『山奥のホテルにて』作者:ベト / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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*もちろんフィクションです。
その時はまだあんな殺人事件が起こるとは思いもしなかった……
これは友達と高校進学記念に秋田に旅行しに行った時の話しです。
「お〜い。二人とも早くぅ!」彼女の名前は佐藤遥、横浜にあるとある有名高校に進むことになったでも少しおてんばな所があるやつだ。
「わかったよ。今行くって!おい克巳も早くしろよ。」彼の名は小島勇気、スポーツ推薦で横浜の高校に進むことになった運動神経抜群のやつだ。
「ちょっと待てよ!お前ら歩くの早いよ!」そして、俺の名前は東野克巳、二人の幼馴染で付属高校に通う自分でいうのもなんだが、頭の切れるやつだ。
俺たちがどこに向かっているかというと、勇気の叔母が経営している山形のホテルに向かっている。そこは、山形から電車で三十分さらにバスで一時間というところにある。
勇気いわく江戸時代から続く伝統のある旅館らしい。
「ねぇ……ほんとにここ?」
「たぶん……おふくろに聞いた話だと、ここが叔母さんの旅館のはずだけど……」
2人がこういうのもしょうがないと俺は思った。俺たちの目の前には今にも崩れそうなボロボロのホテルが聳え立っていた。
「すいませ〜ん。だれかいませんか?」
「もしもーし。あの〜誰かいないのぉ?」
「……どちら様で?」
「きゃ〜〜〜!」遥が驚くのも無理はない。そこには七十過ぎのお婆さんがただ一人ポツンと立っていた。
「ば、ばか!お婆さんに失礼だろ!すいません」
「……ご、ごめんなさい」
「僕はここのオーナーの親戚のもので小島勇気と申し上げます。あの〜オーナー呼んでいただけますか?」
「……はいはい……」
「あ〜びっくりしたぁ」
「だからって『きゃ〜〜〜!』はないだろ!」
「だってぇ〜」
「あっ叔母さん!」
暗がりの向こう側からこの建物には似合わない美人な人がスリッパをパタパタいわせながらこっちに走ってきた。
「こんな山奥によくきたね〜」
「こんにちは」
「まぁ元気なこたちねぇ。でも、ほかのお客様もいらっしゃるから、あんまりさわいじゃだめよ!」
「は〜い!」
「部屋は205号室だから。そこの角を曲がって階段上がった先の部屋だから」
俺たちは今にも底が抜けそうな階段を恐る恐る上ってやっとの思いで部屋にたどり着くことができた。
「それにしてもお前の叔母さんきれいだな」
「まあね!」
「あたしもあんな風になれるかなぁ?」
「お前は無理だな!」
「もう!」
「うるさいんだよ!もっと静かにできないのか?このガキどもは!」
いきなり扉が開いたと思ったらメガネをかけた三十代の男はそういってまた出て行った。
「……温泉、行ってみようか?」
「そだねぇ。でものぞいちゃ駄目だぞぉ!」
実はこの旅館の温泉は一部の人たちにはすごく有名で芸能人達も時々くるぐらいなのだ。
俺ら三人はいつもどおり馬鹿な話をしながら温泉に向かっていった。
「じゃあ、またあとでねぇ。……あっ!のぞくなよ〜!」
「わかってるって!俺らはそんなことしないよ。なぁ勇気?」
「……あ、あたりまえだろ」
「その間はなんだぁ?まぁいいや。二人を信じるからねぇ!私は先に温泉に入らせてもらうよぉ」
そういった後遥はパタパタと音をさせながら女湯に消えてった。
「さてと、俺らも入ってのぞくか!」
「えっ!?さっき勇気はのぞかないって!」
「んなワケねーだろ!さっさと入るぞ!」
そこはあのボロボロのホテルからは想像できないような豪華な温泉があった。
「す、すげ〜……お前の叔母さんのホテルすごいな」
「ま、まぁね……ここまでとは思わなかったけど、それよりほら!」
勇気が指差す先にはやっぱり女湯との仕切りがあった。
と、そこにはだいぶ太った中年の男が女湯をのぞきながらハァハァいっていた。
「おいそこのデブ何やってんだよ!のぞきはいけないな〜」
「さっきまでやろうとしてたのは誰だよ……」
「う、うるせ〜!と、とにかくだあんた何者だよ!」
「ぼ、ぼくは、近藤太。それにデブじゃなくて少しポッチャリしてるだけだ!」
「何騒いでるのぉ?」
勇気と近藤が言い争ってると遥が仕切りの向こうから話し掛けてきた。
「なんでもないから!それよりお前は一人なの?」
「ん〜ん違うよぉ。スタイル抜群のお姉さんも一緒!」
「何〜!!きれいなお姉さんもいるのか?おい克巳!きれいなお姉さんがいるってよ」
「きれいなお姉さん……ハァハァ」
「こんばんは」
女湯のほうからは遥とは違いとてもおしとやかな声が聞こえてきた。
「私の名前は細川フミエよろしくね」
と、そのとき突然大粒の雨が降ってきた。
「つ、つめてー!早く上がろうぜ!じゃお姉さんまたあとで!」
急いで温泉から上がった俺たちは、再び自分たちの部屋に戻っていった。
この時俺たちはまだ気がつかなかった、これから始まる悲劇の始まりに……
「いや〜びっくりした〜それにしてもあいつがいたせいで……」
勇気は温泉から出たあともずっとブツブツいっていた。
「まぁいいじゃねーかよ。それより騒いでると又隣のおじさんがくるよ!」
俺がそういってるとコンコンと扉がなった。
「ほーら!だから言ったろ!」
しかし、部屋に入ってきたのは勇気の叔母さんだった。
「いきなり雨が降ってきて大変だったでしょ?それよりそろそろお食事の時間だから食堂に来てね」
もう時間は八時ごろで、ちょうど晩御飯にはいい時間だった。そしてこのホテルは各部屋にご飯を運ぶのではなく食堂ですべての客と一緒に食べるらしいのだ。
「はい。すぐ向かいます。ほら勇気に遥いくぞ!」
「はぁい。」
「……」
勇気は相変わらずブツブツいっていたが遥と二人で無理やり食堂に連れて行った。
食堂には、温泉で一緒にいた近藤さんと細川さん、それに従業員のお婆さんに勇気の叔母さんがいた。
「あと来てないお客さんは、204号室の藤本様だけのようね。ちょっと呼んできますね」
そういって叔母さんは二階に走っていった。
「さっき私たちを怒鳴った人、藤本っていうんだぁ」
「さっきはどうも」
勇気は遥の言うことには耳も向けず、細川さんに軽く会釈したあとに、キッと近藤さんをにらみつけた。
細川さんはそれに答えるように会釈をした。一方近藤さんは勇気のことをすごい形相でにらみ返していた。
「きゃ〜〜〜!」
食堂で待っていた俺たちの耳に叔母さんの叫び声が聞こえてきた。
「叔母さん!!」
勇気は一番に食堂を出て、二階に全力疾走していった。それに続いて俺たちを含める食堂にいた全員も二階に走った。
二階には床に倒れこむ叔母さんと叔母さんを抱える勇気の姿があった。
「叔母さん!叔母さん!おい!大丈夫か?何があったんだ?」
「そ、そこ……」
叔母さんが指差す先には机に突っ伏している藤本さんの姿があった。
俺は恐る恐る近づいていき藤本さんの顔をみた。
「う、うわ〜〜!!」
思わず大声を上げてしまった俺は少し気分が悪くなり、口に手をあてた。
「どうした?」
「し、死んでる……」
僕は今にも消えそうな声でそう答えた。
僕の心の中でドーンと大きな雷が鳴ったような気がした。
一旦食堂に戻った俺たちは、もはや飯を食べる気力さえなかった。
「叔母さん一つ聞いていいですか?」
「何かしら?」
「今日俺たちが入って来たあとに誰かこのホテルにきた人と、出て行った人はいますか?」
「いないわ」
俺は少し考えたあとにこういった。
「じゃあ藤本さんを殺した犯人はこの中にいますね……」
食堂にいた全員がハッと顔を上げ、俺のほうを見た。
「だってそうだろ?このホテルに入った人も出て行った人もいない。ということはこの中に犯人がいるってことだろ」
「……」
食堂にはなんとも言えない重い空気が流れていた。
「ぼ、僕は違うぞ!だってそうだろ!君たちは藤井さんに怒鳴られたあとすぐに温泉に言っただろ?そのとき僕はもう温泉にいて女湯を……」
「まさかのぞいてたんですか?なんていやらしい」
「そ、そうだよ!のぞいたよ!でもこれで僕のアリバイは晴れただろ!」
「私もこの人にのぞかれてたんだからシロでしょ!」
「秋田県警の天野です」
食堂で言い争っていると秋田県警の人がやってきた。
「現場検証と取調べにきました。一人づつ取調べをしますので、まずはオーナーの小島弘子さん来てください」
「はい」
叔母さんは不安そうな顔をして刑事さんについていった。
「……」
叔母さんが帰ってきたあとも順番に一人ずつ呼ばれていった。
食堂にはまたも重く張り詰めた空気が流れていた。
「じゃあ最後、東野克巳君来てくれるかな?」
「はい……」
俺は刑事さんにここに来てからのことを全て話した。藤本さんに怒鳴られたこと、温泉に行きのぞいていた近藤さんと知り合ったこと、壁の向こうから細木さんの声が聞こえてきたことなど、今にいたるまでを。
「わかった。ありがとう。あとで食堂でみんなに話すことがあるから。」
刑事さんはそういって部屋から出て行った。僕も部屋から出て行った。
僕は二人の待っている部屋に戻った。
「おかえりぃ」
「うん……」
「なぁ、よく考えてみろよ。この事件不可能なんじゃないか?」
「あぁ俺も考えてたところだよ。」
「どういうことぉ?」
「よく考えてみろよ。勇気の叔母さんはあのおばあさんに一緒にいたって言うし、残りの二人は俺らと一緒に温泉に入っていてできない。当然俺らはできないし、してない。」
「おい、そろそろ食堂に行ったほうがいいんじゃないのか?」
俺たちは刑事さんたちの取調べの結果などを聞きにいいくために食堂へ向かった。
「被害者は藤本徹さん三十五歳、職業は新人アイドル細川フミエさんのマネージャー。」
「え!?フミエさんアイドルだったの?どうりで美人なわけだ!」
刑事さんはわざと大きな咳をしたあとにさらに続けた。
「死因は背中をナイフで刺されたため死亡。死亡時刻はそこの三人組が怒鳴られたすぐ後になっている。少なくともあと二日間事情聴取のためにここにいてもらいます。くれぐれも外出しないように!」
そういって刑事さんはホテルから出て行った。
他の人たちもまだショックで話せないないのか無言のまま部屋に戻っていった。
「なぁこの事件俺らで解決してみないか?実は俺犯人の目星はついてるんだ。」
「ほんとか!おい克巳教えろよ!」
「いや……まだちゃんとした証拠がないから何ともいえないんだ。だからもうちょっと待ってくれよ。」
「そうかわかった」
「そこでだ、今から藤本さんの部屋に行ってちょっと見たいものがあるんだ。ついてきてよ」
「うん。わかったぁ」
俺たちは早速藤本さんの部屋に行った。
「ところでさっきからベランダに立って何を探してるんだよ!」
「ちょっとね。……あった!さてと次は焼却炉だ!行くぞ」
「ちょ、ちょっとまってよぉ」
温泉の横にある焼却炉に向かっている途中で言い争っている声が聞こえてきた。
「あんたでしょ私のマネージャーを殺したのは!」
「ち、違うよ」
「おいあんたらやめろよ!心配しなくてもウチの克巳が犯人を探し出してやるよ!」
「ほんとにそんなのできるのかしら?」
「できるよぉ」
「さぁいこぜ!」
そんなゴタゴタがあったなか俺らは焼却炉についた。
「あったぁ?」
「そんなにすぐ見つかるかよ!もうちょっと待って」
その後俺は夜の暗さのせいもあって三十分かっかってやっと見つけることができた。
「これですべてはつながった!」
「えっ?」
「勇気すぐに刑事さんを呼んできて全員を食堂に連れてきてくれるようにたのんでくれ」
小一時間ほどたったあと全員食堂に集まってもらった。
「何なんだね?こんな時間に」
「実は、犯人がわかったんです」
俺がそういった瞬間またも食堂には重い空気が流れ、刑事さんがこういった。
「とりあえず聞いてみようじゃないか」
「ありがとうございます」
俺は説明をはじめた。
「犯人がわかったのは犯人が言った言葉と二つの証拠です。」
「それは藤本さんのベランダの手すりがへこんでる事、焼却炉にあったシーツ、そして近藤さんの失言です」
「どういうことだ?」
「近藤さんがもともと温泉にいたなら僕たちが怒鳴られたことを知るはずないんです。なぜなら、温泉からはホテルでの声は一切きこえないんですから!」
「そうか!でもどうやって?」
「それが二つの証拠です。ありがちですが、ベランダにシーツを結び付けてそこから温泉に降りたんです。ベランダの手すりがへこんでたのは近藤さんがシーツを使っておりたからですよね?近藤さん!」
「そうなのか?」
「そ、それは元々へこんでたんじゃないのか?」
「そんなことはありません!」
近藤さんがそういうと勇気の叔母さんはすかさずそういって否定した。
「でもわかりません……なぜ彼を殺したんですか?」
「それは、あいつがうらやましかったんだよ!」
「うらやましかった?」
「そうだ。僕の大好きなフミエちゃんのマネージャーなんて……」
「そんな馬鹿な理由で君は人を殺したのかね?」
「……」
「連れてってくれ」
刑事がそういうとほかの刑事さんが近藤さんをパトカーに連れて行きパトカーはサイレンを鳴らして遠くに走り去っていった。
刑事さんはもう一台のパトカーに向かって歩いていった。ふと振り返り「それにしても、君はすごい高校生だね。」と言って帰っていった。


あの事件があってからすでに3ヶ月過ぎた。
僕たちはもうすっかり高校生になって高校生活を楽しんでいた。
これからまた新しい事件が幾度となく起こるのを知らずに気楽に遊んでいた……

                                       〜完〜
2004-04-11 21:25:29公開 / 作者:ベト
■この作品の著作権はベトさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初めて自分で小説を書きました。
何か読みにくいところがあったら指摘してください。
これからもどんどん書いていきたいと思います。
この作品に対する感想 - 昇順
台詞の後に描写が来るのは読みにくいな。と、思いました。後描写が足りないと思います。続き、頑張って下さい。
2004-04-11 20:26:46【☆☆☆☆☆】蘇芳
何だか台詞が多すぎるような気がします。もう少し描写の部分を増やすと、読み易くなると思いますよ(^^)。頑張ってくださいね。
2004-04-11 21:08:47【★★★★☆】よもぎ
色々と指摘ありがとうございます。次回作から反映させていきたいと思います。読んで下さってありがとうございました。
2004-04-11 21:28:40【☆☆☆☆☆】ベト
計:4点
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