『天国か地獄 1〜6』作者:怪盗ジョーカー / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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〜1〜

この日、殺人事件が起きた。
犯人不明。
被害者は、裁ちばさみで心臓を一突きされた後に、被害者が住んでいるマンションの10階から突き落とされたらしい。
岩崎愛子。
2人の子を持つ35歳女性が殺された。
「母さん・・・。」
死んだ母親の無残な姿を病院で泣きながら見ている愛子の子供の龍。
彼は13歳の中学1年生である。
身長175cm。とても大きな体つきをしている。
「愛子・・・、誰に殺された?まさか自殺・・じゃないよな。なんで・・・。」
愛子の夫の忠志も泣いている。
「刑事さん、早く犯人を捕まえてください・・・。」
黒澤悠一郎刑事。この事件を捜査中の警察官である。
「私も出来るだけ早く犯人を捕まえられるように努力していきます。」
龍は忠志を見て言った。
「父さん、俺もう、疲れたよ。明日はお葬式でしょ・・・。」
「そうだな・・・。では刑事さん、私達はこれで失礼します。」
「はい。」
そう言って忠志と龍は黒澤刑事に背を向けた。
と、その時、黒澤刑事は黒い服を着ている龍の背中に、金色の糸らしき物がついているのに気づいた。
5本くらい、長い物がついている。
「龍君、背中に何かついているよ。」
黒い服を着ていたので、金色の糸は目立った。
「え?何がついているんですか?」
龍がそう言ったから、黒澤刑事は龍の背中にある糸を取った。
それを龍に見せた次の瞬間、龍は何も言わずに、ただ、黒澤刑事を独特の睨みつける様な目つきで見た。
そして口だけ、ニヤっと笑ってこう言った。
「警察官の皆さんだったら余裕で分かるでしょ?」
そして忠志と一緒に歩いて帰った。
「・・・・・。」
黒澤刑事は、その金色の糸をポケットに入れた。

〜2〜

「レフト!!」
・・・バシッ・・・
ボールの弾む音。そして大きな声が体育館じゅうに響きわたっている。
体育館の中心には、ネットがしっかりと張ってあり、そのネットぎわわからスパイクを打っている女子中学生が5人くらい。
どうやらここは、女子バレーボール部が練習をしているらしい。
「ナイス!!」
その体育館には、すさまじいアタックを1本も見逃す事無くレシーブしている1人の小さな女の子がいた。
その女の子の身長は142cmしかない。
バレー部にしては小さい体つきをしている。
・・・それが黒澤いずみ。私である。
私は女子バレーボール部に所属している13歳の中学1年生。身長は142cmと小さな方だけど、レシーブなら誰にも負けない自身を持っているつもり。
だから、ポジションはリベロ。
「来週の土曜日は冬季リーグよ!しっかり気合入れて!!」
部長が大声でさけんだ。
そう、来週の土曜日は冬季リーグ。だから私達部員は、すごく気合が入っている。
「ナイス!」「アウト!」「ファイト!」
こんな声が体育館全体に響きわたる。
「よし!今から3分だけ休憩。今日は練習時間を1時間延長する!」
コーチが言った。
・・・最悪だ。1時間も延長になってしまった。
よりによって、今日は塾の日なのに・・・。
しかし、部活は出たい。
ということで、私は塾に少し遅れて行く事にした。

タッタッタッタッタ・・・・
私は今、猛ダッシュをしている。
塾の勉強が始まる時間まで、あと2分。
「なんとか間に合うかも?!」
私は少しの可能性を心に抱きながら走る。
とにかく走る。
塾の入り口が見えてきた。
「よし!!ラストスパートだぁ!」
私は、走るスピードを上げた。
と、その時・・・。

ドンッ
「うわっっ!!!」
「だっぁぁ!!!」

・・・誰かとぶつかってしまった。
気がついた時にはバックの中身がすべて地面に落ちていた。
「すっ、すいません!!」
私は急いで落ちたものをバックの中にしまった。
ぶつかった人はとても身長が高かった。
175cmくらいあるだろうか。
その人は私の事を睨みつけている。
・・・怖そうな人とぶつかってしまった。
「本当にすいません!!」
そう言って、私は塾の中へと入っていった。

〜3〜

2時間後。塾の勉強は終わった。
塾の中のどのクラスも終わる時間は一緒である。その為、終わったあとの塾の入り口付近はかなり混雑している。
「あれ〜〜??」
私は今、バックの中に顔を突っ込んでいる。
「どうしたの?いずみ?」
今、私に声をかけてきたのは緑山杏。私の塾の友達である。学校は違うが、かなり仲が良い。
「財布なくしちゃったぁ・・・。」
「え〜?!財布?!」
もしかしたら私は、さっき誰かとぶつかってしまった時に落としてしまったのかもしれない。
私はぶつかった場所に行った。
しかし、財布は見つからない。
「うわぁ〜。どうしよう。帰りのバスに乗れないよ・・・。」
「いずみ、金貸そうか?」
そうして私は杏にお金を借りる事になった。
「180円貸してくれない?」
「OK。」
私はお金を受け取った。
そして、バス乗り場へと歩き出そうとした時、ある人が私に声をかけてきた。
「あの〜〜。」
「はい?」
その人は、さっきぶつかった目つきの悪い男だった。
「さっき、ぶつかった時、財布落としましたよ。」
そう言って、彼は私に財布を突き出した。
「あ、どうも・・・。」
私がお礼を言うと、その人はすぐに自転車に乗って行ってしまった。
「杏!!!財布あったよ!!!」
「あった?今いた人が拾ってくれたの?」
「うん。そうらしい。」
「あいつ、アタシと同じ学校だよ。」
「マジで?!」
「うん。岩崎龍っていうヤツで、うちらと同じ中1だよ。確か、男子バレー部だったと思う。」
「そうなんだぁ〜。」
「・・・言っていいのかどうか分からないけどさぁ・・・。」
急に杏が小声になった。
「何?」
私も小声になった。
「この間、この辺りのマンションで殺人事件が起きたじゃん?それ、あいつの母親が殺されたらしいよ。」
「・・・・・うそ?!」
「本当だよ。それから、あいつの目つきなんか怖くなったんだよね。」
「・・・・・。」
私はどう反応していいのか分からなかった。
「あ、もうそろそろ帰らないと、見たいテレビが始まっちゃう!!」
「あぁ、ちょっと待って、これ、180円。やっぱり必要なくなった。」
私は杏にさっき借りた180円を戻した。
「うん。分かった。じゃぁね。ばいばい!」
「ばいばい・・・。」

そして私はバス停留所へと走って行った。

〜4〜

今日は日曜日で学校が休み!
そして今日は珍しく部活がない!
さらに塾もない!
「よし!今日はぐうたらしいて過ごすかぁ〜!」
そう思って私はソファーにゴロンと転がる。
ふわふわとしたソファー。私はだんだん眠くなってくる・・・。
と、その時、お母さんが大声で私に言った。
「ねぇ〜!いずみ!お父さんがお弁当持って行くの忘れちゃったみたいだから、警察まで届けてくれない?」
「え〜・・、今日はゆっくりしたいよ。」
「もし届けてくれたなら、シュークリーム1個!!!!」
「・・・・・。」
私はシュークリームの誘惑に負けた。
ということで、私はお父さんの弁当を届けに行くとになった。
私のお父さんの名前は黒澤悠一郎。職業は刑事であり、毎日警察署へ勤務している。
家から警察署まで行くには、自転車で駅まで行って10分。駅から電車に乗って25分。そして、着いた駅から歩いて5分かかる。
計30分だ。
「シュークリームのためだ。」
私は頭の中をシュークリームいっぱいにして警察署まで行った。
そしてお父さんが働いている12階に行くためにエレベーターへと乗り込んだ。
すると、そのエレベーターの中には見たことのある人が立っていた。
「あれ?」
私は思わず声を出してしまった。
そこにいたのは、この間塾の時、財布を拾ってくれた・・・確か名前は岩崎龍だったような気がする。
相手も私の事を覚えていたらしい。
「あっ。」
「あの時は、財布拾ってくれてありがとうございました。」
私はもう1度お礼を言った。
「どういたしまして。」
「・・・なんで警察にいるの?」
私は思わず聞いてしまった。
「・・・そっちこそ。」
相手も私が警察にいることを不思議に思ったらしい。
「私は父親がココの12階で働いているから、弁当届けに行っただけ。」
「ふ〜ん。俺は・・・。」
その時、アイツの口は止まった。
私はなぜ、アイツがココに来ているのか、なんとなく分かったような気がした。
「俺は、親が殺されたから、その事情聴取。」
アイツは無表情で言った。
「そうなんだ。」
私はそう言うしかなかった。
「そーいえば、お前何ていう名前?」
アイツの方から私に話かけてきた。
「私は黒澤いずみ。東中の1年だよ。」
「俺は岩崎龍。西中の1年。」
「知ってる。」
「なんで?」
「杏から聞いた。」
「あぁ、緑山から聞いたんだ。」
「うん。」
「いずみかぁ〜。これからヨロシク。」
「あ・・・うん。こちらこそ。」
何気にアイツは顔のわりには、フレンドリーな性格をしていた。
いつの間にか、私達が乗っているエレベーターは12階についていた。」
「じゃぁ。」
そう言って私はエレベーターから降りようとした。
「あっ、いずみ待って。俺も12階に用がある。」
「あ、そうなんだ。」
アイツは、いつの間にか私の事を「いずみ」って呼んでいたから、私もアイツの事を「龍」と呼ぶことにした。
私と龍が一緒に歩いていると、ちょうど良く、そこにお父さんがいた。
「あ、いずみ、どうしたんだ?」
「はい。これ。お弁当持ってきた。」
「お、それは悪かったなぁ〜。ありがとう。」
そう言って、お父さんは私が持っている弁当を受けとった。
「あれ?隣にいるのは龍君じゃないか。」
「こんにちは。」
龍が父さんに挨拶をした。
「ん?もしかして、うちの父さんに事情聴取されるの?」
私は龍に聞いた。
「うん。そうらしい。」
龍の顔は急にけわしくなった。
「じゃぁ、いずみ。弁当ありがとう。じゃぁ、龍君、行こうか。」
「はい。」
そう言うと、2人は近くにあった部屋の中に入っていった。
私は複雑な気持ちで家に帰った。
そして、シュークリームを食べた。

〜5〜

今日は金曜日。明日は冬季リーグ・・・だが、練習は無い。
「今日は明日に備えて早く寝るんだ!!」
それが部長の言葉である。
でも、私は今日早く眠れない。
部長が言ったことに対して、逆らう事になるが塾なのだから仕方がない。
部活が無かったため、今日は余裕をもって塾に着く事が出来た。
今は6時30分。勉強が始まるのは7時。
う〜ん。早くきすぎてしまった。
暇だったので私は、塾の廊下をふらふらしていた。
すると、そこには龍がいた。
「あ、いずみじゃん。」
龍が近くに来た。
「今日はお互い来るのが早いね。」
私が笑いながら龍に話かける。
「そうだね〜。」
「そーいえば、龍って何か部活やってるの?」
私は身長が高い龍が何の部活をやっているのか気になった。
ぱっと見て、160cmは余裕で超しているだろう。
「俺はバレー部。明日冬季リーグがある。」
「あ、龍もバレー部なんだ。私もバレー部だよ。」
「え?!その身長で?!」
・・・失礼なことを言うヤツだ。
「そうだよ。身長142cmしかないけどね!!龍って身長何cm?」
「俺は175cm。そういえば、俺といずみが話す時って、目線が全然違うよな〜。」
「もうどうせもいいでしょ。身長のことなんか。」
「ごめん、ゴメン。ポジション何?」
「リベロ。」
「やっぱりな。俺はレフトアタッカー。」
やっぱりね。と、私も思った。やっぱり身長が高いだけある。
「明日って、女子バレーも冬季リーグでしょ?じゃぁ、会場の運動公園の体育館で会うかもしれないなぁ〜。」
「そうだね。会うかも。龍のこと、見かけたら声かけるよ。」
「あっ。もう勉強が始まる時間じゃん。いずみってドコのクラス?」
「Aクラス。」
「1番頭良いクラスじゃん!!俺はCクラス。」
「Cかよ。1番馬鹿なクラスじゃん。」
私は少し龍の事を馬鹿にした。すると、
「うるせぇよ。」
と、龍が笑いながら言った。
「じゃぁ、もう勉強始まるから。ばいばい♪」
私は龍にそう言って、Aクラスの教室へと行った。
私は龍が良くしゃべるヤツだな〜。と思った。
龍と話す時間がとても短く感じられた。
「・・・・?!」
私は何故か1人で赤くなっていた。
う〜ん。
龍に一目ぼれしたのかもしれない。

〜6〜

ついに冬季リーグの日が来てしまった。
私達東中女子バレー部は赤と黒のユニフォームを着て、会場の運動公園体育館へと向かった。
会場につくと、そこにはもうすでに、色々な学校が集まっていて、開会式の準備をしていた。
私達は急いで荷物をまとめてから、開会式があるステージ前に整列した。
「いずみ!!!」
その時、誰かが私の名前を呼んだ。
声がした方を見ると、そこには緑のユニフォームを着た杏がいた。
「あれ?杏ってバレー部だったっけ?」
「うん。そうだよ!なんか、東中とうちら西中で戦うらしいよ。」
「え?そうなの?!杏、試合に出る?」
「うん。出るよ。」
「ホント?!私も出るよ!リベロだけど・・・。言っておくけど、西中には負けないからね。」
「へぇ〜、勝てるもなら勝ってみな!!」
杏が笑いながら言った。
そして開会式が始まった。

「・・・え〜では、最後に第一試合目のチームを発表します。」
開会式は終わりに近づいてきた。
「一試合目は、男子は南中対東中。女子は東中対西中です。・・・では、試合の準備をお願いします。・・・・解散!!」
「解散!」という言葉とほぼ同時に部長が集合をかけた。
「東中!集合!!」
「はい!!」
みんなが集まったところで部長が話しを始める。」
「とにかく頑張ろう!」
「はい!」
・・・部長の話はそれだけだった。
ピーーーーーーーーーーーーー
試合開始の笛が鳴った。
そして私達は相手の西中と向き合って並んだ。
ピーーーーーーーーーーーーー
もう1回笛が鳴った。
「お願いします!!」
あいさつをした。そして私達はそれぞれのポジションに入る。
私はリベロ。
初めはベンチにいることになっている。
西中の杏はセッターだから、初めはコート内に入っていた。
?セット目が始まった。
初めは西中からのサーブ。
私達東中はサーブカットである。
応援の声がどんどんと盛り上がっていく。
「いくぞー!!!」

バンッ

西中からのサーブが来た。
これは大きい、大きい、大きいぞ!!
ボールは天井近くまで高く上がった。
「アウトッ」
そのサーブはコートをこした。
コートの隅にいる、ラインズマンの旗が上に上がった。
ボールはアウトになった後、体育館の端の方へと転がった。
東中の選手はそのボールを拾いに行こうとした・・・・しかし
「・・・・・・・。」
ボールは取りに行けなかった。
体育館が一瞬にして静かになった。
なんとボールが転がっていった方から灰色の煙がモクモクと上がっている。そして、赤い炎がちらちらと見える。
「火事だぁぁぁぁぁぁあぁぁ!!!!!!」
誰かが叫んだ。
私達は急いで外に逃げた。
コーチ達はケータイ電話で消防車を呼んでいる。
「ありえない・・・。」
思わず私は言ってしまった。
10分後。消防車が到着して、なんとか日は消し止められた。
私達中学生はユニフォームを着たまま、ただア然としているしかなかった。
しばらくして、警察の人が来た。
そして調査が始まった。
「誰か、火がつく前、誰かが怪しい行動をしていた場面を見た人はいますか?」
警察が私達に呼びかける。
一瞬、シーンとなった後、ある人が
「私、誰かが変な行動をとっている場面を見ました。」
と、言った。
それは、私達東中のコーチだった。
「その誰かとは、どんな人でしたか?」
「確か・・・男子でした。西中のユニフォームを着ていたような気がします。」
周りの人の視線が西中の男子に集まる。
「西中といえば・・・龍だ。」私は思った。
「あ、それ俺です。俺が体育館に火をつけました。」
そう言って、西中の男子が1人立った。
・・・それはなんと龍だった。
「??!!」
私は、夢だと思った。
信じられない。
そう思って、ほおをつねるが・・・。
夢ではない。
周りはカナリざわついた。
「うそぉ〜。西中の男子が・・・。」
「うそ?!信じられない。」
「本当なのかよ・・・?!」
そんな声が、どんどん私の耳の中に入ってくる。
私はただ、ア然としていた。

・・・それから30分後。
龍は警察行き。私達は家に戻される事になった。
私はとにかく、複雑な気持ちで家まで帰った。
2004-04-04 15:30:43公開 / 作者:怪盗ジョーカー
■この作品の著作権は怪盗ジョーカーさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
最新作です。
これからスゴク長く続きます。
私も主人公いずみと同じ中学生のバレー部なので、なんだか話がすらすらと進みました。
でも、リベロじゃありません。(笑)
感想などをくださると嬉しいです。
よろしくお願いします。
この作品に対する感想 - 昇順
続きが気になりますっ!被害者の息子が犯人なんでしょうか?続き、楽しみに待ってますね☆
2004-03-31 13:09:24【★★★★☆】律
ワタシも今、ミステリを連載しているのでとても興味深く読ませていただきました。かなり引き込まれる冒頭ですね!続きも頑張ってください。
2004-03-31 15:19:00【★★★★☆】小都翔人
私もいずみちゃんと同じバレー部でリベロなので好感が持てました。作品にもすごく興味がわきました。執筆頑張ってください。
2004-03-31 21:15:10【★★★★☆】捺来
続きを読ませてもらいました!バレーのシーンはすごく情景が浮かんできました☆一体、龍は何者なんだぁぁ!…気になります^^
2004-04-01 01:32:44【★★★★☆】律
みなさんありがとうございます!!!
2004-04-01 12:04:41【☆☆☆☆☆】怪盗ジョーカー
登場人物が段々と繋がってきましたね!シュークリーム1つで用事を
2004-04-01 21:23:53【☆☆☆☆☆】律
↓ごめんなさい。Enterを押してしまいました。シュークリーム1つで用事を頼まれるいずみちゃんが可愛いなぁと思いました☆
2004-04-01 21:25:11【★★★★☆】律
計:20点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。