『破邪の巫女』作者:雛衣 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
全角1289文字
容量2578 bytes
原稿用紙約3.22枚
第1話『破邪の巫女』
ザァァァァァァ…
雨。じめじめしていて、寂しい気のするそんな日に…
「ねぇ!神宮寺サン!お願い。お願いだからっ」
そんな声があたりに響いた。
土砂降りの雨の中、二人の少女が走り回っている。
此処は『St,サムエルダ学院』
とんがった四つの塔が角に置かれ、天辺では旗が靡いている。
侵入者を阻むかのように建つ何十メートルもある鉄格子の柵。
創りは古びた西洋造り。どことなく雰囲気が感じられる。
壁は白いはずなのに、何年も経ったがために、黒く濁っていた。
この学院は東塔、西塔、南塔、北塔に分けられ、各塔に神聖なる守護神の像があっる。
今少女等が追いかけあっているのはその中央。
地面はキレイにレンガで造られ、大きい噴水が透明な水を噴いていた。
この学院の守護神はそれぞれに、東は玄武。西は百虎。北は清龍。南は鳳凰とされ、この学院の生徒達に幸福の神のごとく崇められ、親しまれてきた。
しかし誰もが仲がいいという訳でもなく、四つの守護神達はお互いに対抗し合い、今でもその伝統が続いているのであった。
「何度も言っているだろう。断る」
『神宮寺』と呼ばれた少女の本名は『神宮寺 姫乃』。
姫乃は後ろから来る少女に言いかけた。
身なりは此処の制服だろう。緑色中心にできたチェックのスカートに白いブラウス。深緑で作られた長いブレザーは、胸あたりまでボタンを締め、風に乗っている。シャギーの入った茶色いミディアムヘアー。真っ黒な瞳。
誰もが絶世する美女とも言えよう。
「神宮寺サン…どうして!?貴方ならできるはずよ!?」
周りに生い茂る木々がざわめいた。
「私が三十五代目『破邪の巫女』?勤まるわけがなかろう。私は特別霊力も強くない。魔法もそこそこで、成績も普通だ」
姫乃が口にする『破邪の巫女』…
それは名前のとおり邪気をも破壊する巫女。
破邪の巫女が流通するのは『百虎』のクラス。
緑の制服は百虎。別名『神聖百虎』とも言う。
この巫女の役目は神聖百虎への侵入者を防ぎ守ること。
この時代に、またもや昔のような反乱が起きそうな予感がするからだ。
先代は百年前で途絶えていた。
今更と思うかもしれないが、今にとっては重大な事となる。
例の反乱が巻き起こるかもしれないからだ。
『例の反乱』については、後に知ることになるだろう…
「神宮寺サン…」
そう寂しげに言うのは同じく神聖百虎の制服をまとう者。『伊集院 雅』…
漆黒の髪は左右に三つ編みを長く垂らし、黒い瞳。
この神聖百虎の理事長である。
姫乃を今回破邪の巫女に推薦した理由は、先代の子孫であることからだった。
先代は計り知れないほどの霊力を持ち、反乱を止めるさいに、自分を犠牲にしたという………
「とにかく、ありがたい話だがあり得ない話だ。私は断る」
そう言って姫乃は神聖百虎の塔、西塔へと姿を消した。
「神宮寺サン……………どうして…」
雅は去り際に呟いた。
風が吹き、何時の間にか雨は止んでいた。辺りは雅1人が佇んでいた。
2004-07-30 09:45:02公開 / 作者:雛衣
■この作品の著作権は雛衣さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
こんな物語ですが、どうでしょうか?
何でも構いません。感想を頂けたらと思います。
では、失礼致します。
この作品に対する感想 - 昇順
こんにちは、はじめまして離衣さん。「りい」さんとお呼びしていいのかしら?間違ってたらすみません。宜しくです。

面白そうな話だなあと思って読み始めたのですが、読みながら「うーん勿体無い」と思う所が少々。学園の描写、登場人物など魅力的な部分があるのだけど
もう少し書ききれていない感じがします。
文の中で、一つ例をあげるとすると、冒頭の部分。
物語の一番初めに雨が降っているのは凄く良いと思うのよ。
何が起きるんだろうと、視覚的な効果があります。
でも、その雨の描写が「じめじめしていて、寂しい気のする、そんな日に…」だけだと、ちょっと物足りない。せっかく「雨」という小道具を使っているのに。うーん……勿体無い。
「そんな日」とはどんな日でしょう。雨や風等の自然や季節のものを文章に使うときは、もっといろいろな表現ができないか試してみるといいですよ。
あと、実際に雨が降っている様子をじっくりと観察するのもね。
学校が、校舎が雨に濡れている事と、コンビニが雨に濡れているのは何か違った雰囲気がします。雨一つで感じる事が沢山あります。できれば「そんな」「こんな」でくくる事無く、もう少し表現してみてもいいのでは。
他にも同じ様に物足りなさを感じる部分があります。この文の中にいろいろな物をつめすぎていると思います。一つ、一つは全て面白いです。その面白さをもっとじっくりと書いてみてはどうでしょうか。
続き、頑張って下さいね。
2004-07-30 10:54:02【☆☆☆☆☆】カオポン
 はじめまして、GOAです。この作品を拝見させていただきました。興味が惹かれたので足跡を残して行きます。
 和風の名前に洋風の世界観(現時点でのイメージ)がミスマッチしていて斬新でした。しかし、残念ながら表現描写が不足しているので違和感だけが残っています。イメージがテンポに追いつかないんですね。情報不足なので。もう少し、丁寧に骨組みして崩れないように肉付けをしてあげて下さい。世界観が共有できないと感情移入もできませんし、面白さが伝わりませんから。
 それでも私はこの作品の雰囲気が好きですし、この先に期待を寄せる一人です。がんばってください。自分に妥協しないでください。続きを心待ちにしております。

 これより先は、この作品を読んでいて気になった点です。(雛衣さんが不快に感じる場合、受け流してください )
 一番気になるは、やはり守護神。
 東は玄武、西は百虎、北は清龍、南は鳳凰
 聖獣と方角ってセットなので・・・
表記1、東:蒼龍 西:白虎 北:玄武 南:朱雀
 表記2、東:龍  西:虎  北:亀  南:鳳凰
 こういうものがあると便利ではないでしょうか。オリジナルを目指すなら引用しない方が良いのですが。知っていて使わないのと、うろ覚えで字をあてるのとでは雲泥の差ですから。自分の作品に必要なものなら、積極的に取り込む方が良いと私は考えています。
 些細なことですが、方位に関する説明をするときは、東西南北又は、北から時計回りに説明する方が自然なような気がします。
 
 次は『St,サムエルダ学院』について
 伊集院 雅さんの肩書きに疑問?
 神聖百虎の理事長
 これだと、他にまだ、三つも搭がありますので理事長なる人物が後3人もいることに。普通学院に一人ですよ。理事長なる役職は。
誤字と表現について
「創りは古びた西洋造り。どことなく雰囲気が感じられる。」 文中より
 創りと造りで重複表現です。でも意味が違います。(創る)この字は建物の構造を表すときには使いません。適切な語句を選ぶのも作者の務めです。読み手を引き込むためにも、簡潔な表現、わかりやすい表現に心がけましょう。
 句読点の間にも微妙な差意があるので使い分けを自分なりに工夫が必要だと思います。
 とりあえず、初めのうちは余分な情報を削って、過不足な情報をなくすことが作者の意思を相手に伝えるためコツではないでしょうか。
 情報を欠落しない程度なら
「建物は古びた西洋づくり、どことなく雰囲気が感じられる」
 装飾して格好をつけるなら
「真っ白であったであろう壁は、幾重もの年月を重ね。浅黒く変色し、厳格な趣を醸し出している」
 と私ならこんな雰囲気でしょうか。

 最後に
 一字下げと段落は使い分けしましょう。
 
 何かの足しになれば幸いです。
2004-07-30 16:13:09【☆☆☆☆☆】GOA
計:0点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。