『記憶の彼方にあるもの(1〜11)』作者:フィッシュ / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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プロローグ

「しまった!!!」

キィーーーーーーーーーーー




「急いでください、急患です」

「状態は脳がすこしやられてますね」

「今からオペを始めます」







「ここは何処だ?」

俺の嫌いな匂いだ。周りは白い壁模様。たくさんのベッド。

「気づきましたか?」

誰かが俺のことを呼んでる。
知らない人の声だ。誰だ?

「ここは何処ですか?」
「病院ですよ。あなたは事故にあって運ばれてきたんですよ」
「ああ、そうだ。俺はたしか横断歩道を無視して飛び出したんだ」
「まったく気をつけてくださいね」

ナースさんに怒られました。そうだ、気をつけないといけないな。

「じゃあ、ここに住所と名前を記入してくださいね。迎えに来てもらいますから」
「わかりました」

・・・・あれ、思い出せない。俺の名前って・・・なんだ?

「すいません。俺の名前わかりますか?」
「わかるわけないじゃないですか。もしかして、君」」

俺は無言で頷いた。記憶喪失ってことだろうか。その後ナースさんはパニックになってしまった。
まあー当然といえば当然だろう。こんなのは初めてなのだろう。

「先生来てください。急いでください」

どたどた騒がしい。相当焦っているのだろうか?
その後、すぐに先生が駆けつけてくれた。

「君かね。記憶喪失だというのは?」
「たぶん、そうだと思います」
「今調べてわかったことが、君の名前は水島涼。年齢は17の高2ということがわかった」
「君の住所は皆月町1−2−14だということもわかった、すぐそこだね」
「わかりました」
「脳や体に大きな外傷はなかったから、今すぐ退院できるけど、どうする?」
「じゃあ、すぐ退院させてもらいます。お世話になりました」
「言い忘れたけど、無理に思い出そうとはしないこと。精神を傷つけることになるからね」
「わかりました。気をつけます」

病院を出た後、俺は自分の家に向かった。記憶を失ってから、初めての道である。
よく考えたら俺に家族はいるのか。頭が痛くなりそうだ。
深く考えるのはよしとこう。先生も言ってたし。

そして俺は、自分の家の前に立ってる。

ピンポ〜〜ン。

「は〜い」

がちゃ。

「あれ、涼兄さんどこにいってたんですか?」

俺はふと思った。よく考えたら誰だ?





chapter-1・・・失われた過去


「ごめん。君は俺のことを知ってるの?」
「そうでしたね。病院から聞きました。記憶がないんだからしょうがありませんよね」

その少年は下を向き何かを考えてる。

「じゃあ、なんか僕に聞きたいことはありますか?」
「俺のことについて。あと、君は誰?」
「僕の名前は、水島淳。あなたの弟です。あなたは、水島涼。この、水島家の長男です。後は・・・そのうち思い出してください」

こいつは面倒になったからやめたのだろう。
何とも酷すぎる。

「もっと、細かいこと言えないのかな?」

「先に行ってくださいよ。でも、よくよく考えてみたら、
あまり教えるのは良くないと思いますね。
先生も言ってたでしょう?無理に考えてはいけないと」
「むう、まあーそれもそうだな」
「自然に思い出すのが一番ですよ」

この声なんだか懐かしい気がする。
俺はこいつのことをよく知っている。

「まあー立っててもしょうがないんで、入りましょう」
「ああ」

キイー、バタン

「・・・」
「どうしました?」


おかしい。おかしすぎる。上のシャンデリア。ホテルみたいなたくさんの部屋。
メイドさんがたくさん。とにかくなんでこんなにゴージャスなんだ。

「なあーここが本当に俺の家か?」
「当たり前じゃないですか」

メイドの人がたくさん俺の前に来た

「お帰りなさいませ。涼様」

本当のようだ。むなしいような、嬉しいような、よくわからない心境である。
しかし、なんか違和感がある。

「そういえば、親は?」
「・・・僕たちに親はいません」
「えっ!どういうことだ?」
「僕たちの親は3年前に事故でこの世を去りました」
「そうか。ということはほかに誰がいるんだ?」
「姉さんがいますよ。後、父の祖父と妹」
「その人たちの名前は?」
「私が姉の、水島麗奈よ」
「わしが、祖父の水島茂じゃよ」
「水島恵美ですよ」

いきなり、俺の背後から出てきた。というよりいつからいたんだろう。

「とりあえず、これが僕たちの家族です」
「そうか。みなさん、ご迷惑をかけるかもしれませんが宜しくお願いします」

クスクス

笑われている。変なことを言ったか俺?

「あなたはここの家族なんですから、そんな礼儀正しくなくていいのですよ」
「わかりました」

とにかく俺は新しい生活を持つことになる。
しかし、俺の記憶はまだ何もわかっていない。
俺は一体どんな人間なんだろうか。
俺の記憶は見つかるのだろうか?







chapter-2・・・現在と過去でちがうもの


水島家初日である。

「ふぁ〜〜〜。眠いな。8時00ちょうどか」

といっても、これからどうかするわけでもないので、ベッドから降りて
とりあえずはリビングに向かった。

「おはようございます。涼様」

メイドの人はすでに掃除やら忙しそうである。

「ああ、おはよう」

俺はリビングに入ったら、すでに恵美さんが料理を作っていた。
この匂いからしてかなりの料理の達人と見た。

「おはようございます。恵美さん」
「おはよう。よく眠れましたか」
「ええ、熟睡できましたよ」
「ふふふ、そこは昔と変わりませんね」
「ということは、いつも睡眠が第一みたいな感じだったんですか?」
「ええ。まあー変わったと言えば、朝きちんと起きてくれるようになったことですかね」
「じゃあ、明日からは起こしてくれるんですか?」
「せっかく寝坊してくれないで起きれるようになったんだから、これに得したことはありませんよ」

恵美さんは笑いながらも、手を休めずに料理している。
かなりの器用さである。

「そういえば、俺は学校はどうしたらいいんですか?」

恵美さんは料理を作りながら、話してくれた。
にしても、朝っぱらから何を食わされるんだろうか?
やけに量が半端じゃないような気がする。

「涼さんは事故ということなので、一週間休めることになってるんですよ」
「じゃあ、いろんなところを見て回るとしようかな。自分の過去を取り戻すためにも」

そのとき、恵美さんは手を止めて語りかけるように俺に言った。
「・・・涼さん。人間は知らない方が自分のためになることもあるというのを忘れないでください」

俺は背筋が凍った。この異様な威圧感は何だ?これは俺の知ってる恵美さんではない。
とても冷え切った口調であり、とても寒い感じだ。

「わかりました。しかし、俺は自分の過去を知る必要もあるんです」
「そうですね。自分がどんな人間かは誰だって知りたいですもんね。
でも、くれぐれも無理はなさらないように」
「はい。わかってるつもりです」

この部屋はとても重い空気に包まれている。
俺が退いてるとき恵美さんがいつもの口調で。

「それではご飯にしますから席に座ってください」
「俺の席って何処なんですか?」
「あっ!忘れてました」
「・・・」

さっきの威圧はどこにいったのだろうか?
恵美さんは、俺の席を取りに二階の物置に行った・・・その後異様にホコリだらけのいすに座らせられた。

「はい、じゃあいただきましょう」

気づいたら、茂さん、麗奈さん、淳もいた。ホントに気配がない人たちだ。
朝飯の量はやはりとんでもない量だった。これを本当に俺たちだけで食うのか?
と思ったら、メイドさんの朝飯も入っていたようだ。納得。
水島家の料理も至って普通。ご飯、ネギのみそ汁、紅鮭、漬け物、青汁、と至って・・・普通?
何故青汁が?

「すんません。なんで朝っぱらから青汁なんですか!?」
「体にいいからですよ!」
「飲まなきゃ駄目ですか?」
「もちろん!!!」
「・・・はあ〜」

とりあえず朝食を済ました俺は、近所を調べることにした。
・・・青汁のせいで気持ち悪いというのは内緒である。

「さあ〜てと。着替え着替えと、あった」

俺は準備をした後玄関に向かった。思ったんだがメイドさんはいつから此処にいるのだろうか

「お〜し。じゃあとりあえずいろんなところを歩き回ってみるか!」
「行ってらっしゃいませ。涼様」
「あい。行って来ます」

俺はこれから、この皆月町を探索する。










chapter-3・・・一週間の休み

「こんなもんかな」

俺は皆月町を探索していた。商店街、ゲームセンター、駅、工場、映画館、など、
たいしてほかの町と変わった物はなかった。

「帰るか」

気づいたらカラスが、あほー、あほー泣いてる。
家を出たのが朝の9時頃、今は5時ぐらいだな。

「・・・どっちから来たっけ?」

しまった!!!俺としたことが道に迷ってしまった。こういうときは風の吹く方に、

「・・・」

全方向から風が吹いてるような感じがするのは気のせいだろうか?
こういうときは人に聞くしかないな。
おお、あんなところに普通の女の子が。

「普通で悪かったですね」
「ああ、すいません。って、なんで俺の考えてることがわかったんですか?」
「女の勘ってやつですよ。ふふ」

なんか不思議な人だ。よくわからないけど、何かを隠し持ってるような雰囲気だ。
どこかの学生のようだ。髪はロングの少し茶髪である。
大人っぽくもなく、子供っぽくもない。でも、ちょっと睨まれてるようで怖い。

「誰が怖いですって(にこっ)」

余計怖いよ。つうかなんで俺の心の声がわかる?こういうのはおばさんが得意としてるよな。

「・・・そう、そう言うこと考えますか」

やっぱわかったようですね。
なんか殺気みたいな空気ですね。怖いですね。家に帰れなくなるかもしれません。
おっとそんな場合じゃなかった。

「そんな、ギャグやってる場合ではなかった。すいません。駅はどっち方面ですかね?」
「教えてあげてもいいですけど、一発打たせてくれますか?」
「・・・冗談なのに。一発だけですよ」
「はい!!それでは!!」

バチ〜ン!!!!!!

俺は気絶寸前のところを必死に耐えた。
なんともいえない。初めて食らった、女性のビンタだ。

「えっと、駅はここから向こうの道を曲がると見えますよって聞いてますか?」
「な、なんとか。どうもありがとうございました」
「いえいえ、どういたしまして」

笑うとかわいいかもしれない。

「・・・そんな、初対面の人に」

なんか異様に顔が赤い。さっき思ったこともわかったのだろうか?
だとしたら、とてつもなく恥ずかしいことだ。

「そういえば、あなたの名前はなんて言うんですか?」
「・・・水島涼らしい」
「らしい?」
「俺、記憶喪失なんですよ」
「ごめんなさい。そうだったんですか、苦労されてますね。あっ、私は利島深雪よろしく」
「気にしないでください。こちらこそよろしく。それじゃ、失礼しますね」
「さよなら」

俺は教えてくれた方に進んでいった。見事に目的地に到着した。しかし、その翌日、
足が筋肉痛になってしまった。それと、顔が痛い。どっかでぶつけたのだろうか?そうして、この一週間はあっという間に終わった。
明日から学校である。




chapter-4・・・学校の楽しさ


「それじゃ行って来ますね」
「はい。初めての学校なんですから、楽しんできてください」
「楽しいんですか、学校って?」
「それは、兄さん次第ですよ」
「そうか?まあ〜いいや。じゃあとりあえず道案内頼むわ」
「任せてください」

俺は今日から学校に行くことになった。
職員室に行かなければいけないので、早起きするはめになってしまった。
道がまだわからないため淳が道案内として付き合ってくれてる。
今春なのでとても気持ちがいい。道には桜の木などがあり、
それを見ながら登校した。

「兄さん、職員室の行き方はわかりますか?」
「多分大丈夫だと思う」
「それじゃ、僕は教室に行きますので」
「ああ」

とは言ったものの、初めてなんだからよくわからん。
結局俺は道に迷ってしまった。
どうしよう誰かに聞こうかな。

「わっ!!!」
「うおっ!?」
「やっぱ、水島君だ!」
「びっくりしたな。で、どちらさまでしたっけ?」
「なっ!?この前会ったばっかなのにもう忘れたの?」
「誰でしたっけ?」
「利島です。思い出しましたか?」
「いえ」
「そうですか。なら強行手段ですよ」

その女の人は、というかわかってはいたのだが冗談でからかっていたのだ。
いきおいよく手をあげた。
もう何をするかはこの前の話を知ってれば見当がつくだろう。
とこんなことを言ってる場合ではなかった。説得しなければ。

「冗談だよ、ちゃんと覚えてるよ。深雪許してくれ」
「相変わらず酷い冗談ですね」
「怖かった、本当にやられたかと思ったもん」
「にしても、同じ学校だったんですね」
「ええ、そうですね。奇遇ですね」
「そうですね。でどうされたんですか?」
「あっ、そうそう職員室の行き方がわからなくてこまってたんですよ」
「職員室なら、この階段を上って右にありますよ」
「わかった、ありがとな」
「後で何か奢ってくださいね」
「それは無理だ!!」
「う〜〜〜」


言われたとおりに行ったら、
なんとか職員室に着いた。
誰でも生徒なら一度は思うことだろう。
夏は扇風機や、クーラー。
冬は、ストーブや、コーヒー。
職員室は羨ましすぎる。

「失礼します」
「おや、水島君いろいろ大変だったね」
「いえ、大丈夫です」
「そうか、言い忘れたね。私が2−3担当の川下だ」
「宜しくお願いします」
「それじゃ、教室に行こうか」
「はい」

数分後、俺は教室に着いた。結構広い校舎だった。
俺は教室に入った後生徒に向かって、自己紹介をした。
やはり、昔の時と性格が違うのか、みんな驚いた顔をしていた。

「それじゃ、そこら辺に座ってくれ」

そこら辺で良いのかよ。
まあ〜空いてる場所は一つしかないし、そこしかないな。

「はい」
「また、会ったね」
「君はどうして、毎回俺のそばにいるんだい?」
「さあーなんででしょうね」

言うまでもないかもしれないが、深雪である。
初めて知ったのだが、深雪は春休みに転校してきたらしい。
そして休み時間。

「よう、水島元気してたか?というか、俺のことわからないか。俺は長島経太だ。よろしく」
「ああ、こちらこそよろしくな」
「涼君、ひさしぶりだね。私は風見由香よ。よろしく」
「姉さん、弁当忘れてるよ。涼さんこんばんわ。僕は風見由香の弟の風見竜也です。
「どうも、涼君。小林美沙ですよ〜〜」
「どうも、宜しく」

よくわからないが、学校の友達をまとめてみよう。
同じクラスで、最近知り合った、利島深雪。多少抜けてるとこがあるが俺と気が合う、長島経太
違うクラスで、深雪と仲がよく、ちょっと天然の風見由香。頭が良く元気一杯の小林美沙。
一年生で、由香の弟でありしっかり者の風見竜也。
こんなところである。

「まあーとりあえずみんな宜しく」
「よろしく(な)(お願いします〜)」
とりあえず気のいい友達が出来て、一安心である。
これからの学校生活が楽しみである。
でも、記憶を探す方が先だ。




chapter-5・・・涼の過去


「勉強苦手だ〜〜!!」
「そんなことを愚痴ってどうするのよ」

俺は5教科が苦手である。そこで、深雪に勉強を教えてもらおうかと思ったんだが、
深雪も勉強が苦手だそうだ。ここは、美沙さんに頼むしかない。

「というわけなんで、勉強教えてくれるとありがたいんですけど」
「かまいませんよ。いつにしますか?」
「それでは明日にしませんか?休みですから」
「わかりました。何処でやるんですか?」
「・・・何処がいいですか?」
「じゃあ私の家にしますか?」
「マジですか!?」
「ええ、かまいませんよ。じゃあ、また明日」
「はい」

この年になって初めて(過去に行ったことはあるかもしれないけど)女子の部屋に行くことが出来る。
深雪には悪いが、俺のほうが頭が良くなってしまうぞ。



あっという間に次の日

「おじゃまします」
「いらっしゃいです〜〜」

とてもいい匂いがする。これは美沙さん特有の匂いだ。
しかも、家もかなり広い。

「それではさっそくお願いします」
「じゃあ、何から勉強しますか〜〜〜?」
「何から勉強するって言われても美沙さんの得意分野でいいですよ」
「そうですか〜〜〜」



俺はとりあえずは2時間ぐらい勉強して家に帰った。
怪しいことはしてません!!!
にしても、やっぱし俺はこの水島の家が落ち着く。

「さあ〜今日は勉強もしたことだし、さっさと寝ちまいますか」
「兄さん、今暇ですか?」
「おお、淳か。どうした?」
「姉さんと恵美さんがいないんで、料理がないんですけど、店屋物でいいですよね?」
「かまわん。できたら、うな重がいい」
「わかりました」

その後、熱々のうな重を食べてすぐに寝てしまった。
宿題も忘れたまんま。

「というわけですから、宿題見せてください」
「さすがにそれは無理ですね」

その後断られた俺は図書室で死ぬ気で宿題をした。昨日勉強をした成果がでて、簡単に解けた。

「何とか終わったな。ついでになんか本でも借りてくか」

俺は図書室の中をひたすら探し回った。
自分には興味がないのを探してるのだから当然といえば当然だろう。
そのとき、俺は皆月本校生徒という本を見つけた。

「なんだ?この本は?」

表紙が固まっており、開くのにも苦労した。
そこには去年の生徒の名前があった。
そして俺の名前も。

水島涼。16才、皆月高校テスト、順位常に1位。
性格に多少の問題あり。
その性格は・・・・・

「途中で破れている。なんだこのお約束みたいなのは。
多少の性格問題があり・・・俺はどんな人間だったんだ?」



chapter-6・・・記憶の狭間

「兄さんの元気がないですね」
「何かあったのでしょうか?」

ついに俺は自分の過去を知ることが出来た。なのになんだこの嫌な気持ちは、
俺はどういう人間だったんだ?
頭が痛い!!
なんだこれは?

「早く・・・逃げて・・・」

あなたは誰?寒い。でも家が燃えてる。
とても広く、懐かしい匂いのする場所だ。

「涼・・・逃げるんだ」

父さん?母さん?ここは何処なんだ?

「逃げるんだ!!!」


俺の隣にいた少年は無言でうなずきとりあえず走り回った。
なんだここは、・・・俺の過去!?
俺はその少年に着いていった。

「ぐわああ〜〜〜!!」

「きゃあ〜〜〜!!!」

なんだこの悲鳴は?とりあえず戻らなくちゃ!!



そこにはとんでもない光景があった。
銃で無惨にも殺された。自分の父と母がいた。
そして、そこには笑っている誰かが居る。
そして俺に何かを話しかけている。

「君は不思議な力の持ち主だ」
「何をいってるの?」

気づいたら、その男の隣には小さな少年が居る。
これは・・・俺!!!

「困ったもんだ。ここの家族は何も教えていなかったのか」
「何?僕はなんなの?」
「君はね・・・」

なんだ?なんて言ってるんだ?

「・・・もう一人の君が居るんだよ!!」
「僕は僕だけだよ」
「そう。今は知らないだろうね。君のもう一人の君はね、残虐な性格だからね気をつけてね」
「そうなんだ。怖いよ。僕の中にそんなのが居るなんて。ねえ〜パパとママはどうしたの?」
「君のパパとママはね・・・僕が殺したんだよ!!!!!」
「・・・」

許せない、こいつだけは許せない、いや!!許さない!!!
なんだこの気持ちは、!!!気が遠くなる。

「・・・許さない!!消えてしまえ!!!」

少年(俺)は自分ではないような気がするほどの、・・・力を感じた・・・




「うわあああ〜〜〜!!!」
「どうしたんですか兄さん!?」

ん。夢か

「ああ、大丈夫だ。すまない心配かけたな」
「気にしなくていいですよ」

そういった後、淳は俺の部屋から出ていった。俺はどうやら自分の部屋で眠っていたようだ。
いつもの部屋である。とてつもなく広い部屋。ラベンダーの香りがするふかふかのベッド。
にしても、
なんだったんだこれは、ともかくひとつわかったのは。・・・俺は・・・もう一人いる!!







chapter-7・・・精神崩壊の恐れ

俺はあの奇妙な夢を見てから2日たった。
なんか気分が悪い。吐き気が俺を襲う。
今日は月曜なのに休むわけにもいかないか。

「うっ!」

来た。胃から何かが戻ってきてる気分だ。
食事中のかた申し訳ない。俺はトイレに全速力で向かった

「おえええ〜〜〜」

微妙に楽になった。
しかし、これは結構きついな。
しかし学校に行かないわけにも行かないので、俺はリビングに向かった。
やっぱし、朝早くからメイドさんが働いていた。
この匂いをかいでいると気分が悪いのも良くなりそうだ。
落ち着くようなとてもいい匂いがする。
花の匂い(ラベンダーなど)
香水の強烈な匂い(俺苦手)
山の匂い(どんな匂いだ?)
焼き芋の匂い(なぜ、なんで、WHY)
まあーいろんな匂いがするということだ。
しかし、最後のほうでは自分の気分がさらに悪くなったのは内緒である。
というか、後の二つなんだ?
にしてもみんな凄いな。なんでみんな風邪ひかないんだろうな?


「風邪をひかない理由ですか?」
「はい、なんでみなさんは風邪をひかないんですか?」
「そうですね。あまり無理をしないことでしょうかね」
「はあ〜無理をしない」
「そうです。私たちなんか毎日仕事で失敗して怒られてるんですけど、
深く考えたりしたら精神体に負担がかかりますからね。後は充分な睡眠ですよ」
「なるほど」(というかこの人たちは本当に充分な睡眠とってるのか?)

まあ〜要は何も考えなければいいんだな(ちょっと違うような気がするけど)
俺も気をつけよう。

「お体の調子が悪いんですか?」

気づいたらいきなり、恵美さんが後ろに立っていた。

「ええ、なんか気分が優れなくて」
「でしたら、今日は学校を休んで病院にでも行って来たらどうでしょうか?」
「そうですね。学校で何かあっても大変だし。じゃあ、そうさせてもらいます」

ということで、俺は病院に向かった。
俺はこの匂いが嫌いだ。何とも言えない薬の匂いだ。
すんごい広さだな。エレベーターを見たら11階まである。
やっぱし病院というのは凄いんだな。
こんなので驚くなんてまるで田舎者だな。
そして検査を受けて、医者の診断を聞きにいく。

「あの〜どうなんでしょうか?」
「はっきし言ってあまりいい状態とは言えませんね」
「結局どういうことなんですか?」
「最近悩み事がありませんか?それが体に来ているようです」
「ありますね。で、それがなんかの病気なんでしょうか?」
「病気ではないですが、心の病気でかなり酷いです。精神崩壊の恐れがあります」
「はあ〜そうなんですか」
「・・・意味わかってますか?」
「いえ、まったく」
「簡単に言えばこのままの状態でいくと精神が壊れておかしくなってしまうかもしれないということです」
「・・・はっきり言いますね」
「あなたがわかってないからはっきり言ったんです」
「なるほど。で、どうしたらいいんですか?」
「そうですね。少しの間入院してもらいましょうかね」
「入院ですか?」
「体の調子を整えると言うことで」

その後、

プルルルル〜〜〜
ガチャ

「はい、水島です」
「もしもし、涼です。恵美さんですか?」
「そうですよ。どうでしたか?診断結果」
「それがあまり良くないとのことなんで、入院する必要があるかもしれないそうなんですけど」
「まあ〜それは大変ですね」
「そういうことなんですけど、入院費とかはどうしたらいいのかなと思いまして」
「わかりました。そういうことなら私が持ちますよ」
「えっいいんですか?」
「ええ、大丈夫ですよ。それより体には気をつけてくださいね」
「はい、気をつけます」

俺は入院費は恵美さんが払ってくれると言うことなのでとりあえずは安心した。
しかし、彼女には一体どれくらいお金を持ってるんだろう?
というか聞きにくいからやめとこう。(俺のシックスセンスが反応してるからだけど)
そういうことで俺はこの嫌いな匂いがする病院に少しの間入院することになった。
しかし、やはりおかしい。
なんか体の中で何かが動いてるような気分だ。
悪いことの前兆じゃなければいんだが。
そして、ベッドに入ってから8時間ぐらいたった。簡単に言うと夕方である。
そのとき

コンコン

ドアを叩く音がした。

「どうぞ」

ガチャ

「涼、生きてっか?」
「涼君、元気してた?」
「涼さん〜〜〜体の調子はどうですか〜〜〜?」
「涼君!!合掌!!!」
「姉さん何言っちゃってるんですか!?にしても涼さん、大変でしたね。お体の調子はいかがですか?」

とりあえず俺のダチが見舞いに来てくれた。
長島、深雪、美沙、由香、竜也、この五人だ。
しかし、本当に心配してくれてるのは、竜也だけではないだろうか?
特にあの由香の「合掌」・・・俺なんかあいつに悪いことしたか・・・?
まあ〜みんな変わってないな。

しかし、今の俺にとってはみんなと話してるときが一番の至福の時だった。



「なんだ、もっと唸ってるのかと思ったらつまんねえな」
「涼君は死んでも死なないのよ」

何の例えだそりゃ?

「もう、せっかくからかう準備してたのに」
「逝ったら楽になれたのに」
「姉さん!そんな本当なこと言っちゃ駄目ですよ!!」

竜也お前まで!!

「お前ら、直ったら覚えてろよ!!」
「ああ、大丈夫。覚えてないから!!」

前言撤回!!!!!
俺は至福の時なんかなかった。
ちくしょう!!・・・うっうっ。

「じゃ、涼君早く元気になってね」
「そうだぞ、お前がいないとつまらないんだからな」
「つまらないです〜〜」
「がんばってね」
「涼さん、お大事に」

・・・一体どっちなんだ!!??
でも、やっぱりこいつらと話してると落ち着く。
こいつらといるのがきっと好きなんだろう。




chapter-8・・・病院の食事



俺が入院してから、三日たった。
病院全体の場所を把握できるほどになった。
しかし、俺が未だになれない物がある。それは・・・来た!!

「涼さん、食事の時間ですよ!!」
「うっ、来た!?」
「来たじゃないですよ。たくさん食べて栄養つけないと退院できませんよ!」
「ふぁ〜い」

俺は何とも情けない声を出してしまった。まあ〜ここまで話せばわかるかもしれないが、
病院の食事である。本当に栄養には気をつかっているようだ。
しかし、俺は言いにくいが好き嫌いが多い。
そのため、半端じゃないくらい病院食はごめんだった。
俺の周りにはすでに食べ始めている人もいるので俺も食べなくてはならないのだが、
残すとナースの人が怒る。しかも・・・・・怖い。

「とりあえずは食うか」

今日は白米におしんこ、みそ汁に紅鮭、ほかにもいろいろ(俺が嫌いなものばっかし)





「なんとか食いきれたな」

俺は半分涙目の状態であった。
嫌いなものを食べると、どうしても涙目になる。

「おや、涼さん。今日は食べきれたようですね」

そこには朝俺の飯を運んできてくれたナースさんがいた。

「ええ、もうあなたに怒られるのはこりごりですからね」
「・・・明日はもっと強烈な物を用意させましょうか?」
「遠慮しときます」
「・・・」

怖いよ〜〜〜なんでこんなことになったんだ?(俺が悪いんだけど)

「ごめんなさい。もう、二度と言いませんので許してください」
「駄目です!!!」

即答かよ!!

そんなこんなであっというまに昼になった。
俺は病院の近くにある、公園に出かけていた。
そこには子供が両親と遊んでる姿しかなかった。
その子供は嬉しいのかはしゃいでいた。
俺にもこんな時があったのだろうか。
こんなに笑っていられるときが。
いや、俺の両親はすでにこの世にはいない。
あの夢が真実なのだろう。
いや、しかし、俺の両親は確か事故では?
何故だ?矛盾しまくりだな。所詮は夢ってことかな?
まあ〜どうでもいいか。過ぎたことを気にしてもしょうがないし。


「あら、両親がいなくても、私たちがいるじゃない。それとも私たちは友達じゃなかったの?」
「おっ!深雪じゃないか。いつのまに?というかこんなところで何してんだ?」
「お見舞いに来てあげたのよ。そしたら、ナースさんに公園にいるって言われたのよ」
「ああ、なるほど」
「にしても、酷いわね。私たちがいるのに独り者だなんて」
「たしかにそうだな。今の俺は、深雪たちがいるから一人じゃないだろう」
「そうよ。しっかりしなさい。病院で頭もぼけたのかしら?」
「いや、それはないだろ。思ったんだが、何故俺の考えてることがわかった!?」
「一緒に遊んでる子供と両親の楽しそうな顔を見てため息をついてたから。
それに、麗奈さんから聞いたんですよ。「私たちは両親がいないんです」ってね」
「なるへそ」
「微妙に死語ね」
「酷すぎるッスよ」
「それで、いつ退院出来そうなの?」
「さあ〜?まず、明日は無理だな」
「なんで?」
「俺専用のナースさんが、明日は強烈な物をくれるらしいからね」
「俺専用?ナース?強烈なもの?そう。そういうこと。涼君はそういうのが好きなんですね!?」
「へっ?なんのこと?」
「ふん。いいですよ。涼君なんて一生ナースさんと一緒にいたらいいんですよ!!」
「だから、なんなんだよ!?」
「どうせ、私にはそんな強烈なものなんかないですよ〜〜だ!!!」

そういうと、深雪は俺にアッカンベ〜をしながら帰っていった。
何を誤解したのだろうか?というか、俺が悪いのか?
つうか、お見舞いの品もって帰りやがったよ。置いてけよ。
何のために来たんだよ。お見舞いじゃないのかよ。おい。


その夜    水島家

「うう〜酷いですよ!!確かに私は胸もそんなに大きくないですよ!!だからってなんですか?
俺専用のナースさん!?ふざけるんじゃないですよ!!でも、やっぱし凄い美人なんだろうな。
私だって結構ナイスバディなんですよ!!というか、涼君ってそんなのが好きだったんだ。
許せません!!そう、思いませんか?麗奈さん?」
「それは、そういう意味ではないのかと思いますが?とりあえず、落ち着いてください」
「・・・すいません。少し取り乱したようですね」

俺が退院した後聞いたのだが麗奈さんは深雪の雑談に二時間も付き合ったらしい。
麗奈さん申し訳ない。

そして3日後

「そろそろ、調子も安定してきてるようなので退院してもいいよ」
「わかりました。お世話になりました」

俺はついにこの嫌な空気の場所から離れることが出来た。
しかし、いざ離れるととても虚しい気がする。
そんなこんなで俺は自分の家に向かった。

「懐かしいな」

といっても一週間ぐらいしか病院で過ごしてないからたいして変わってないけど。
懐かしい思い出に浸ってる間に家に着いてしまった。

ガチャ



「退院おめでとう!」
「兄さん、体の調子は良いですか?」
「まあ〜あまり無理をするんじゃないぞ」
「涼さん、大変でしたね」
「涼様、お帰りなさいませ」


いきなりみんなが迎え出てくれた。
俺は戻ってきた。懐かしいな。とても広いリビング、大忙しに働いてるメイドさん。
自分独特の匂いがする、自分の部屋。

「ただいま」

俺は元の生活に戻ろうとしている。
それに早く自分の過去を探らないと。










chapter-9・・・海に・・・行くの?



学校の帰りいきなり

「んなわけだから、海行こう」
「一人でいけよ」
「そんな冷たいこと言うなよ。涼もしかしておまえ、泳げないとか?」
「んなわけあるか!!!」

長島がいきなり海に行こうと言い出した。
今日は3時間授業なので早く終わったのである。
俺は泳げないわけではないのだが、記憶を失ってからは一度も泳いだことがない。
しかも、女子軍団もつれてだそうだ。一回死なせてあげた方がいいだろうか。

「行こうぜ!」
「パス」

なぜ、そこまでして俺を巻き込もうとする。ゆっくりと俺の記憶を探らせてくれよ。
俺はいつ過去の記憶を知ることが出来るんだよ。

「女子の水着姿見たいとは思わないのか?お前それでも男か?」
「いや、別に見たくない。しかも、男かは関係ないだろ」
「そこまでしていきたくないなんて訳でもあるのか?」
「訳はない。ただ、のんびりさせてくれ」

本当にのんびりしたかった。最近は病み上がりで体の調子がいまいちだ。
しかも、そんなことを言って女子がOKするわけがない



と思っていた。




「海ですか。いいですよ、暇持てあましてましたから」
「私も行きたいです〜〜!最近体力持てあまし気味ですから」
「私も行きますよ。新しい水着今年は来てませんでしたし。竜也も行くでしょ?」
「僕は遠慮しときます。最近疲れ気味なんで」


「・・・竜也〜」

「・・・わかりました」


由香さん・・・怖すぎ!!
まあ〜言うまでもないがいつものメンバーだ。(俺、深雪、長島、美沙、竜也、由香)
とりあえず俺たちは海に行くことになった。
一人無理矢理行かされることになった奴もいるのだが。
というかこれってこんな風な話になっていいんか?

「涼君、一人で何ぶつぶつ言ってんの?」
「別に。ああ〜せっかくの休みが無駄になっちまったよ」
「あら、いいじゃない。こんなかわいいこの水着姿が見れるんだから」
「・・・深雪、お前なんか悪いものでも食ったのか?」
「気にしなくていいですよ」

気にするなと言う方が無理だと言うときもあるだろう。
とりあえず準備するか。

俺は一足先に自分の家に戻った。

「ただいま」
「おかえりなさい、涼さん」
「恵美さん、俺の海パンってありますか?」
「はい?海にでも行くんですか?」
「ええ、ちょっと気分転換にでも」
「わかりました。すぐ用意させますね」
「はい。お願いします」


ん?用意させる?誰に?


「誰か〜〜〜!!涼さんの海パン探してきてください!!」
「了解!」

メイドさんが一斉に動き出した。俺の海パンって探さなきゃ見つからないのか?

「発見しました!!」
「早っ!!!」
「ご苦労」

5秒ぐらいしかたってないぞ。というか、なんで恵美さんそんなに偉そうなの?
つうか、俺の海パン何処にあったの?

「屋根裏です」
「何故!!??つうか、汚そう」
「たぶん、私が使わないと思って屋根裏につっこんでしまったんですよ。大丈夫ですよ・・・たぶん」
「そうか、俺はそこまで落ちぶれた存在にさせられたのだな」
「ち、違いますよ。そういう意味じゃなくて、ただ単に私が面倒だったから突っ込んでしまったんですよ」

そういうと恵美さんは俺を紛らわそうとしているのだろうか、いろんな話をして話題を変えようとしていた。
さすがにこれ以上突っ込んで聞いたら可哀想だと思ったので、この辺で勘弁してあげた。
というか恵美さんは半分涙目になっていた。俺が悪かったから、泣かないで。

「確か一時に集合だったかな。だとしたら、そろそろ行かないとやばいかもしれないな」

今の時間は12時15分。なんとうまく設定された時間なんだろ。
まあ〜それはいいとして、昼飯はいらないな。おなか空かないし、向こうで何か食べるかもしれないしな。
そう考えながら俺はバッグに最低限必要な物を入れた。結構はいるカバンだな、見た目小さいのに。

「それじゃ、ちっくら行って来ますね」
「いってらっしゃい」

現地集合なので少し走らなければならない。
海はここから走って40分ぐらいかかって、ぎりぎり間に合うのだが、一番最後なのも気まずいので、
少し早めに行こうと思う。



「着いた〜〜〜!!」
「遅いよ!涼くん!!」

俺は思ったよりも早く着いた。12時50分。なのに、なぜ全員そろっているのだ?

「涼さんあの後一人で帰っちゃったじゃないですか〜〜〜!!あの後変更で30分に集合にしたんですよ〜〜〜!!」
「うう〜早く帰って準備万端だと思ってのんびり来ちゃったじゃないか!」
「いや、それはただ単にお前のグループ行動が出来てないからだと思うのだが」
「まあ、着いたことだしさっさと海で泳ぎましょう」
「そうっすね」


日差しがガンガンに照ってるよ。暑くてたまらん、これは35度ぐらいあるな。
まあ〜海にはいるのだから、これくらいじゃないと困るな。
というわけで、俺たちは早速海で泳ぐことにした。
一番驚いたのが、誰もいない!
何故に?たしかに休みではないが、人っ子一人いないではないか!!

「不安がよぎる今日この頃とはこのことだな」
「涼さん、そんな言葉ありましたっけ?」
「たぶん、ない!」

竜也が真面目な顔して聞いてきたので結構困った。
こいつにはいらない知識はいらんからな。
こんな話をしていたら、女子グループが水着に着替えてきた。

・・・綺麗だな〜〜。おっと思わず見とれてしまった。

深雪はワンピースである。けっこうかわゆい。
美沙はビキニである。色っぽい。
由香はパレオ。大人っぽい(普段は子供っぽいのに)

準備も出来たので、レッツゴ〜である。




「きゃあ〜〜冷たいです〜〜〜」
「本当に気持ちいいですね」
「これはクラゲですかね?びりびりですね」
「・・・姉さんこんなところに電気クラゲがいるわけないじゃないですか・・・」
「いや、いたら怖いだろ普通に」

なんとほのぼのしているのだろう。

「キャア〜キャア〜」

女子の声が五月蠅いと思うのはオレだけか?
竜也は先に海からでて飲み物を飲んで(ポカリ)みんなの遊ぶ姿を見て笑っている。何故姉より弟の方が大人っぽいのだろう?
長島は鼻が伸びている。かなりのドスケベだな。
俺は、普通にみんなと遊んだりしていた。
先に言っとくが、俺は女たらしではない!!



俺たちは日が陰ってきたので帰ることにした。

「けっこう時間がたつのは早いもんですね〜〜〜」
「そうですね。真っ暗になったら襲われちゃいますよ」
「由香さん。それは、俺たちのことを言ってるんじゃないですよね?」
「あたりまえですよ。信じてますからね」
「俺のことは信じて大丈夫です。こいつは危ないけど」

俺の指さした方向には鼻血の出血多量で貧血を起こして倒れてる長島がいた。
というか、しぶとい奴だ。

「長島さん。早く帰りましょうよ。夕方ですよ」
「ああ、大丈夫だ」
「なんかだんだん波が激しくなってきたな」
「たしかに。あれ、・・・深雪は?」


・・・しまった!!深雪がいない!!!





chapter-10・・・海の恐怖



「涼君、あれ深雪だよ」


由香が言った方向を見たら、そこには奥の方で溺れかけている深雪がいた。
しかも、けっこう波が強い。流されている。あの状態では深雪は持たない。
なんで誰も気づかなかったんだ。俺としたことが海は危険がいっぱいだということはわかっていたのに。

「今行くぞ深雪!!」

俺は全力で深雪の方向に泳いでいった。
けっこう流れが速い。



なんとか着くことが出来たか。
さてここからどうするかだな。

「涼君!!」
「大丈夫か深雪!?」
「ちょっと足を」
「足?」

これは、確実に攣っているな。この状態では深雪は泳げない。
ここは俺が深雪を運ぶしかないな。

「涼君、危ない!!」
「えっ!?」

そこには真上にかなりのでかい波があった。さっき日が暮れてしまったのでよく見えないけど、かなりでかい。

「ちっ!潜るぞ!!」
「えっなんで!?」
「潜った方が体に与えられる水の影響は少ない!!こんなのを喰らったら、骨折じゃすまない」
「わかった」

話している間に波は俺たちの上から降りてきていた。

「息を吸え」
「うん!」
「行くぞ!!!」

バチャン!!

結構時間が過ぎた。水の中ではさすがに体力が奪われる。


ぶはっ!!

「くっ!波はとりあえずおさまったようだな。大丈夫か深雪?」
「・・・うん・・・なんとか」

やばい!!かなり水を飲んでしまっている!!

「やばいな!俺の体力でもさすがに向こう岸はきついな。しかも深雪を運ばなくちゃいけない」
「涼君、私のことはいいよ。とりあえず、逃げて」
「馬鹿野郎〜〜〜!!!!!」

俺はかなりの怒声を上げた。
深雪はびっくりしたのか、ぶるぶるしている。

「お前は何としてでも守ってやる!!だから、安心しろ!!!」
「・・・うん」

急がなければ!
俺は深雪を担ぎながら全力で泳いだ。

「ハアハア」
「・・・大・・丈・・夫?」
「結構きつい。でも、後半分だからな。深雪も頑張ってくれよ」
「・・・涼君!・・・うし・・」
「うし?」

うし何がうしなんだ?

「ろ」

・・・後ろ!?なんだ?

「うっ!!!」

しまった!気づかなかった。さっきよりはでかくないが、当たったら危ない波だ。それでも今避けられるほどの体力は深雪にない。

「ちくしょう!!」

俺は深雪をかばうように腕で守った。

バチン!!!!!

波は俺に当たって砕けた。
深雪は・・・一応無事だな。
さて、もう一頑張りだな。

「・・・!!!」

・・・足が動かない!!
さっきので脊髄にもろに入ったようだ。
何にも出来なくなったかのか。感覚神経と運動神経が完全に麻痺したらしい。

「ここまでか」

意識が遠くなる。
うっ!頭が痛い!

「・・・フン!ショセンハソノテイドナノカ!!!」

誰だ!?意識が・・・







chapter-11・・・覚醒




「げほっ!」
「ふん、ようやく水をはき出したようだな」
「・・・涼くん?」
「そうだ」
「いや、違う。涼君じゃない」
「俺は涼だ。にしても頭が痛いな。おい小娘、俺は何をしてたんだ!?」
「涼君はどうしたの?何処にいるの?」
「俺が本物だ。まだ、衰弱してるようだな。頭の回転がおかしいのか?」

涼君はどうしたの?
何処に行ったの?
こいつは誰?


「あなたの名前は!?」
「水島涼。・・・もしくは水島修羅」
「修羅?」
「そうだ。それが俺の名前だ」
「あなたは涼君の記憶の前の存在?」
「ふん、そういうことになるな。俺はあいつの邪念から生まれたものだ!昔はほとんど俺が表にでていたのだが、事故のせいで逆転してしまったようだな」
「でも、あなたの事を長島君や由香や美沙は「涼」だと思ってるんだよ!」
「あいつらか」
「何で修羅なんて名前を作ったの?」
「元々の名は修羅だ。しかし、この名は不幸を起こすので俺の親が「涼」という名前に変えたらしい。
あいつらは俺の本当の名はしらないからな。だから、今でも「涼」だと思ってるのだろう。
しかし、俺の性格と俺の善の性格では多少違うからな。クラスメイトも俺の性格だけしかしらんから、善の性格の時はびっくりだろうな。
まあ〜俺も多少良い子ぶっていたがな」
「でも、涼君はいるんだよね?」
「ああ、俺の心の中だ」
「涼君を返して!」
「それは、無理だな。俺はあいつの感情で入れ替わっているからな。ちなみに俺の性格と善の性格に別れたときは、
俺の両親が殺されたときだ。前までは俺も優しい心を持っていたのだが、その怒りのせいで善と悪の心に別れたんだ」
「なんで、あたしのことを助けたの!?」

こいつが悪の心ならば絶対に助けたりはしないはず。
なら、いったいどうして。

「あいつの気持ちが貴様を助けたいという気持ちでいっぱいだったのでな。だから情けで助けてやったのだ」

ということは、涼君が私のことを本気で助けようとしてくれたんだ。
でも、私を助けたのは涼君じゃない。

「とりあえず、ありがとう」
「どういたしまして」
「じゃあ〜涼君を返して」
「あいつの怒りがおさまるまでは、戻ることはできん」
「返してよ!!!」

私は泣きながら怒鳴った。

「ふん、死にたいようだな小娘!?」
「涼君をかえして」
「そうか、なら死なせてやろう!!」

修羅は何かを念じ始めた。
すると、修羅の体から、異様な殺気が放たれた。

「消えろ!」
「っ」

私の首は締められている。しかも、異常な握力と力である。
人間とは思えない力。


「げほっ!!」
「そろそろ死ぬな。・・・うっ!!」

スッ

「げほげほ」

修羅が私の首から腕を放した。
どうして!?

「お前は引っ込んでいろ。うう!!ぐおおおお!!!」


誰に話しかけてるのだろう?
そして、修羅はその場にうずくまった。
修羅はそのまま意識を失った。
そして疲れ切ったのか、私も。

私は初めて涼君の過去をしった。
このことは涼君に言った方がいいのだろうか。
いや、言わない方がいいだろう。こんな事を知ってしまったら、涼君は私たちと離れてしまうような気がするから。






2004-04-11 21:01:47公開 / 作者:フィッシュ
■この作品の著作権はフィッシュさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
全部修正完了しました。
次からはまた普通にやっていきたいと思いますので宜しくお願いします!
この作品に対する感想 - 昇順
この作品ははじめて読ませていただきました。”適当に過ごせ高校”と、同じかたの作品とは思えない作風ですね(笑)しかし、読みやすさではこちらもひけをとっておりませんでした!記憶喪失テーマという事で、すぐハマっちゃいましたよ!続きがとっても楽しみです。
2004-04-08 10:56:34【★★★★☆】卍丸
卍丸さん、読んでいただき誠にありがとうございます。自分はいろいろな分野をやってみようかなと思って、始めたのが”とりあえず適当に過ごせ高校”なんですよ。まあ〜卍丸さんの影響を受けたというのもあるんですけど、一番最初に始めたのはこの小説なんですよ。まあ〜これからも二つとも頑張っていくんで宜しくお願いします!!
2004-04-08 17:20:55【☆☆☆☆☆】フィッシュ
初めての感想で少し緊張。率直な意見は無駄な改行or空白が目立っているな&http://www.omosiro.com/〜gallebasra/create_bbs_novel/cautions.htmlを絶対読んでいないな。という印象を受けました。次回も頑張ってください。
2004-04-11 21:20:37【☆☆☆☆☆】蟷螂の顎
計:4点
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