『貴方と私  第一章 誕生日と文化祭』作者:春日 駿助 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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「おはよう」
俺はその声に振り向いた。そこには同級生の小柳香澄がいた。
「おはよう、朝から元気だね」
と、俺も眠い目をこすりながら返事を返す。俺こと如月冬至はとても朝に弱いのだ。
「何言ってるのよ、そんなんじゃ学校で恥じかくわよ」
俺はその言葉に気が重くなった。そうだ今日はうちの高校こと月生学院の文化祭なのだ。文化祭では今まであまりいい思いをしたことがない。そして俺らは二年生、毎年恒例のイベントの主役だ。
「別に大丈夫だよ」
お前こそ大丈夫なのかというふうに返した。
「私は大丈夫よ。冬至みたいに鈍くないし」
「あーはいはい、どーせ俺は鈍くて馬鹿ですよ」
俺はやけくそになっていった。どういう訳か俺はこの女に弱い。言い返しても言い返しても最終的に丸め込まれるのは俺だ。
「あら、誰も馬鹿なんて言ってないわよ」
こんな風にだ。まあ俺のうっかり発言がいけないのだが・・・。

「はあ、疲れた」
あの後、言い合いをしながら歩いていくうちにどんどんこっちの形勢が不利になり、形勢逆転をねらって勝負をかけたが軽くいなされ、友達がきたから、じゃね、とおいて行かれてしまった。
端から事情を知ってる人とが見たらきっと惨めなんだろう、と俺は思った。いや、惨めに違いない。なぜなら言っている自分自身でそう思ってしまうからだ。
 「冬至〜。おは〜」
今度は何だよと振り向くと、俺の中学からの親友北島紀行が立っていた。
「おはよ、なんだかお前も機嫌がいいな 、今日何があるのかわかっているのか?」
俺はさらに重い気分になって答えた。
「何かって、それはもちろんお前の誕生日だろ。もしかして忘れてたとか。」
(だ〜、そうだすっかり忘れてた。この頃すごく忙しかったからな〜)
「ん、もしかしてお前本当に忘れてたのか」
「今はそんな気分じゃないんだ。第一今日は文化祭だぞ、何でお前も余裕かましているんだ」
俺はいやになって怒鳴り散らした。その声量の大きさに何人かの生徒が振り向く。
「ああ、なんだそのことか」
その言葉にまた俺はむっときた。
「何だとは何だ。俺は本気で悩んでるんだぞ」
紀行は少し考え込んだ後返事を返してきた。
「分かった、お前の悩み。ズバリ毎年恒例イベントの白雪姫の王子様役だからだろ」
(するどい・・・)
紀行の言葉が胸に響く。
「お前分かったからってもろに言うこと無いだろ。これでも俺はデリケートなんだ、クラスの奴らにはめられなきゃやることなんて無かったんだ」
「そうか、お前人前でんの苦手だからな。それにしてもひどいな、お前人前が苦手なことぐらい知ってるだろうに」
紀行の優しい言葉が胸に響く。
(友達っていいな)
俺はその言葉に感動した。しかし、その次の言葉にまた肩を落とすはめになった。
「でも、はまったお前も悪い。せいぜいがんばれ」
この野郎が,せっかくいいやつだと思ったのに。
「そんな言い方あるかよ。それに白雪姫役の相手は香澄だぞ」
実は俺は白雪姫が好き。香澄のことが好きなんだ。そして最悪なことにこのイベントのルールは白雪姫と王子様が本番では唇るを合わせなければいけないことなのだ。別に絶対というわけではなくふりでいいのだが、そうすることが暗黙の了解のようなものであり伝統といっても過言ではない。このイベントで毎年いくつものカップルが出来ているのがその証拠だ。
「大丈夫だって。おまえのことは誰が見てもバレバレだったから、クラスの奴らがじれったく思ってやったことだろ。本当なら、クラスのみんなに感謝だぜ。」
「それも考えたけどよ、俺はふりでも耐えられねーんだよ。自分の気持ち伝えてねーのに。」だから俺は今日の朝までつらかった。何で香澄があんなに平然としていられるのか不思議だった。
(俺のこと何とも思ってないから気にしてないのか。それとも好きだから・・・)
「ま、ケジメをつけるってのはいいことじゃん。もう時間がないから急いだ方がいいと思うぞ」
「そりゃそうだけど、簡単に言うなよ。そんなすぐに決心できることか。」
「他人の気持ちなんか誰にもわかんないんだ。自分の気持ちに素直になるしかねーよ」
でもどうしたらいいのか全くまからなかった。
(・・・。自分の気持ちに素直にか)
紀行には悪いが、そのことで頭が一杯で何を話しているか全く分からなかった。香澄のことはどうしよう。
(いつもは相談役はなんだかんだ言って香澄だったからな)
俺は久々に人脈のなさを痛感した。本当の意味での友達というと香澄は除くから、紀行と・・・!
(そうだ、あいつならきっと相談に乗ってくれるはずだ。)
あいつとは春日加奈子。俺の幼なじみの一人でつき合いが長いだけあり結構助けてもらったりしてる。
俺は紀行と別れ、早速携帯をとりだして加奈子に電話をかけた。
「もしもし、加奈子今どこにいる。相談に乗ってくれるか・・・。」

「よ、久しぶり。来てくれてありがとう」
「当たり前でしょ。私をなんだと思ってるの。」
今俺と加奈子が居るのは月生学院の屋上だ。加奈子は俺と同じここの生徒だが学部が違い、学部によって校舎が違うのでまず合うことはないのだ。簡単に言えば同じ敷地に学校が二つあると思えば分かりやすいだろう。
 まあ今は相談の話の方が重要だ。後一時間足らずで始まってしまうのだから・・・。
 「で、相談て何よ。この文化祭の準備のくそ忙しいときの呼び出しなんだから、よっぽどのことなんでしょうね」
「ああ、そうだ。わざわざこの急がし時にわざと呼んだりなどしない」
(大げさかもしれないが下手したら人生の分かれ道になってしまう)
「なんだか難しい話のようね。いいわ、文化祭が始まるまでの一時間弱ぐらいしかないけどその時間あげる。協力するから話してみなさい」
「実はだな。お前イベントのことは知ってるよな」
「もちろんよ」
(どこから話すかな・・・。)
「なんとその主役が俺なんだな。ほんとは嫌だったんだけど」
「へ〜、おめでと〜。あんたも風上に置けないじゃない。で、相手は誰なの」
(ずばっと言いやがるな、この野郎)
「そう、そこからが問題なんだよ。そいつが俺の好きなやつなんだよ。しかもまだ気持ちの整理が付いてない」
「う〜ん、冬至男の子なんだから力ずくで行っちゃえば」
「馬鹿野郎、まじめに答えやがれ」
「はいはい、そうですね。せっかくいい案だと思ったのに」
何がいい案だ、何が。どうせこっちの反応見て楽しんでるくせに。
「まじめに言うとだね。もうここからは冬至次第だけど、そのまま無理矢理突き通しちゃうか、今告っちゃうのがいいんじゃない」
「え」
俺は一瞬驚いた。なんせ、紀行を同じ事を言い出すもんだから。加奈子はご丁寧にも繰り返し説明を入れてもう一度言ってくれた。
「え、じゃなくて。無理やりキスなんかさせられるより、気持ちが通じ合ってからやった方がいいに決まってるでしょ」
「ちょっと待てよ。成功しなかったらどうするんだ」
確かに俺と香澄はよく話すが、さすがにそこまで進んでいるとは俺も思ってない。もしかしたら、俺の思い上がりで香澄は俺に対して何も思ってないかもしれない。それなのに告るなんて・・・・。
「だからそれはあんた次第だって。もうここからは私が口出しできるところじゃないんだから。ただ最後に一言いっとくけど乙女心はすごく繊細なんだからそれを考えて行動しなさいよね。そうしないと私みたいに傷つく人がでるよ。」
加奈子はそういうと同時に俺に背を向けてしまった。
「おい、どうしたんだ。」俺は加奈子の顔をのぞき込んでまた驚いた。加奈子は涙を流して泣いていた。俺がとまどっていると加奈子が、
「あんたってほんと最低。泣いている乙女に慰めの声もかけられないの」
と強烈な一言を食らってしまった。
「・・・・・・・すまない。」
「もういいわよ。私の心が分からないなんて」
そう言って加奈子は俺に泣きついてきた。俺はとまどったが優しく頭をなでてやることにした。
「私、貴方のこと昔から好きだったのよ。」
突然涙声で加奈子がしゃべり出した。
「相談を持ちかけられて話聞いてるときどんなに私が辛かったか」
俺は何も言うことができない。何しろ相談も持ちかけたのは俺だし相手の気持ちを読みとれなかったのも俺の責任だ。
「最後にキスして。後には何もいらない。それさえすれば私は貴方をあきらめられる」
俺はなんて自分勝手なお願いだと思った。この後もしかしたら告りに行くかもしれないのに・・。でも・・。
「分かった。俺にできることがあれば何でもしてやる」
俺は優しく加奈子を抱きしめた後、キスをしてやった。口づけしてる間は永遠とも思えるほど時間の流れが長く感じたが、やがて息が続かなくなり唇をゆっくりと離した。息を吸ったら今度は加奈子の方からキスをされた。また抱きしめたい衝動に駆られ抱きしめようとしたが逃げられてしまった。
 もうそこには、泣いている加奈子は居なかった。目を真っ赤に腫らしながら笑っている俺のよく知っている加奈子が居た。
「ありがとう、香澄にもそんなに優しくしてあげられたらきっと大丈夫。自分を信じて頑張ってね。さようなら」
俺が呼び止める間もなく加奈子は走り去ってしいまった。追いかけるべきなのかもしれない。けどその背中が俺を拒んでるような気がして追いかけることができなかった。
結局俺は少しの勇気と加奈子にもらった励ましを胸に香澄の元へ向かった。

 俺が香澄に会いに行こうと校内を歩いていくと、校舎のあちこちでは準備に時間を追われた生徒達が忙しそうに準備している。
(確か白雪姫役は音楽室で準備だったよな)
そう、この学校では一クラスずつ白雪姫の劇をやり一番うまいクラスが表彰される。ちなみに一年生はシンデレラだ。
 音楽室に向かう途中俺はどう香澄を呼び出したらいいか考えていた。
(携帯を使って呼び出すか)
しかしそれでは気づかないかもしれないし、電源を切っているかもしれない。
(仕方ない、直接呼び出すか)
別に直接呼びに行っても文化祭の打ち合わせしているぐらいにしか思われないだろう。
「!・・・紀行」
俺は音楽室に行く途中に偶然親友にあった。
「紀行じゃないだろ。ちょっと心配になってきてみたんだ。話は加奈子に聞いた。お前を励ましてやれってよ。別に朝言ったから平気だと思ったけど、俺の熱弁を聞いてなかったみたいだからな」
(この野郎が・・・。)
俺は胸が熱くなるのを感じた。本当はどうなるか不安で仕方なかったのだ。しかし、俺が感傷に浸る間も紀行の話は続く。
「安心しろ。お前達の仲は俺がよく知っている。自分に自信を持てよ」
その言葉を聞いたとき俺に迷いはなかった。不安は吹き飛んでいた。
(成功する、失敗するは問題じゃない。俺の本当の気持ちを伝えることが大切なんだ)
「ありがとう、紀行。俺、行って来るよ」
「ああ、がんばれ。成功することを祈っているぞ」
俺はこの世で一番大事な友達の言葉を背中に受けながら走り出した。

「紀香、衣装はどこ。」
ここは音楽室。今や劇に使用する衣装を纏った美女達が集っていた。
「ちょと待ちなさいよ、香澄。あんた一人だけあわてても仕方ないでしょ」
そしてもの凄く荒れてもいる。白雪姫の役というのはどうも魅力的らしく我先にと着替え始めている。
「誰が私一人よ、誰が。早くしないと恥かくじゃない」
「そんなこと言われてもうちのクラスで衣装の着付けを知ってるのは私一人じゃない。少しぐらい遅れるのはしょうがないわ」
私は何でこんなことになったんだろうと思った。よりによってうちのクラスで演劇部は紀香一人。紀香の言い分は分かっても今日という日が日なだけにどうしても焦ってしまう。
そしてもの凄い喧噪が飛び交う中、音楽室に近づく一人の影があった。冬至だ。

「勇気出してここまで来たけどこの喧噪の中どうすればいいんだろう」
音楽室にたどり着いたのはいいが中で飛び交っている声の内容が酷い。およそこれから白雪姫を演じる女性が発していい内容のものではない。その為もあって中に入る勇気がもてずにいた。別に呼び出せばいいことなのは俺も分かっているのだが、中に声をかけた瞬間、問答無用ですごい罵倒の嵐に巻き込まれそうで、なぜか躊躇せざるを得ない状況になってしまった。
(なぜ・・・・)
しかしこうしていても何も始まらないので、今日何度目かになる勇気を振り絞って、地獄門さながらのそのドアをノックすることにした。
「こんこん、あの〜すいません」
恐怖のせいか緊張のせいか情けない声が出てしまった。しかしそれより悲しいことに誰も反応してくれない。もう一度ドアをノックしようとドアに手をかけた瞬間、唐突に中からドアが開き思わず一歩後ずさってしまった。そして中からでてきたのは紀香だった。
「あれ〜、冬至君どうしたの」
この水島紀香という女子とはあまり話をしたことがなかったが、同じクラスなので何となくは知っている。
「あのさ、忙しいと思うんだけど香澄いるかな」
俺は心底助かったと思いながらここへ来た目的を口にした。
「香澄なら今衣装の着替えたところよ。待って、すぐ呼んでくるわ」
開いたときと同じように唐突に閉まったドアを見ながら、俺はぼ〜っとしていた。
(いよいよだ。自分の気持ちを正直に伝えればいいだけだ)
鼓動がだんだん早くなってきた。はやる気持ちを抑え、俺は香澄がでてくるのを待った。そして・・
「おっ待たせ〜。何か用」
俺は香澄の衣装に一瞬見入ってしまった。まだ少女の面影を残す香澄を素っ気ない白色のドレスが強調し、普段とは違った雰囲気を漂わせていた。
(きれいだ。)
思わず上気した俺を香澄は不思議そうにのぞき見た。そのしぐさがかわいくまた硬直してしまう。
自分ではだめだと思いつつも、体が思うように動いてくれない。
「ねえ、どうしたの」
どうやら香澄は、俺の様子がいつもと違うと気づいたらしい。戸惑うように俺を見ている。
 俺もいつまでも固まっているわけにはいかず、どうにか心を落ち着け、話しを切り出すことにした。
「大事な話があるんだ。ちょっと俺に時間をくれないか」
俺は動揺を隠しきれない声で屋上に香澄を誘った。

 「加奈子、あいつ大丈夫そうか」
「別に心配しなくても平気だと思うけど・・」
俺と加奈子は冬至をみをくった後二人で話し込んでいた。あいつのことだから大丈夫だとは思うがやはり友人として心配してしまう。
「だいたい紀行も心配しすぎなんだよ」
「そういう割にはお前もさっきから落ち着いてねえじゃねえか」
客観的に見るとどっちもどっちなのだがこの際はおいておこう。
「今日はいい天気になりそうだ」
言う必要のない言葉をやはり落ち着かないせいか、口に出してしまう。
(俺も、まだまだだな。冬至がんばれよ)
俺は青く澄み渡った空を見上げた。

同じ空の下で俺たち二人も話しをしていた。
「大事な話って何」
空に香澄の澄み渡ったきれいな声が響く。
(どこから話せばいいか。やっぱりここは過去から順々に話せばいいか)
空を向いて黙り込む俺を香澄は不審な目で見てくる。
(そんな目で見ないでくれ)
俺は言葉を選びながら一語一語紡いでいく。
「香澄、初めて俺とお前があったときのことを覚えてるか」
俺たちはその言葉をきっかけに過去の世界へ浸っていった。

 俺たちは中3の時に知り合った。そのきっかけとなったのはクラス替えだった。が、そのころの俺は結構無気力で過ごしていたため、クラス替えなんてどうでもよく、初めて香澄の存在に気づいたのは、それから一ヶ月ぐらいたった頃だった。元々男女ともにほとんど話さない質だったので、クラスメイトのほとんどが名前で聞いたことがあるぐらいだった。例外としては、幼稚園からの幼なじみの加奈子と中1の時知り合った紀行はよく話したが・・。香澄に興味を持ち、もっと知りたいと思ってからは、それが元で少しずつみんなと話すようになった。香澄とは、ほとんどの場合は加奈子を通してだったが、秋ぐらいになると二人だけで話しをしたこともあった。

俺は一度香澄の反応を待つため言葉を句切った。香澄はこの後俺が何を言うか分かったらしく、その隣で不安そうにこちらを見ていた。
「どうぞ続けて」
その震えている声に一瞬戸惑ったが続きを話し出した。

 秋には文化祭があった。普段ならそれで何、みたいな感じで通してしまう行事だったが、香澄と二人でやる気になっていた。その時点で俺の中では香澄の存在はすごく大きくなっていたが、まだそれがどういう感情なのかが俺には理解できなかった。
 そして初めて香澄と意見が食い違い大げんかになってしまった。文化祭の飾り付けは何にするという程度のことだった、が男子と女子の好みの違いから騒ぎが大きくなってしまった。
 
その時香澄が何かにおびえるように一瞬ふるえた。その理由を俺は知っていた。しかし香澄が苦しむと分かっていても、自分にけじめをつけるため話し始めた。

 「おーい、冬至。そっちの飾り付けできたか」
「ああ、大丈夫だ。それより聡のところを手伝ってきてくれ」
結局飾り付けの話しは両方一歩も譲らず、先生が出した打開案に決定したが、俺と香澄はまだ仲直りができていなかった。
「いつ謝ればいいか」
(当時の俺はそんなことばっか考えていた気がした)
 そして文化祭当日になってしまった。香澄の行動を見ていて思うのだが、この頃避けられているような気がする。勇気を出して謝ろうとするのだがなかなか話す機会が見つからない。刻一刻と文化祭開催までの時間が過ぎていく。
(何でだ、何で避けるんだよ)
答えがない押し問答の繰り返し。そんな自分に嫌気がさしてきた。ついに文化祭が始まり、何もないまま終わってしまった。
しかし香澄との二人の時間は思わぬ時にやってきた。その日の夕方の片付けの時に香澄と一緒になる時間が偶然あったのだ。
(今しか謝るチャンスがない)
そう俺は思っていた。実際そうだったのかもしれないが今となっては知るよしもなかった。
「香澄、少し話したいことがあるんだけど少し時間いいか」
今日と同じで勇気を振り絞って誘った。やはり場所も屋上だった。

 俺はもう一回香澄を見てみた。やはりおびえた表情は変わらない。
「私のことは気にしないで続きを話して。冬至がどう私のことを思ってたか知りたいから」
俺は深呼吸するとまた続きを話し始めた。

「いきなりで悪いんだけどこの前はごめん」
俺は必死に謝った。待ちに待ってやっと回ってきた機械なのだから・・・。
最初は香澄の声は一言も聞き取れなかった。でも、
「ごめんね、私ももう怒ってないの。でも話すきっかけが冬至同様無かっただけ。気まずくて私の方がさけているような形になっちゃったけど・・・。」
風にながれてやっと聞こえたその一言に、どれだけほっとしたか。香澄はうつむいていた。
そして俺は今までに固めた決意を話すべきか、それとも慰めるべきかどうか迷った。
俺はそこで決意を話した。しかしその時に選択肢を間違えてしまったのだ。
よく考えれば慰めてから話してもよかったはずだ。でも俺は焦ってしまった。
「俺、ここにお前を誘って謝るって決めたときに、もう一つ決めていたことがあったんだ」
その言葉に香澄は顔を上げた。その目は俺に何か訴えているようだった。しかし、俺にはそれの意味することが分からなかった。
「香澄、俺といつまでも・・・・」
俺はその台詞を最後まで言うことができなかった。いきなり香澄にはね飛ばされたのだ。
その時の香澄の顔は今でも鮮明に思い出せる。今にも泣き出しそうなゆがんだ顔をしていたのだった。
俺はショックだった。香澄を泣かしてしまうなんて・・・。
「ごめんなさい、冬至。今はそれ以上言わないで」
香澄は逃げ出してしまった。俺はその背中を懸命に追いかけた。なぜだか分からない。けど、追いかけた。そして追いかけてる途中に悲劇は起きた。
 文化祭の片付けをしていた生徒が、立てかけてあった鉄の棒を誤って倒してしまったのだ。
その棒が香澄に襲いかかる。俺は無我夢中で飛び込んでいた。香澄を抱き、立場を逆転させて安全な場所に突き飛ばした。
 もちろん俺はただでは済まなかった。鉄の棒は脇腹に当たり右の肋骨の複雑骨折、そのせいで病院生活四ヶ月を余儀なくされる事態になってしまった。
「冬至、大丈夫」
気を失う前に見たものは、本心から俺のことを心配し、自分のことを責めている香澄の姿だった。

 俺の過去の回想は終わった。昔、折った肋骨の場所をなでた。
「俺が話したい過去の回想は終わった。俺は文化祭の日に伝えることができなかった思いを伝えたい」
香澄は俺の方を向いた。
「待って、私にも話しをさせて。私だって話してないことはいっぱいあるんだから」
俺はうなずいた。二度も過ちを犯すわけにはいかない。
「さっきの話しのことなんだけど、だいたいは合ってたわ。でも一つだけ違うことがあるの」
香澄の声は震えていた。
「たぶん冬至は私が逃げ出したときに、私は貴方を嫌っていると思ったでしょ」
今の問いは答えるべきなのだろうか。俺の言葉に傷つくかもしれないと思うと何もいえなかった。
そんな俺の様子を見て香澄は再び話し始めた。
「でも違うの。そんなこといって信じてもらえるか分からないけど。」
「・・・・・・。」
「私は合ったときから貴方のことが好きだったの。でもね、私は加奈子が貴方のことを好きなのを知っていた。私にとってはどちらも大切な人だから、裏切ることができなかった。だから、・・・・告白されるのを恐れた。まだ、どちらを選ぶか、裏切ることができなかったの。決心がついてなかった」
俺たちの間を一陣の風が通りすぎていった。そして香澄はまた話し始める。
「私って自分勝手だよね。冬至の気持ち考えないでさ・・・・。それが今になって好きだから付き合ってくれなんて・・・・・付き合うなんてできないよ」
香澄は俺の横でさっきとは比較にならないほど涙を流していた。
俺は愕然としていた。そんな気持ちが香澄の裏にあったなんて。でも、おれにも・・
「香澄、実は勘違いしてるのは香澄もなんだよ」
香澄はその言葉に不思議そうに顔を上げた。
「実はな、屋上で今と同じように決意を話しているのは同じなんだけど、内容が違ったんだ」
香澄は俺が何を言っているか分からないという風に俺のこと見ていた。
「俺、鈍感だからさ、香澄に対する気持ちがなんだか分からなかったんだ。だからあのときは、別に付き合ってくれなんて言う気はなかった。ただ、ずっと友達でいいから側にいてくれってことを言おうとしただけなんだ。俺の言い方がいけなかったんだ。悪かったのは俺のほうさ、ごめん今まで苦しませちゃって・・」
俺は素直に頭を下げた。しかし香澄はそれが気に入らなかったらしい。
「ずるいよ、冬至だけ逃げないでよ。そんなこと言ったら、私だって悪い事したんだから。頭あげてよ。じゃないと・・・・・。」
また、香澄の目に涙が浮かんだ。俺は素直に従った。
「今、香澄の話を聞いててやっぱり思ったんだ。俺が好きなのは香澄、お前だ。俺と付き合ってくれ」
俺は正直に気持ちを述べた。これで香澄に、私気持ちの整理がついてないから・・・などといわれたら本当に諦めるつもりでいた。そして運命の返事は
「こんな私でいいの。冬至のこといっぱい傷つけちゃって、でもすごく冬至のことが好きで・・」
俺はその言葉を聞いたとき香澄を抱きしめていた。そして耳元に顔を近づけて、トドメの一言をさした。
「・・・お前じゃなきゃ嫌なんだよ。大好きだよ」
香澄は俺の胸に顔を埋めて、今日何度目か分からない涙を流していた。
「もう絶対離さない。私達ずっと一緒だよね」
香澄の言葉一言一言が心に優しく突き刺さる。
(俺の心の氷を溶かしてくれてるんだ)
俺はそう感じた。
「ああ、俺ももう離さない。安心しろずっと一緒だ」
抱いた香澄の方が震えている。俺は今までこの小さな肩に、到底一人では抱えきれない不安を抱えさせてきたことを後悔しながら、頭を優しくなでてやった。これも今日何度目になるのだろう。加奈子のことは香澄には伏せておこうと思った。
 その時屋上に繋がる階段から誰かの足音がした。
その音に敏感に反応し俺と香澄は慌てて離れた。香澄は俺の側から少し離れて涙を拭いていた。
そして上がってきたのは香澄の衣装担当、うちのクラス唯一の演劇部、水島紀香だった。以外にも紀香は鈍感らしくて、時間がないから早く用意してとだけ言ってまた下に降りていってしまった。
 俺は校舎の時計を見た。大変だ、後十五分しかない。話しに夢中になって気づかなかったことを今更後悔した。それによく見れば、まだ俺は王子様の衣装に着替えてないし、香澄も衣装にしわができていていた。こんなにのんびりしてる場合じゃなかったんだ。
「香澄、悪い。次は舞台の上でな」
俺は急いで、男子が着替えるのは金工木工室だったかな、に向かおうとした。
しかし香澄に腕をつかまれ、振り返った次の瞬間、唇に伝わる柔らかな感触に俺は目を見開いた。
(キスされた)
分かったのはそれだけだった。香澄の顔がいきなり眼前に来たこと、今のことを理解したら体が熱くなるのが分かった。
「な、何、今の」
香澄はもう笑っていた。
「何って失礼ね。誕生日プレゼントよ、プレゼント。それじゃあ、私先行ってるわよ。遅刻しないでね、冬至はもう私の彼氏なんだから。みんなの前で恥ずかしい事しないでよ」
香澄はスキップをしながら階段の向こうに消えていった。
俺の気のせいか、香澄も少し顔が赤いような気がした。俺は何となく校舎の時計を見た。
「やばっ、急がなきゃ」
もう時計は、十三分前を指していた。これじゃあ香澄にも加奈子にも紀行にも馬鹿にされること必定だ。
俺を香澄の後を追い、走り始めた。

「おい冬至、冬至はどこだー。誰か冬至がどこにいるか知ってる奴いるか」
遠くで声が聞こえる。
「あーあ、あいつらまだ帰ってきてないのか」
「いいじゃない紀行、たまには二人だけにさせてあげたって」
「でもよ、加奈子。このままじゃあいつら遅刻確定だぜ。知らせてやった方がいいんじゃねえか」
「大丈夫よ。二人の大切な時間なんだからゆっくりさせてあげれば」
でも俺は心配で仕方がない。進行状況もそうだが、ここまで時間がかかるとは俺も思っていなかった。
「誰か冬至のことしらねーか」
(ほんとは知ってるんだけどな。いっちまった方がいいのか)
加奈子を見ていると落ち着いていて心配しているとは思えない。そんなことを考えながら歩いているとまた加奈子が口を開いた。
「そろそろ時間よね。体育館に行った方がいいんじゃないかしら。私達まで遅刻してしまうわよ」
俺は加奈子に引きずられるようにして体育館に連れて行かれた。

「おーい、平沢。悪い、遅れた」
俺はそのころ必死に走っていた。
「馬鹿野郎、今までどこほっつき歩いていやがった。お前以外はもう着替え終わってとっくに準備してるぜ」
俺は時計を見た。残り十分・・・。檄やばっ。
「平沢、本当に俺が悪かった。後でいくらでも説教受けるから早く着替えさせてくれ。」
俺の言葉に平沢はうなずいた。
「仕方がない、早く着替えろ。その代わり後で三十分説教だ」
「何でもいいから早くしてくれ」
俺は部屋にはいると即行で着替え始めた。

「うわ、すごいな」
体育館は沢山の人で溢れかえっていた。体育館の収容人数は千人を超えているはずだが、文化祭は二つの学部が一緒に集まるので逆に狭く感じた。基本的に座る場所はどこでもよく、自分のクラスの劇さえやれば自由行動だった。
「どこに座ろう」
まさかこんなところで加奈子と一緒に座るわけにはいかないよな。一緒に座っているとこでも見られたらみんなにからかわれてしまう。それに俺一人なら別にいいが加奈子はそれには相手が悪すぎた。冬至に振られた直後にそんなことされてもきついだろうという俺なりの気遣いだった。
「それじゃあ、加奈子後でな。学校終わったらまた四人で合おうぜ」
俺は空いてる場所を探して彷徨うとした。が、加奈子にその腕をがっちり掴まれていた。
「どこに行こうとしてんの。私と一緒に見るんでしょ」
加奈子は俺の腕をつかんで放そうとしない。
「ちょっと待て。学校も違うのに俺たち二人で並んでみるのか」
俺は少し慌てた。
「学校違うってもとなりじゃん。それに中学の頃はよく二人でも話してたんだから大丈夫だよ」
「でも・・・」
すると加奈子は急に静かになり低い声で話し始めた。
「私と一緒に座るのそんなに嫌」
俺は加奈子に上目遣いに見つめられた上に、腕を胸に当てられ俺は一瞬我を失った。
「だめなの」
(これは拷問か)
俺は思った。
(じゃなきゃ色仕掛けだよな)
こんな事を続けてたら確実に誰かの目に付く。それよりは二人で座っているところを見られた方がまだましだ。俺はやけくそになりはじっこのみんなの目に付かない場所で座ることにした。

(やっと着替え終わった)
俺は獅子奮闘の結果四十秒で着替え、六分二十秒でメイクをすることに成功した。
俺は時計をまた見た。
(残り三分。まだ間に合う)
後は体育館まで走るだけだ。
(俺は二組だから・・・・何番だろ)
発表する順番は毎年クジで決まる。当たりを引いたクラスから数字が大きい方に回っていく。
二番以降だったら余裕で間に合うが・・・
(一番だったら大変だ)
クラスは全部で五クラスのため当たる確率は五分の一。万に一つの可能性のためにも ここで気を緩めるわけにはいかない。
「よーし、文化祭の前に準備運動だ」
俺は広い校舎の中を風となって駆け抜けた。

「紀香ー、もういいでしょ。早くしないと始まっちゃうよ」
「だめよ、香澄。女の子はこういう舞台が勝負なんだから、もっとちゃんとしなきゃ」
(勝負って言ったってもう私には彼氏いるもん)
自分と冬至の二人だけの秘密なので他の人にはあまり言いたくなかった。しかし、このとき香澄は知らないが実は紀行と加奈子も知っていた。
「大丈夫だよ、私もとの素材がいいからかわいいし、あんまり男がよってくるとゆっくりできないからさ」
「あーあ、香澄はかわいいからいいわよね。そんな贅沢なこと言っているとそのうちみんなに嫌われちゃうわよ。って、もうこんな時間じゃない、早くいくわよ香澄」
私は今日はやけに沢山走る日だと思った。

 そのころ体育館ではメインイベントが始まろうとしていた。司会の話す声が聞こえる。
「えー、みなさま今日はお集まりいただいてありがとうございます。ここで今日一番の目玉、二年生のクラス対抗による白雪姫の劇を発表したいと思います。ルールは毎年恒例通り劇を発表してもらいました後に一番よかったと思うクラスに投票していただきます。そして一番票が多いクラスから一位、二位まで表彰させていただきます。つまりあなた方が審査員というわけです。これはみなさまの協力の上に成り立っているものなので、自分のクラスに票を入れてもいいですが、もっともうまいと思ったクラスに入れてくださいね。それとこれも伝統ですが、各クラスごとに劇には物語が変わらない程度に工夫がなされています。その為クラスごとにオリジナルの白雪姫となっておりますので、ごゆっくり堪能してくださいませ」
司会が文化祭を進行させるにつれて、生徒も盛り上がってゆく。今やかなりのハイテンションになっている。
「では、各クラスの代表、文化祭実行委員の方々にはここにあるくじを引いてもらい順番を決めてもらいたいと思います。くじで当たりを引いたクラスからだんだん番号の大きい組へ回っていきます。では運命を決める第一歩一組から引いてください」

そのころ俺・・・・・・。
「ハアハア、やっと体育館に着いた。文化祭の進行状況はどうなっているんだ」
俺は今頃体育館の入り口にいた。
「もう順番決め終わったのか。うちのクラスは何番目だ、木村」
俺は今は違うクラスだが、一年の時一緒のクラスでたまたま近くにいた木村愛に話しかけた。
「え、なんで如月君がこんなとこにいるの。如月君、三組だよね」
俺はこの話し方に危惧を抱いた。
(もしかしてもう始まってるんじゃ・・・)
「さっき同じように香澄が走ってきて急いで舞台に上がっていったよ」
俺は目を凝らして舞台を見た。遠くてはっきりとは見えないが、あの白雪姫は香澄に見える。だが、まだあの悪い女王の鏡に映し出されるシーンだった。
これなら、王子の出番は最後だけなので十分、間に合うと安堵の息をついたとき、俺は重大な事実に気づいた。うちのクラスの劇は、王子のインパクトを強めるために、小人の家を一回訪ねる事にしたのだ。そして俺の出番は目前に迫っていた。
「ありがとう、木村。俺はもういくから」
また俺は全力で走る羽目になってしまった。

そして私は・・・・・舞台に立っていた。
(まだ冬至が来てない)
私はそのことが気になっていつもなら演劇部が舌を巻くほど華麗な演技も、台無しとかしていた。
(もう、何やってるのよ冬至は。気になって劇に集中出来ないじゃない)
その時香澄は気づいてなかったが、今思ったことは全て冬至を悪くすることで気持ちの負担を軽くしようとする甘えだったのだ。
 そして時間は過ぎて物語はどんどん進行する。

またまた冬至は・・・。
「いってーよ」
舞台に何とか間に合ったのはよかったが、舞台に向かう途中で、文化祭で使った小道具につまずき結構な怪我をしていた。傷は深くはないが数が多いい。額からも血を流していた。
「でもこれ度もやるしかない」
俺は自分の番になり舞台に飛び出した。
「おい、あれ見ろよ」
ざわざわ・・・・。
俺が舞台にでた瞬間ざわめきが生じた。それはそうだろう。遠くの人は分からないが、近くの人ならくっきり見えるどう見ても本物の血。それは劇をしていたクラスメイトも同じだった。
遅れて現れるなり、身体全体に浅い傷を付け本物の血を流してる王子様が登場したのだ。
驚かないわけがない。反射的に近寄ろうとした生徒がいたが、劇の途中だということを思い出し踏みとどまる。香澄だけは舞台裏で他の人におさえられていた。
(アドリブでいこうぜ)
俺は口ぱくで自分の考えた意志を伝える。さすがに舞台の上なので時間もとれないし、うまく伝わらないが心意気だけは伝わったようだ。もっとも、普通の熱心な生徒ならと遅刻自体しないだろうが・・・。
 小人役の人たちがでてくる。俺は痛がっている王子の役を演じた。
小人達はそれを見て王子様に薬草を与えてあげる。そして王子は怪我をしながらも自分の城に帰り、小人達にお礼を言いに来たときに偶然棺桶に入っている白雪姫に会う。
アドリブのシナリオは完璧に進んでいった。誰が見てもアドリブとは思えないだろう。
 そして劇が進み、ついにキスシーンになった。棺桶に香澄が目を閉じて寝ている。とてもかわいかったが今ここで抱きしめるわけにもいかない。
俺は初めての香澄とのキスが劇の中でではなくて本当によかったと思った。それも香澄のおかげだ。
そして香澄の髪を左右に優しく分け唇に、今度は俺からになったなと思いつつ、キスをした。確かリンゴが詰まって目を覚まさないんだったよなと考えながら、だったらと劇の真っ最中だったが少しふざけて香澄の口に舌を送り込んでみた。すると香澄は相変わらず目をつむってはいるが、舌を掴まれてしまった。二人だけの世界に一瞬引き込まれてしまった。
 そして時は経ち、唇を離すとついに白雪姫が目を覚ました。
 そしてうちのクラスの白雪姫は沢山の拍手を受けながら幕を閉じた。

「あーあ、あいつら幸せそうだよな」
俺は未だに加奈子から逃げ出せずに後ろの方で劇を見ていた。
「紀行はああゆうのが好きなの」
加奈子の問いかけにどう答えるべきか困ったが、イエスを正直に答えた。
「そう・・・」
隣で舞台のまぶしい冬至を見ながら加奈子は嗚咽を漏らしていた。俺はどうするべきか迷ったが、考えた後に優しく肩を抱いてやった。加奈子は一度こっちを見たが泣いてる顔を見られるのが恥ずかしいらしく下を向いてしまった。俺はまた舞台を見ていたが、加奈子が中で、身体を預けてきた。
 俺は顔が赤くなっていくのが分かったが、たまにはこういうのもいいか、と納得することにした。

 二日後、文化祭の結果が発表された。最優秀賞三組。優秀賞・・・・・・・・・・・。
俺と香澄は抱き合ってそのことを喜んだ。また、俺はつい最近知ったことだが、紀行と加奈子もつきあい始めたらしい。
 俺はそれを知り、これからも四人で仲良くやっていけたらいいなと文化祭から一週間後の夜空に落ちた流れ星に祈った。             
                   第一章 完
2004-04-25 19:20:16公開 / 作者:春日 駿助
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■作者からのメッセージ
久し振りです。今度はファンタジーからがらっと変わって学園恋愛です。実はこれが初めて書いた小説だったりします(少し改稿しましたが)。もし良ければ、感想をいただけると嬉しいです。では
この作品に対する感想 - 昇順
こんにちは。。ちょっと誤字があったりしますが、男の子からみた視点がとてもいいですね。。文化祭を通じて、様々な展開が起きて、それをうまくまとめるのもすごいです!イマドキな若者の恋愛について勉強させてもらいました。。続きが楽しみです!
2004-04-26 00:08:13【★★★★☆】葉瀬 潤
計:4点
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