『捨て猫。』作者:ヒィカ / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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この世に生を受けた8日後に僕は、捨てられた。
一般的に言う、捨て猫だ。
もともと僕の生まれた家はアパートで本当は動物を飼ってはいけない所。
内緒で飼って、僕と僕の兄弟が三匹生まれた。
僕は、黒猫。
耳の付け根と足の付け根に、ほんの少しだけ白い毛がはえて、眼は灰色。
おへその上に、骨が出っ張っている。
僕の兄弟の一匹はしま猫。茶色と黄土色。
もう一匹は、眼が潰れている。同じくしま猫。

アパートの近くの公園に三匹捨てられた。
母さんは寂しそうに僕たちを見てた。
必死で鳴いた。
けど、直ぐに母さんを抱いた人間の背中は消えていった。


6月23日。
小雨が降った。
公園の小さな段差の下に三匹、身を寄せ合った。
とてもさぶかった。
中学1年生くらいの子、三人が僕たちを見つけた。
僕は恐かった。
他の兄弟は抱きかかえられてた。
高校くらいの兄ちゃんが僕に手を伸ばした。
猫を飼っているのだろうか、匂いがした。
けど僕は恐くて、威嚇した。
そしたら兄ちゃんはとても驚いた。

「喜多君、大丈夫?」

兄ちゃんの彼女だろうか。
彼女は笑ってる。
僕は、笑えない。
中学生が、僕にダンボールをくれた。
コレで寒さをふせげる。


6月24日
朝に他の兄弟が拾われた。
僕は、一匹残った。
寂しい。
僕は頼りない足を進めた。
ココに居ても、黒猫は好んでくれないのだから。
きっと、もう直ぐ餓死か凍死するんだろう?
だったらこんな所で死にたくない。
捨てられた場所なんかで。

着いた場所は池の近く。
日はまだ出てるけど、夕方だろう。
中学生がぽつぽつと帰っていく。

お腹が空いた。
捨てられてからまともな物を食べていない。
ココで、死ぬのだろうか。

すると、中学生二人が袋を持って近づいてきた。
僕の眼の前にしゃがみ込むと、
袋の中から餌を取り出し、僕の口の方へ持ってきた。
僕は生えたばかりの歯で確り噛んだ。
何日ぶりの食べ物だろう。
美味しく感じる。

僕が食べ終わると、一人が僕を抱き上げた。

「君、捨て猫?
 ご免ね、私たちの家じゃ君は飼えないの。
 代わりのご主人探してあげる。」

そう言うと、道を歩く人を片っ端から声を掛けていた。
拾ってください、と。

その日に里親は見つからなかった。
だから、もう一人の女の子が一日だけ家に泊めてくれた。


6月25日。
学校から帰ってきて、また昨日と同じ場所に同じ二人で里親を探してた。
すると、池側から学校帰りの中学生が声を掛けてきた。

「あの、昨日の猫ですよね?
 昨日家に帰って母親にこの猫の事を話すと
 今日、居たら貰っておいでっていわれたんです。」

僕を抱いていた人は喜んだ。
里親が見つかった。
沢山残っている餌と僕を渡し、心から喜んでくれた。
今まで有り難う。

今日から僕は花月家の一員になった。

その日は、安心が一杯で家に着くとすぐに寝てしまった。


6月26日
いつの間にか僕は赤と緑の折りたたみのかごの中に入っていた。
下にはタオルが敷いていて、白い服も一緒に入ってた。

朝、4時半にお腹が空いたから、
一生懸命鳴いた。
すると鳴き声に気付いたのか、少し温めた牛乳をくれた。

お腹が膨れたので僕は眠りに着いた。
次に眼を覚ましたのは、別の部屋だった。

12時間くらい寝てたらしい。
さっきの人は制服で僕を抱えている。
部屋には僕を貰った人と、この間のキタクンの彼女とその兄弟らしい男もいる。

一番背の低い女の人はキタクンの彼女で一番年上。幸佳(ユキカ)
長男の顔は厳つい。庸一(ヨウイチ)
三人兄弟の末っ子が僕を貰った女の子、彩奈(アヤナ)

名前を決めようとしていた。
ヤマトとかジジとか言われたけど、
あまりしっくりこない。
庸一が僕の事を風太と呼んだ。
皆が良いね、って。
僕の名前は風太に決まった。

後々から知ったのだが、幸佳は猫アレルギーらしい。
これから、どんな日が続くのだろうか。



                     おわり
2005-05-28 20:36:18公開 / 作者:ヒィカ
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■作者からのメッセージ
前の作品でご指摘頂いたので、見難いほど肉付けしてみたり…

前の作品にコメントしてくださった方、有り難う御座いました。
この作品に対する感想 - 昇順
はじめまして。走る耳です。
自分は猫が好きです。特に黒猫が。日本において、目がつぶれた猫の方が黒猫より先に拾われる可能性は非常に低いと思います。なかなか拾われない猫にするなら、目が潰れている猫にした方がいいかと。
物語については……。なんでしょう、何が言いたいのか、オチの意味も含めてさっぱりでした。やはり、こういったショートショート(??)を書く上でオチはとても大事なので、かなりの工夫が必要だと思います。
2005-05-28 20:45:34【☆☆☆☆☆】走る耳
拝読しました。猫は好きなんでニヤニヤしつつ読み進めたわけですが、読み終えて物足りないというか、走る耳様が既に書かれておりますけどオチがないなあと言うか。場面を切り抜いただけに思えたのです。失礼な事を語りました、申し訳御座いません。次回作に期待しております。
2005-05-28 21:13:11【☆☆☆☆☆】京雅
はじめまして。有栖川(ありすがわ)と申します。作品拝読いたしました。
続き物ならばこれからどういうストーリーが展開されていくのかなとわくわく見守るところですが、これで終わり(なんですよね?)となりますと、消化不良な感がどうしてもぬぐえないなあ、なんて思います。起承転結がない、といいますか。寒い中に捨てられて、いろいろあってやっとどうにかこうにか拾われて、さあどうする――と、最後にもうひとつ何かほしかったと思います。オチが。
ヒィカさんの次回作に期待いたします。
2005-05-28 21:14:56【☆☆☆☆☆】有栖川
猫に惹かれ読ませて頂きました。はじめまして。ユズキです。自分めは猫が出てくる作品だとどれも自分評価は高くなるのですが。初めに「ん?」と思ったのが走る耳さんも言ってられる黒猫が残るのは何故だろう?という感じでした。確かに黒猫は不吉だとか言われますが今はあまりそんなコトは気にしないのではないでしょうか。自分なんかは黒大好きですよ。あの光にあたったときの感じが。と、そんな戯言は置いといて。うーん、やっぱりどこか物足りないかなぁという感じ。まだプロローグのようだと。SSにしては勢いが足りないというか。でも全体的に暖かくてよいですね。それにしてもこの猫はいい人達ばかりに会えて幸せだと思います。今は結構残酷なコトする人も多いですからね。
それでは意味不明な感想ですみませんでした。次回作も期待しております。
2005-05-28 22:31:35【☆☆☆☆☆】ユズキ
はじめまして。天翔です。読ませていただきました。猫は好きなので、どんな話かなあとドキドキしながら読んでいました。なんだか途中が日記風でいいですね。次回作を期待しています。
2005-05-29 16:48:57【☆☆☆☆☆】天翔
作品読ませていただきました。作品自体は御伽噺のようで、ほのぼのとはするのですがオチが弱いような感じです。というか、猫がどうして中学生だとか時間の観念を持っているのでしょう? お話ですから人間の言葉や社会概念が分かってもいいと思いますが、生まれたばかりで知識がないのではないでしょうか? もう少し主人公の猫の思考を幼く描いても良かったように感じました。辛口の感想になってしまい済みませんでした。では、次回作品を期待しています。
2005-05-29 23:03:09【☆☆☆☆☆】甘木
計:0点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。