『『人間殺人鬼アカネ』  第参話。』作者:羅刹‐紅 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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赤く低い地と青く高い空。
今俺は、赤く低い血を見下ろしている。
必ず俺が、凍てついた世界を溶かすんだ。





『人間殺人鬼アカネ』  第壱話。「ネジとクギ」







――――ガヤガヤ。


町中がある事件の事でざわめいている。
恐ろしい事件に皆はビビっている。
その恐ろしい事件とは、一ヶ月前の事だった。

ある日の晩、1人の女性が夜道を歩いていた。
だが、辺りには結構人もいて店も並んでいる。
そう、全くその道は明るいのだ。
そしてその女性がコンビニに入った。
その時、事件は起こった。

その女性がコンビニの雑誌を手に取ったと同時に
女性の頭がいきなり打っ飛んだのである。
それを見ていた客や店員も目が点になった。
周りには血がグチョグチョと飛び出る。

実は何の前触れもなく、何もないところでの殺人だったのだ。
簡単に言えば、勝手に頭が打っ飛んだ。
そう、誰かの手によってじゃなく、勝手に。
周りから見れば、不思議な事だった。

何者かに襲われた形式ではあるが
目撃者も「勝手に女性の頭が飛んだ」としか言わない。
そして、必ずその頭は無くなっているという。


警察にも何が何だか分からない。
だから、どうやって調べを進行すれば良いのかさえも分からない。
ただ「人間の仕業ではない。」というだけだ。


それがこの1ヶ月間毎晩続いている。
人間達はそれが恐ろしくてたまらないのだ。

この犯行は確かに人間の仕業ではない。
普通の人間の目では見えない『死神』の仕業なのだ。







「はぁはぁ…。」
「此処まで逃げれば…もう平気だろ?」


 深夜3時まで走り続けた、2人の少年。
 こいつらは普通の人間の目では見えない、死神なのだ。
 そう、今までの殺人は全てこの2人が犯したのだ。

 死神の使命とは、一般に人間の生首を天上(死神の界)へ届ける事。
 その生首は、天上にいる王の大好物であり、死神の大好物でもある。
 死神の食い物とは、死んだ人間の贅肉を食うという。

「…つーかリュウ。何で俺たち逃げてんだよ…人間には見えねぇだろ。俺達。」
 この死神の名は、【進藤 赤音(しんどう あかね)】少し天然。
「…違ぇーよ。気付かなかったのかお前…。居たぜ…。“あれ”が。」
 こっちの死神の名は、【白瀬 龍(しらせ りゅう)】凄く敏感。
「やっぱり居たのか。良いよ今日は帰ろう。」


 2人が人間界で恐れる者、それは―――。
 【死神が見える人間】この世には数人しかいない。
 死神は、その人間に触られると一瞬で消えてなくなる。
 そして死神が滅びれば、下界以外(天上)の死神は滅びると言う。
 だから、2人はそれを恐れるのだ。

 死神と判別するのは途轍もなく容易である。
 死神の背には、大きく黒い翼があるのだから。
 
 
 そして、この問題も既に世界中に広まっている。
 色んな会議で話し合わされている…大問題だ。
 そんな中、独りで恐怖に落ち毀れたと言う少年が居る。
 有名高校に通っている優等生で名は、【霜野 紬(しもの つむぎ)】
 この高校生が恐縮して頭を抱える理由、それは―――。







   死神を見てしまったというもの―――――






『人間殺人鬼アカネ』  第弐話。「光と闇」







「…俺が見てしまうなんて…な。」
「何だよさっきから動揺して…?」
  
 霜野の部屋で勉強をしにきた、楓 光公(かえで みつく)。
 勿論、頭は相当冴えているが霜野ほどでもない。
 そして、楓の気にしている事とは霜野の様子。
 さっきから狂って仕方がないのだとか。

「…紬!頭逝ってんじゃねぇのか?勉強するぞ?」
「お前には分からなくて当然さ…は、はははは。」
「どうしたんだよ?お前らしくねぇって。」

 もはや、霜野には自分らしさすら忘れていた。
 記憶にあるのは、【黒い翼を掲げた死神】の2人組み。
 それの事で頭がいっぱいなのだ。

「光公…。お前は最近巷で起きている事件知ってるか?」
「…あの…『生首切断事件』か?恐ろしいぜよあれは…で。どうかしたのか?」
 
 すると、霜野は不気味に俯いて高笑いする。
「俺分かってきたよ段々…あの謎の事件の真相がね。はっはっはっ!」

 おかしいんじゃないかと思った楓は霜野に「根拠は?」などと質問攻め。
 だが、霜野が答えは意味が分からないし有り得ない。
 そう、【死神が見えた】なんて信じてもらえるわけがないのだ。
 
「…はぁ。今日はお前も勉強なんてする気じゃねぇだろ?帰るぜ。」
 呆れた表情で鞄を持ち部屋を立ち去ろうとする楓。
 するとその時、霜野が楓に優しく口付けをした。

「?ぁッ!?んぁ!?バカか!?何しやがる阿呆!俺そっち系興味ねぇよ!」
「そんな気は俺にだって無いさ…だけど今夜辺り、光公に何か起きるよ。」
 自信気に語る霜野に、楓は動揺を隠せなかった。
 そのまま楓は部屋を出て行った。



 霜野は何を言っても納得しない楓に少し怒っていた。
 だから、自分の言いたい事を分からせてあげたかった。

 

 そう、霜野と楓の突然の接吻には深い意味があった。






(紬の家では勉強が出来なかったし……家でやるか。)
 

 霜野家から帰る途中の楓だが、やや不機嫌気味。
 何せ、親友の霜野がおかしく狂気になって、
 ただ、喚きまくって勉強をしようとしないからだ。
 楓は、持って行っていた鞄をブラブラ揺らしながら歩く。
 目はいつもよりやや細めで、キレている。

 普通に前を見て歩き段々顔も穏やかになっていた。
 さっきのキスがまだ気になり、唇を摩る。
 今でも、あの時の変な感触が身体に染み付いているのだ。


「……んぁ?なぁっ!!何だありゃぁっ!!」

「ハァッ!?何々!?うるせっ!」

 楓には、何故か目の前には変な妖怪が見える。
 勝手に瞳の奥に刻まれていく謎の妖怪。
 そう、黒翼のある【死神】を見てしまったのだ。
 
 視線が合い、見つめっ放しの3人。
 何かを予感する様な訳の分からない現状。
 本当は驚愕で震えるように恐ろしいと感じる楓。


「……あっ!コスプレか!変な趣味っすねアンタ。」
「えっ?あぁ……そぉそぉそぉですっ!マジ変態っしょ?(笑)」

 そのまま笑いながら擦れ違った。
 その時は、楓の心は其処まで揺れては居なかった。
 揺れていた方は、【死神】の方だった。

「……リュウ?今のがお前の言ってた奴か?」
 酷く驚いた表情で窺う進藤。
「否、違うな 俺が見た奴は他にいる。だけど、こうなるとヤバイな。」
「あぁ、そうだな。この地域の2人も居やがるんだし。」

 2人はそのまま形相を変えてノロノロ歩き出した。
 恐るべき人間を更に発見したのだから、通常ではいられない。
 だが、それが【死神】それが運命なのだから――――。





『人間殺人鬼アカネ』  第参話。「必然な運命」


 眩しい日差しが部屋に染み渡る。
 そう、朝が来たのだ。
 霜野は休日も勉強しているが、今日は違った。
 休日を勉強以外に利用する事にしたのだ。



―――ピンポーン!


「あっよぉ 何だよ用事って……?」
「聞くな、まぁ勝手に上がれ」

 霜野は2階の部屋に誘った。
 勉強道具も持って来ていない楓だが
 様子はなんら変わっていない、尋常だ。
 だが、霜野だけは何かがおかしいのだ。

―――ガチャ。

 霜野と楓はその場に座った。
 一瞬だけ静かな間が過ぎる。

「なぁ……光公、昨晩何か変な者を見たか?」
「変な者?んー見てねぇな、どうかしたか?」
 霜野は顔を少し顰めた。
 細かく瞬きをして頭を抱えた。
 しかし、思いつく事は唯一つだった。
「そうか 別に、何でもないんだ……。(昨夜は現れなかったか死神)」

「あっ!そういえば変なコスプレ2人組みなら見たぜ?」
「……コスプレ!?背中に黒翼のついた奴らか!?何処でだ!?」
 突然それを聞き慌てる霜野を前に
 動揺しながらも気にする楓だが気持ちを収めた。

「よく分かったな(笑)……確か、沌閃橋の端のほうに……。」
「そうかっ!!分かったっ!お前もう帰って良いぞ!」
 と言って、霜野は家を出て行った。

 全速力で走り続ける霜野は、勉強だけでなく運動も出来る。
 しかも、陸上の大会で優勝するくらいのレベルだ。
 今霜野の頭にあることは
 【死神】について何かが知りたいッ!!それだけだった。












――――グチャァ


「なァッ!!また起きたぞぉ!!女性の首がぁー!」
「うるせぇよジジィ…」

――――グチャァ



――――――――――――逃ゲロ。



 今日もまたコンビニで事件が起きた。
 綺麗な女性と老いた老人の2名の首を切断。
 殺めを急ぐ彼の目は狂気に満たしていた。
 そしてその5時間前もデパートで8人が首を切断されていた。

「おぃおぃ…またかよ…フザケンナよ…」
 静かに胸を撫で下ろす楓。
 橋の方に走っていた霜野も遅れてやってきた。
 そして辺りを見渡してまたも走り出す。

「っつぁ…待てよツムギぃ!!」
 楓も下野の後を走って追った。



――高層ビル屋上  −深夜−


「……」

 1人夜空を見渡している白瀬。
 冷たく冷めた表情で自分の唇を弄う。
 そして長い爪で自分の胸を切り裂く。
 褐色のした死神の血が垂れる。

「無様だな俺も…あんな事になるなんてなァ…」



「リュウッ!!此処に居たのかよ!探したぞ馬鹿ッ!!」
「……何で来るんだよ…アカネ。」
 胸の傷を隠して進藤の前まで歩く。
 そして上目使いで睨んでしまう。

「どうしたんだよ…?お前らしくねぇ…殺人ノルマ超えてんぞ?」
「うるせえよ…」
「10人も殺して…何がしたいんだよ!」
 沈黙して髪を弄る白瀬。
「しかもその生首は全てお前が食べるなんてよぉ!!おかしいぞ!?」

「うるせぇんだよ!アカネぇ!」

 イライラした事を収めきれなく、白瀬は進藤に怒鳴った。
 そして、言い過ぎたと想い後ろを向く。

「…今日のお前何か変だな?何かあったのかぁ?」





「しくじった   俺…人間と話したんだよ」











2005-02-15 19:34:43公開 / 作者:羅刹‐紅
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■作者からのメッセージ
間違えていたので修正しました。

少し遅くなりましたが更新しました。
人殺しはやはり怖いものですね。
そして加速する4人の現実逃避。
霜野の全力疾走を見つめる楓と
偶然橋で出会った死神たち。
遂には死神が人間と話したという!
危険な立場に陥った現状でどうなる!?死神!
それではぁー次回をお楽しみにぃーv


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