『こんなはずじゃぁ』作者:喪黒福造 / V[g*2 - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約3.95枚


「ピピピピピピ」


 目覚まし時計がなり、いつものように朝が来た。
僕はのろのろとベットから起き、歯を磨き、顔を洗い、パンと牛乳とヨーグルトを食べた。僕にとってはごく普通の朝だ。

「行って来ます」

母が「いってらっしゃい」という前に僕はそそくさと家を出た。ふと携帯電話を見ると時刻はもう7時を過ぎている。
「やっべ!!」
僕は急いで自転車に乗り、駅へ向かった。
「ガタガタガタガタ」自転車が歩道をのるたびに自転車のかごに入っているかばんが飛びはねた。

 
 駅に着くと時刻は7時37分をまわっていた。7時41分の電車には間に合ったようだ。
僕はぺちゃくちゃと騒がしいホームで電車を待っていた。そこを中年のハゲたおっさんが前に立ってタバコを吸いながら電話をし始めた。
「あ〜はいはい、その件は後でしますのでよろしくお願いします、はい、いえいえ……」
おっさんの声はやたらでかい。
僕は話の内容よりもタバコの煙が気になった。ったくだからおっさんは嫌なんだよ。
その時、ガタンガタンと人を乗せた大きな鉄の塊が僕の前に止まった。ようするに電車が来たわけだ。さっきのおっさんはそそくさと席に座り今度はメールをし始めた。僕はそのおっさんの前に立った。電車はいつものようにぎゅうぎゅうの満員電車だ。

 
 僕はふとおっさんの座っている座席を見ると「お年寄り優先、この座席の近くでは電源をお切り下さい」と書いてある。
おいおいおい、おっさんここ携帯電話禁止じゃん。さっさと電源切れよ!!
僕は気が弱いので心の中で叫んだ。自分で言うのはなんだけど僕はとても正義感が強いのだ。


10分後、


 相変わらずおっさんはメールを止める気配はない。僕は我慢の限界だった。注意したくてしたくてたまらなかったけどでも言う勇気がなかった。

その時、「ピピピピピピピピ」

おっさんの携帯が鳴った。
おっさんは急いで左ポケットを探り、躊躇することなく携帯電話に出た。
「はい、もしもし、ええはい、はいもうすぐ行きます、はいはい・・・・・・」

僕は勇気をふりしぼった。

「あの、ちょっといいですか?」僕は蚊のなくような声でおっさんに言った。
「はい、ええ、はいはい・・・・・・」おっさんは聞こえてないのか、まだ携帯電話で話している。

バシッ!!みんなの目線を数え切れないほど感じた。
僕はおっさんの携帯を取り上げたのだ。おっさんはすごい顔をして言った。
「な、なにすんだ」
「ここは、携帯禁止なんだよ!!電源切れってここに書いてるだろ!!」僕は注意書きの紙を指差した。
「ふざけんな!!こっちには仕事があるんだ!!ほら、他にも電話してる人いんじゃねーかよ!!」おっさんは電話片手にこっちを見ている金髪の若者を指さして言った。でもおっさんに言うとおり、今だに電話をしている人が6人くらいいた。
僕は後戻りが出来なかった。
みんながこっちを見ている中、大声で言った。


「みんなここでは電源切れ!!!!」なんだかすっきりした。


その時だった、「あ〜悲しい、あ〜悲しいあ〜あ〜あ〜」俺の携帯の着信を告げるうたが鳴った。友達からの電話だった。

 電車が来るまでの3分間は長かった。みんなからの冷たい視線が心に突き刺さり特におっさんの正面からの視線は怒りでいっぱいだった。逃げたくても満員で逃げられない。

「けいたん〜けいたん〜けいたん駅で〜す」

「ガシャ〜ン」電車が止まり、ドアが開いた。
僕は急いで電車を出て階段を上り、道路へと出た。何か硬いもので頭を叩かれた気分で立ち尽くして呟いた。


「こんなはずじゃぁ」



2005-06-26 09:56:03公開 / 作者:喪黒福造
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この作品に対する感想 - 昇順
初めまして、菖蒲と申します。
確かに、電車内で電話をしている人を見ますと注意したい、けどできないという思いに駆られ、結局できない(というかしない)自身を責めたくなりますね。
SSだからなのかもしれませんが、背景描写が少なく、日常的というテーマに少々頼りすぎという気がします。ありふれた題材をいかに独自の文体で生かされるか、それにどのような深い親近感を持たせるかが大切かなと感じますので、大変偉そうなのですが次回の作品に期待しています。
2005-06-26 11:28:49【☆☆☆☆☆】菖蒲
あーなるほど確かに面白いけど……という感じです。どうも、貴志川です。
確かにやってることは面白いのですが、なんとも『過ぎる』というか、わざわざ小説で書くようなことでもないかなあと。いや、こんな言い方失礼か【汗 えーつまり題材が甘いかなあ、と。SSはやっぱりオチが命なので、このような形では正直、肩透かしな感じです。もしこのような題材ならもっと前部を重く作るべきかなあ、と。そうすれば最後の軽いオチが逆に爽快に感じられたかもしれません。あくまで読者側の意見でスミマセンが【礼
とは言いつつも王様は裸だこの野朗!! という感じはなるほど、考えられるものがあります。たぶん。
次回作、期待しています。
2005-06-26 12:50:11【☆☆☆☆☆】貴志川
拝読しました。電車で通話している人の横でどうにか妨害電波が出せないものかと企む京雅で御座います。既に書かれているので重なってしまいますけれど、オチが弱いなぁと思いました。ショートに纏めるならば言葉によって読者を惹きつけるかオチ(発想)でやっつけるしかないと勝手に推測しますゆえの発言です、ご容赦ください。次回作期待しております。
2005-06-26 12:58:31【☆☆☆☆☆】京雅
読ませてもらった上下です。
実はこういう人、若者よりもおじさんたちの方が多かったりもするんですよね〜(もちろん場所によりますが)気持ちは確かにわかりますよ。人に注意するということは自分はそれを絶対にやっていないっという自信があるときだけですから。だからオチはよくわかりますよ。こうなってしまっては、おそらく目的地に到着する前に下りてしまいますね。
それでは、次回も楽しみにしています
2005-06-26 14:53:50【☆☆☆☆☆】上下 左右
Σ(ノ∀`*)アチャポー  って感じな話ですね。面白いというか「アチャー」といっちゃいました。風間は電車に中で声を出すなんて無理です。本当に。誰かと一緒ならいいのですが、一人で電車に乗ってるときは人間観察なんかしちゃったり…。次の作品、お待ちしております
2005-06-26 19:50:46【☆☆☆☆☆】風間 リン
羽堕です(o*。_。)o読ませて頂きました♪おお、主人公やるんじゃん!v(*'-^*)bぶいっ♪と思っていたら、とっても残念な結果にヾ(`◇´)ノ彡☆ここまでの経験をした事は無いので楽しく読めました|゜ー゜||。_。|公園のゴミ拾いした後に飲んだジュースの缶をポイ捨てしてしまうような切なさがって(ノ_・、)では次回作、楽しみしています(。・_・。)ノ
2005-06-26 22:35:41【☆☆☆☆☆】羽堕
初めまして、ミノタウロスと申します。SSを書く時、私はすっきりとした文章を目指し過ぎて物足りない物に陥ってしまいます。喪黒様もそうなのかな?と思ったのですが、何かが足りない、と思いました。何が?と聞かれると言葉に詰まるのですが、……最後のこんなはずじゃあと、もっと強く思えるようなプラスのエピソードが欲しかったです。偉そうな事言ってすみません。自分のことは棚に上げて言ってます。次回作期待しています。
2005-06-27 02:20:43【☆☆☆☆☆】ミノタウロス
作品読ませていただきました。ラストのセリフは「そうだよ、そうだよと」と頷いてしまいました。ただ、電車内の描写が少なかったのが少々残念です。怒っているおっさんとか周囲の人間を細かく書けば、最後のセリフがより生きてきたと思います。では、次回作品を期待しています。
2005-06-29 08:06:56【☆☆☆☆☆】甘木
計:0点
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