『春夏秋冬 〜あたしの横にはあなたがいない〜』作者:紅い蝶 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約3.21枚
           「春夏秋冬 〜あたしの横にはあなたがいない〜」



――――春
そよ風が気持ちいい。そこらじゅうに色々な花が待ってましたとばかりに咲き誇る。そんな季節。
昔からずっと一緒だったあなたは、本当にこの季節が好きだよね。あたしも好きだよ。春も・・・・あなたも。
一緒に桜を見に行って、おにぎり食べて、一緒に草むらに寝転んだ。その時間がとっても幸せで、最高だった。
とにかく、あたしもあなたも一番好きな季節。

――――夏
せみがうるさいくらいに鳴いて、どうやって黙らそうかなんて子供みたいなことを必死に考えてたあなた。
「ファーブルはせみ食ったんだ。俺に食えないはずがない」
ホント、子供だよね、あなたって・・・・・。
本当にせみを食べようとしたから必死に止めたあたし。そしたらあなたは笑ってあたしの頭を撫でてくれた。
海にも行った。怖いって言ったのに無理矢理飛び込ませたよね・・・・。本当に怖かったんだから・・・・。
でも、そんなやりとりがすっごく楽しくて、幸せだった。
紫外線がいやだけど、どうしても嫌いにはなれない・・・・・・そんな季節。

――――秋
赤く染まった紅葉がきれいで、あなたはあたしに最高にきれいな紅葉を採ってくれた。うれしかったよ。ありがとう。
サッカーやってるあなたは、この秋にある大会で一生懸命がんばってた。みんなびっくりしてたよ。あいつあんなにうまかったんだ・・・・って。
あなたは、あたしの自慢の彼氏・・・・・。

――――冬
寒いけど、暖かかったのがこの季節。気温は寒いんだけど、あなたがあたしを包んでくれるから暖かかった。本当に・・・。
クリスマスに、初めて一緒に夜を過ごしたよね・・・・。すごい、うれしかった。あなたとずっと一緒にいたいって思った。あなたと離れたくないって思った。






なのに・・・・・・・・なんで?どうしてなの?
あなたはあたしの前から姿を消した。
道路に飛び出したボールを拾おうとして、トラックに轢かれそうになった子供を助けて・・・・・・・。
それはきっと偉いんだと思う。すっごく偉いんだと思う。
だけど・・・・・・・バカだよ。
こんなこと言ったら、その子の親に怒られるかもしれないけど・・・・・・・バカだよ。
あの夜に、あたしのこと絶対に悲しませないって言ってくれたじゃない。
あの夜に、あたしのこと死んでも離さないって言ってくれたじゃない。

悲しませてんじゃん・・・・・。
離してんじゃん・・・・・・・・。
うそつき・・・・・。


なんで人間ってこんなに脆いんだろう・・・・・。
こんなにも簡単に逝ってしまう。
どんなに離れたくないって思ったとしても、簡単に離れてしまう。簡単に死んでしまう・・・・・。



あたしはあなたを失った・・・・・・。
あなとたいうかけがえのない人を失った・・・・・・。





あたしの横には・・・・・・あなたがいない。
2004-05-06 20:02:57公開 / 作者:紅い蝶
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■作者からのメッセージ
ちょっと短いですかね・・・・。
前々から考えていたものを文章化してみたんですが・・・・・・。

指摘・感想等、お願いいたします。





kana様>感想ありがとうございます。悲しい話を書きたかったので、悲しいと言って貰えるとうれしいです。

雫様>うわぁ・・・・いい彼氏っすねぇ。うらやましいです。

村越様>改めて読み返してみて、僕自身も四季の部分が少ないかなぁと思いました。次回からはその点に気をつけたいと思います。

蘇芳様>詩みたいですか・・・・・。確かにそうですが彼女自身の視点から書きたかったので・・・・・。でも少しくらいは客観的に書くべきでしたかね^^;ホロリときてくれたことが、うれしいです。
この作品に対する感想 - 昇順
読ませて頂きました。ぶっちゃけホロリときました。余白と「・・・」が読後に余韻を残して、春夏秋冬の各風景を語りかけるように描く事で、読者に彼と彼女の愛がどれだけ深かったのかを教えてくれる。確かに短いですが、それでも十分に意味が伝わる作品化と思いました。指摘と言うほどでも無いのですが、詩か小説かと問われれば私は詩だと思うので、心理描写以外に台詞が欲しかったです。これからも頑張ってください。
2004-05-05 14:08:42【★★★★☆】蘇芳
切なさ満点ですねっ。とっても悲しい作品でした。で、新人がこんなこというのもなんですが、指摘染みたことを。ええと、折角春夏秋冬と題名にもなっているのですから、もう少し季節ごとの文を増やしてもいいかな、と。情景描写でもいいし、台詞でもいいのですが、もう少しゆったりと季節に浸っていたかったです、読者としては。一文を短くして改行を多めにいれてみてもいいかも知れませんね〜。
2004-05-05 14:54:55【★★★★☆】村越
悲しいお話ですね。私は恋人に自分がひかれそうになったら私に助けて欲しい?って聞いたら助けて欲しくないっていいました。何故?と聞いたら「お前が死ぬ可能性が出てくるから」。この言葉にはジーンときましたね。なにのろけてんだ(笑)
2004-05-05 15:13:52【★★★★☆】雫
kanasi--desune... demo iiohanasi desita!!
2004-05-05 20:40:07【★★★★☆】kana
読ませて頂きました。切なさの伝わってくる作品でした。どこか胸に引っかかるような。夏なんかはちょっと面白くてよかったのですが、やはり短い事もあって、少し淡白に見えてしまいますね。文法的にも、春夏秋冬を使っている点に関しても大変素敵な作品だと思えるのですが、それだけが唯一心残りでした。それでも、魅力は充分伝わっていると思います。これからも頑張って下さい!次回作、期待しています!
2004-05-06 20:14:29【★★★★☆】冴渡
春夏秋冬の中、彼を語る彼女が過去形だったので、これはー!!とドキドキしながら読んでいました。死んでいたいーッ!! ショックです。うう、切ない話には弱いんですよ。本当に。すべての季節に彼との想いが詰まっていて、それが消えないで、心に深く傷を作ると同時に、大切なものとなっているのでしょうか。そして、細かい点なのですが(読み流していただいて構いませんので) 彼とどれくらい付き合っていたのか、この文だと一年間と想像も可能ですが、いいのでしょうか? (冬のところで、そう思えなくもない気がして) もしもっと長い年月ならば、成長というか差異とか文章、去年、三年前とかの言葉(安直ですが)入れるのもいいかもしれません。(主観なの話なので・・・) 綺麗な話だと想います。最後の言葉がとても印象的でした。(いや、本当にソコ、良かったです)
2004-05-07 03:40:48【★★★★☆】晶
計:24点
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