『僕のジャクソン・リベンジャー 1・2』作者:より子 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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僕の名前は鉄郎。
身長165センチ、体重47キロ、痩せ型。
性別 男。
性格 冷静。
母親と二人暮し。
地元の高校にに通う平凡な高校生だ。
だけどある日、目を覚ますと平凡な日常が激変していた。

……チュン、チュン。

っん・・。鳥の声がきこえる・・。朝か・・。
今日も学校か・・。面倒くさいな・・。
母さんが起こしにくるまで寝なおすかな・・・。


「鉄郎起きて! 早く支度をしてよ!」
僕を起こそうとする声が聞こえる。
あぁ、眠たい。
「鉄郎! 早く起きて! 時間に間に合わなくなるじゃない!」
いいじゃないか、どうせいつも遅刻しているんだし。
「今日はこの町の町会長に会いに行くんだから、寝坊は勘弁してよ!」
そうか、今日は町会長に会いに行く日だったか。面倒だな。
「あんたはいつもそうよ、時間にルーズすぎる!」
わかってるじゃないか。そうだ僕は時間にルーズなんだ。そして今日も町会長に会いに行くのに遅れるんだ…
ボコッ!!!!
いきなり僕の頭部に強い衝撃が走った。
何か硬い、鈍器で殴られたような感触だった。
寝ぼけているのと混ざり意識が混濁する。
「早く起きなさい! 殴り殺すよ!」
殺すだって・・? それが母親の言う言葉か?
ボコ!!ボコッ!!!!
今度は続けざま二度殴られた。そして毛布を引き剥がされる。
「鉄郎、甘えるんじゃないよ!私はあんたのママじゃないんだから!今起きないんだったら次は刺すよ!」
そう言い放つ女の左側の手には銀色の壷の取ってが握り締められており、右側の手はすでに刃物を握り締め、振りかぶっていた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!!!」
僕はあわてて飛び起きた。
女のナイフは僕の体に突き刺さる寸前で止まる。
「やっとおきたね。早く着替えて」
女はナイフをしまうと笑顔で言う。
かわいいな・・。
だが、僕の記憶にはその女の笑顔に覚えがない。頭がクラクラする。
「早く下に降りてきて。食事の準備ができているよ」
そういうと女は下に降りていった。
彼女は誰だ?
とりあえずあたりを見渡す。
ここは僕の部屋だ。じゃぁ彼女は誰だ?
頭がまだクラクラする。クソッ、あいつ本気で殴りやがったな

とりあえず考えるのはよして、制服に着替え下に降りていった。

「おはようござす。昨夜はよく眠れましたか?」
階段を下りると知らないサラリーマン風の男がいた。
僕は軽く会釈をした。
状況は理解できなかったが反射的に。
「鉄郎やっと起きたな。あんたはいつも寝坊するんだから」
声のするほうに視線を向けると僕の頭を殴打した鈍器女がおいしそうに味噌汁を啜っていた。
「このおじさんのご飯すごくおいしいよ!鉄郎も早くたべなよ」
そういう彼女が向かう食卓には二人分の食事が用意されていた。
「さぁどうぞ」
おじさんが勧める。
僕はいつもの席に着き味噌汁を啜った。本当においしかった。
感動した。
僕は黙々と食事を取った。こんなにおいしいご飯が作れるなんて、あのおじさん――
おじさんのほうを見るとニッコリと笑いかけてきた。
鈍器女もがつがつと食べている。
彼女を見ているとこの細い体によく入るなと思った。
「何ジロジロ見てんのよ!珍しくもないでしょ!」
僕は視線をそらしまた箸を動かした。
僕は食事を取り終えた。本当においしかった。
鈍器女はまだ食べ続けていた。

状況を把握してみよう。
僕は今、自分の家で朝食を取っている。
この朝食を作ったのはそこのおじさんで、とても料理がうまい。
そして食卓の向こう側には母さんではなく、知らない鈍器女が座っている。
彼女は僕のことを知っているみたいだ。
以上。
さて・・・。
「あのー。あなたは誰ですか?」
僕は鈍器女に尋ねた。
「は? あんた何言ってんの? 頭打ち過ぎたんじゃない?」
彼女は呆れた顔で答えた。
僕の頭を打ち付けたのはお前じゃないのかと思ったが口には出さなかった。
次はおじさんだ。
「あのー。僕、お名前は伺いましたか?」
「何言ってんのよあんた! まだ寝ぼけてんの?」
「あのおじさんは鈴木さんで、今回の私たちの依頼人じゃない!」
鈴木さんはニッコリと笑った。

             ☆

「鉄郎、あんた本当に何も覚えてないの?」
鈍器女が確認するような口調できいてくる。
「覚えてないっていうか、あなたたちこそ誰ですか?ここは僕の家で母さんと二人で暮らしているんです。ほら、そこに母さんと僕の写真があるじゃないですか」
テレビの横には僕と母さんの写真がある。高校に入学したときの写真のようだ。
「母さんはどこにいるんですか? ていうかあなたたち不法侵入罪じゃないんですか?」
僕は落ち着いた口調で言うと、出口と二人と凶器になりそうなものの位置関係を確認した。

しばらく沈黙が続いた。

鈍器女が口を開いた
「ひとつあんたにヒントをあげる。あんた母親のことについて何を覚えている?」
意味不明の質問だ。僕が母さんについて何を覚えているかだって? 母さんは僕の母さんで、小さいときからずっと二人で・・・、二人で? どうやって?
母さんと二人で暮らしていることは思い出せるのに、その事実以外何も思い出すことができない。
母さん??? 母さん???
母さんの名前って何だったかな? 思い出せない。
「少しは気づいたかな?あなたは何も覚えていないの」

再び沈黙が訪れる。

「ゴメンネ!!」
突然、鈍器女が冗談混じりの口調で言う。
「初めからわかっていたんだけど、あんたをからかいたくってさ。あの鉄郎がどんな反応をするかが楽しみだったのー!」
鈍器女は続ける。
「私の名前はチサト。漢字じゃなくてカタカナでチ・サ・トよ。あなたのことは何でも知っているよ!今のあんた以上に詳しいよ。その証拠にあんたは今、わりと冷静でいるはず」
その通りだった。僕はこのような状況にもかかわらず不思議と落ち着いていた。仮に二人に襲われたとしてもこの状況を乗り切る自信もあった。
しかし、それと同時に自分についても何も覚えていないことに気付く。
過去の記憶がないのだ。
覚えていることといったら

僕の名前は鉄郎。
身長165センチ、体重47キロ、痩せ型。
性別 男。
性格 冷静。
母親と二人暮し。
地元の高校にに通う平凡な高校生だ。

ということだけである。
突然鈴木さんが口を開く。
「あのー、依頼のほうは大丈夫なのでしょうか?」
鈴木さんが不安そうな口調で尋ねてきた。
「オーケー、オーケー! まかせて頂戴! これから出かけるから、確認は新聞かニュースでしてね! 後は契約書の通りに!それと、鍵は郵便ポストの中に入れておいてね!」
鈴木さんはニッコリと笑う。
鈍器女はこっちを見て言う。
「行くよ!鉄郎!」
「何で僕が行かなきゃならないんですか?」
僕は素で答えた。当然の返答だ。
鈍器女はニヤつきながら答えた。
「言ったよね?私はあんた以上にあんたの事を知っているって。あんたの性格なら私についていくのが一番手っ取り早いって考えているはずよ」
図星だった。

家の外に出ると見慣れた風景が広がっていた。ただ道の向こう側にピンク色の派手な外車が駐車してあること以外は。この町の風景には不似合いなピンク色のキャデラック。
いやな予感がした。
鈍器女は車に近寄るといきなりポーズを決め、
「ジャーン!! これが私の愛車!! 私の自慢のキャでラック君!!」
僕はかなり引いた。
「あんたにとっては下品な車かもしれないけどね」
鈍器女はお見通しというような表情をしている。
その通りだ。

僕らは車に乗り込み鈍器女は車を発進させた。
「あんた、何か色々聞きたい事があるんじゃないの? いいよ聞いても。答えられる範囲内のことなら答えてあげる」
鈍器女が運転しながら言った。
「えーと、なんて呼べばいいですか?」
「チサトでいいよ。あんたと私の仲じゃない。」
チサトはニヤニヤしながら言った。
「あと、敬語もなし!」
車はものすごいスピードで町中を走り抜けていく。スピードメーターは90キロを超えていた。
「スピード出しすぎじゃない?」
「いいの!事故らなければ!」
チサトはますます速度を上げながらいった。
「免許は持ってんの?」
「私16よ。持ってるわけないじゃない」
僕はシートベルトを締めた。













2004-04-12 05:01:17公開 / 作者:より子
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■作者からのメッセージ
少し長めのを書いてみようと思います。
新参者ですがどうかお付き合いください。
地方人なので標準語がわからない、、、
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