『蹴球伝説-Second- 第一話』作者:流浪人 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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〜〜前作のあらすじ〜〜

風間竜平と風間竜三の壮絶な親子対決から八年。
そして今、次世代の少年の物語が始まる…………



第一話 「帰って来た男」


「ふぅ……久しぶりの日本だなぁ。親父、元気にしてっかなぁ?」
世界トップレベルのイタリアリーグ・セリエAからの凱旋帰国。
八年間、イタリアで充分過ぎるほどの結果を出してきた。
チーム記録となる、ユベントスの八連覇に大きく貢献した。
31歳の今年、イタリアを離れ、これからはJリーグでプレーする。
その男の名は――――――
「ただいま、親父。」
「たくましくなったな、竜平。」
―――風間竜平。

一方、その頃札幌では――――
「おい、竜次!パスミスが目立ってるぞ。しっかりしろ!」
「言われなくてもわかってますよ」
「わかってるなら直せ!ったくもう……」
「先生、ちょっと厳しすぎるんじゃないですか?」
「これでもまだ甘いぐらいだよ」
「あいつ、まだ中学一年だし、サッカー始めたばっかりですよ?」
「関係ないさ。なにしろあいつの親父はあの風間だからな」
「まぁ確かにそうっすね。ははは、心配しすぎかぁ」
「ゴチャゴチャうるせえよ!」
「さっきから黙って聞いてりゃよぉ!!」
「竜次!先生に向かってその口の聞き方は何だ!!」
「うるせえよ!親父が誰だとかそんなの俺には関係ねえんだよ!」
「……どいつもこいつもクソ野郎どもが……」
俺がサッカーを始めたのは、二ヶ月前。
中学校に入ってすぐに、サッカー部に入った。
それまでは、親父への反抗心からサッカーは嫌いだった。
そんな俺も、事情があってサッカーをやることになった。
サッカーをやっている今でも親父と爺ちゃんは嫌いだ。
あいつらのせいで、俺は周りから特別な目で見られる。
俺が親父を嫌いな理由は他にもある。あいつは最悪な事をした。
まあ何にせよ、俺があいつらを許すことは無いだろう。
俺は時々、風間の血なんか引きたくなかったと思うことがある。
あいつらがどんだけすごいかなんて、俺にはどうだっていいんだ。

その日の夜、親父が家へ戻ってきた。
「八年振りだな、竜次。こんなに大きくなりやがってぇ!」
「……うるせぇよ」
「なにぃ?」
「うるせえって言ってんだよ!!」
俺は自分の部屋に戻った。
「親父。あいつ、なんかあったのか?」
「サッカー部で色々あったみたいだぞ」
「そうか……あいつもあいつなりに苦労してんだなぁ」

1ヶ月後。サッカー部ではある話題で持ちきりだった。
「おい竜次!マジかよこの記事。お前の親父すげえな!!」
『風間竜平、帰国早々の圧巻ハットトリック決める』
スポーツ新聞の一面を飾っていた。
「あんなやつ親父なんかじゃねえよ」
「な〜に照れてんだよ。サッカーも教えてもらえるし、最高じゃんか!」
「そんな良いもんじゃねえよ!!」
「お前にわかるか!?お前に俺の気持ちがわかるのか!!!」
「俺は親父が嫌いだし、親父と比べられんのはもっと嫌いなんだよ!」
「……わかったらもう親父の話はしないでくれ」
「わかったよ……悪かったな、お前の気持ち知らずに嫌なこと言っちゃって」
「気にすんな、伝えとかなかった俺が悪いんだ」
「俺は新堂修(シンドウオサム)。よろしくな!」
「俺は風間竜次。こっちこそよろしく!」

2ヵ月後の新人戦に向けて、俺の物語が始まった。


続く
2003-10-18 23:09:33公開 / 作者:流浪人
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