『むらさきうさぎ』作者:CAT / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約2.65枚
むらさきうさぎ
むらさきうさぎ
戻ってこないで、おうちには
お前は大切なブドウにいたずらをした!
ブドウをすべてつぶしてしまった!

おぉ、ごらんなさいその卑しい色を。
あなたのつぶしたブドウの色がおちなくなってしまったのよ。
私たちの食料はあれだけだったのに。
あなたはもう真っ白な兎には戻れないのよ。
私達の仲間ではなくなったのよ。
近づかないでむらさきうさぎ

近づかないで!!



可哀想なような、そうでないような。
むらさきうさぎは家を追い出されました。
何も持っていません。
何も食べていません。
それでも
まだらなブドウ色をした兎なんて泊めてくれる家なんかどこにもありません。
――しょうがないわよ、自分のせいなのだから。全部あなたが悪いのだから――


濃い紫色をした巨峰をつぶすのはとても楽しそうだったから……
足で、手で、体で
大好きなブドウに、一度まみれてみたかったんだ。
こんなことになるなら、やらなかったよ。
僕はむらさきうさぎ。
自分のせい。わかってる。

でも、外はとても
とても寒いんだよ……


雪が降り始めました。
ちらちらと降る雪を、むらさきうさぎはずっと見上げていました。
粉雪はやがて大きな塊となり、地面に降り立つたびにボテンと大きな音を上げました。
寒くて、寒くて、寒くて
むらさきうさぎはじっとしていることしかできませんでした。

白銀の雪景色の中に、

ぽつんと

紫色の点。



反省しているよ。
涙の限り、もうしないと誓うよ。
だから神様
この色を消してください……

むらさきうさぎは目を閉じました。
後悔という心を搾り出しきって

ごめんなさい……
ごめんなさい……

つぶやきながら、静かに目をとじました。



雪はひらひら

紫色を隠していきます……






ねぇ、お母さん!兎が雪に埋まっているよ!
まぁ、なんて美しい純白の兎なんでしょう!!かわいそうに……
家に連れて帰ってあげましょう。




雪が紫色を溶かしてくれたのでしょうか?
いいえ、違います。
むらさきうさぎの心が、まっさらな純白に戻ったからでした。
清らかな心に、紫色が逃げ出したのです。



暖炉の前でむらさきうさぎは目を覚ましました。


幸せな幸せな、しろうさぎに戻って……



2004-06-17 19:09:49公開 / 作者:CAT
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■作者からのメッセージ
初投稿です。CATと申します。
童話風なんですけど…上手くいってないですね、はい(汗)
何か感想いただけると嬉しいです。
この作品に対する感想 - 昇順
なんか、ほのぼのとしててよかったです。個人的には好きです。
もし本当に紫色のウサギがいたら飼ってみたいかもw
では、次回作も頑張ってください。
2004-06-17 20:07:55【★★★★☆】九邪
今の自分では、ケチは付けられないです。上手くいってないなんてとんでもないです!次回も頑張って下さい
2004-06-18 17:08:49【★★★★☆】シン
何だか、ステキなお話でした。紫っていうのが不思議だな、と思ったんですが、葡萄を潰して、で納得しました。最後が少しよくある感じになってしまったので、もう少し意外性があったらもっと面白かったかとは思いますが、この作品は、これでも十分ステキだと思います。これからも頑張って下さい!応援しています!
2004-06-20 12:24:56【☆☆☆☆☆】冴渡
はじめまして♪数ある色の中から“むらさき”を選んだセンスがいいなぁ、と思いました。私なら白い兎と対照的に赤を選んでいたと思います。CATさんがチョイスしたむらさきという色がこの物語の素敵さに一役かっていると思いました☆次回作も楽しみにしています!
2004-06-20 13:28:08【☆☆☆☆☆】律
皆様、感想ありがとうございます!
うーん、違うところで投稿させていただいた作品を手直ししてこちらに投稿したのですが、前のやつは最後結局うさぎが報われなくて、可哀相という感想だったので、ハッピーエンドにしてみました。皆様の感想を参考に、更に推敲できればと思います!ありがとうございました。
2004-06-21 21:46:46【☆☆☆☆☆】CAT
計:8点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。