いを馳せた。
 ケルト夫人の依頼は実際変わったものだったが、お助け事務所に運ばれてくる依頼にまともなものはないからさして驚きもしなかった。ただ今回の依頼は少々大々的に取り上げられているもので、数日前から新聞沙汰にもなっているものであったから、そのことを考えるといつもと少し違っているかもしれない。いつもはもっと小さな事件であったり、些細なことであったりするのだ。
 そもそもレンガ街の住人が人を頼るのは珍しいから、そういった意味でも変わった依頼だった。
「えぇとね。ちょっと待って――」
 カタリナが再び新聞を手に取った。
「――よいしょ。じゃあ読み上げますよ!
『今回の連続死体誘拐事件は実に奇妙である。今回で六人目の被害者(彼らが被害者と呼べるかどうかはこの際問題としない)となったわけだが、その全てが七歳から十歳までの子供である。当事件は二週間ほど前からダンピンググラウンド(以下DG)内で発生しているものであり、概要は次の通りである。
 二週間前、一人目の犠牲者ノット=キルシュ(9)君が亡くなった。そしてその死後数時間以内に彼の死体が何者かによって連れ去られたのが事件の始まりである。連れ去られる死体は全て七歳から十歳の子供のもので、そのどれもが自然死の状態であるらしい。殺されたり、事故死した死体は連れて行かれないという。
 また、共通しているのは事件は被害者の死後数時間以内(長くても三時間)ということであり、連れ去られた死体が全てまだ見つかっていないことを考えると同一犯による犯行だと思われる。
 事件は一貫してダンピンググラウンド内でのことであるので、安心している人も多いようだがここまで連続してくるとその異常さが何を引き起こすのかは十分危惧せねばならない。犯人によって殺人が行われないことはいまだ唯一の救いであるが、これがいつ破られるかはわからない。』だって〜」
 ナギはふぅむと頷いた。カタリナが偉く真面目な顔をしてこちらを向いている。得意そうだ。
 ナギは新聞記事をほとんど丸暗記状態まで読み漁っているからたいした発見はなかったが、カタリナのその得意そうな顔を見ると驚いた表情をせずにはいられなかった。それが期待されている自然的対応なのだからしなければいけない。ナギは目を見開いてみせた。
 カタリナがふふんと鼻に指をやる。
 うまくいったのだ! 事実ナギは驚いていた。カタリナが漢字の読み間違えや、つっかえずに読むことができたのがすごく意外だったのだ。
「ナギ、この犯人ってさ……」
 仕事をやり終えて満足そうに、そしてまだ自分は余力を残しているぞといわんばかりに、カタリナ。
「うん、ケルト夫人の話が本当だったら――いや、僕は信じているんだけどね。犯人はケルト夫人の元夫という話だろ」
 ケルト夫人の話によると、その犯人は彼の夫らしい――もっとも、今彼女はレンガ街のアーノイド夫人であり、別れてからのことはわからないという。けれども元夫を犯人だと言うケルト夫人の顔は真剣そのものだったから、ナギは信じている。
 ケルト夫人がアーノイド家に嫁いだのも二週間前。そこに嫁ぐ前の話で、自分の息子が死ぬ前の話だ。泣く泣く別れたのか、もう既に終わっていたのか。どちらかまで深くは聞かなかったが、そう話す彼女の瞳はとても切なかったのが印象的だ。別れる間際、少しおかしかったのだと言う。
「すごい変な事件だよね、これ」
 カタリナが言う。ナギは軽く頷いた。
 トーマス=キルシュ。それが彼女の元夫の名前で、つまりはこの事件の第一被害者ノット=キルシュの父親であり(推定)犯人の名前だ。ケルト夫人の話では医者だということだが、DGの医者だから無免許だということには間違いない。人望はあったらしかった。
 DG――ダンピンググラウンドというのは裏町とは名ばかりの瓦礫置き場。無法者も潜んでいるし、衛生環境は基本的に悪い。けれど、貧乏人はそこにすまなければいけないからなくならない。
 レンガ街など言うまでもなく、ネオンストリートの表町――ばいおれっとはここにある――ですら彼らには手が出せないのだから。世の中金だということを、一番よく知っているのは彼らだと、ナギは信じて疑わない。疑わないが、時にそれが悲しかった。
 黙りこむナギを見て、再びカタリナが声をかけた。
「ナギ、聞いてる?」
 ナギは黙り込んだまま動かない。
 時々こういうことがあるのをカタリナはよく知っていた。集中しすぎて言葉が耳に届いても、脳にまで伝わっていないのだ。ナギ自信もそれを自覚しているから、そんな時は何をするかいつも決めている。ナギとの協定である。
 カタリナはぽんとピンク色のコンテナ椅子から飛び上がった。ガラス玉状態のナギの瞳に小鳥が一羽羽ばたいた。
 ぱすっ。
「ん?」
 ナギは頭の上にのっかたものに手を伸ばす。柔らかな羽毛が指の間に入り込んだ。
「痛い痛い! 痛いよナギっ!」
「あぁごめんカタリナ」
 漸く気づく。ナギは頭の上に乗った小鳥を自分の目線までそっと下ろした。
 とても小さい、ぴんぴんとはねたあほ毛を弄繰り回してみる。つつかれた。
「ナギ、どうするの? 調べに行くんでしょ? 私も行く」
「う〜ん、でも依頼は『犯人を捕まえて』だからね。カタリナは危ないよ。ただでさえあそこは女の子が行くようなところじゃないんだ」
 小さな小鳥はその嘴でナギの親指の爪をはがそうとした。
「いたっ! 痛いって、何するんだよカタリナ」
「私も行くの!」
 小鳥はナギの爪に食いついて離れない。まるで牙があるように鋭く食いついている。
 このままでは本当に爪が剥がされてしまう、ナギは観念してため息混じりに言った。
「わかったよ。わかったから! もぅ……。とりあえず情報集め。それからだからね」
 カタリナが嘴を離し、ようやく親指が自由になる。
 どうしてカタリナがそこまでこだわるのか皆目見当はつかないが、ナギはとりあえず安心した。一時しのぎの可愛い嘘はカタリナだけの得意技ではないのだ。
「はいは〜い」
 ぽんと音がして、ナギのぼろっちい机の上にカタリナが現れる。机の上に乗せてあった本やらペンやらインクやら、はたまた非常用食料の飴玉が不衛生な木床へと滑り落ちた。
 カタリナがそれを見てえへっと笑った。
「カタリナもう一度変身してくれないかな?」
「や〜ん」
 抱きしめればよかったと、ナギは後悔した。


 基本的にナギは出歩かない。
 だから自宅兼事務所であるばいおれっとの中にいる以上は座っていることが多くなる。
 つまりは黒皮の回転椅子は酷使されている――ということなのだろうか? いや、聞くことではない。
 ついに――だから『ついに』という表現を使うが――ばいおれっと結成当時から連れ立った友が悲鳴を上げたのはカタリナとの会話が終わって少ししてからだった。情報を手に入れに外に出かけるのをナギが渋っていた時である。
 ナギは椅子が壊れたことが寂しく辛く、だがしかし直してやればまだ使えると意気込んだ。カタリナも付き合いの長いナギの気持ちをわかっていた――はずだ。
 形あるものはいずれ壊れるのだよと、カタリナは笑ってナギを慰めた。その笑顔に他意はなかっただろう。
 しかし頷いては見たが、ナギにはどうにも軽い言葉に聞こえてしょうがなかった。
「社長の椅子が壊れたんだから買いに行くのは当たり前でしょ」
 他意はなかった、だろう。すごく当然なことを言ってのける従業員兼副社長兼秘書は、「別にまだ治せば大丈夫だよ」という社長の意見をあっさり無視。終始笑顔で言い切った。
 黒皮の回転椅子がゆっくりと窓から放物線を描いたのはその直後のことである。
 ナギは淡々と進められる作業を、淡々と見ているしかなかったが、カタリナの小柄ながらに力強い動作は機敏で、窓から飛んでいく相棒は全力投球に身を任せているようだった。
「大変だょ、トラックが踏んじゃった!」
 カタリナは半べそで言った。
「さあ、ごーごー。椅子も買わなきゃならないしっ」
 カタリナは笑いながら言った。
「あれ、大丈夫ナギ? 花粉症? 花粉症?」
 カタリナはすごく優しかった。
 ナギには彼女の優しさがわからないほどに優しかった。
 そうして二人は街に出た。


 どうしようもない。
 ナギは今立っている目の前の建物を見上げた。高い大きなビルだ。飛び降り自殺の名所でもある。ここの屋上から人を突き落とせばまず助からないだろう。思わず上ってみたい衝動に駆られた。
「やっぱりピンク色にしようよ」
 上を見続けるナギの隣でカタリナが言った。
 ネオンストリートの一角、店内に大量に詰め込まれた家具は痛々しいほどに魅力的で、触れたいのだけれど触れればこちらが傷ついてしまう。そんな『刺々しく繊細』という一本のバラのような表現がふさわしいお店『カング』。高級家具屋さんという世界が今ナギ達の前に広がっていた。
 視線をおろして目に飛び込んでくる数字をナギは冷静に無視した。
 バラの花も束になれば凶器になるとナギは知っている。以前それを凶器にした事件を経験したのだから知っている。
「思いとどまろうか、カタリナ。僕は思うんだけれども、やっぱりこういうところはもう少し大人になってからのほうがいいんじゃないかと思うんだ。ほらあそこを見てごらん。僕らなんかよりもずっと大人な人だ。きっとお金持ちなんだろうね」
「コスモス色かなぁ」
「あのでっぷりとしたおなかの肉はすごく動きにくそうだけれども、ある意味便利だとも思うよ。きっと極寒の『キタウミチ』でもティシャツ一枚でいられるだろうね。細くて鋭い目からは傲慢さが窺えるけれど、猫背で落ち着きがないのは根が臆病なんだろうね」
「わぁ、この姿鏡可愛い!」
「…………」
 きっとカタリナも見たことのない数字に戸惑っていたことと思う。しかしその意味を完全に把握できなかったか、それを嘘だと思ったのか、はたまた見間違えたのか。
 ナギの購買意欲をそぎ落としたそれに、カタリナは真っ向から向き合っていたのだからそのどれかに間違いない。間違いないはずだ。ナギは自分に暗示をかけた。
「あっ、さっきの人がこっち見てるよ。ほらカタリナ、こっち見てる」
「ちわきにくおどるよねっ!」
 ナギの言うことなど馬の耳に念仏状態だった。牛に経文、犬に論語状態だった。
 カタリナはいつも馬耳東風状態……は関係ない。
――カタリナ……
 ナギはすごく勇敢だと思った。視線を逸らさず品定めする彼女の背中を小さいとは思えない。
 もしかすると社長の椅子にピンク色をというハイセンスな彼女にはちょうどいい相手なのかもしれない。初めて敵を見つけた、そんな感じなのかもしれない。
 しかし、ナギには到底勝ち目のない戦いに見えた。とても見ていられなかった。とんでもなかった。
「カタリナ、やっぱり要らないよ。アレだって直せばまた使えるんだし」
「だめ。大体ナギのアレいつから使ってるのよ。もういい加減に買い換えないと。大丈夫、お金はあるんだから」
 カタリナが先ほど手に入れたばかりの紙幣をちらつかせる。
 ケルト夫人からもらったものだ。そのあたりの一連の流れを見ていたはずだ。
「いや本当にいいよ、カタリナ。僕には椅子よりも今日の御飯のほうが大事だ。骨を断つ前に、僕らには切らせる肉がないじゃないか。腹が減っては戦ができぬとも言うだろ。だからやめよう。無謀だよ」
「めっ」
 小さな子供を諭すようにカタリナは言う。ナギはもう一言二言言ってみたが無駄だった。
「めっ。ナギちゃん、めっ」
 ついに、頑として聞き入れぬカタリナは意を決したように店の中へと入っていってしまった。止めるには追うしかない。しかし、追えば無傷では出てこれないのがわかっていた。ナギはしばし考える。
 ひどく憂鬱な気分になった。
「ナギちゃん! 早く!」
 ナギはおとなしくその声に従った。





 ネオンストリートは夜になるととても綺麗で、たくさんの人が行きかう。レンガ街とクラストシティをつなぐ一本の道であるから、そこには数多くの飲食店と娯楽施設が整っている。でかでかとした風俗店もネオンストリートの特徴の一つ。人工的に作り出された原色系の光が通りを埋め尽くすのはある種幻想的でもある。
 がらがらがら。
 行きかう人々はそれぞれに目的地への思いを隠し、時折隠し切れなかったそれは恍惚の表情や鬱のそれとなって現れたりする。
 酔っ払いもいればカップルもいるネオンストリートでも、この辺りは少し雰囲気が違った。裏町が近いのも理由の一つであるが、風俗店が密集しているのもそれに多大な影響を与えている。
 がらがらがら。
 ナギは何度目かのビラ配りを断ってぽつりと声を漏らした。
「あのさぁ」
「む?」
 ナギの呟きに前を歩いていたカタリナは振り返った。口いっぱいに頬張ったソフトクリームがぽたりと落ちた。
「僕の分は?」
 がらがらがら。
 ナギが地面を削るかのごとく引きずっている椅子は超格安品。黒皮ではなく白皮なのが嫌なのだが、ピンクよりはましだったのでこちらを選んだ次第である。
「むぅ……」
「そうか。うぅん、いいんだよカタリナ。僕は別に要らないんだ。聞いてみただけさ。それよりもよかったよ、カタリナがあそこで買うのを諦めてくれて。やっぱり僕らにはこういう格安セール品が似合ってるんだ。おかげでソフトクリームも買えたわけだしね。ところで、おいしいかい?」
「んむぅ……」
 溶け始めたソフトクリームは柔らかくカタリナの口を汚す。返事はないが、ナギにはとてもおいしそうに見えた。
「カタリナ。女の子なんだから口の周りを汚しながら食べるのはやめようね。いや、まぁそういう趣味の人もいるけれども――さっきの人みたいに。それにしてもラッキーだった。ああいうことはあんまりないよ。確かにいい気分じゃないけれど、僕はそれでもいいと思うんだ。結果的に恵んでもらったという形だけれども、僕はそれでいいと思うんだ。
 恥だと思うのはそれぞれだけどね。恥っていうのは僕らの中にあるもので、人が決めるものじゃないんだ。僕らがそれを恥だと思わなければ、どんなことをしても胸を張れる。そういうものなんだよ。
 けれどもね、やっぱりみんな格好よく生きたいから見栄を張る。そうやって手に入るものを捨ててしまうんだ。いや、僕はそれをだめだといってるわけじゃないんだよ。プライドっていうとても気高いものだから、それはすごくいいことなんだ。でもね、だから自分の中の恥をより高い位置に設定してしまう、そういうのってあると思うんだよね。
 だからさ、僕みたいに恥のレベルが低い人間ぐらいはさ、こうやってかっこ悪くてもいいんじゃないかって思うんだ。おこぼれを貰いたくても貰えない人のために、僕が代わりにね」
 ナギは夕焼けに染まり始めた空を見て、徐にカタリナへと視線を移した。言いたいことがすり変わっていたことに自分で唖然とする。
「ナギの言ってることわかんない」
 カタリナの返事はいつもの本当にわからないではなく、わかりたくないというニュアンスを含んでいるように聞こえた。
「わからないよね」
 ナギは無理やり話を終わらせた。





 あの時店内は騒然としていた。
 ナギは何も喋らず見ているだけであるが、カタリナは鬼気迫る表情で――若干それは言い過ぎだが――そういう店においての禁忌を犯そうとしていて、それは他の利用客にとっても店にとっても当たり前に迷惑な行為だった。
 ナギとカタリナが店内で騒いだ様子はそんな風に監視カメラに映り、ブラックリストにも自然記帳される。そんなことは百も承知で、けれどもナギはもうこの店には来ないだろうということで傍観していた。カタリナと店員の間に割り込むことに少し恥ずかしさもあった。できるなら他人の振りをしておきたかったのだ。
「すっごい綺麗ですよねぇこれ。でもちょっと高いなぁ」
 カタリナが五倍の大きさになっても映しきるであろう巨大な姿鏡を『おまけ』として買うならば、今手にしているピンク色の社長椅子などいくつ買えることだろうか。ナギは考えてみるが、そもそもその社長椅子ですら買えないのだから、そんなことを考えるのは意味がない気がした。そもそもそれほど大きな姿鏡は必要ないし、事務所にも入りきらないのだ。
 彼女は大きな声で注目を集める。
「何とかならないですかぁ?」
 こんな店で値切り交渉などありえないことである。常識がないというのは便利だなと、ナギは感心した。
「申し訳ありません。当店ではそのようなサービスはいたしておりませんので」
 当然のごとく突っぱねられてもしつこく食い下がる。鳥になったときの牙が垣間見える。店員のお姉さんはとても困っている。ナギがいい加減止めようかなと思った――
 その時、
「お嬢ちゃん。おじさんが買ってあげようか?」
 突然背後から不審な声がかけられた。
 カタリナがカウンターに乗り出していた身を強引な――とてもスカートを穿いた少女とは思えない動作で戻し、訝しげに振り向く。ナギはその光景にカタリナという少女のこれからを危惧しながらも同様に、訝しげに振り向いた。二人とも声だけでその人が怪しいかどうかは判断できる。
 が、二人には決定的に違うところもあった。カタリナは素直で、ナギは偏屈だ。
「いや、そんなに疑った顔で見ないでおくれよ。おじさんは別に怪しいものじゃないさ」
 おじさんはおじさんだ。それだけで十分に怪しい、そんな風にカタリナは思っている。ナギは若干思っている。
 おじさんはよく見ると先ほどナギ達の方へと近づこうとしていた人物だった。
 近くで見ると、ナギがカタリナに伝えた情報はどれ一つとして間違っていなかったのがわかる。さらに新しく、代謝がいい体でもしかしたら小さくて可愛い馬鹿な子供には優しいのかもしれない、ということもナギの頭にインプットされた。
「おじさんはお金持ってるよ〜。知ってるかい? 最近おじさん有名になったんだけどなぁ、カノウって言うんだけどね。知らないかなぁ、カノウ=ミスリード。有名なお医者さんだよ〜」
 おじさんは凄く酔っていた。ふらふらとした足取り、仄かに赤い頬。顔に出にくいタイプだから遠くからはわからなかったが、おじさんは酔っていた。
 細い目から見える虚ろなガラス玉は幻想混じりに現実を見せているのだろう。ナギは後ずさり酒臭さに顔を顰めた。ついでにカタリナをつれて帰ろうと思った。
「買ってくれるの!?」
 掴もうとした手は簡単にナギの掌からこぼれていった。なんだか悲しくなった。
「いいよ〜、その代わりお医者さんごっこしてくれるかい? おじさん最近嬉しいことがあったんだけど忙しくてね〜」
「お医者さんごっこ……? うん、いいよぉ。買って買って〜」
 よくないよカタリナ。
 聞きようによってはすごく危ない会話である。
「有名になっちゃうとこの辺のお店にも入れなくてねぇ。かといってDGみたいな汚いところは嫌だしねぇ」
 酔った状態で、こんな場所で、そういうことを言っているのだからあまり関係ないだろう。有名な医者がこんな場所で明らかな犯罪を犯そうとしているのだ。店員のお姉さんも目を丸くしている。ナギは本末転倒なおじさんを馬鹿だと思った。
 カタリナに目をやる。
 カタリナは怒っていた。
「いいです! やっぱりいりません!」
 おじさんは驚いてカタリナを見る。
「え? どうしてだい? お金あげるよ」
「いりません! そんなの汚いお金欲しくありません!」
 おじさんは怒ったようだった。
「なんだとっ!」
 カタリナがさっとおじさんから離れる。けれども図体が違うのだ。一瞬で腕を掴まれた。
 ナギはそろそろと近づく。カタリナはキスされそうだった。
 カタリナを押さえつけるおじさんの腕を掴む。血走った赤い瞳がこちらを睨んだ。完全に酔っ払っている。
「おじさん、ごめんなさい。僕らDGのもので」
 ナギがそう言うとおじさんはびくりと震えてカタリナの腕を汚らわしそうに離した。
「はっ! DGのガキがこんなところうろついてんじゃねぇよ!」
 おじさんの酔いが幾分醒めたようだった。
「……ほらよ!」
 おじさんは不機嫌そうにいくらかの札をばら撒くと、代謝のいい体に滲み出した冷や汗を拭いながら出て行った。ナギは殴られなかったことに安心しつつ、ばら撒かれた札を拾うために腰を曲げた。
 カタリナはじっとしていた。押し付けられた柱に背を預けて、ナギがお金を拾い集めるのをぼんやりと見ていた。
 やがて拾い終える。
「あの、これで買えるだけ下さい。一番安い家具でいいんで」
 それは騒然とさせてしまった店へのできうる限りの謝罪の気持ちでもあったし、お金はお金というナギの根本的発想からでもあった。
「こちらの椅子三点で宜しいでしょうか?」
 店員のお姉さんが聞き返してきたのは簡素な、こんなブランド店で買わなければものすごく安く手に入るであろう木の椅子だった。
「はい、お願いします」
「お届け先は?」
 ナギはちょっと迷って、
「DG八丁目八番地、中古家具屋『バレット』で」
 店員のお姉さんは唖然としていた。
 その後二人はその店を出て、行きつけの激安家具屋で白い社長椅子を購入した。





 ナギは順調に説得を試みていた。
 しかし順調は順調だったが、単調でもあった。カタリナはいくら言っても首を縦に振らない。
「あぁ、えぇと、だから情報収集だけだしさ……。やっぱりカタリナは帰っててよ。この椅子も持って帰らないといけないでしょ。ご飯も作らないといけないし、僕一人で大丈夫だか――」
 瞬間口が動かなくなる。
 流石に鷹揚なカタリナも怒ってしまったのだ。続けて二度『僕一人で大丈夫だから、帰ってて』と言い、それでも黙っていたので調子に乗って三度目を言おうとしたらソフトクリームを口に突っ込まれた。
 怒る気はしなかった。二度も我慢したカタリナは鷹揚なのだ。
 ナギは口の中に広がる乳製品を味わう。味覚はおいしいと伝えた。暫しソフトクリームの味を堪能してからゆるりと目をやると、カタリナがこちらを上目遣いで睨んでいるのに気づいた。
 ソフトクリームを取り出して、一息つくとカタリナが叫んだ。
「馬鹿! やだ! 絶対行く!」
 ソフトクリームを口に運ぶ。カタリナの食べ残しだったが、まぁ問題ない。溶けてとろとろだが問題ない。
 それよりもカタリナのこだわり方がいつもよりも切実なものであることを意識してナギは驚いた。夕方になってくると大抵カタリナは家に帰りたがるから、この現象は珍しかった。
 どうにもカタリナの考えていることは読めないナギである。先ほどの家具屋でのことにしてみても、カタリナの怒った理由はわからない。
「カタリナ、そうは言ってもね――」
 何度か話して聞かせたことはある。カタリナのような特異能力者であってもDGは関係なく危険である。もちろんそこに住んでいるものがいるから、行けば死んでしまうというような場所でもない。けれども精神的にきついものがあそこには少なからずあるのだ。ナギはそれをカタリナにまだ見せたくなかった。
「僕だって行きたくないんだ――」
 ナギは言い聞かせる。カタリナは黙って聞いている。DGに行かせないために、大袈裟に嘯いている自分が嫌だった。
「無法地帯だ」それは正しい。「みんな頭がおかしい」それは嘘。「獣がいっぱいいる」本当だ。「人間を襲うんだ」嘘だ。「病気が蔓延してる」ちょっと嘘。「他の者を受け入れようとしない」かなり嘘。
「友達がいるの!」
 突然、カタリナが恥ずかしさを押し隠したような声で言った。ナギは驚いた。
「友達? カタリナに友達なんていたっけ? いつできたの?」
 ナギは聞いていながら自分でおかしなことを聞いているなと思う。
 しかしカタリナに友達ができたのは初めてだった。
「この前……」
「今度紹介してよ」
「六つ年下なの、体の弱い子でね」
 カタリナは俯いたままだ。
「八歳か。どこに住んでるの?」
「――……DG……」
 いつの間にか引きずる音がしなくなっていた白椅子は、カタリナが一緒に持っていたからだった。とりあえずこれを事務所にもって帰らなければいけない。
 ナギは沈もうとしている太陽から目をそらし、空を探した。もうすぐ夜が来る――月が見えないだけで不安になった。
 今日はもう遅い。
「カタリナ――」
 ナギの声に反応する。小さな肩が柄にもなく震えた。
「明日紹介してね」




2005-08-01 23:05:33公開 / 作者:影舞踊
■この作品の著作権は影舞踊さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
はい、二話はいきなり長くなりました。ごめんなさい、影舞踊です。ある程度の長さをつけようとか思ったら、こうなってしまって。今回が長くて嫌だと思った方、まぁちょうどよかったと思った方、短いとかありえないことを思った方。次回はどうなるかわかりませんが、反動で短くなる可能性は大です。そして内容も薄っぺら苦なる可能性が大です(苦笑
テスト終わるまであと少し。今日は無駄に徹夜して、でも勉強は全くしていなかったのですが、テストは何とかなりました。うん、影舞踊天才?(死ね
これはコメディではありません、悪しからず。そして書き始めてわかったのですが、結構これ短めの話になるっぽいです。ファンタジー万歳で、妄想全開でやっていきます。
更新速度は「ちょうすろう」。これは崩さずやっていきますよ(オイ いや、拙い上にこれでは申し訳ないですが、のんびりお付き合いください。作者を急かしたりしないように(死ね
お読み頂きありがとうございました。感想・批評等いただければ幸いでございます。
*題名とともにちょい修正*
*再び修正(汗 有栖川様感謝*
この作品に対する感想 - 昇順
拝読いたしました。おぉ、新連載だっ。個人的にはいったい何の本をお読みになって引きこもりを考えるに至ったのかが気になるところです。
感じたままを申し上げますと、なんとも不思議な印象でした。現時点ではあまり物語世界がつかめなかったのですが、きっとこれから「おおぉおおぉ!」てなるんでしょうね。期待してお待ちしております^^登場人物のセリフというか掛け合いが、なんとも気が利いていて楽しかったです。ちょうすろう(人名かと思いました)でがんばってください。ちなみにあたしは『うるとらすろう』ですからね!いつまでもお待ちしております〜。それでは。
2005-07-21 16:27:53【☆☆☆☆☆】有栖川
あれ、こんなのあったけ? あ、そういや前見たわ。そんな風に人様に言われるくらいに更新速度は致命的な天風です。今回は特に山場もなく、どちらかというと作品の雰囲気を楽しむための話だと感じました。さて、今後の展開がどうなっていくのかは、次回更新を待つことにして、何読んだんですか? ひきこもりたくなるネガティブな本。読んでみたいですね。あ、ダメだ。抗鬱剤飲んでも効きそうもないしなぁ。
それでは、次回更新もお待ちしております。
2005-07-21 16:44:36【☆☆☆☆☆】天風
こまめにレス返しで切るかどうか微妙ですけれど、今回はやろうと思い立ち(笑
>有栖川様 ファンタジー万歳で、嘘臭く青臭い真実を語ってやろうかと(嘘です。すいません 物語世界観はほぼ語らず、それとなく匂わせる程度にしようかと(そんなうまくできそうもない…… 影舞踊を覚醒させてくれたのは『NHKにようこそ』というやつです。活字で笑いが止まりませんでした。本屋で立ち読みしていてつぼにはまりまくり、あまりにも恥ずかしかったので買って帰ったという(あほですね いや、何と言うか。セールストークになってないかこれ?
>天風様 はい、上記の本が影舞踊のバイブルとなりつつあります(オイ 作者様にも心動かされました。影舞踊も口癖は「もうダメだ」にしようかと思っています(マテ もしかしたら読まれてるかもしれないですが、読んでいらっしゃらないならお勧めいたします。第二章までに抱腹絶倒します。作品の雰囲気を楽しむため、まさにそれ! 今回はほんとそれでした。次回は内容を見せられると思いますので――てことは長くなるのか……?
ありがとうございました。次回もよろしければお付き合いくださいませませ。
2005-07-21 21:19:30【☆☆☆☆☆】影舞踊
ほぉぅ、面白いじゃないですかっ。テストはいかがですか、影舞踊殿下。ともかくプロローグがとっても良かったですね。気に入りました。物語の続きが気になるし、あとは何だろう。いや何か「あほ毛」が微妙にツボだったんですけれども。何でだろう。影舞踊さんの作品で、どんなにシリアスでもどこかお笑いが入ってる気がするのは気のせいでしょうか(笑)続きが楽しみです。
2005-07-21 22:15:25【☆☆☆☆☆】ゅぇ
取り敢えず、物語の方はまだ解らない。後々、ちゃんと感想書きます。と、お茶を濁しながら、最近影舞踊様が感銘を受けたらしい作品、なぜかちょうど私の手元にあります。そして、今半分の半分ほどまで読んでいます。本を読むのはかなり遅い(最近更に遅くなっていく)方なのでまだ終わりそうに無いです。テストとかいうやろうの所為でもありますけど。うん、でも私はネガティブになっていませんよ。ちっともネガティブになんてなっていない! むしろポジティブ(テスト効果)。ああー、目をつぶったら違う世界にいってたらいいなぁ(ある意味ポジティブで)。根本こんな感じで。
2005-07-21 22:36:29【☆☆☆☆☆】うしゃ
こんばんわです。作品読ませていただきましたが、ことばのつかいかたがセンシティブですねえ。ケルトの描写が綺麗で心惹かれます。さてこれからどうなっていくのかなというところで切れてしまいましたので、続きが読みたいところですねえ。さてさて、ちょっとまだはじまったばかりで類推するしかないのですが、思うにこの段階からしてキャラクターの造形はほぼ固まっていると思いました。続きを読みたいのですが(笑)、出来上がっているだろうキャラクターをじっくり展開させて、描写していくのも一つの方法かなあと思いました。それでは次回更新お待ちしております。
2005-07-21 22:39:33【☆☆☆☆☆】タカハシジュン
作品読ませて頂きました。まだ、世界観すら掴めない状態で感想を書くので、もしお気に障られるようなことがあればご容赦下さい。作品は影舞踊さんのSSを読んでいる時に感じるリアル感と言うか同期性はなく、一歩退いた場所から物語を読んでいるという印象でした(物語を冷静に見られてこれはこれで良いです)。プロローグの掴みは素晴らしいと思います。本編はプロローグに対して、ちょっと軽かった印象を受けました。失礼なことを書き散らして済みませんでした。では、次回更新を期待しています。
2005-07-21 23:17:13【☆☆☆☆☆】甘木
ややや、色々思うところありますが舌足らずにレス返し。
>ゅぇ様 どんなにシリアスでもコメディ要素。皆様のレスにも書いている最近読んだ本の話ですが、それの構成がむちゃくちゃ(もちろん良いのですよ)だったので、馬鹿馬鹿しくてもある程度シリアスにはいけるのだなぁと痛感。そんなことを学んでしまったので、おそらくそういう色が出ているんだと思います。けれどもやはりプロローグが好きなのだよなぁ(オイ まぁ前半こんな感じで、後半に向かっていくとシリアスに見たいなのが書きたい(願望)けど無理(現実)!
>うしゃ様 物語のほうは終始こんな形で進んでいきます。つかみ所がなく、何とも感想に困るという。カタリナとナギの掛け合いだけで影舞踊は満足しているので(もう作者として失格だぜ! 影舞踊は四時間ほどで一気に読み終えておりましたよ。焦りました。まさかここまでのめりこんで読書をすることになろうとは。休みの日に家に閉じこもって黙々読書。電車男の頑張りっぷり(最近ドラマが始まりましたね)も目に痛く、読み終えて「もう死のうかな」と思いました。
>タカハシジュン様 語彙がないのですぐに枯渇して、どうしようもなくなると思われます(苦笑 何とかかんとか増やそうと本を読み始めましたが、全く全く。基本的に面白そうなものしか読まないため、ストーリに注目し語彙のことをすっかり忘れてしまうのです。だめだこりゃ(笑 よく喋るキャラクターというのは結構見かけますが、作るの難しいです。影舞踊には未知の体験です。個性的で素敵だからそんなやつを書きたいのですが……。第二話はさらりと読めるボリュームを目指します。
>甘木様 そうなんです師匠! どうすればいいですか? プロローグの部分はすごく好きなんですが、なぜかその調子で筆が進まないという。書き方が違うんだと思うけど、何がどうなってああなっているのか(意味不明 あの感じで物語を進めたいのになぁ。なにやらまだまだ発展途上(都合の良い言い方だ)ということか。プロローグは別物とするか、目指すか。たぶんエピローグはあの感じが取り戻せるんだけどな。何かおかしいな(苦笑 とりあえずどさくさにまぎれて師匠と呼んだので謝っとこう。うん、ごめんなさい。
ありがとうございます。次回もお付き合いくだされる仕上がりに、なってくれ!(コラ
2005-07-22 00:13:14【☆☆☆☆☆】影舞踊
冒頭を読んでいる間は読みきりかなと勘違いしていた京雅で御座います。未だ物語も読者を掴む段階だと思うので世界観の説明も無く、けれど読み取るには難しくない書き方をされていて流れが心地好かったです。不思議な「ばいおれっと」に依頼がきた、これから始動してゆくところで切れていて素直に続きが気になります。引っ掛かったと言うか、意図的であるのかどうかは解りませんけれど、プロローグと一章に印象の違いがありましたね。故に初めは読みきりだと勘違いしていたのですが。冒頭の場面は遠くから彼等を見ていて、膜が掛かりある種幻想的に仕上がっています。一章は現実味を出そうと人物に寄って、しかし彼等の内面に触れていないので遠い。人物に移入させる系統の書き物ではないのか、そう推測します。だから私はこれから起こるであろう何かに期待して更新を御待ちしておりますね。失礼な事を書き込んで申し訳御座いません。
2005-07-22 10:30:01【☆☆☆☆☆】京雅
筋につきましてはまだ未知数なので、文意的に気に掛かったことなど、少々。
『周りは静かでありながら、どこか和気藹々とした雰囲気で安い酒を酌み交わしていた。夜空には星を隠す薄い雲と、刺々しく光る三日月が浮かんでいる。』この出だしの描写ですが、『静か』というのは単純に音のない動きのない状態を表すだけだけで、雰囲気や情感自体は表していないと思うので、『和気藹々』と対立させるには、なにかもうひと言描写が欲しいなあ、と。さらに『薄い雲』に覆われた空で『刺々しく光る』というのも、若干違和感が感じられました。光方自体は、ソフト・フォーカスがかかりそうな気がします。『刺々しい』のは、あくまでも月の形そのものなのではないか、とか。それから『肩口から伸びたびろびろの布』という表現も、どう脳内で視覚化していいのか、ちょっと煩悶。重箱の隅で恐縮ですが、まずは冒頭なだけに、隙間無くカマしたい、そんな感じでした。
以降の本編は、こんな思考の遊び的な会話が好きなのでいい感じに入れました。ただナギの最初座っていた『ソファー』が、いきなり回転したのにちょっと違和感が。ソファーは一般に長椅子を表すと思います。それから、高級感漂う椅子というのは、あくまでもナギの夢=希望なのでしょうか。いや、後半かなりうらぶれた部屋やつぎはぎのソファーの描写が現れたので、あえてそんな部屋で自分の椅子だけは高級なのかとか、いや、これはファンタジーなのだから、主観と客観によって光景も変化しているのか、とか、色々悩んでしまったわけです。自分でも夢のシーンなどでは、カット割りごとに背景やキャラの容貌さえ唐突に変化させたりするのですが、今回は日常描写らしいので、ちょっと混乱したのでした。
いろいろ述べてしまいましたが、この物語世界自体は、いい雰囲気です。
2005-07-22 10:38:31【☆☆☆☆☆】バニラダヌキ
読ませていただきました。まだ話しが始まったばかりなので何とも言えませんが、結構心を捕まれました。今回は、物語の背景よりも、主人公達を際立たせる回ですかね。少年、少女で、少女が少年よりも更に小さいとは、一体どれ位なのか、明確な比較材料が無かったのでちょっと想像し難かったです。
続きも期待しております。
2005-07-22 18:45:28【☆☆☆☆☆】オレンジ
こんにちは、夏は当然暑いですけれどいかがお過ごしでしょうか。菖蒲です。意味もなく社交辞令的なことを口走る、既に熱にやられてしまったアヤメです。プロローグで抱いた印象と第一話の雰囲気に些か違いを感じてしまったのですが、それはこれからの話の展開によって変わってくるのかなぁと思っています。初めのうち、ナギは青年くらいの年齢に達しているのかと思っていたのですが、少年ということで。口調も随分大人びているので、たぶんカタリナの幼い様子と比較して考えてしまうからなのでしょうが、こちらの感じたモノと影舞踊さんの意図されているモノとに若干のズレがあるような気がしました。台詞などによるテンポの良い掛け合いは読み進めやすいですが、常に登場者が最低限感じる(または見て取れる)ところまでの描写までに留めてあるように思えまして、こちらに想像させる、あるいは作品の底まではわざと理解させないようになさっているのかなと。わけのわからない感想ですみません。これからの更新、ゆったりとお待ちしております。
2005-07-22 22:00:16【☆☆☆☆☆】菖蒲
返すのが遅くなって申し訳ないです。
>京雅様 プロローグ、第一話の違いについてはもう仕様です。いや、初めからそういうことではあったけれども、確実にそうだといっておこう。うん。プロローグの感じは好きで、あのまま書いていこうかとも思ったのですが、それをすると恐ろしく淡々と進むことに気づきまして。いや、まぁそれも味といえば味なのでしょうが、まだ影舞踊にはそれに手を出す段階ではないかなと。ただ、エピローグとプロローグは同じような感じにしたいと思っておりますので、プロローグ好きだという方はエピローグだけでもぜひ(笑
>バニラダヌキ様 黒皮のソファ、もとい黒皮の回転椅子です。すいません。直しておきます。それと黒皮の回転椅子の高級さというのはちょっとした皮肉として書いたわけで、すいません、わかりづらかったです。さまざまな指摘ありがとうございます。早速修正いたします。主観客観入り混じった書き方なのですが、どうも書いているとこうなってしまって、できるだけわかりにくくはしないようにいたしますので、お付き合い願えれば幸いです。がんがんカマして下さい(笑
>オレンジ様 ファンタジー万歳で、脳内保管する画はとっても砕けた可愛らしいキャラクターという感じでお願いします(マテ ナギとカタリナの大きさの違いについてはファンタジー全開で次回にご説明。いや、それで受け入れられるかどうか微妙だけれども(笑 まぁこれだけファンタジーファンタジー言ってたら大丈夫ですよね?(オイ
>菖蒲様 ナギが少年か青年ですが、まぁそうですね。大人びたガキだということに(マテ いや、喋り方を見ればナギが青年だという風に捉えられるでしょう。うん、それはよくわかります。ならばなぜ青年という表記にしなかったのか? これはですね、なんとなく青年という響きより少年という響きが好きだからです(笑 まぁこれから進んでいくにつれ、チョコチョコ少年らしさも出していけると思いますので、ナギは少年なんだと思っていただければ(無理やりか これから物語が進むにつれ、作品の底は作者の心の底なので見れるかどうかはわかりません(オイ ですが、澱みは沈殿させて水は澄ませておきます(笑
みなさんありがとうございました。よろしければまた次回もどうぞです。
2005-07-23 12:12:12【☆☆☆☆☆】影舞踊
おおっ。影舞踊さんの新連載ではないか。これまたいい感じの出だし、ストーリー云々に関してはまだ何とも言えませんが、ふむふいい感じだ。今回は前作の【勘違いプリンセス】のような「影舞踊流長編用描写」ではなく、「影舞踊流短編用描写」っぽいですね。何だその描写名は、という突っ込みはとりあえず置いておいてください(笑)ナギの長台詞が神夜のお気に入り。所々に入る描写の、「少し笑える」言葉が神夜は大好きなのです。これが影舞踊さんの武器であるのだろう、と結構最近気づきました。しかしあれですよね、「ナギ=ナミマ」ってすっごい発音し難いですよね(笑)さっきから何回か挑戦しているのですが、なかなかに上手い具合に呂律が回らない。これ早口で絶対に言えない言葉だと思うのですが、やはり生みの親である影舞踊さんならスラスラと言えてしまうのでしょうね。うん、そうに決まっているのでしょうね。さてさて、この物語は果たしてどのような方向性を見せてくれるのか、次回更新より本格始動してくれることを楽しみにお待ちします。
2005-07-23 16:37:41【☆☆☆☆☆】神夜
>神夜様ぁぁぁ(黙れ 影舞踊的長編描写というのがいまいちよくわかっていなかったりするんですが、もしかするとこれから出てくるかも知れませんなぁ。あれでしょうか、ねちっこく長々と情景なんかを描写していくあれでしょうかね? 少し笑える言葉、すごくいいなぁ(自分で書いておいて、何を言っているんだか できるだけ淡々と、そこはかとなく感じられるものを、これが物語のテーマです。大テーマは最初の「――優しさは〜」のところですけどね。ナギ=ナミマはもう、スラッスラ言えますよ。えぇもう、十三回ぐらいスラッスラ言えますよ。
「ナギナニニャッ!」
2005-07-24 16:55:40【☆☆☆☆☆】影舞踊
ストーリー自体はなかなか動かないようですが、このコンビの掛け合い自体が、コメディではないとおっしゃるわりに、なかなかユーモラスで快です。
文章的には、あのカタリナが小鳥に変身した直後、『痛い痛い』のセリフがどこから発せられたのか解らず、あれ、カタリナはまだ別の所にいるのか? などと、ちょっと混乱しました。セリフごとに180度表情の変わる時があるカタリナちゃんの目まぐるしさも、慣れるまではちょっと違和感があったり。当方のクドさのためかも解りませんが、他の読者様はどうなんだろう。
ブルセラ親爺っぽいカノウの挿話は、やはり後になんか繋がるのか、などと思いつつ、次回をお待ちします。
2005-07-30 01:24:45【☆☆☆☆☆】バニラダヌキ
続き読ませていただきました。コメディではない……そう仰っても、この作品からは楽しさが滲み出てきてます。派手な笑いではないですが、上質な和砂糖のように仄かな甘さ(緩やかな)笑いがこみ上げてきます(ただし笑っている人物はこの甘木なので、第三者が見たらゴツイ顔をした人間がニヤニヤしていてさぞ不気味な状況でしょう。ネットカフェとかで読むのは危険だ……)。物語はゆっくりとしていますね。このゆっくり感は心地良いですけど作者コメントで「短めの作品になりそう」とのこと、急ぎすぎて詰め込みすぎにならないことを願っています。それにしても相変わらず脳内に映像が浮かびやすい書き方は良いなぁ。前回の感想で本文が落ち着いていると書きましたが訂正します。プロローグの掴みが凄く良かったので本文が落ち着いて見えただけと言うべきでしょうか。ところが今回更新分を読んでいて私の勘違いということが良く解りました。この文章の流れは良いです(ちょっとゆっくりしすぎてるのが物足りない感じもしますが、無理に急ぐよりはずっと良いです)。長々と愚にもつかない感想を書いてすみません。では、次回更新を期待しています。
2005-07-30 22:32:25【☆☆☆☆☆】甘木
感謝の気持ちは忘れずやっていきたいものです(何を今更!?
>バニラダヌキ様 カタリナのころころ変わる性格というのは困ったものです。文章上の指摘はそうですね。そもそもカタリナがいきなり鳥に変身するんですから、普通わかんないですよね(苦笑 でもまぁ、そのわからんと言うのもナギ視点でもあるので、それでいいかなとか思ってたりで(直せ! いつも指摘ありがとうございます。本当にためになりますm(__ ブルセラ親父は一応狙いがあったりですが、基本的にこの二人中心ですからどうでもいいです(マテ
>甘木様 ちょっとくすっとなる笑いが続けていれば、影舞踊は喜びます。シリアスモードへの変換もその方が簡単だろうし(いや、シリアスモードになるかどうかわかんないけど(汗 何だかこの作品を書いていると、自分の処女作を思い出します。全然違うんですけど、なんでだろ。作品の流れが緩やかだというお言葉。なるほど、さり気に影舞踊は急かなとか思ったので、よかったです。短くなるというのは予定なわけですが、この流れは崩さずにいけると思います(影舞踊がばてなければ(それが一番問題か(苦笑 
お二方様、本当に感謝しています。次回もお付き合いいただければ幸いです。
2005-07-31 00:34:06【☆☆☆☆☆】影舞踊
続き拝読しました。うーん、これはコメディだろうと訝しみつつ、カタリナとナギの掛け合いは心地好く読めました。これは物語の後半一気に動く系統であるのだろうか。少しばかり文章の構成に引っ掛かる時が御座いました。特に更新分前半に。何だろうなぁ、描写の方向性が不安定であるのかなぁ。文章が飛び飛びであるように感じてしまう箇所があるのですね。些か寄り道をし過ぎている割には、その間にある幾つかの描写を削っている印象。読み易くすると言う意図であったら申し訳ない。中中に掴ませてくれないこの物語の次なる展開を期待しております。それにしても、これはやはりコメディなのでは……。
2005-07-31 13:45:17【☆☆☆☆☆】京雅
遅れてしまいましてすみません。拝読いたしました。
う〜ん、バイトで疲弊しきった脳で読んだ私が悪いのでしょうけれど、まだ話がつかめない。ナギとカタリナのキャラは少しずつつかめてきたのですが、正直を申し上げてこの小説世界の基盤がなんとな〜くはっきり見えないような。登場人物が土台から浮き足立っているような、なんか漠然と『腑に落ちない』感がありました。全体的に見ると、会話や展開は面白いのですけれど、それとナギの口調とか。
あぁ、失礼なことをだだだだ書きなぐりましてすみません。次回更新もお待ちしております。
追記;40行目くらいの、『カタリナが感じの読み違え〜』→ひょっとして『漢字の読み違え』でしょうか??
2005-07-31 18:51:56【☆☆☆☆☆】有栖川
かなり遅い初登場の駄目読者です(笑)。読ませていただいております。ストーリーの方は、この断続的(?)なシーンの連続が、今後どのように一つの話にまとまっていくのかが楽しみです。描写なのですが、何と言いますか、登場人物の行動描写や、場景描写などに、何かぎこちなさを感じてしまいます。私も、セリフの合間に挿入する、行動描写や場景描写がかなり苦手なのですが。この作品の描写の中に、「この描写は二文で構成されているけれども、これは頑張れば一文に纏められるかもしれない」というような文章が、いくつかあったように思います。本当は、(特に)場景描写などが丁寧に書かれていて、好印象なのですが。短文を狙ってお書きになっていらっしゃったら大変申し訳ないです(汗)。ナギとカタリナの会話に心底和みつつ、それから、二人の間の信頼関係といいますか、そういうものにも安心を覚えつつ、今は各話のワンシーンを楽しんでおります。
2005-07-31 22:01:12【☆☆☆☆☆】エテナ
最近生きるということの辛さを味わっています。レス遅れて申し訳ないです(本当にごめんなさい
>京雅様 物語はこんな感じで進んでいきますが、やはり動くのは後半かなぁ……と思う。断続的になっているのは影舞踊が下手糞だからです。場面場面のつなげ方というものがわからなくなっているのです。次回更新分はこんなことがないよう気をつけますのでっ(汗 ていうかもぅこれコメディでいいです(苦笑 平坦な回り道をして最後は上り坂。そんな風に持っていけたらなぁと思ってますが、作者が四苦八苦しそう(笑
>有栖川様 謝らないで下さいょ。死にたくなります。バイトで疲弊なされたからわかりづらいのではないです。全部影舞踊が悪いです(汗 それに、この物語が浮いているというのはある意味的を射られております。別に狙いではないですが、そんな感じが好きです(マテ 土台はしっかりしてないですね。できるだけ客観的な物語の流れ、そんなのだけ楽しんでください(オイ 正直なお言葉と誤字報告ありがとうございます(ぺこぺこ
>エテナ様 エテナ様に読んでいただけて光栄です。いつでもほっぽっりだして下さって結構ですので、気楽に読んでいてください(いや、これはマジですよ 描写のぎこちなさのご指摘で、一文で纏めることができるというのは激しく納得。そのとおりですね。ナギ視点と第三者視点が混じっているのはありなのかなぁと思いつつ、それでも書きなぐっていました(ダメじゃん 気をつけよう。ちゃんと考えよう、うん。繋げ方をうまく見せて、頑張って読みやすい文体を目指しますゎ(キモイな
盛り上がりに欠ける作品ですが、徐々に面白くしていこうと努力します。貴重なお時間ありがとうございました。
2005-08-01 22:59:17【☆☆☆☆☆】影舞踊
どうも、読ませていただきました。未だ物語の核心には遠いのかなと思いながら、主人公二人の掛け合いを楽しませてもらいました。ただ、やはり、なんとなく話の筋や世界がぼやけてしまってるような気はします。これから、読み進めるうちに理解できるとは思いますけど。次回更新も楽しみにしています。
2005-08-03 18:23:44【☆☆☆☆☆】オレンジ
相変わらず遅読みの神夜です。しかし最近あれですわな、暑過ぎて死にそうです。もはや小説書く気力どころか読む気力すら絞り出せない現状。いいのかこんなんで。などという前置きはともかく、続きを読ませてもらいました。ふむふむ、まだストーリーの全体像は謎のベールに包まれていましたが、次回辺りから動き出すのか、それともまだまだお預けなのか。ですがこの二人の会話は面白いなぁ。なんかほんわかしている。このほんわかが神夜のこのダルさ加減を拭ってくれるだろう、と勝手な期待をしつつ、次回更新をまた楽しみにお待ちしたいと思います。
2005-08-03 19:33:30【☆☆☆☆☆】神夜
初めましてモンバイと申すものです。拝見させてもらっています。
かなり和やかな雰囲気が漂っていて、読んでいて自然に登場人物に引き込まれました。カタリナみたいな性格の人は、実際現実にいそうですね。なんとなくそんな感じがします。それぐらいに登場人物の行動とセリフが自然だと思います。
次回更新を非常に楽しみにしています。
2005-08-04 02:43:27【☆☆☆☆☆】モンバイ
やっとテストが終わりました。べたですが、本当に終わってます。人生終わらないように頑張りたいと思います。
>オレンジ様 不透明感。読者様になんと優しくない物語なのか。説明というか、そういうのでも入れたほうがいいのだろうか。とはいいつつ、うまい具合に説明することが出来ないからなぁ。どうしましょ。物語が進むうちに、なんとなく慣れてください(マテ 住めば都です(違うから
>神夜様 暑いですね。もう、暑いですねぇ(何? この暑さにはまいります。最近生活リズムが不規則なので、この暑さは本当に困ります。体調を壊すほど脆い体はしていませんが、やる気はないなぁ(オイ さてさて、カタリナとナギの会話、気に入っていただけて嬉しいです。思うに、影舞踊はこの二人の会話だけを書きたいような気がします。ほんわかのほほん最高ですwあぁ、進めよ物語……。
>モンバイ様 お読み頂きありがとうございます。ファンタジー全開で、不自然さ満開で、どうにかして物語に真実味を持たせようとか思ってますが、やっぱ無理ぃ(死ね いやいや、それでも自然というお言葉ありがとうございます。出来る限り自然さを保ちつつ、出来る限りうそ臭さをにおわせて読者様に楽しんでもらえればと思い頑張ります(無理かなぁ
お三方様読んでいただいてありがとうございます。小説書くのも読むのも(特に前者)停滞中で、更新は遅くなりますが、次回もお会いできれば幸いです。
2005-08-05 13:41:13【☆☆☆☆☆】影舞踊
計:0点
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