『僕らの背中【読みきり】』作者:影舞踊 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約5.21枚

「やっぱり外見より中身だよね〜」
―よく言う
「あんたそんな事言って結局は顔じゃん」
―そうそう。そんなものだ
「んなことないわよ失礼ねぇ。私の選ぶ男は顔もイイだけですぅ〜」
―神はなんというひいきをするのだろう
「はいはい」
―君も呆れるならば僕らを見てくれ



    「僕らの背中」



 人は必ず人を見る。人に触れ、人を感じ、人を好む。だがその間に生まれるのは様々だ。可愛さ故、哀れみ故、性欲故。僕らも同じように見られている。口ではなんと言ったってやっぱり人はかっこいいものが可愛いものが好き。いくら人前でごまかしてみたところで、1人になれば隠せない。どうしたって人によく見られようとするし、好まれようとする。誰であっても当たり前のことだ。
 僕らも同じ運命。そりゃあたまには違う人もいるさ。でも大抵人は外見しか見ない。中身なんて知ったこっちゃないんだ。ただ自分の周りを明るくしてくれるものを求めている。
―大丈夫。僕は君を楽しませて上げることが出来るよ。僕の事を見て…
 …やっぱりダメだ。僕らはいつもこうさ。そうそう、子供は親の背中を見て育つって言うよね。だけど僕は背中を見れば大概のことが分かるんじゃないかって。確かに詳細なことは分からないよ。もしかしたら想像していたのと全く違ってたってこともあるかもしれない。でも分かるんだ。彼らが今までに歩んできた道のり、苦労、そして今。それら全てが詰まったようなものなんだよ。僕の周りの彼らもこのことには賛成してくれた。でも結局背中を見れるのは自分じゃ無理なんだけどね。だからみんなにそれを見てもらいたい。僕らがここにいるよってことを教えたいんだ。
―そうそう。僕らの中身を見てごらん。きっと好きになってもらえるか…
 …やっぱりそう上手くはいかないものだね。何が起こるかわからないのが常な世の中だけど、そうそう変わってくれるものも意外と少ないもんさ。話を戻すけど、背中の話だったかな。こんなに僕らは静かで、大人しくて、見向きもされない様な所にいるんだ。背中ぐらいは出させてくれてもいいんじゃないか。でもそれは無理。スターって言う存在があるもの。輝いて、着飾って、彼らの周りはいつも賑やかで、僕らの存在をいっそう薄くさせる。中にはちょっと疲れたスターもいるけれど、それはとっても名誉なことなんだ。僕らは違う意味で疲れていくからね。
「おいまじかよ。どれどれ?」
「ばかっやめろって!声でかいんだよっ」
「何顔赤くしてんだよ」
 年頃の中学生か。彼らには僕らはきっと見向きもされないだろうな。同じなのにどうしてこうも扱いが違うんだろう。そうか、彼女らもスターだからだ。彼女らは美しく、僕らは醜い。だから僕らは顔を見せちゃいけないんだ。僕らの方が先輩だとか、彼女らは僕らよりも今の君達に悪影響だよ何てことは口が裂けてもいえないし、もともと言うことはないけどね。それでもやっぱり目の前でそういう行為を見せられるとちょっとジェラシーを感じちゃうよ。
「でさぁ〜」
―今度は女子高生(大生)か…どっちも今時の娘だなぁ
「やっぱり外見より中身だよね〜」
―よく言う
「あんたそんな事言って結局は顔じゃん」
―そうそう。そんなものだ
「んなことないわよ失礼ねぇ。私の選ぶ男は顔もイイだけですぅ〜」
―神はなんというひいきをするのだろう
「はいはい」
―君も呆れるならば僕らを見てくれ
 しばらく話をした後、彼女らは目的のものがあるらしく1人はスターの方へ、そしてもう1人はなんと、僕らの方へ来た。我先にとばかりに騒ぎ始める僕の友達達。こんな機会はめったにない。
―さぁぼくの背中を見てよ
―僕の方が広いでしょ
―何を、僕の方が綺麗だよ
 口々に思いのたけをぶつける。目の前の彼女は僕らの背中を見つめじっと考えるように目だけを動かす。ゆっくりと細く長い指で僕らの背中を撫で、何かを探すように見つめる。
―僕らの背中に何かついてる?
 何も分からないまま、彼女は指をはたと止めた。ゆっくり腕を下ろすとその場を後にする。
―あぁいかないで
―僕らを見てごらん
―きっと楽しませてあげるから
 声が届くはずもなく、僕らの望みは費える。きっとはじめからこうだったんだ。彼女は僕らに興味なんてなかった。ただ暇だったからさ。そうさ僕らは背中しか見せれないんだから。



「あった?」
「う〜ん、残念。売り切れか仕入れられてなかったみたい」
「そっか。ていうかマジレポートウザイよね〜。なんで名前も知らないやつの面白くもない本読まなきゃなんないのかねぇ?」
「あぁ〜めんどくさいなぁ。…遊びにいこっか?」
「おっけ〜!カラオケ行こっ、カラオケ!」





「おいっこの背表紙のやつもういいわ。古本に出すか、廃棄しといてくれ」
「は〜い。わかりやした」

―やっぱり背中だけじゃ語れないことが多すぎる……
2005-01-06 11:05:40公開 / 作者:影舞踊
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■作者からのメッセージ
果てしなく土下座(スイマセン
意味不明な分を投稿してしまい(じゃぁすんな 特に言いたかったことは最後の1文だけなんですけどね。
人間にも本にも言えると思ったんで、結果このようなやつが誕生したわけです(笑
感想・批評等頂ければ幸いです(ヘコヘコ
この作品に対する感想 - 昇順
読ませていただきました。しばらくは読専(読者専門)の卍丸です。影舞踊さんがこのような「オチ付き」のショートを書かれるとは予想外だったので、最後の三行を読んだ瞬間思わず嬉しい悲鳴でした(笑 このアイディア自体はとても面白いのですが、序盤の「語り手」の表現の中に、ちょっと解り難い部分が見受けられたのが惜しかったです。恐らく最後のオチを際立たせる為に、敢えてぼかした表現を取られたのだと思われるのですが、もっとシンプルに攻めても良かったかもしれませんね。オチそのものは全くの予想外だった為、新鮮な驚きでした。しばらくは読専としての登場になりますが、これからも影舞踊さんの作品を楽しみに読ませていただきますのでっ。
2005-01-06 15:16:48【☆☆☆☆☆】卍丸
どうも、影舞踏さんの作品は今回が初めてです。オチは意外性はかなりあって、なかなか良かったです。伝えたい事も結構ハッキリしててさくさくと読めました。ただ、卍丸さんも仰ってますがちょっとぼやかしすぎて分かりづらい所もありました。ではでは
2005-01-06 18:05:44【★★★★☆】rathi
読まさせて頂きました。やっぱり卍丸さん達と同じく、内容を少しぼかしすぎていて分かりにくいかなっというところもありました。でも、話の流れや内容は面白くってどんどん読む事が出来ました。次回作も頑張ってください☆
2005-01-06 20:09:17【☆☆☆☆☆】満月
○自体の意識、という着想は面白かったです。果たして人が○を選ぶ要素は――その産みの親とか、○や親の名前がマスコミでいっぱい流れているかとか、どっちかというと顔や背中というより先入観のような気も。個人的にはやっぱり親を問題にしてしまう爺いですが、ほんとは顔なんて見せていない背中から、直感的にめぐり合い、そこから中身や家柄に惚れていく、そんなのが理想ですね(フェチです)。
2005-01-06 20:55:28【☆☆☆☆☆】バニラダヌキ
始めまして。読ませていただきました。最後ら辺を見て「おぉ〜なるほど」とおもわず感心してしまいました。こうゆう奥が深いものっていうのもいいですね。次回作楽しみしています。
2005-01-07 04:26:19【☆☆☆☆☆】朱色
ちょっとわかりにくい部分もありましたが、オチは良かったと思います。最後の一文を伝えたい、というのは自分も結構あります。笑 次回作も期待しております!
2005-01-07 11:41:48【☆☆☆☆☆】流浪人
皆様レスありがとうございます。このような読みづらい作品を… わかりづらいところは「確実に」自分目の力不足でございます。これからも皆様の作品をたくさん読んで、頑張ろうと思いました。
>卍丸様 オチに気を遣いすぎたためか、わかりづらいところが多々あったようで、次回からはその辺をよく考えます!しばらくは読み専門になられるとのことで、これからもよろしくお願いいたします。
>rathi様 いやはや、わかりづらい作品を読んでいただき、嬉しいお言葉ありがとうございます。オチがこの作品の全てです(笑
>満月様 どちらかというと、ショートが苦手な影舞踊で、読んでいただきありがとうございます。わかりやすくをモットーにですのにわかりづらいって(ねぇ?ダメじゃん(笑 これからもヨロシクです。
>バニラダヌキ様 ネタバレのために○を使ってくださっているのですね!?なんと嬉しい気遣い!人にも○にも言えることかなぁと思い書いたのがこの作品で、青二才の作品を読んでいただきありがとうございます。
>朱色様 初めまして^^奥が深いとのお言葉ありがとうございます。まだまだ未熟者で、これからも頑張っていきたいと思いますので、よろしくです。
>流浪人様 この作品はもうオチが全てで(笑 その分読みにくさ最高☆(コラ)でしたね。すいません。
総評として、わかりにくいとの事…次回はわかりにくくないよう注意しますっ!レス嬉しかったです。
2005-01-07 12:33:23【☆☆☆☆☆】影舞踊
どうも青いリンゴです。読まさせていただきました。自分の読解力が悪いのかちょっとわかりにくい部分がありましたがそれも最後のオチでチャラになりました(笑 次回作もがんばってください!
2005-01-07 17:38:32【☆☆☆☆☆】青いリンゴ
主人公に哀愁が漂う感じがよかったです。文章も読みやすかった。最後の最後まで主人公が予想できなかったのです。
2005-01-08 01:59:20【★★★★☆】結城圭仔
読みました。面白かったです。しかし、一つだけ、お前ら背中でどうやって見とんねん!とかツッコミさせてもらいました。でも、実はそんな事気にしていません。面白かったです。帯とかでも語って欲しかった、とか思ったり思わなかったり。まさに背中で語る。いや、私的にはとても好きな作品でした。これからも執筆頑張ってください。
2005-01-08 02:18:43【★★★★☆】うしゃ
>青いりんご様 いやいやいや、理解しづらいのは自分目のせいでござります(恥 オチを気に入っていただけたようで嬉しいです。これからも宜しくどうぞ〜☆
>結城圭仔様 初めまして^^文用読みやすかったですか!?よかったです。読みやすいのと、わかりやすいのは別物ですからね(笑汗 オチばれてなくてよかったです。
>うしゃ様 一人でもこの作品によき気を持っていただければ幸いでございます(まさにこのショートの気持ちw 面白かったとのお言葉、ありがたく頂戴いたしますよ〜w
皆さんの作品に感化されながら、のほほんと書いていきたいと思います。(…こんなんで文章力上達するかなぁ?(笑 コメントどうもでした。
2005-01-08 11:53:07【☆☆☆☆☆】影舞踊
こういう作品あこがれます。自分で書こうとするとおもいつかないんですよね・・・。読んだ後、本屋さんに行きたくなるような作品でした。背表紙じゃ物語はわかりませんよね。他の人が読んでない(大抵は自分が気づいてないだけ)自分の名作が見つかるととっても幸せな気分になる笑子でした。
2005-01-08 12:12:13【☆☆☆☆☆】笑子
笑子様コメントありがとうございます。名作と言われる本もそれを知らない人にはただの文字の羅列ですしね(笑 こういう話ってプカプカ浮かんでる感じの、寝起きとかに思いつきません?(お前だけ これからもよろしくです^^
2005-01-09 01:34:27【☆☆☆☆☆】影舞踊
計:12点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。