『盲目の孤狼 【読みきり】』作者:影舞踊 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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そうじゃないだろ
お前と僕と……

そうじゃないだろ



――心を許せる友達なんておらんわ
――そんなん俺もや







 詳しいことは覚えていない。でもみんなそうだと思う。自分の周りにいる友達がいつから自分の周りにいたかなんて。律儀に日記でもつけていれば覚えているかもしれないけど、そんなまめなことをしてるやつに僕はあったことがない。
 まぁ全然覚えてないって言うのは嘘になる。そりゃ確かに出会って、そして何らかの話をしたり、それで気があって友達になったんだから。でもやっぱり覚えていない。どこまでが知り合いで、どこからが友達なのかなんて。
 やたら記憶力のいいやつがいる。誰だってそんなやつが自分の周りに、一人や二人いるもんだ。昔あった恥ずかしいことや、黙っておきたい秘密。友達になったきっかけ。そいつはいろんなことを知ってる。しかも僕の場合、そいつとの付き合いが長いからこれまた厄介だ。
 あの時おねしょしただの、あの時振られただの、あの時エロ本立ち読みしてただの、ひいてはあの時の金返せよ、までいろんな弱みを握られてる。まぁそんだけ弱みを知ってるってことは、こっちもそれなりに弱みを知ってるわけで、イーブンな関係は保てている。
 基本的に僕はやる気のない人間で、そいつはさり気な熱血。冷めてる僕からしてみれば、アホかと思うほど熱い科白を吐く時がある。まぁその分僕なんかより女受けがいいわけだが。
 正反対なんじゃないか、と思う僕と彼だがそんなこともない。勉強は嫌いだし、部活も同じで趣味も同じ。家も近いため小さい時からよく遊んだ。幼馴染といってもいいんじゃないだろうか。成績を比べると真面目に取り組んでる彼の方が若干いいのだが、勉強嫌いという根本的なところは同じだった。そんなわけで性格は違えど、やたら気が合った。
 こんな感じが友達というのだろうか?
 ふと思う。自分には友達と呼べる人物がいるだろうか? 時々そんなことを考えて、胸をはれる自分がいないことに気づき、少しへこむ。
 確かめる術はいたって簡単。その確かめたい相手に、「僕と君は友達ですか?」と、そんな風な言葉を吐き出せばそれで済む。
 でもそんなことはしない。だってそうでしょ。返ってくる答えにはメリットなんてない。
「当たり前」か「違うよ」の2種類。
 僕はそんなメリットのない質問をしたくない。だからそれを確かめたい時、僕はいつも遠まわしなことを言ってそれを確かめた。
 本当に臆病な人間だった。



――……あれは高校生の時だった。先にも書いたけど、僕と彼は仲がよかった。友達かどうかは別として。
 はたから見れば完全な友達。学校に行くのも、学校から帰るのも一緒。学校にいる間も一緒なわけなのだから。でもどこかでそれを認めていない自分がいた。
――仲間なんて要らない
――一匹狼に憧れて、悲しい遠吠えを繰り返す
――今じゃその理由も分からないけど


 朝学校に着くとチャイムギリギリ。そんな感じで僕らの朝は始まる。彼と一緒にチャリンコ通学で30分。
 「さぼるか」「できもせんくせに」「い〜やできるよ」「ほんじゃ帰れや」「……もうここまで来たしな」そんな他愛もない会話で30分のチャリンコ通学を満喫。僕と彼はいつものように教室へと足を運ぶ。
 仲は良いと思う。良いとは思うが、実際のところどうなのか。けんかをしない日はない。一日一回は口論をしている。どんな些細なことであってもだ。だが次の日には黙ってチャリ通30分。わけが分からない関係に、自然と周りの目もおかしくなってくる。
「なかええの〜お前ら」
 最近はあまり言われなくなったが、それは暗黙の了解化してきたため。僕と彼が付き合ってるなんて気持ち悪い噂まで立ってるしだいだ。というのも彼が、
「仲良かったらあかんのかっ」
 っておい、何でだよ。そんなツッコミを入れつつ席に着く。その様子がまた夫婦漫才のようだと言われ、よからぬ噂が立つのであるが。
 はいはいと流す僕とは対照的に、彼はこんな風に食って掛かる。「アホか。そういう態度をとるから誤解されるんだ」とよく言うのだが、当の本人は「やましいことはない」の一点張りで聞く耳を持たない。
 彼は本当にそんな感じで、でもそんな彼だからこそ僕は内心必要としていた。

 僕は人と馴れ合うのが好きじゃなかった。現に僕は必要最低限のことしか人と話そうとはしなかった。それでも僕の周りには数名の友達と思われる人がいて、その現状に満足していた。その現状が僕とは無関係に作られてると知った時、僕はどうしたらよかったのだろう。

 必要最低限のことしか喋らない僕も、彼と話す時だけは饒舌だった。言いたい事を言って、相手の言うことに反論する。正論であったとしても、それを受け入れぬことで笑いが生まれた。そうやって打ち解けあうのが絆だと、それが心地よいものだと、当時の僕にはかっこ悪すぎた。
 チャリンコ通学は時に辛い。特に30分もの長丁場となれば、疲れと退屈さが如実に現われてくる。雨が振った日、風が強い日、暑すぎる日、寒すぎる日、テストのある日。僕にとっては死にそうなほど意味のない時間で、なんでわざわざこんなしんどい思いをして学校に行かねばならぬのかという不満が、時に歯がゆく、時にやる気のなさを心のうちから引き出してくれる。
 だがまぁ、そんな思いをするのも今日だけだろうと、僕はしぶしぶ足を動かす。いつもよりもペダルが重い気がするのは何も風が強くて、太陽が頑張りすぎてるからじゃない。隣にいるはずの彼が、今日はいない。
 夏風邪らしい。大して熱はないのだが、こじらせるとまずいということで今日はお休み。だから、今日は先に言っておくれ、朝自宅にかかってきた電話ではそんなようなことをほざいていた。
 くそ、なんでお前だけ夏風邪引くんじゃ。学校を休むといういい思いをしている相棒に向ける怒りをペダルへと送り、自転車の速度を上げる。夏の風が頬を撫でるが、汗もかいてない今の状態では深い以外のなんでもなかった。
 話し相手のいない30分のチャリ通がこんなに苦しいものだと、こんなに長いものだということを、そのとき初めて知った。
 学校に着いたら、予想通りの言葉をかけられる。
「あれ? 今日は相方どないした?」
 片方が休むと決まってこういうことを言われる、のだろう。僕は何回か休んだことがあるが、あいつは今日が初めてだ。夏風邪で休んだ、丁寧にそんな理由を教えてやる気もない。大体、僕があいつといつも一緒にいると思われていることが腹立たしい。
「知らん」
 それだけ言って、僕は席に着く。いつも彼がいる時はそんな感じで終わらないなと思いながら。わいわいとちょっとした口論になって、それでも僕が突っ込むのでそのまま談笑になったりと、とにかくやかましくなる。僕は冷め切った行動で断ち切った会話を、ほんの少しだけ申し訳なく思いながら一時間目の教科書を取り出した。
 昼休み。ぼんやりと思う。なんか違うなと。
 休み時間は十分しかなく、そのどれもに移動が入っていたからそれほど気にならなかったが、昼休みになっていつもと違う違和感に気づく。誰もいない。
 もちろん教室には活気が溢れている。お弁当のおかずを交換し合ってる女子がいて、早弁してなくなった弁当の代わりに買う菓子パン争奪のトランプゲームをやってる男子がいて、そのどれもが楽しげな笑顔を浮かべている。見慣れた光景、聞きなれた喧騒。
 でも違うのだ。何が違うか、それははっきりしている。何でだろうか、今日は休みなんだろうか。僕の周りには、
 誰もいない。
 僕は頬を撫でる風に、今日の朝の電話を思い出す。あの時「夏風邪やなんでひくねん」と聞いたら彼は、「アホか、夏の風も結構寒いねんぞ」と、言っていた。その時は全く信じなかったが、半袖の僕に吹きかかる夏の風は確かに寒かった。

 6時間目。その時は突然やってきた。半ば分かりかけてた僕に、きちんと教えることが教師の仕事なのか。そんなことは微塵も知らない先生は、僕がはっきりと分からなかった部分を身をもって教えてくれた。
「はい、それじゃ英語の授業始めますけど〜、その前にっ。今日はちょっとゲーム感覚でやってみようかなぁって思います」
 先生のその言葉にクラスはざわめく。英語の授業で月に一回、ゲームを行う。文字通りのゲームでかなり楽。勉強をしなくていいのだから、流石の僕も心の中でガッツポーズをとる。6時間目であるからその喜びはより一層高まった。
「は〜い、静かに〜」
 先生が手を叩いて、皆の興奮を鎮める。静かになりはじめたところで、先生はゲームに使うプリントを配り始める。そして、配りながら言った。
「はい。このゲームは二人一組で行いますからねぇ。皆さん好きな人と組んで下さ〜い」
「誰でもええん〜?」
「はい、誰でもいいですよ」
 一人の女子の疑問からいっせいにがやがやと皆が席を立つ。僕はその中でめんどくさいなぁ、とか思いながらその場に座り続ける。そして、その時は来た。
「あれ、佐間君一人ですか?」
「えっ、あぁ……はい」
 ぼけっと座っていた僕は一人先生に見下ろされる。そう言えば今日久しぶりに喋った気がする。
「しょうがないですね、それじゃあ先生とやりましょう」
「……はい」
 淡々とゲームは進んだ。笑い声や、ふざけて叫ぶ声、それを注意する声。耳には届いたけど、僕は聞こえない振りをしてた。別に気にも留めない。向き合った先生よりも冷静にゲームを進めて、必要なことだけを喋る。
 そうしないと自分のことをひどく嫌いになってしまいそうだったから。

 次の日。彼は夏風邪復活で、いつも通り僕らは30分のチャリンコ通学。昨日感じたせいもあってか、その日のチャリンコ通学はものすごく楽で、早かった。学校に着くと、決まりきったことをまた言われる。彼はいつもみたいに返答して、僕はそれに突っ込みを入れる。
 いつも通りだった。それでも、昨日感じた違和感のせいだろうか。僕はその光景に吐き気を覚えた。
 教室で席に着き、授業が始まる。騒がしい教室、話す僕、笑う僕、話す彼、笑う彼。話しかけられる彼。
 休み時間。昨日とは違い、僕の周りには友達がいた。
 いや、違う。
 そう錯覚してしまう。僕の周りじゃなくて、彼の周り。何もかも違って見えた。見えないものが見えてくる感じ。僕は彼に憎しみを覚えた。
「お前ホンマに昨日風邪やったんか〜?」
「嘘つくわけないやろ。みんなのためを思ってやすんだったっちゅーねん。なぁ、ホンマやんなぁ佐間」
「……おぅ」

 僕の周りには誰もいなかった。彼が一緒にいることで、僕は勘違いしていた。知り合いと友達。境界線の引かれていない違いは、ひどく僕を迷わせた。一方で孤を好む自分がいて、もう一方で他を望む自分がいた。一人でいることが苦しいと、そう思わなかったのは彼が隣にいたからだった。
 それにも気づかず、一匹狼に憧れていた僕は湧き上がるその思いが何なのかに混乱し、見当違いの怒りをもった。僕が皆に必要とされず、彼が必要とされている。僕はいなくてもいい存在だ。彼はいなければならない存在だ。
 欝な気分の時はマイナス思考ばかりが働くもので、僕の頭の中はそんな思いでいっぱいだった。自分だけが惨めで、周りの人間全てが憎く思えてくる。自分と同じなのに。誰もが皆思っている。
――受け入れて欲しい
 誰しもあるちっぽけな不安が、自分だけは確かなものだと。盲目な一匹狼は、他を望む。そうしないと生きてゆけない気がするから。

――確かめたい。僕は必要とされているのか。
 たった一人でいい。
 僕を……、
 彼は僕を必要としてくれているのかを、確かめたい。

 帰り道。日も落ちて、あたりは薄暗い。部活も終わって帰る僕らは、いつもの定食屋に立ち寄る。休み時間の度に口数が少なくなり、それとは比例して態度だけが刺々しくなっていた。そんな僕に気づかないわけはない。彼は何かしたのかとしきりに聞いてくるが、僕は別にとだけ答えていた。
 そう答えるのが僕であるための、臆病な一匹狼の遠吠えだった。

「心を許せる友達なんておらんわ」

 ふと僕の口をついて出たのはそんな言葉。心の奥で燻ぶっていた確かめたいという気持ちが、歪んだ形で口をつく。もっと他に言い方はあったはずだ。あったはずなのに、僕の口からはこんな言葉しか出てこない。
 期待していた。
 僕とは違う性格。熱血で、社交的で、何にでも真剣に取り組む彼ならば、こんな腐った僕の性根を叩きなおしてくれると思った。

「そんなん俺もや――」

 時間が止まるとどんな感じなんだろう。意識だけがその場に渦巻き、呼吸ができなくなる。僕はその時、そうなった。今までのことが頭をよぎり、自分の存在が消えてゆく。
 予期せぬ言葉は僕の見える空間を狭め、手の届かない落とし穴に僕を放り込む。深い深い、そこは明かりの届かない闇の中。

――盲目の狼は慣れている
――盲目の狼は知っている

 その世界の苦しさを。その世界のつまらなさを。
 だから吠える。遠吠えをすれば、誰かが気づいてくれるかもしれないと。
 格好をつけて、孤独を満喫しているように。
 吠えるのだ。その孤独が楽しいかと、誰かに尋ねられることを望んで。



「――ってうっそ〜。お前何言うとん? 俺がその友達やんけ。少なくとも俺はお前が一番の友達や思とるで」
 彼はさりげなくくさいことを口にする。
「そうですか……」
 僕は精一杯の興味ない振りをして、それだけの言葉を口から搾り出す。彼は気にした風もなく「そうです」と言って暗い話題を変えた。話すたびに、喉に何かがつっかえて仕方がなかった。
 ほんの10秒足らずの時間だったが、確かに苦しかった。自分を守ろうとしていた僕は、その行為自体が自分を殺しかねないことだったと気づく。
 感謝の気持ちは忘れない。生きるうえで大切なのは恥であって、プライドじゃない。自分に必要なものを、自分に足りないものを、分かち合うべき存在をダサいと考えるのは今日で終わりにしよう。


――盲目の孤狼の遠吠えは今日限りで終わりにしよう





2005-03-20 22:28:45公開 / 作者:影舞踊
■この作品の著作権は影舞踊さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
書き終えて。伝えきることのできない自分の未熟さに辟易しながらも、ここまで読んでくださった方々にはただ感謝。結構長い割に伝えきれないと言うのは、本当に未熟(笑
テーマは決まっているのですが、それがきちんと読者様に伝わったかどうか(いや、毎回気にしながら投稿するわけですが(汗
感想・批評等頂ければ幸いです。
簡易感想、辛口意見もドンと受け入れますので。正直な感想お伝え頂ければ幸いです。
この作品に対する感想 - 昇順
読ませていただきました。友達じゃない友達は沢山いた。いつもつるんでいた相方もいた。けれど同じだと思っていた相方が自分より秀でているところに気づいたとき、私は相方を妬み嫉み羨んだ。気づいたら連絡を一切取らず、相方からの連絡は無視した。読んでいて、いつの間にか引きこまれ鬱っていました。けれど、佐間君は偉いよ。私が気づけず後悔したことに気づけたんだから。いつまでも孤狼を続けることの愚を知ったんだから。私にとっては苦く、辛く、良い作品でした。
2005-03-20 22:46:32【★★★★☆】甘木
拝読いたしました。面白かった…というと語弊があるでしょうか、あえて言葉を選ぶなら、染みました。日常を切り取ったようで、誰もが少なからず似たような思いをしているのでは、と深いことを考えさせられた作品でした。知り合いと友達の境界線は、自分では不安なものですよね。それをすがすがしくまとめたラストが良かったです。どこか救いを見た気がしました。
十代の少年特有の、あやうげな瑞々しさというのでしょうか?(何言ってんでしょうね、うまく言えなくてもどかしいのですが^^;)その微細な心象描写のすばらしさには唸らされるばかりです。
それでは、長々と語ってしまって申し訳ありません!影舞踊さんの手腕に敬意を表しつつ、とてもいいお話でした。
2005-03-20 22:57:27【★★★★☆】有栖川
ぐすん、と少しばかり涙ぐんでみたり。まずタイトルのつけかたの巧妙さに感激ですっ。どうやらあたしは孤独の『孤』とか『狼』とかっていう漢字に弱くてですね(笑)あたしはどちらかといえば主人公タイプかもしれません。いや、まあ放っておいても人は集まってきたり話しかけてくれたりするんだけれども、あたしはそれを時々本当に鬱陶しいと思ってしまいます。でもそれがなければないで、本当に淋しいと思うんでしょうね。友達と知り合いの境界線、きっと明確でないようでいながら、もしかするととっても明確なのかもしれません。胸に沁みる青春読みきり、感謝ですっ♪あ、ちなみに『――』と『一匹狼』が繋がっているので、少し読みにくいかもです(笑。そこだけ一応チェック(≧▽^)
2005-03-20 22:58:37【★★★★☆】ゅぇ
ども、読ませてもらいました。なるほど、と思わずパソコンの前で唸る。傍らに居る大切な人の重要が良く分かります。たまに居ますよね、対して気の合いそうでもないけど一緒に居ると安心というか、まったり出来る人。ともあれ、起承転結をきっちり押さえ、尚かつ展開の巧さに感服。ではでは〜
2005-03-21 00:14:21【★★★★☆】rathi
久々に影舞踊さんの作品を読ませていただきました。「孤独」と「寂しさ」とか気づかせてくれるって感じですね。くさい表現とか出来る人って最近いませんよね。周りにそうゆう人がいたら面白いんですが(汗)
次回作も期待しています。
2005-03-21 00:43:40【★★★★☆】朱色
およよ、と唸らせられました。前々から思っていたんですけど、影舞踊様は言葉選びのセンスが素晴らしいっすね。『いつもよりもペダルが重い気がするのは何も風が強くて、太陽が頑張りすぎてるからじゃない。隣にいるはずの彼が、今日はいない』うわ、うまっ(爆 ストーリの内容も、あーわかるわかる、と。ただ、纏りとしては素晴らしいですし、言わんとしていることも分かるのですが、むしろ、あまりに綺麗に纏まりすぎていて、自分的には少々意外性が足りなかったかな、と。もう一箇所、印象的でインパクトのあるシーンが欲しかったかです。いや、この掌編が自分ではか書けないぐらい巧すぎて、ちょっと意地悪な事を言ってみたりしてしまったわけですが、負け犬の遠吠えと思って聞き流してください(泣。それでは。
2005-03-21 01:29:29【★★★★☆】ささら
どうも、読ませていただきました。このひどく一人に自覚的な主人公は結構好みだったりします。そう、多分この主人公はずっと前から気付いていたはずです。一人であることと、一人じゃないことに。とくさいセリフっぽいものを吐いてみるのでした。しかし、この主人公にあまりクールさを感じません。冷たさを感じません。何だか凄く親しみやすいような気がする。いえ、勿論いい意味ですよ。さて、最後のシーンについて。多分、「彼」は友達か、なんて聞く必要ないと思っているタイプなんだろうな、と思います。そして、「臆病な一匹狼の遠吠え」に吼え返せるタイプでもあるのでしょう。じゃあ、甘えん坊の佐間くんによろしく言っといてください。では。
2005-03-21 02:51:32【★★★★☆】うしゃ
……すごい。この作品はすごい。だって、この主人公には誰だって感情移入できる。この計算し尽くされた『超・日常』の世界はすごすぎる。と同時に面白いのは、最後の部分で事実を受け入れて立ち直るところ。主人公の人間的な部分に触れられた気がします。それでは。
2005-03-21 13:21:54【★★★★☆】恋羽
おおっ、なぜかめちゃくちゃ久しぶりに影舞踊さんの短編で完全一撃ノックアウトされた気分だ。そうそう、これですよ自分が求めていたものは。上手い、純粋に上手いと感じる。主人公が自分の存在意義について自問自答するまでの道のりが抜群に良く、読み終わる前に「すっげえなあ」とつぶやいておりました。そしてまたこの主人公と神夜自身が重なる重なる。「あれ? 今日は相方どないした?」ってな台詞、自分が毎朝一緒に行ってる友達が休みだと必ず聞かれる言葉だ(笑) いや、この主人公のように相方が休みでも一人になるようなことはありませんけどね(苦笑) 影舞踊さんの短編にはつくづく弱いなあ、ということを改めて叩き込まれたこの物語。面白かったです、ありがとうございました。
2005-03-21 13:59:39【★★★★☆】神夜
ラストで主人公の救われた感じがもっと描かれていると良かったと思います(それまでの感情移入具合にもよるでしょうが)。話自体にもう二、三個ぐっとくる魅力的な部分があった方が良いと思いました。
2005-03-21 14:27:30【☆☆☆☆☆】メイルマン
ああ、抱きしめてあげたいわ――すみません。ちょっとタイプちがいでも少年の世界が続いたもので。自分の場合、もうこの主人公にはすっかり同調状態だったので、むしろ『感謝の気持ちは忘れない。生きるうえで大切なのは恥であって、プライドじゃない。自分に必要なものを、自分に足りないものを、分かち合うべき存在をダサいと考えるのは今日で終わりにしよう。』の部分は、ダメ押しではないかと感じてしまいました。つまりそれは伝えるべきテーマそのものであって、そのテーマを本編を通して語るのが小説である、そんな感覚です。で、そのテーマは自分にはラストの『ほんの10秒足らずの時間だったが、確かに苦しかった。自分を守ろうとしていた僕は、その行為自体が自分を殺しかねないことだったと気づく。』の直後に『――盲目の孤狼の遠吠えは今日限りで終わりにしよう』が続いたら、よりインパクトを持って直撃したかな、と。しかしこの心情はモロに来ました。もし自分がオカマのおじさんだったら、確実にほっぺたスリスリです(やめとけ)。
2005-03-21 15:47:08【★★★★☆】バニラダヌキ
では率直にイカせていただきます。主人公の心情トレースの丁寧さには文句のつけようもないのですが、話としては「大げさな作品」の一歩手前のような印象を受けました。英語の時間のゲームで、最終的に先生と組まされるまでの過程が完全に欠落している(ここの描写次第では2点捧げていたかも、というくらい重要な場面だったと個人的には思います)ため、状況としての悲壮感が絶対的に不足。そしてそんな状況下で綴られる心情吐露は、結局主人公が無理やり自分を悲劇のヒーローに仕立て上げているだけに映ってしまいました。作品を通して、主人公のあり得ないくらいの精神の脆さ、感受性の強さばかりが鮮烈に伝わってきたあまり(これはこれで素晴らしくハイレベルなのですが)、「友」について何かを考えたかと言うとNOです。またラストの三行については、私も「これを書いちゃあ身も蓋もありまへんがな」と思いました(笑)。
……ちょっと率直過ぎましたか(汗)。しかし、これも私なりに真剣に読んだ結果ですのでお気を悪くされぬよう。次作も期待しております。
2005-03-21 19:46:23【☆☆☆☆☆】明太子
なんだかノスタルジックな話ですねぇ。二人一組で行うゲームの場面とか特に。ああいうのは小中高と苦手でした。友達が多い場合は選ぶのに迷い、少ない場合は孤独を味わう可能性あり……二人一組は怖いです。
2005-03-21 20:36:07【★★★★☆】月海
拝読致しました。やはり、冒頭といい、影舞踊様の作品には惹き付けられるものがあると思います。内容は『友』という、難しくて誰しも一度は考えることで、共感出来るシーンなどが多々あったりで違和感なく読めました。途中さすがに一人も佐間に寄って来なかったのはちょっと孤独過ぎたんではないかとも思ったのですがね。でも、それがより孤独感と彼の感情を伝えるに役立ったと思いますが。むしろ、個人的には最後の『彼』の気持ちに安心した描写がもう少し多ければ、全体的な“悲劇の一人舞台”の感じが消えるかもな、と思った次第であります。それでは、次回も期待です。
2005-03-21 21:44:33【★★★★☆】昼夜
良いか悪いかと聞かれれば、良い作品だと思います。けれど、少し物足りなさも感じたり。途中でもうワンシーンくらい見せ場があって、最後の数行がもう少しすっきりとしていたらラストの一言がかなりグッと来たかな、と。主人公の心理描写の巧みさはさすがだと思いました。次回作にも期待しています。
2005-03-21 21:59:52【★★★★☆】夜行地球
レス返しがとんでもなく長くてごめんなさい。(先に謝っておきます)
>甘木様 鬱ってしまうような作品を書き大変心苦しく思っております。書いていて、自分でも思いました(苦笑 こんな人は案外たくさんいます。かく言う影舞踊も(とか言いながら個は大嫌い(笑) 佐間君には個の大切さを知って、他の必要さを学んでもらいました。御読了ありがとうございました。
>有栖川様 全体的に暗かったと思います。ラストはきちんと明るい方向へと向かわせましたが(笑 久々……でもないのですが、こういった心情描写をつづった作品を書くのが影舞踊の息抜きなのでしょうか(いや、微妙に疲れるけど(笑) もったいない言葉、ありがとうございました。
>ゅぇ様 作品を書いた上で何より嬉しいのが、多かれ少なかれ感謝と言うことをされることです。影舞踊の乾いた心を癒してくれます(は? 一人でいると楽でいいのですが、無性にむなしくなる時があります。それプラス、嫉妬というのは誰でも持ちます。特に身近な人が秀でている時。影舞踊も友人に感じました、んがまぁ大人になってくると「どうでもいいやぁ」ってなりますね(苦笑 温かい言葉、ありがとうございました。
注:一匹狼と――の部分。直そうかとも思ったのですが、アップして皆様の作品を流してしまうのが申し訳ないので、このままで。(読みにくくてごめんなさ〜い
>rathi様 お褒めの言葉素直に受け取りますよ〜(マテ 起承転結できておりましたか? こう言ってしまうとなんなのですが、実は何にも考えずに書いてたりする時があります(申し訳ない 気が合う人ってのは本当にやりやすいです。なんも喋んなくても(喋り始めたら止まらないのに)、全然居心地悪くないですからね。御読了ありがとうございました。
>朱色様 くさい表現。かなり仲がいいやつでないと言わないですね〜。しかもハイな時か、やけにしんみりした時。この作品中の彼みたいに、常日頃からくさいことばっかり言うやつがいたら確実にキモイです(笑 久々の影舞踊作品、読みやすかったでしょうか? そうであったことを祈っております(コラ 読んでいただいて本当にありがとうございました。
>ささら様 誉めすぎです(笑 はい、馬鹿は置いといて。言葉選びのセンスを誉めていただきありがとうございます。意外性、インパクトのあるシーン。おそらくゲームのシーンですかね。そこをもっと深く掘り下げればよかったか、それとも他にもう一山。纏まりだけを考えて書いたので、次回はもっと推敲して書いてみようと思います(でもダメっぽい(笑 貴重なご意見ありがとうございました。
>うしゃ様 案外この主人公は影舞踊なのかもしれません。俳優が演じる役は全部その俳優に隠された顔だと思っているので。クールさや冷たさを感じることができないのは、影舞踊自身がそこまでの経験をしたことがないからですね(たぶん 色々経験を積まないと思ってる影舞踊です、はい。佐間君は依然として一匹狼が好いと言ってました(笑 御読了ありがとうございました。
>恋羽様 超日常。このような短編を書く際、できるだけ皆様に感情移入してもらおうと影舞踊なりに努力していたりするわけで、そう言ってもらえると凄くありがたいです。掌編を書く場合、おち付きよりも圧倒的にこっち系が多いのですが、面白かったと言ってもらえて一安心。御読了ありがとうございました。
>神夜様 前回はガラにもなくおち付きショートなんぞを書き、今回はまたこんなのを書いてみたわけですが、気に入ってもらえてよかった。誰でも感じる疎外感。特に他が大勢いる中での孤はひどく辛いものだと思います。こういう経験をする人は多くいるんじゃないかと思い、書き上げた作品。佐間君のような人を見かけたら、話しかけてやってください(笑 身に余るお言葉ありがとうございました。
>メイルマン様 ほとんどが暗い展開なので、ラストは救いの感じを書こうと決めていたのですが、もう少し書いたほうが良かったと。直接的にガンガン描かず、それとはなしにそっち方向に徐々に主人公を引っ張っていくみたいなのが良かったのかも。ぐっと来る部分、一箇所しかないですからね。次回は違う感じで書いてみたいと思います。御読了ありがとうございました。
>バニラダヌキ様 >明太子様
根本的な小説と言うものを分かっているようで、全然分かっていないことに気づかされました。テーマをあえて語らずに(いや、多少は書くのでしょうが)、小説中の言葉だけで読者様に伝える。影舞踊の悪い癖を、お二人に指摘されて気づきました。どうやら自分は思いついたことを全部かいてしまわないと、安心できないようで。ラスト数行は確かに駄目押しですね。そこまで丁寧に書く必要はないのだと(ある意味考えさせる範疇を残しておく)、次回書く際はこの根本的なことを肝に銘じ、書きたいと思います。
それから、ゲームでの先生との組み合わせの過程。もっと詳しく書くべきでした。これは、影舞踊の描写力の低さのせいだと思われます。ので、次回作は描写力強化も念頭に執筆してみようと思いました。自分で描いていても若干感じた主人公への違和感。お二方とも、不完全な作品に対して温かく熱心なお言葉、ありがとうございました。
>月海様 ノスタルジック。影舞踊が描くこの手の作品に共通して流れるものかもしれません。自分では違う感じで、描いているのですが(苦笑 次回からもこのような作品を書く際は、マンネリ化せぬよう心がけていきます。二人一組は影舞踊もあんまり好きじゃないです。何よりめんどい(そっち? 御読了ありがとうございました。
>昼夜様 悲劇の一人舞台。もう、自分でも嫌と言うほど感じますね(マテコラ 書いた時に若干感じた違和感。それを拭い去ることができなかった自分の力を良く考え、次回の執筆に気をつけたいと思います。誉められた冒頭だけでなく、ラストまで読者様を引っ張っていけるような作品を次回はっ! とまぁ意気込んでも、すぐにヘタレます(笑 真剣な言葉ありがとうございました。
>夜行地球様 纏める事に集中しすぎて、インパクトのあるシーンに気を遣うえなかったというミス。大分前に反省したはずなのに……小説って難しいなぁと(汗 ラスト数行に関してはくどくどと書きすぎですね。心情描写だけでなく、情景描写。次回はこの点に気を遣った作品を書いていきたいです。御読了ありがとうございました。
 皆様温かい言葉、ためになる助言、本当にありがとうございました。執筆をするに際して気づいていたようで気づかなかった点、改めて見直す点。これからの執筆に生かせて行けたらと思います。ありがとうございました。
2005-03-21 23:20:46【☆☆☆☆☆】影舞踊
前半の友達に関する部分は、自分もかなり考えました。自分の周りにいるのは本当に友達なのか、それとも違うのか。思えば中学時代はよく考えていたんですが…高校に入ってからどこか「こんなものか」と人付き合いを軽視している自分がいました。この事に気づけたのも影舞踊さんの作品のおかげです。次回作、期待しています!
2005-03-23 22:11:20【★★★★☆】森山貴之
おおう、森山様ありがとうございます。危うく気づかぬところでした(笑 人付き合いは大切ですよ。軽いものは結構はねつけたりしてしまう影舞踊ですが、人との繋がりは一生もんです(いい事いった 「人付き合いの大切さに気づけた」作品にっとてはこれ以上ないほど嬉しいお言葉です。今後も精進していきますwありがとうございました。
2005-03-24 12:58:18【☆☆☆☆☆】影舞踊
計:56点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。