『デンジャラスヒューマン第1話〜第2話』作者:竜涎香 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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第1話

日本にある離れ島にある清製研究所とよばれる無名の研究所で、あるロボットが作られた。
そのロボットは戦闘兵器としてではなく、「護衛」「友達」としてのロボットで、
なにより注目すべき点は「自我」を持つことだ。
しかし自我を持つことにより発生する事故もあるので、
万一の時は買い手から離れ島に電波を出して、離れ島からロボットを解体、賠償を行うことになっている。
離れ島の研究所でつくられたロボットは、モニターとして田舎の中学校に貸し出しをした。
もちろん、無名の研究所から送られてきたロボットなんていったら校長もモニターを嫌がるだろうから、
学校長には某有名電化製品会社の名をなのっておいた。
モニター期間は1ヶ月、その1ヶ月でもし1回でも不祥事が発生した場合、
このSSG(Strong School Girl)プロジェクトは中止することになる。
その場合は、責任問題を逃れるため学校をテロし、速やかにロボットを持ち去ることになる。
…のはずだった。

カタカタカタ…
夜中の清製研究所でただ1人コンピューターをいじっている男、前田 誠二(まえだ せいじ)がいた。
誠二はSSGプロジェクトのチーフで、このロボット、SSGの最終調整が行われていた。
この最終調整は、実はもう済んでいるのだが、その時前田は風邪をこじらせて立ち会えなかったので、
こうして研究員に秘密で再度最終調整をしているのだ。
「…なんなんだこれは」
誠二は性格のプログラムの中に、なにか異常を発見した。
「はやくこれを伝えないと…」
そういって後ろを向いた瞬間、後ろにはある人物が立っていた。
「お…お前は…」
ガンッ!
誠二を殴った人物はコンピューターを終了させ、
気絶している誠二を研究所の仮眠室のベッドに縄で貼り付けた。

ここはどこにでもある田舎の「春香中学校」そんなどこにでもある所に、どこにもないものがやってきた。
クラスの間にはその「どこにもないもの」の噂でもちきりだった。
「竃、お前なにか知らないか?」
「学…お前その質問俺にしたのもう5回目だぞ…」
前田竃(まえだ そう)は春香中学校生徒会長で大の機械好き。
鈴木学(すずき まなぶ)は竃の幼馴染みで、成績も運動神経もいいし、容姿も良く、気取らないのでクラスでも人気1〜2位の人気を誇っていた。
この2人はクラスの誰もが認める親友同士だった。
「全校朝会の時に発表されるらしいからそれまでまとうや」
そう話している矢先、朝礼の鐘が鳴った。
「お、そろそろ時間だ…いこう」
「おう、なんなのか楽しみだな」

「え〜、であるからして…」
いつものつまらない全校朝会、普段は立ったまま寝ているやつもいたり、小声で話すやつもいた。
しかし、この日は「どこにもないもの」の話がいつでるかと待ちきれない生徒が校長を凝視していた。
「え〜みなさん、今日はあたらしい仲間がやってきました。」
「え、仲間?」
「転校生だったらクラス内でやればいいのに…」
くちぐちに生徒達がそんな話をしていた。
「では紹介しましょう…おーい、こっちにきてくれ」
ステージの端から、普通の女生徒がでてきた。
「結構可愛いけど…早くだしてほしいよな、『どこにもないもの』を。」
学が後ろにいる竃にいった。
「ん〜、あれがそうだったりして…」
「まさかぁ…」
ざわついてきたので、校長が話をつづけた。
「え〜、この子の名前は『SSG』といいます。名前を聞いて驚く生徒もいるようだが、
この子は…人造人間だ」
「え?」
全生徒が固まった。
「この子はこの学校の予算をほとんどつかって、やっとの事でオークションで買い取ったものだ。
この子の役目は、この学校と生徒達を外敵から守る事。最近は物騒な事件もおおいからな。」
「へぇ…前田、お前の勘が当たったな。」
「そうみたいだな…でもこんな田舎で外敵っつったら体育館の屋根に糞をする
カラスくらいしかいないんじゃないの?」
「はは、確かにそうだな」
その時校長の口がまた開いた。
「それと、この学校で校則をやぶっているものや、
不真面目な生徒をこらしめるためにもこのSSGを買った一つの理由である。」
「え…」
皆引きつった顔で固まった。
「しかし、普段は友達として、扱ってほしい、では今日の朝礼はここまで!」
みんな列をみだし、仲のいい友達と一緒に体育館を去っていった。

〜放課後〜

「しっかし…校長もやっかいな物をかってきたもんだなぁ…」
学校の玄関で靴を履いている時、学が言った。
「はは、そーかも。」
「大体こらしめるって…虐待じゃないのか?」
「でも暴力振るうわけじゃないと俺は思うぞ?」
ガッシャーン!!
妙な音がした。
「…今の音、何?」
「大体予想はつくけどな…」
竃と学は音がした方へ走った。
「なんじゃこりゃ…」
「うわ…」
そこには、タバコを吸っていた不良を追っかけまわすSSGの姿があった。
「おもしろいからみてよっか…」
「おう」
竃達は止めようともせず、不良の情けない姿をいつまでもみていた…
「おい!早く助けてくれよ!」
走りながら不良は叫んだ。
「しょーがないなぁ…おし、学行け!」
「な…なんで俺が!お前がいけよ…」
「だって面倒臭いだろう…って、いつの間にかSSGってやつ、追っかけるのやめてるぞ?」
「あ、ホントだ」
ガシャガシャ
SSGの左手が変型し、大砲並みのデカイ銃が出てきた。
「ひぃぃぃ…助けてくれェ…」
ついに不良は泣き出した。
「うあ〜、おい学、これはちょっとヤバいんじゃないか?」
「そうだなぁ…んじゃぁしょーがない、これでもぶつけてみるか」
学が取り出したのは野球ボールだった。
「おりゃっ!」
「ガンッ」
学が投げたボールはSSGの頭に直撃した。
「標的変更…対象、後方の不良生徒…」
「お…俺!?」
カチャ
SSGは銃を学に向けた。
「う…うそ」
「発射!」
「学!」
銃口から銃弾が飛び出し、学に向かっていったが、竃は学を押し倒し、間一髪で助かった。
「本物!?」
「に…にげろぉ!」
竃は側にいた不良生徒と学をひきずり、近くの教室に隠れた。
「これからどうしよ…」
「どうするっていったって…」
「もう…家に帰してェ…」
不良生徒はまだ泣いている。
竃達は不良を無視して話を続けた。
「しょーがない、あれやろうか…」
「あれか…大丈夫か?」
「なんとかなるだろう…」
その時、教室の窓ガラスが撃たれて全て割れた。
「SSGのやつ、こっちくるぞ…」
「ひえぇぇぇ…」
不良は情けない声をだした。
ガラッ
教室のドアを開け、SSGが入ってきた。
「いまだ!」
竃は素早くSSGの背後に移動し、後頭部めがけてポケットに入っていたスタンガンを当てた。
バチッ
一瞬、SSGの体が痙攣し…そのまま動かなくなった。
「な…なにをしたんだ?」
不良は驚いた表情で竃に聞いた。
「ん?SSGをショートさせて機能停止させただけだけど…」
「なんのさわぎだね!?」
校長が騒ぎを聞き付けてやってきた。
「き…君たち!SSGに何をしたんだ!?」
「こいつ俺達に実弾うってきたからショートさせて動かなくさせました。」
「じ、実弾!?」
「ちょっと中身開けて調べてみましょうかね」
竃が鞄から工具とノートパソコンを取り出した。
「ちょ…ちょっと!」
校長が止めたが、竃はもうSSGを解体しはじめ、データチップの中に入っているプログラムを調べはじめた。
「メインコンピュータは無事みたいだな…こっちのチップは…ん?」
「竃、どうかしたのか?」
学がパソコンをのぞきながらたずねた。
「これ、軍事用のデータだぜ…」
「ええ!?」
校長は軍事用と聞いて、すごくおどろいた。
まぁ護衛、不良撃退用として買ったのだから仕方がないが…
「あれ、もう一つチップがはいっているな…」
「もう一つ?」
「あれ、こっちは普通の…てことは、こっちが本来動くはずだったチップだったんだ…」
「入れ替えられてたのか?」
「そうみたいだな…」
竃はそういいながらSSGの腕のネジを外しはじめた。
「うわ、パーツも中身が武器だらけ…これじゃぁ動きがとろくなるしぎこちなくなるはずだぜ…」
竃は軍事用チップと武器、弾薬をはずした。

そして10分後…

「よし!これで普通に動くはずだ」
竃はSSGのスイッチをいれた。
ガチャ…ウイーン
「…あれ?ここは…」
いままでの冷涼で冷たい言葉ではなく、普通の女子中学生と同じような声でSSGは言った。
「はじめまして、ここは春香中学校ってとこだよ」
びびりまくる校長の様子をみて、竃が言った。
「春香中学校…?私はここで働くんですか?」
「そう…ですよね、校長」
「…いいや、ここは君とは無関係の学校だ。」
「…え?」
その場にいる全員が(先ほどまでいた不良はいつの間にか逃走していなかった。)校長に視線を集めた。
「なんでですか?校長、SSGは普通にもどったじゃないですか」
学が言った。どうやらSSGが気に入ったらしい。
「たしかにそうだが…さっきまで殺人兵器どうぜんだっただろう?」
たしかにそうだ。今は安全とは言え、元は人を殺せる程の性能をもった殺人兵器だったのだ。
「だから、もう安全じゃあ…」
「私は、私とこれを送りつけてきた会社に責任をとらせる。」
SSGを送りつけた会社にも責任があるが、これをまったく注意をはらわずに買った校長にも責任はある。
校長は皆に責任をとって辞任することを告げ、竃に携帯電話を借りて会社に電話した。
トゥルルルル…ガチャ
「もしもし、私、春香中学校の校長をやっていおります、多田と言うものです。
失礼ですが、社長はいらっしゃいますでしょうか…」
校長がこんなことを話している間に、竃はSSGをいじくっていた。
「あのぉ…何してるんです?」
「ん?ただハンダコテでね…」
「…ん?これは…おお!竃、よくやった!」
ピッ
校長が電話を切った。
「君たち、私は騙されていたようだ。」
「え?なんでです?」
竃が校長から携帯を受け取りながらいった。
「じつは、いま会社に電話したのだが、『そんなロボット作っておりません』っていわれたよ…」
「んで、どうするんです?」
「それなのだが…さきほど言ったように私は校長をやめる。
そして、SSGには悪いのだが、電源を切って倉庫に隠しておく。」
「……………」
皆無言になった。
「それはできませんよ校長、私達のためにも、校長をやめないでつづけてください。」
竃が言った。
「え?なぜだね?」
「まず、こんな田舎で1人でも先生がいなくなったらこの学校はつぶれてしまいますよ…」
春香中学校は先生の数が極端に少なく、校長ですら教師としてクラスを受け持ち、やっとの事で
学校としてたもっているのだ。
「それに、もうSSGの電源はOFFにできませんよ。」
「さっき君が電源をつけたように、OFFにもできるだろう?」
校長が不思議そうにいった。
「さっき校長が電話で話している時にこっそり溶接しときました。」
「あ〜、さっきやってたのはこれだったんですねぇ…」
SSGが間延びした声でいった。
「…私はこの学校にのこっていても、君たちは嫌がらないのか?」
「あたりまえですよ!校長。他の皆にはだまっておきますよ」
校長はついになきだした。
「…ううっ…あり…がとう」
「私は結局どうしたらいいのでしょうか…」
校長は涙をふき、SSGに言った。
「君は、ここにのこってこの学校の生徒をまもってくれ。それと…」
「それと?」
SSGが首をかしげながらいった。
「春香中学校の全生徒と、「友達」になってくれ。」
「はい!佐々霧 香織、がんばります!」
「え?」
学と竃は同時に声をだした。
「名前…あったんだ。」
校長がいった。
「はい、別にSSGでもいいですけど…」
「いや、香織ちゃんって呼ぶよ!」
学はうれしそうにいった。
かなりSSGが気に入っているらしい。
「さーてと、もう6時だよ…学、そろそろ帰るか!」
「おう、さっさとかえんないと親にどやされるぜ…」
鞄をかついで廊下に出ると、校長が2人に声をかけた。
「あ〜君たち、すまんが少しのあいだ佐々霧君を預かってくれんかね」
「え?」
2人は同時に振り返った。
「俺達でよかったら…」
竃の事はおかまいなしに学がいった。
「どうしてですか?」
竃が学の頭をはたき、校長にいった。
「いや、ただ単にもう一回異常がないか調べてもらいたいだけだが…竃君のお父上はロボットの研究員らしいし」
「そういうことなら…」
竃がいった。隣では学がガッツポーズをとっている。
「それと、この学校の勝手を教えてもらいたいのだ。」
「それなら校長が…」
そう竃がいいかけたとき、学が竃の口をおさえていった。
「はい、わかりました!」
「そうか、ではよろしくたのむ」
校長が満足そうに言った。

帰り道、竃と学はSSGをつれて下校していた。

「ったく…お前は…」
「まぁまぁ、俺もお前の家によるから…」
「学、佐々霧さん、ちょっと時間ヤバめだから走っていっていいか?」
時間はもう6:30。そろそろ暗くなってくる。
「は〜い」
やけに間延びした声でSSGがいった。
「はいはい」
SSGの声に悦りながら学がいった。
そして2人が走りはじめたが、SSGだけがその場にとまっていた。
「あれ?どうしたの?」
学が足をとめ、後ろを振り返りながら言った。
「充電…完了」
SSGはそう言った瞬間、すごいスピードで竃と学をおいこし、1人で走っていった。
SSGが走った後には、衝撃波で周りの壁にひびがはいっている。
「あいつ…俺の家の場所わかんのかよ…」
「てか竃、なんであんなに速いんだ!?」
「あ…リミッターつけるの忘れてた」
「なにぃ!?じゃあ香織ちゃんは…」
「早くつかまえないと壊れるな」
学は大急ぎで後をおいかけていった。
「やれやれ…ほっとくと危険だな…おっかけるか」
そして竃も、SSGの後をおっていった。


第2話

ガチャ、ウイーン…
「あれ、ここは…」
スリープモードから解除されたSSGは見知らぬ部屋にいた。
「起きたか?」
SSGが声のした方をむくと、そこには既に学生服をきた竃がいた。
「あ…、おはようございます。学さんは…」
「ああ、あいつならもうすぐくると思うけど…」
ピンポーン
チャイムがなった。
「きたきた。あ、そうそうちゃんとリミッタ−つけといたから、今度から普通に走れるぞ」
竃はパンを食べながら言った。
「それと…これ」
竃はSSGに手帳を渡した。
「これなんの手帳ですか?」
「生徒手帳だよ。学校のことは大抵書いてあるからそれみて勉強しな。俺のしばらく貸しといてやるから…」
「ありがとうございます…」
ガンガンガンガン!!!
いつの間にか学は竃の部屋の所まできており、窓をたたいていた。
ガラララ…
竃が窓をあけた。
「窓をガンガン叩くなよ…近所迷惑だから…」
「お前が出てこないからだよ!それよりいま香織ちゃんに何をわたしたぁ!!!」
「だから近所迷惑だって…」
「さっき何を渡したん…!!」
学は気絶した。
「い…今何したんですか?」
「んや…ただ首筋に手刀打ち込んで気絶させただけ…ってもうこんな時間か…佐々霧さん、学校いこか」
時計は7:50をさしていた。
「学さんはどうするんですか?まさかおいてくわけじゃ…」
「もってくよ」

「いってきまーす」
といっても竃の家には今は親が居ない。
竃の家は母親は数年前に他界。父親は遠い所に仕事に行っていた。
「本当にもってくんですね…」
「まーね」
竃は学をかついでいた。
「いつもこうやってるんですか?」
通学路でSSGが聞いた
「いつもじゃないけど…たまにね、こいつハイテンションになるとなにするかわかんないから…」
「そうなんですかぁ…」
そんな話をしている間に学校についた。
「んじゃぁ校長室の場所、生徒手帳に書いてるから校長に会ってきな」
「竃さんと学さんは…?」
「時間ギリギリだから教室はいっとくよ」
「それじゃぁまた…」
そういうとSSGは学校の中にはいっていった。

「…ん、ここは…」
学が眼をさました。
「お、やっと気がついたか…」
竃は机に突っ伏した体制でいった。
なにやらプリントをかいている。
「…あれ?なんで俺学校にいるんだ?」
学があたりを見回していった。
「お前が気絶してたから俺がつれてきてやったんだよ」
「そうか…サンキュ、ところで何書いてるんだ?」
学が竃の書いているプリントをむりやり取ってみた。
「これは…」
「宿題だけど…もうすぐ授業だから早く返せよ…あ、お前やってるんだろ?ちょっと見せてくんないかな…」
学は蒼い顔で固まってる。
「やってないんだな…しゃぁない、できたら俺の見せたるからさっさと返せ」
竃の言葉で学は蒼い顔のままプリントを返した。
教室にはシャープペンの音が響いている
「…あれ?そーいやなんでみんないないんだ?」
「…ん?ついにお前目がいかれたか?」
「そう…じゃないと思う…」
「ん?」
竃が顔を上げた。
「俺も目がヤバいかも…」
「そうじゃない…本当に誰もいない…」
学が時計をみた。
「もう8:50分…HRがはじまってもいいころだぞ…」
「さっきまでいたのに…いつ消えたんだ?」
「とりあえず校長室いってみるか…」
「おう」

「ここだな」
ドアに「校長室」と書かれた板がぶら下がっている。
コンコン
「失礼します」
ガチャ
竃と学はドアを開けた
「あれ、佐々霧さん…」
「こんにちは〜」
校長室には校長の姿はなく、かわりにSSGがいた。
「香織ちゃん、校長みなかった?」
「校長先生は体育館にいますよ?」
「体育館?」
「学…」
「なんだよ」
「今日も…全校朝会だった…」
「なにぃ!」
その後竃と学は見つからないように体育館の自分のクラスの所に紛れ込んだが嫌味な生徒にチクられ、
担任にこっぴどく怒られた。

「ハァ…かなりしぼられたな…」
「あんなに怒られたの久しぶりだよなぁ…」
昼休みの屋上で竃と学は弁当を食っていた。
「お前、自分でつくってんだって?」
学が口の中にごはんをいれながら聞いた
「親がいないからな…」
「へぇ…」
ガチャ
「あれ?竃?」
屋上のドアから学の知らない女生徒が入ってきた。
「おう、裕子か」
裕子と呼ばれた女は竃の横に座った。
「ちょっともらうよ」
そういうと橋本は竃の弁当箱の中の梅干しをとって食べた
「相変わらずだな…」
「あんたもね」
「おい竃、この人だれ?」
1人話から外れていた学がいった。
「ああ、こいつは俺の幼馴染み、橋本裕子(はしもと ゆうこ)だ。」
「ども、よろしく!」
「へぇ…幼馴染みねぇ…あ、俺は学っていいます。」
「学くん?ああ、このまえの中間試験ですごい上位だったってなんかうわさされてるよ〜」
「お前はすごい悪かったらしいな…」
竃がいった。
小声でいったが、裕子には聞こえたらしく、竃の頭に鉄拳がとんできた。
「いってぇ…なにすんだ」
「大体あんたはどうだったのよ…いっつもいっつも機械いじりしてて科学しか点数とれないくせに」
「その科学すらとれないお前はどうなんだ体力バカ」
ゴン!
また竃の頭に鉄拳が飛んできた。
「いてぇ…」
キーンコーンカーンコーン
昼休みが終わりを知らせる鐘が鳴り響いた。
「あ、じゃあ私は教室に帰ってるわ、それじゃあ学くん、またねー」
裕子は手を振りながらドアを開け、屋上から出ていった。
「竃、お前に彼女がいたなんて知らなかったぞ…」
学が笑いを押し殺すようにいった。
「幼馴染みだっつーの…あんなの彼女にしたら身がもたん」
竃は残った白い御飯を一気に口に流し込みながらいった。
「けどさぁ…俺がお前と友達になったのは幼稚園の年長の時だぞ?なんで俺が橋本さんをしらないんだ?」
「…当たり前だよ、あいつは俺の隣の家に住んでるけど幼稚園からずっと学校が違って今年こっちの学校にはいってきたんだからな」
「お前の家の隣?そんなに近かったのか…」
「ああ、結構親ぐるみで遊んだもんだ」
「へぇ…なるほど」
キーンコーンカーンコーン
授業がはじまる鐘がなった。
「さて…学、また怒られるハメになりそうだ」
「なに落ち着いてんだよ!いそげぇ!!!」

「君たちは最近気が抜けておる!」
放課後、教室で竃達の担任の怒声が響き渡った。
怒られているのは当然、竃と学である。
「得に竃君!君は生徒会長ではないのかね!?」
「はい」
竃いつも通り冷めている。
いつもハイテンションな学とは逆の性格だが、なぜこの2人は仲がいいのか…
ハッキリいってしまえばそれは作者の設定なのだが、
私もこの小説を書く以上、その理由を書いておきたい。
最初に竃と学が出会ったのは先程学が言っていた通り、幼稚園の年長の時である。

「はーい!今日は新しいお友達を紹介しま−す!」
新しいお友達、竃のことである。
竃は昔からローテンションで、そんな性格からか友達は極端に少ない。
前の幼稚園にいた裕子くらいしかいなかった。
このころから竃は、子供なのだが体から放つ雰囲気が子供とは感じさせなかった。
どことなく大人っぽく、普通なら転校生は他の園児たちの注目の的なのだが、
だれも竃には話し掛けなかった。
そのため竃は1人で遊ぶことが多かった。
親が仕事場からお土産としてもって帰ってきた壊れた機械の部品を暇さえ有れば解体していた。
ある日の事…
幼稚園の先生が園児に見せるために知恵の輪を買ってきた。
「はーい!これなんだかわかるかな?」
「知恵の輪〜!!!」
妙に高いテンションで園児達が答える。
その声のなかに竃の声はなかった。
その知恵の輪は「S&S」と言われるもので、2つのSの字が組み合っている。
知恵の輪としては割と簡単な部類に入るが、慣れていないと大人でもできない。
園児達は先生から渡された知恵の輪をガチャガチャいわせながらなんとか解こうとした。
「先生、これ絶対無理だよ〜」
「ただガチャガチャやるんじゃなくて、ちゃんと考えるとできると思うよ」
園児達の間でその知恵の輪をなんとか解こうと頑張ったが、結局ほとんどがさじを投げていた。
そしてみんなが諦めた。
「竃君もやってみなよ」
先生が竃に「S&S」を渡した。
「……………」
しばらく竃はだまって知恵の輪を見つめてたが、急にを捻りだし、
いとも簡単に外れたのであった。
「うわぁ!竃君すごい!」
「もっかいやって〜!!!」
こうして竃はそれからクラスの園児たちと仲良くなったが、得に仲良くなったのが学であった。
竃と学は共通の好きなもの、つまり機械に興味があったので、仲良くなれたのだ。
竃は学と機械の話をしているときは普通の無邪気な子供であったので、学は竃の本当の顔を知っていた。
そこのところも竃と学が仲良しの理由である。

「はぁ…今日は怒られてばっかしだったなぁ…」
「そうだな…」
竃と学はやっと解放され、今帰路を歩いている。
「あのさぁ…学」
「ん?」
「今日も一日平和だったなぁ…」
「そうか?俺は怒られてばっかりで最悪だったけど」
「そう思えるから平和なんだよ」
「そんなもんか?」
「そんなもんだ」
そして2人はそれぞれの家に帰っていった。

2004-03-31 10:44:40公開 / 作者:竜涎香
■この作品の著作権は竜涎香さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
この作品は全3話なのですが、ブラウザが悪いのか全話コピペしたら文字が化けてしまいました。
なので、最終話は後日掲載させてもらいます。
よろしければ厳しい評価をお願いします。

この作品に対する感想 - 昇順
内容はなかなか面白かったのですが、描写が少なくほとんど会話だけで進んでしまっていた気がします。
2004-03-31 21:34:46【☆☆☆☆☆】天神 詩
レスどうもです。確かにそうですね、殆ど会話なのは書いていて僕も感じました。次の小説に反省を役立てたいと思います。
2004-04-01 11:37:54【☆☆☆☆☆】竜涎香
計:0点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。