『少女-6-』作者:みるる / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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ベッドが二つ。誰かが横たわっていた。

妻だった。

「お前、何故…?」
男の妻は見た感じどこも悪いところはないようだった。顔色も、その動作もいつもの妻だった。
妻が口を開いた。
「私もよくはわからないんだけど…世間でウィルスかなにか、流行っているらしくて…検査のためにあの辺の地域のひとは一旦入院なんだって。私なんともないんだけど、まだ町じゅう検査が終わるまで帰れないらしいの。あなたと同じ部屋になったってことはあなたも大丈夫だったってことね。よかったわ。」
明るい妻の声だったが男はますます混乱し、不安が襲った。

確かに妻は楽天的な方だがそんな話、鵜呑みにするような女ではないはずだ、なのになんの不安もないようにベッドに座り、雑誌に目をやっている。
「あなた、ちょうどいいじゃない、病院通いから開放されて仕事探しで疲れてたんだし、家に戻れるまでゆっくりしましょ。私たちは感染してないんだし。」

え?俺は仕事探ししてたのか?あれから何日経ってるんだ、俺には覚えがない…検査で眠らされていたのか?
男は立ちすくしたまま考えを巡らしていた。

「あなた、気分悪いの?」
「いや、何でもないよ。」

男は荷物をベッドわきのロッカーにしまい、ベッドに横になった。

病室は少し暗いが本を読めなくはない。夫婦のベッドの間に小さなワゴンが二つ、ワゴンの上にMDコンポ雑誌や本。ドアの右横にもうひとつドアがあった。ユニットバスだった。左横には水道、電気コンロ、その下に小さな冷蔵庫。まるでワンルームのような設備。
外に出なくても食料さえあればこの病室だけで用がたせる感じだ。

男は不安を抱きながらも妻と何日かこの病室のなかだけで過ごした。

2003-10-14 01:20:12公開 / 作者:みるる
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■作者からのメッセージ
遅くなりました前の話はずっと前です。(汗)
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