『愛人11号 ?~?』作者:らいち / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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それは突然起こってしまった。

俺達が買い物をしようと玄関から出てちょっとした後だった。

どがしゃぁん。

大きな音を立てて京子は落ちていった。階段の下へ。
「きょうこ・・!!!」


薬品臭い病院の中へ入ると軽い目眩がする。同時に嗚咽感も覚えた。
「あ、こちらです。」
担当の医師がおれを手招きしていた。

「・・・・流産です」そう言い放った。

「流産・・ですか。」
「お気の毒ですが・・・」

京子の笑顔が浮んだ。同時に悲しみにくれる京子の顔も浮ぶ。

京子の病室へ向う途中小さな子供が声を上げて遊んでいた。
俺達の子供も、きっと元気だったろうな。


悪いのは誰でも無い。

これは運命だ。


「京子。」
病室のドアを空けるとそこには空を見ている京子が居た。
「もう、起きているのか」
「まぁ・・・ね。」
「・・・・・・」
「子供、いなくなっちゃったね。」
「・・・・・・」
「ごめんね。」

なんで謝るんだよ。余計虚しくなるんだよ。

「・・・・っ」

京子は泣き出してしまった。その愛した目から、涙を流していた。
それからわんわん泣いていた。
俺も一緒に泣いてしまった。






「京子さぁ、結局子供が流産したの自分のせいだとか思ってたんだよ」
「京子さん、責任感すっごく強かったですからね。」
今俺は後輩とタバコをふかしている。
こうして昔を思い出しながらタバコを吸うときもある。
「なんで京子さん自殺したんでしょうね。」


そんなの、俺が聞きたいよ。

そう、京子は退院した次ぎの日マンションの屋上から投身自殺をした。

飛び散っていた血を今も忘れる事は出来ない。
おれの瞼が真赤になるくらいの赤い現場。

・・・京子の事を思い出すのは少し休もう。



「ただいま」
だれもいないのに言ってしまう。
バカだな。おれも。
でも

「おっかえりぃー!!」
「!?」
俺を迎えたのは・・・・京子だった。
「きょう・・・こ?」
「はい!愛人11号です!!」


そんなバカな。


????????


自称愛人11号はまぁご丁寧にお風呂も沸かしていたし
夕飯も用意していた。
「ご飯?お風呂?それともわたし?」
ちょっと俺が軽蔑な目で愛人11号を睨んだら愛人11号は咳払いをして
「まぁ・・なにも聞かないで下さい。」
「なんで・・京子の姿なの。なんで愛人なの。なんで家に入れたの。」
なんにも聞かないなんて無理に等しい。
一気に質問して愛人11号は少しげんなりした顔だった。

「・・・・京子は、死んだはずなのに。」
「いろいろあって・・・。」
俺は少し苛立ちを覚えた。だってそうだろう?いきなし家に上がりこまれて、
しかもそいつの姿は死んだ恋人の姿だなんて。俺は嫌だね。

「早く説明しろよ!」
近くにあったゴミ箱を大きく蹴っ飛ばした。部屋の隅に転がっていった。
愛人11号はその様子を見て大きな溜息をつき
「長くなっても良いですか?」そう言い放った。

「っつーか・・愛人11号って、ナンセンスだね。」
ちょっとは落ちついた俺は水を飲みながら愛人11号を軽く睨んだ。
「愛人っつーのは、その。寂しい人の心の穴を埋めると言うか・・・。その。」
「心の穴?」
「あなたは京子さんが亡くなって”心の穴”、空いてるんじゃ無いんですか?」
「そんなもん1個もあいてないね。」
コップを持つ手が少し震えるのは気にしない。

「愛人は1号から10号までしかいちゃいけないんです。」
「でも君11号だよね。」
「おちこぼれなんです・・・・。」
「落ちこぼれ?」
「他人に蹴落とされたんです。私ホントは10号でした。」
笑ってしまった。こんなファンタジックな事、真顔で言ってるんだ。

「っつーかさ、なんで愛人なんてイケナイものになりたがんの?
 蹴落とされたんなら諦めりゃいいじゃんよ。」
愛人11号は溜息をついた。
「私の外見、見てますか?京子さんですよ?死んだ京子さんですよ?」
「・・・・」
「私、人間じゃ無いんですよね。」

死人・・・らしい。っというか、これは夢だよな。すぐ覚めるよな。
だから俺はこんなに冷静で居られるんだ。
「しかも普通の死人じゃなくて、大きな罪を犯してるんです。」
「?」
「人殺しなんです。罪人なんです。」
「人殺し・・・・・。」

愛人11号いわく、天界では罪人は生き返られない規則がある。
でも罪人でも前世は人間。人間は皆平等。
そう思った神様は”罪人が人の心を癒す”事が出来たら
その罪人を生き返させてくれるのだ。

「それが愛人号・・って事か。」
「もちろん応募殺到ですよね。」愛人11号・・・いや、キョウコは笑いながらそう言った。

「愛人は1号から10号までしかいちゃいけない・・って言いましたよね?」
「あぁ。」
「っていうことは限定10人しか生き帰られる事が出来ないんです。」
「でも君は11号だ。」
「11号の時、人を幸せにさせたら自動的に10号になれるんです。」
(11号になれたのは、”くじ引き”らしい。)
そしてまた10号になり人を幸せにして生き帰るのか・・。
「納得してもらえましたか?」
「いいや、全然。」
「そうですか・・・・」

「でも結局君は生き返られないよ。」
「え?」

「君は京子じゃない。だから俺の心の穴を埋められない。幸せにできない。」
「生き帰る事はそう簡単にできるものじゃないですしね。ハードルもあります。」
キョウコは笑っていた。ケラケラ笑っていた。
その笑顔はキョウコそのもので俺は少し悲しくなった。

「他あたってよ。俺、もういいから。幸せになんてならなくていいよ。」
「いや、神様からの命令なんで。『この人を幸せにしろ!』って言われてるんで。」
なんだそれは。
・・・でもこれは夢だ。起きたら愛人なんていない。
またいつもどうりの朝が来る。
「俺寝るわ。」
「え・・!」
ベッドに潜りこむと一気に眠気が襲いおれは1分もたたないうちに眠ってしまった。



目覚ましがなっている。バン!と止めてもぞもぞと布団から出た。
「・・・変な夢見たよなー、俺・・・。」
いつのまにか独り言が出た。
「変な夢ってなんですかー?」
「・・・・・。」
横には、そう。愛人11号。ニッコリと笑っている。
「朝ご飯、できてます。食べてください。」

あれは夢じゃ、ない。

カーテンからは綺麗な朝日が覗いている。
2004-04-15 00:00:39公開 / 作者:らいち
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■作者からのメッセージ
すいません。なんかメチャクチャですね。
ワカンナイ事とかあったら・・すいません。
愛人になった罪人は特別に地上に戻れます。
死んでいる事には変わり無く、決して
生き帰っているわかではありません。。。
この作品に対する感想 - 昇順
愛人11号とは何か気になります。まだ話は見えませんが興味の沸く内容でした。続きも頑張って下さい!
2004-04-12 20:16:08【★★★★☆】シイナ
まずタイトルに惹かれました。愛人11号?許せねーな!!何人の女を弄べば気がすむんだ?と思いながら読んでいたら。アレ?主人公いい人っぽい。と思いました。どうなっていくか楽しみです。
2004-04-12 23:10:51【★★★★☆】グリコ
そんなバカなw愛人11号ってことは1〜10号まではどうなったのでしょう。そしてその開発者は?きっと主人公に関係ありの人と僕は予測します。もしくは妻と関係のある人か。でもロボットが相手じゃ楽しめないな(笑)←ナニイッテンダ。久々にツボにはまりました。続きも絶対感想書きます。頑張って下さい。
2004-04-13 17:48:40【★★★★☆】風
これから愛人がどのように絡んでくるか、非常に楽しみです!がんばってください!!
2004-04-15 06:37:39【★★★★☆】森山貴之
ロボットじゃなかったんですね。愛人11号って主人公にとっては本当に迷惑でしょうね。主人公の彼女の死体に入った魂はうまくすれば生き返りますが彼女は生き返ることができないのですから・・・
2004-04-15 21:12:23【★★★★☆】風
計:20点
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