『冬〜winterstory〜』作者:石原サオリ / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
全角2090.5文字
容量4181 bytes
原稿用紙約5.23枚
「ねえ輝。私雪が大好きなんだあ。ずっと輝と見ていたいなあ。」

「。。。じゃあずっとずっと何年たっても一緒に雪を見ような。」

〜2003年12月20日。雪が降りそうなくらいに寒い日。東京のとあるマンションで高校一年の輝が空をみあげてある事を思い出していた。一年前の今日の事。輝の愛した人柚稀(ゆずき)のことを。。。。

〜2002年12月19日〜
「あっ!見て輝!!雪がふってるよ!」
「うわっほんまや〜今日はひえるなあ〜」
一年前の俺。階段からおちて骨折し入院した時に知り合った柚稀と付き合いだしてもう三年。柚稀は俺が入院する前からいて、心臓の病気で小学校2年の頃からずっと入院している。俺は自分が退院した後も毎日柚稀の病室を訪ね、それが俺の日課だった。
「ねえねえ輝〜」
「ん??」
「外でちゃだめ??」
「絶対だめ!!!!!!」
「え〜〜!けちっ(怒)いーじゃんかちょっと位さあ〜〜!」
「だーめっお前安静にしてろっていわれたばっかだろ〜」
「ちぇっ。。。輝の過保護〜大っきらい〜」
「なっ。。。。」
「うっそ☆」
「お前な〜」
「あはは〜冗談2!本当は大好きvだよ☆★☆」
「え。。。」
「あ〜てれてる〜かっわいい〜(笑)」
「もー!からかうなっ!!!」
柚稀は冬になると毎年雪がふるのを楽しみにしていた。去年までは病院の庭で見る位なら許可されていたのだが、今年はドクターストップがかかった。
「あ〜あ。。。見たいなあ〜」
「お前ほんまに好きなんやな〜」
「だって綺麗でしょ?それにね、雪ってロマンチックだしv」
「ロマンチック??」
「うん♪テレビでよくやってるやん!雪のふる夜にちゅっとかっvvv」
「。。。。ドラマの見すぎやわ」
「あっひどー!!私だってそんなのに憧れたりするんですう」
「。。。じゃする??」
「え。。。」
俺はなぜかその時柚稀にキスがしたくなったんだ。まるで、二人に残された時間はあと少しと神様が忠告するように。。。
「目、つぶって」
「輝。。。。」
「ん。。。。」
柚稀は目をあけると恥ずかしそうに顔をうつむかせた。俺は話しにくくなったので、今日の所は帰ろうと席をたった。
「じゃ。。。ばいばい」
「うん。」
家に帰ってからはなぜか寝付けずに柚稀の事を考えていた。

2002年12月20日
この日も俺はいつもどおりに柚稀の病室をたずねた。
「おはよっ!」
「あ。おはよ〜」
俺はこの時に柚稀の体調がすぐれない事に気が付いた。
「どしたの?なんか風邪ぎみじゃん」
「え?そんなことないって!元気だよ!」
「なら。。。いいけど。。。」
「もー心配性なんだから〜」
柚稀はこう言って冗談ですませた。まあ、あんまりしつこく聞くのもなんなので俺と柚稀はいつもどおりたわいない言葉をかわしていた。しばらくすると。。。
「輝〜私眠たい・・・」
「え?どうした?」
俺はふっと気が付いた。柚稀の手が凍ったように冷たい。熱い位の暖房のきいた部屋なのに。
「お。。。おい。。柚稀。。。??どうしたんだよ・・・おい。。。」
「。。。輝・・・もう。。。お別れだね。。。?」
「おい!冗談じゃねえよ!おい!柚稀!」
「輝。。。私。。。私ね。。。雪。。。大好きなんだ。ずっと輝と見ていたいなあ。。。。」
柚稀は最後の力でその言葉を俺に告げた。俺はなきじゃくりながら柚稀に言った。。。
「。。。じゃあ。。。ずっと一緒にいような。。。一緒に雪を見ような。。。柚稀。。。」
柚稀は最後に笑ったような気がした。アレから一年。俺は柚稀といた街をでた。そして東京で一人暮らしを始めた。新しい空。新しい景色。そして仲間。
どこかで柚稀も見ていてくれるのだろうか。。。なあ。柚稀。俺、お前のために詩を作ったんだ。お前のためだけに。
      「降り出した雨にぬれて頬から零れた君のナミダ。
       寂しさと痛みの印を心にきざんで泣いているんだね?
       今だけ変わりに僕が灯りになろう。。。。
       暗くて見えない道をてらすよ。。。。
       (we like in your eyes)
    涙がかれるまで泣いて全部忘れてしまえばいい。
       抱きしめていたい(wanna give my love)
       心に花を。
       思いのままに叫ぼうよ全てを僕に預けて。
       泣いたらいい(gonna make happy)
       その思い流せばいい。。。
       さよならを夜空に投げよう。。。。
       only you can heart me with love」

東京の冬。君といた街。君といた時間。ずっと忘れない。。。
「今年も一緒に雪を見よう。」
そうつぶやいた瞬間強い風が俺をつつんだ。
(うん。。。)

「私雪が大好きなんだあ〜ずっと一緒に雪をみていようね」
   
     〜〜end〜〜
2003-10-03 20:42:52公開 / 作者:石原サオリ
■この作品の著作権は石原サオリさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
書いてけっこーいい感じでした(笑)けっこー切ない感じのラブストーリーで、主人公も輝が感じた死への想い。私のちょっとした経験もはいってたり。。。。まあ、いろんな想いでみてくれたらいいかなって思います!でわ!!
この作品に対する感想 - 昇順
かわいそうで、かなりジ〜ンときましたっ!輝君・・・・ぅぉ〜っ(何
2003-10-05 07:40:12【★★★★☆】琴葉
号泣・・・
2003-12-06 20:12:57【★★★★☆】うさぎ
計:8点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。