『LastNote 〜君の残り香〜 プロローグ』作者:瑞憶 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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君の第一印象は、香水の香りがいい人だなぁ、って思っただけ。




たった、それだけ。




LastNote 〜君の残り香〜  prologue  出逢ったときも、別れた時も



「今日からこの学校に転校してきた神崎 羽憂さんだ。みんな仲良くしろよ」

「よろしくお願いしまーす、かんざき はゆう です。」



新学期、ありがちなパターンの「親の仕事上の都合」で転校してきた君。
少女漫画でよく在るような雰囲気。まさにこれから青春が始まりそうな、そんな雰囲気の中、君はやってきた。

そしてまたありがちなパターン「自分の隣りの席が空いている」が適用するはず。

「よし、じゃー東間の隣りの席が空いてるな、そこに座れ。」
「はーい」
 
・・・ほら、適用されたようだな、そのパターンが。
眠そうな間延びした彼女の返答は今でも頭に残っている。気だるそうな、それでも明るい声。

肩までのセミロングの髪を揺らし、白いレトロ柄のバッグを肩に掛けて君は俺の横を通り過ぎる。

・・・・・あ、いい香り。

今時の高校生なら付けているだろう、香水のいい香りが彼女からした。
きつすぎず甘すぎず、軽い優しい香り。・・・とても印象に残った。

「うーんっと、あずまくん、だっけ?これからよろしくねー」
頭をかしげながら笑い、僕に話し掛けてきた君。モデル並・・とは言わないが
惹かれるような可愛い笑顔。・・・また印象に残る。

「あ、そう。えーっと・・神崎、だよな?」
俺も負けじと返事を返す。そうしたら彼女はまた柔らかく笑って、
「そ。まぁ、楽しくやろうね」
そう言って前を向き先生の話に耳を傾ける。
残された俺は彼女を見つめていた。・・・・惹かれている自分が其処に居た。

ずっと見つめる俺の視線に気付いたのか、彼女はこっちをまた向いた。

「なーに、なんか付いてる?」
いぶかしげに額にシワを寄せ、彼女は聞いて来た。
「別に、何でもないよ」

そう俺が言うと彼女は「あ、そ」と言ってまた前を向きなおす。
俺もこれ以上彼女を見つめると変な印象をずっともたれそうでそこで彼女を見つめるのはやめた。






出逢ったときも、別れた時も。


印象に残っているのは君のその香水の香り。



・・・・・・・・・・・・・それだけの、ハズだった。



→第一章につづく。




 
2004-08-13 18:49:15公開 / 作者:瑞憶
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■作者からのメッセージ
ここでは始めての投稿ですね。
瑞憶(みおく) と申します。(ペコリ)

前からやりたかった連載小説、始めちゃいました・・・!このお話は、ちょっと不思議な話にするつもりなんですがねぇ・・・。
まだまだ話は分かりませんね。
次の第一章を乞うご期待。(笑)
この作品に対する感想 - 昇順
初めまして、石田壮介と申す者でございます。セオリーな切り出しから、どう不思議かつ意外な方向へ進んでいくのか、楽しみでございます。”ありがちなパターン”という冷めた主人公の言葉がなかなか妙味をそそってますな。この冒頭の件は、”ありがちな○○”でまとめてほしかったなと思った石田でした。
2004-08-17 02:24:48【☆☆☆☆☆】石田壮介
計:0点
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