『翼無き卵 『ケテル』第一話〜第八話』作者:きくやん / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
全角23453文字
容量46906 bytes
原稿用紙約58.63枚

第一話


 俺の机の上には、白い羽が飾ってある。
綺麗な木目の写真入れに入れて飾ってある。
友達から「これハトの羽か?」とか、よく言われる。
けど、これは[鳥]の羽ではない。
これは[天使]の羽だ。そう、あの時の……




【二〇〇四年 二月十日】


この日は、高校受験の日。
雪の降る中、俺が受験校の校門前に立っていた時だった。
白い羽…そう、雪に混じってヒラヒラと落ちてきたのだ。
それが一回目の羽。それが一回目の冒険。




「うぅ〜、寒い…寒すぎるだろ、これは。」
焦げ緑色のコート、下は黒い学ラン、手には赤い手袋、中学校指定の青いサブバック…、最悪な色の組み合わせの俺。
ネズミ色に染められた空を見上げる。空は、どこまでも灰色で、地面は、どこまでも白い。
そんな時、一人の受験校の先生が校門を開けた。
「おや、こんなに早くから…がんばってくださいね。」
その先生は、俺に入るように進め、また学校へ入っていく。
もちろん入る。
ただ、その入ろうとした時だった。
不意に声をかけられた気がして、上を見ると…
雪に混じってヒラヒラと落ちてくる物があった。
「羽?」
俺はヒラヒラと落ちてくる羽を、見事にキャッチした。
上を見渡す……見渡してみるが、鳥の姿はない。
周りには一軒家が多く、二階建てではないし、あんなに高いところから何故に羽が落ちてくる。
「…まっ、いいや。あ〜受かるかなぁ。」
俺は、その羽を捨てて校門をくぐる。
しかし、羽が白い地面と接触した時だった。
地面がその羽を中心として、円状に輝きだす。
その円の上に俺が立っていた。
「…なんだ?」
『ケテルへ…』
円の下から女性の声がした。
「うぅおぉい!!?」
俺は、空に落ちるように吸いこまれた。






真っ暗で何も見えない。
「…あー、俺どうなったんだろ?死んだ?」
「いえ、アナタは生きていますよ。」
女性…先程と同じ声が受け答えしてくれた。
「じゃあ、なんで暗いんだよ。それにお前、誰だよ?」
「暗いのは、お前が瞼を閉じてるせいだ。僕は『ソロネ』階級の天使だ。オメェこそ誰だよ!?」
今度は、だいぶ幼い男の子の声だ。生意気な奴……
俺は、瞼を開ける。
俺の視界には、ネズミ色の空が広がっていた。
ムクリと上半身を起こしてみると、金色の髪が腰あたりまで伸びて、白いドレスのような服を着た、綺麗な女性が一人と……。
アホみたいに長く、金箔や宝石で装飾された帽子を被った少年一人。
そして…そいつ等の背中には『翼』があった。
周りは枯れ果てた地面と、木々が立っている。
いい加減、俺も「こりゃなんだ?ここはどこだ?」と思いはじめる。
「…お前等だれだよ、ここどこだ、天使ってなんだぁ!!?」
当然、取り乱した。
しかし俺は、横っ腹にその少年のハイキックを食らった。
「うっせぇな!、『エンジェル』階級のテメェが、『ソロネ』階級にタメ口使うんじゃねぇ!!」
この少年は何を言っている? 俺に何か恨みでも? 何…『エンジェル』? 俺、天使?
そんな事をいきなり言われても、混乱してしまう。
横っ腹を押さえながらもう一人、女性の方に聞く。
「ウウ…あの、なんすか、いったい? ここはどこですか? 階級ってなんすか? 」
「ここは『ケテル』、アナタ達がよく言う『天国』です。階級は…」
女性は少年と違って、俺にちゃんと敬語を使う。
ただここまで聞いた俺は、まだ座っている下半身を飛び起こさせ、頭を抱えて叫ぶ。
「おぉい!!? 『天国』って俺死んだんじゃ…」
そこまで言って、俺の左顔面を少年が「グー」で殴りとばした。
俺に恨みでも? 
と…、再度思う。
「取り乱すな、『エンジェル』階級。死んじゃいない。」
「いや、でも俺…受験なんすよぉ〜…。」
女性と少年は顔を見合わせ、
「なんですかそれは?」「なんだそれは?」
同時に聞いてきた。



「なるほど。『エンジェル』階級の住んでいる『マルクト』にとって、受験とは大切なんですねぇ。」
女性はまた、わけのわからない単語を発する。
「おい! 姉上、そんな暢気な事を言っている場合じゃないだろ!? それに全部の事について説明してやれ。」
コイツは姉さんにまでタメか!? つーか何様だコイツ!?
とか言いたくなったが、今度も蹴る殴るの暴行をされそうなので堪える。
「はい、まずはこの世界から説明します……えっと〜…。」
「あ?ああ、俺は『浜埼 俊司(はまさき しゅんじ)』って言います。」
「俊司さんですね。私は『セレ』、そこの弟は『マトラ』と言います。…さて、私達が住んでいるこの『ケテル』とは、『セフィロトの樹』で言う一番の上層部です。『セフィロトの樹』とは、主に上から私達の住む『ケテル』…『ビナー・コクマー・ゲブラー・ケセド・ティフェレト・ホド・ネツァク・イエソド・マルクト』…つまり世界の構造を表している樹だと思ってください。そして、俊司さんは、私の『ヴァーチャー』階級から使える。天移能力を使って『マルクト』から移動させました。」
「ん…?じゃあ、俺達の住んでる世界は、その『マルクト』とか言う、『セフィロトの樹』の一番下の世界なのか?」
今度はセレさんではなく、マトラが喋り出した。
「そうだ、一番下の下級世界『マルクト』に住んでいるのが、一番下級の『エンジェル』階級だ。そして、残りの『ケテル・ビナー・コクマー・ゲブラー・ケセド・ティフェレト・ホド・ネツァク・イエソド』に住んでいるのが、翼を持っている残りの階級の者達だ。理解したか?」
俺は、理解したのかしてないのか、わからない返答をした。
マトラはため息をついた。
「…わかってないだろうが、階級についても説明するぞ。階級は、上流階級から『セラフィム・ケルビム・ソロネ・ドミニオン・ヴァーチャー・パワー・プリンシパティ・アークエンジェル・エンジェル』となっている。そして、このなかで翼を持っていなくて、それぞれの固体の力が弱いのが『エンジェル』だ。よう!『エンジェル』! 」
なんか知らないが、理解できた上でバカにされた。
そして、一番の問題について俺は問う。
「受験は受けさせてくれるのか?」
「無理だ。」
マトラの即答。
俺は唖然とし、頭を抱える。
「なんてとこに呼んでくれたんだぁ!!」
ただ、俺は自分の頭の中で将来をシュミレートした。
浪人→まともな就職→無理→フリーター=どん底。
最悪である。
どう生きて行けばいいのか不安になるぞ、これ。
「諦めろ。」
マトラのその一言で、完全に…とは言いきれないが、ふっきれた。
もういいや…。
俺はむくりと顔を上げる。
「……あのさ、ところでアンタ等の言う、一番下の『エンジェル』階級の俺がなんで呼ばれたんだ?」
その問いに、セレさんとマトラの顔がすこしくもった。
そして、先にマトラが口を開いた。
「……一番下の階級には、それそれなりの能力がある。だから『エンジェル』と呼ばれる。その能力とは、階級の昇格だ。」
はっきり言ってまったく意味がわからない、意味不明でなんの事やら…。
そう思っていると、セレさんがわかりやすく説明を加えてくれた。
「階級の説明をしましたね、俊司さんの言っている人間…つまり『エンジェル』階級とは、まったくの非力で、なんの特殊な力もない階級です。ただ、私達のように、始めから階級が決まってしまっている者達にはない、能力があるんです。ここまではいいですか?」
俺は頷くと、セレさんは再度話しを続ける。
「その能力とは、階級の昇格です。『エンジェル』から『アークエンジェル』、上手くいけば最上級の『セラフィム』にまで、上がれる能力です。私は、生まれた時から『ヴァーチャー』の階級で、マトラは『ソロネ』でした。そう決まっている者達は、その階級…その能力以外にはなれないのです。」
俺は頭の中で整理してみる。
「え〜…うーんと、つまり…一番下の階級『エンジェル』は卵なわけか?」
マトラは頷く。
「ただ上流階級になれる者など、ほぼいないと言っていいほどの数……まして、『セラフィム』階級など…」
セレさんはうつむいて、俺の手を握る。
「お願いします…私達を救ってください。」
「はぁ?」
俺はさらにわからなくなった。
救う…セレさん達をか?あぁ〜、ゲームでよくあるよな、こんな展開。モンスターでも出るのか?始めはスライム〜とかか?
不安と…そんな、すこしの期待を持って聞いてみる。
「でも、何がどうなって俺を?」
マトラがすこし怒った顔をして、説明し始める。
「奴が、『セラフィム』階級での最高クラスの天使長の『ルシファー』が裏切ったんだ、この世界を…。奴は生まれ持って『セラフィム』と言う階級に就き、『セラフィム』階級でも神様同等の力を持っていた。その力に溺れて、数千の天使を味方につけて、『セフィロトの樹』の対の存在世界を作り出した。その世界では、『マルクト』が上級世界で、『ケテル』が下級世界となっている…そう全てが逆様の世界。『セフィロトの樹』は『生命の樹』とも呼ばれている…が、ルシファーの作り出した『セフィロトの樹』は『死の樹』だ。そして、ルシファーの仲間の天使……いや、悪魔との戦いはもう、何十年と続いている。」
マトラはそこまで喋ると、近くの木を拳で殴る。
「僕達の母親も…殺されたっ!!」
それらの話しを聞いて、俺は呼ばれた理由が完全にわかった。
人間…すなわち俺は『エンジェル』階級、何の階級でも…ルシファーとか言う奴と対抗できる力がある階級になれる。そして、どうやらそのルシファーとか言うやからが、ゲームにもよく出てくる悪魔の生み親らしい。
「ということは、俺はそのルシファー討伐のために、呼ばれたのか?」
セレさんは、頷いた。
誰でもよかったわけだ、人間なら…けど、自分の知らない世界に行くなんて、すっごい楽しそうな事だ。全然後悔はない。
ただ…そう、ただ…!!
「受験日じゃない日にできなかったんですか!!?」
俺はマトラにジャンプ蹴りを食らった。


その後、俺は受験などと言っている暇がなくなるほど、そんな場合じゃなくなるほど、酷いありさまになる事も知らずに、ただ浮かれていた。それは勇者が旅立つ前の好奇心のように……。






第二話


 「あらゆる宝石があなたを包んでいた。ルビー、サファイア、エメラルド。それらが金のとめがねであなたにつけられていた。それらはすべてあなたが造られた日に整えられた。」




綺麗な場所、教会のような場所である。
真中には紅い絨毯、壁には大きな楕円系の窓、天井は高く、淡い光が漏れる四角いステンドグラスが五つほどついている。光で黄色く照らされ、中央の台座には、小さな赤ん坊が寝ていた。
その中で、赤ん坊の頭をなでる老人と、三人の二十歳ぐらいの若い天使が三人いた。しかし、その一人が合わせていた手を解き、立ちあがる。

「何故だ…何故、自分達より後から生み出された『アダム』を崇拝しなくてはならない!!?」
一人の翼の生えた、美しい天使が怒鳴り声をあげた。
「やめないかルシファー!神の前だぞ!!」
近くの一人の天使が、ルシファーと呼ばれた天使を止める。
「何故だ、ガブリエル!?何故、貴様ほどの天使すら…あんな……土塊から造られた人間を崇拝しないといけない!!?」
その時、座っていたもう一人の天使が立ちあがり、ルシファーに近づく。
そして、こう口を開いた。
「人間は、たしかに階級『エンジェル』だが、我々のように束縛されていない。未来をになう大切な光だ。ルシファー…」
ルシファーの顔から力が抜けて、うなだれた。
「…ミカエル、お前までそんな事を言うのか……?」
ルシファーはうなだれた顔を上げ、赤ん坊をなでる老人に視線を動かす。
「神よ……私は、そのアダムを…人を認めない。」
そう呟いたルシファーは、綺麗な銀色をした扉を開け、その建物をあとにした。
ガブリエルが神へ不安そうな顔をおくる。
「…神よ、ルシファーはやはり危険です!!あれほどの『セラフィム』階級の者を……これは天界きっての大惨事に…」
しかし、神は微笑んだままでいる。
「いやいや…ガブリエルよ。彼の名は「光を齎す者」。そんな彼を、私はまだ好いているよ。それに、」
神はアダムへ視線をやる。
「アダムだって、ルシファーの事をわかっているはずだとも……。」
ガブリエルとミカエルの顔が安堵の表情に変わった。




しかし、この数年後。ルシファーは神からの独立宣言をした。







【二〇〇四年 二月十日(マルクト表日)】




一人の翼を持った天使が、俊司達の前に降り立った。
その天使は、五十代あたりだろうか、アゴ髭をはやし、セレやマトラと違い威圧感がある。それは殺意にもよく似ている感覚だ。体に白銀の鎧を纏い、腰には金…見方を変えれば虹色に光る剣を腰に携えていた。



俺を見るなり、キツイ鋭い目で睨んだ。
「セレよ…こやつが『マルクト』からやって来た者か?」
セレさんとマトラ、よく西洋とかで見かける[偉い人の前での座り方]をして、セレさんは答えた。
「はい、彼が『エンジェル』階級の者です。名は…」
「『浜崎 俊司』だ。」
俺はガンをつけられてちょっと気分が悪く、突っ立ったまま答えた。
マトラは表情を変えて、慌てて俺の服を引っ張って座らせる。
「バカヤロウ!!ウリエル様の前でなんて事を!!」
マトラが「すいません」と、ウリエルと言う天使にお辞儀をしまくる。
「フン、名などよい。ただ、俊司と言ったか?貴様は、ルシファーを倒す道具になれば良いだけの事、それと…」
ウリエルは腰の剣を素早く抜き、俺を押し倒すと、喉に剣をつきたてる。
「言葉には気をつけるのだな、『エンジェル』階級よ。」
そう言うと、ウリエルは剣を腰にしまい、セレさんへと視線を移す。
「セレよ、こやつをティパレストへつれて行け、いいな?」
そう言ったウリエルは、再度翼で飛んで行った。

マトラは、大きく息を吐くと、俺のケツを思いっきり蹴飛ばした。
「いってぇぇぇぇぇ!!!」
「テメェ何様だ!!『セラフィム』階級のウリエル様になんて無礼を!!」
お前こそ何様だ!!…とは、言わなかった。
どうせキックが飛んでくるだけだ。
「ちっ、なんだよあの髭オヤジは…?」
「私達の…父です。」
セレさんは小さくそう言った。
俺は、すこし口を止めて「あー」と声を出す。
「い、いやぁ…とても強そ…、いやいや賢そうなお父様ですねぇ…。」
マトラは呆れる。
「ふん、無理などしなくていい。それより俊司…」
俺は、いつもと違うマトラの口調に気づく。
「貴様、死ぬぞ。」
え?何コイツ、なんか俺死ぬのか?
俺は、マトラを見たまま固まった。
「それは何故?」
俺は聞いてみる。
「いいか、ティパレストと言うのは『ケテル』の地名の事だ。そして、そのティパレストでは、今…今現在の戦争地。天使と悪魔…の戦いの場だ。」
セレさんは、俺を見ると暗い顔を変えて、微笑む。
「ただ、大丈夫ですよ。お父様は連れて行けとおっしゃっただけで、戦いに参加しろとは言ってません。もしもの時があれば、私達が守ります。」
「けど、どうやって行くんすか?そこって近いんですか?」
そう言った俺は、マトラが遠くの山を指さす。
「あの山を越える。」
「へ?」
その指の先にあるもの…それは、とてつもなく大きく、先端が雲に隠れて見えない山であった。
富士山、君はこの山に比べたらたいした事なかったよ。エベレストよ…君と、この山は、どっちが高いのだろう。
「あ…」
「どうした俊司?」
「…あんなモンこえられるかぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
俺の声は、『ケテル』に響き渡るほど大きな声だった。





第三話



【二〇〇四年 二月十日(マルクト表日)】




 「あのさぁ〜…マトラくん?」
俺は、手に持っているサブバックを揺らしながら、上に視線をやると、マトラのアゴが見えた。
「……なんだ?」
「いやぁ〜この姿って、他の人…いやね、他の天使から見たら…だいぶマヌケだよね俺。」
「ふん、なんなら落としてやろうか?」
「いや、結構です。というか、断固拒否。落とさないでください。」
俺は今、空を飛んでいる。
…正確に言うと、吊るされているのか? 下には、先ほどまでいた…荒地が見える。
セレさんの話によると、あそこが『マルクト』に一番近い地面らしい。
まぁとにかく俺は、飛んでいる。マトラに学ランの襟を掴まれて…飛んでいる。
あぁ〜……宙ぶらりん、すこし苦しいが、死にはしない程度だ、がまんがまん。
隣りにはセレさんが飛んでいる。
俺はセレさんに手を振ってみると、笑顔で振り返してくれる。
あぁ〜良い人だ。マトラとは、大違い…父親にも似てねぇよなぁ…。
そんな事を考えていると、ふと…マトラの言葉がよみがえる。



「僕達の母親も…殺されたっ!!」



「…なぁ、マトラ。」
「…今度はなんだ?」
俺は、すこし遠慮しがちに言う。
「セレさんや、お前のお母さんってどんな人だったんだ?」
こんな事、俺が聞いて何になるかなどわからない。
むしろ、二人のためには聞かない方が良い。
けど……なんか、聞かなくちゃいけないような気がした。
「…父はずっと昔に『マルクト』に降りて、ノアと言う人に大洪水がある事を伝えました。」
隣りのセレさんが、口を開いた。
「姉上!!」
マトラがセレさんの言葉を止め様とするが、セレさんは小さく首をふり、会話を続けた。
「その大洪水の時の生き残りは、ノアの家族と動植物だけだと伝わっています。しかしその時、もう一人生き残っていました。それが、私の父が…ウリエル様が『マルクト』から『ケテル』へ連れてきた…母でした。」
「おいおい、ちょっと待って、ノアの家族と動植物だけ?他の皆は!?」
マトラの顔はわからない。だが、声色変えずにこう言った。
「死んだよ、お前の言う人間は…ノアの家族と僕等の母以外……皆。」
俺は、何がどうなったのかわからないと言う顔をしていたのだろう。
マトラが顔を下にやり、俺の顔をうかがうと言った。
「『マルクト』に、一人の天使が降り立った。そいつは『グリオリ』…奴はアダムとイヴの『始めの子達』に好意を持ち、普通なら禁止になっている『マルクト』へ降りた。ただ、奴は『マルクト』の者達に、天使の高度な知識を与えすぎたせいで『マルクト』は一度、堕落した。その中、堕落しないでいた人間…『エンジェル』階級の者がノアだ。そして、ノアや動植物達だけを生かせるため、神の使いとして、ウリエル様がノアにだけに洪水の日を教え、箱舟を造らせた。」
俺は、そこで気づいた。
「あぁ…じゃあ、お前達のお母さんって実は…」
「そうさ、消される運命の一人だった…助けてはいけない、堕落した一人のはずだった。」
マトラは再度前を向いた。
そこで、セレさんもマトラも喋らなくなった。俺もそれ以上聞こうとは思わない。

それにしても、やはりここは不思議な世界だった。
だいぶ、ここは高いところのはずだ。なのに息はちゃんとできている。
それに、マトラも不思議だ。俺より幼いはずなのに、俺を抱えてピンピンしている…謎だ。
そっちを聞けばよかった…と、すこし後悔した。


いつのまにか山の先端だ。けっこう天使が飛ぶ速度って速いな…。
そして、この高い山の向こう側…俺達の目指していた方向には、まったく雲がなく、晴天な場所だった。
セレさんは、
「見えてきました。あそこがティパレストです。」
と言って、かなり遠いが…かなり大きいと思われるお城を指す。
そのお城の近くでは、叫び声やらなんやら、色々大きな音がしている。
「五分五分か…。」
マトラがいたって冷静に呟いた。
「私が見た感じ…悪魔側の戦力には、高くても「アスタロト」階級の者しかいないわ。」
見た感じ…?
俺は目をこらしてよく見る。
「………。」
ゴマ粒より、もっと小さい黒い点がウジャウジャしている。
まったくもって、わからない。天使は…いや、厳密に言うと、俺も天使らしいけど…『エンジェル』階級以外って目まで特別なのか?
それに今の会話を聞いていると、どうやら悪魔にも階級があるらしい。

「行くぞ、俊司!」
「へっ…?」
すごいスピードでマトラは急降下した。
続いてセラさんも急降下。
どうやら、あの戦場まで一直線に行くらしい。
急降下している時、俺の胸ポケットから生徒手帳が上に飛んで行くのが見えた…だが、んな物をキャッチする暇もなく、手帳はどこかへ消えて行った。
「あぁ…俺の住所書いてあるけど大丈夫かなぁ…。」
その言葉を発してから、数秒後…自分をバカだと思った。
「…ここは、日本なんて国すら知らない人達しかいないじゃん。」
ぼそりと呟く。
上を見ていた俺に、マトラが叫んだ。
「着地するぞ!!どこ見てんだっ!!」
「がばぁ!!」
セレさんとマトラは綺麗に着地する。それは白鳥のように…一方俺は、地面にオモックソ叩きつけられ、それはもう…ゴロゴロと転がった。
途中、それなりに大きい石などがあって、腹をぶつけて死ぬかとも思った。
こんなのは、俺の思い描いていた想像の勇者とは、まったくもってかけ離れている。要するに、今の俺ってカッコ悪い。
俺は、今日は体の節々が痛い…とか思いながらおきあがる。
そしてその瞬間、俺の目の前には、異様な光景が広がった。


『人の形』をした者同士が争っていた。
俺の考えているような悪魔など、どこにもいない。
角が生えて、牙をむき出して、爪はナイフの様に長い…そんな悪魔はどこにもいなかった。
ただ、羽が『白』か『黒』かの違いしかなかった。

そして、一人の黒い翼がついている男が、西洋風の剣を構えて俺に向かってきた。
俺は、サブバックを頭の上に素早く持ってきて、身構えた。
正直こんなもんじゃダメだろ、こんなちょっと強い布で作られたバックなんかじゃ…脳天から腹までザックリいっちまう。
…が、一向に剣は落ちてこない。サブバックの横から、すこし覗いてみる。
さっきの奴がいない、前にいるのはマトラだった。
マトラから地面に視線を下ろすと、あの男がぶっ倒れていた。
何が起こりましたか?マトラが…マトラが倒したのか?
マトラに気づいた黒い翼の奴等が二・三人、再度向かってきた。
マトラは鼻で笑った。
「はっ…『ソロネ』階級に、悪魔の『アスタロト』階級ごときが歯向かうじゃねぇよ!」
マトラは、向かってくる黒い翼の奴等に対して手の平を向けると、下に振り下ろした。
「なあ、マトラ…何してんの?」
「黙って見ていろ、気が散る。」
…もう、黙って見ているしかない。いや、目がくぎづけだった。
黒い翼の奴等は、空気中にできた『水の球体』の中でもがいていた。
「今、楽にしてやる。」
そう言ったマトラは、先ほどの手を拳に変えた。
すると、水の球体は氷漬けになって砕け散った、中の奴等ごと…。
俺は口を半開きにして、後に視線をやってみると…セレさんが数人の黒い翼の奴等相手に、バタフライナイフ程の短剣で相手をしていた。
そのうち、セレさんの背後にいる奴が剣を振り下ろす。
「セレさんっ!!」
俺は叫んだ。しかし、セレさんはこっちを見ると、笑顔で返答してくれた。
剣がセレさんの頭を…ああっ。
俺は目を閉じる。いや、すこし開けていた。
そして、先ほどのマトラと同じ様に…不思議な事が起きた。
セレさんの地面が円状に光ったと思ったら、そこにセレさんの姿はなく。先程、剣を振り下ろした奴の後ろに立っていた。
そして、セレさんはソイツの背中に短剣を刺す。
俺はさらに唖然とし、左へ視線を…。
ただ、左は逆の事が起きていた。白い翼を持った者達が、塵が散る様に空へ吹き飛んでいた。
その吹き飛んだ一人が、俺の上に落ちてくる。
俺は素早く回避…成功したが、落ちた天使は骨が折れたような、鎧が軋むような、嫌な音を立てて死んだ。
「無事ですか!?」
セレさんが先程の奴等を全部片付けて、俺の方へ向かって来る。
そして、俺は塵の様に…今も吹き飛ばされている場所を指さした。
「なんだ、あれは!?」
マトラも気づく。そこの中央には黒い翼を持った一人の女性がいた。
彼女は、白い布を首から体全体に巻き、黒い布を腕に巻いて…それらを衣服の変わりのようにしていた。
その姿を見て…明らかにマトラの表情が変わった。
「あれは…メフィスト!!」
「メフィスト?」
俺が疑問形でリピートした。
「悪魔の『アスモデウス』階級の者です。天使の階級で言うと、『ソロネ』と同等の力を持っています…。」
セレさんが一歩、あとずさりながら言った。
「逃げましょう俊司さん!!」
セレさんは、俺の手を掴んで引っ張る。
「マトラはどうすんだよ!?」
「マトラは『ソロネ』階級です。他の階級の者がいても邪魔になるだけです!」
その時、俺は後をすこし振り向くと……マトラとメフィストの戦いが始まっていた。





第四話


 

【二〇〇四年 二月十日(マルクト表日)】


 「かわいい坊やですね、貴方は誰なのです?」
「…メフィスト、貴様なんかに名乗る名前なんて持ち合わせてねぇよ。」
遠くの二人が、何か会話をしている。
そんなマトラを見て、一様…何もしないのもなんかなので、応援の声援を送ってみる。
「ぶっ飛ばせ!!マトラ!!」
マトラが俺を睨みつける。
「あの…俊司さん…。」
隣りのセレさんが、微妙な顔をする。
……何故だ?俺は悪いことをしたのか?
「俊司!!後でぶっ飛ばしてやる!!」
メフィストから視線を変えず、応援コールのお返しに、半殺し予告を送られた。
何故だ?
メフィストと言う女性は、すこしクスクス笑いながら、手に巻いている黒い布を持つ。
「そうですか、では…マトラ、行きますよ!!」
メフィストは黒い翼を大きく羽ばたかせ、空高く舞う。
マトラも白い翼を広げ、メフィストを追った。
それは、そこらの剣で戦っている現実的な戦いとは、かけ離れていた。

まず、マトラが自分より高度の高い所を飛んでいるメフィストに向けて、手の平を向ける。
その行動は先程のモノと同じで、水の球体をメフィストにつくり出し、手の平を拳に変えた。
しかし、それをメフィストは簡単にくらってくれなかった。
翼を一度大きく羽ばたかせ、回転力をつける。すこし解いて手に持っている黒い布も、すごい勢いで体と共に回転する。
その回転力は水の状態だった球体を、粉砕し、雫に変えた。
すこし遅れて雫は氷に変わったが、まったく意味がなく、地に降り注ぐ。
俺の頭にも何粒か落ちてきた。
「ちっ…。」
マトラは舌打ちをして、今度は拳の状態で右手をメフィストに向けた。
するとメフィストの周りの空気が揺らいだ。
「ふせて下さい、俊司さん!!」
そう言ってセレさんは、俺の頭の上に手を当てて、しゃがませる。
「ウリエル様の名の元に、神の火よ…目覚めよ!!」
いままで普通の温度だった俺の周りが寒くなる。俺は顔を横にして、上空を見てみると、マトラがメフィストに向かって拳を開いた。
「それは、『セラフィム』階級のウリ…!!」
メフィストの声はそこで途切れた。
「俊司さん、息ができなくなります、息を思いっきり吸いこんでください!」
セレさんが横を向いて、俺に言う。俺は上に呆気を取られ、聞こえない。
拳を開いた瞬間、いきなり俺は息ができなくなった。
そして、メフィストが巨大な…太陽のような輝きに包まれ、大爆発を起こした。
その熱気は、まだだいぶ熱く、一瞬だけ熱湯をかけられた感じだった。
熱い…、苦しい、もうダ……メ…。
俺の鼻を通して、空気が入りこんできてくれた!ありがとう、植物達!ありがとう、酸素!!
そして、マトラ…これはさっきのお返しか?

こんな事を思っていた俺だが、明らかに俺がセレさんの説明を聞いていなかったのが悪い。
そして、上空を見上げて見ると、そこにメフィストの姿はなかった。
「彼女…逃げました。」
セレさんが隣りで呟いた。
「まだ、貴様は全然本気出してなかったじゃねぇかよ……。」
晴天な空、真っ白い雲、青く晴れ晴れした中、地上でも太陽が光った。そんな空を見て、マトラも呟いた。






ティパレストでの戦いは、天使軍が圧勝した。

天使の『ソロネ』階級・マトラと対を成す、悪魔の『アスモデウス』階級・メフィストが撤退したからだ。
残った悪魔の階級は、天使の階級で下から三番目で言う、『プリンシパティ』階級と同等の、『アスタロト』しか残っていなかったからだ。
どうやら『ソロネ』階級や、『ヴァーチャー』階級の者が来る事は予想外だったらしい。

戦いは、夕方まで続いて、死んだ者も多かった。
けど、俺は……怖がらない、人が死んだ所を見るなんて、初めてじゃない。
俺は、怖くない。
こんなのよりも、酷いところを見た事があるからな……。






俊……さん…
 俊……司…ん
  俊司…さん





「俊司さん!?」
「はっはい、なんすか!?へっ?」
俺は驚いて我に返る。
セレさんが、目のすぐ近くでヒラヒラと手を振っていた。
「大丈夫ですか、ずっとボーっとしてましたよ?」
「沢山の天使が死んでいるところを見て、気絶寸前だったんだろ。」
マトラは、気分が悪そうに絡んできた。
俺はそれをスルーする。
そして、マトラの攻撃範囲から脱退。
「…?」
マトラはその行動を不自然に思い、すこししてから気づいた。
「ああ、そうだった。俊司……貴様をぶっ飛ばす!!」
俺はその場を全速力で逃走。
自分より歳が低く(予想)、背の低い者に追い掛けられる俺。
ただ、走りながら思う。
悪いところじゃない。つまらない世界に戻るなら、ここで暮らしたい…そんな事を思う。
家族など、どっちに行ってもいない。
なら…普通なら行けない、こっちの世界で…。






【二〇〇四年 二月十日(マルクト表日・夜)】


ここは、セフィロトの樹の『マルクト』である。
上から、我々の住む『マルクト』…『イエソド・ネツァク・ホド・ティフェレト・ケセド・ゲブラー・コクマー・ビナー・ケテル』の10個のセフィラである、厳密に言うと…11個なのだが、今はいい。
この世界の構造を表している順だ。
ただ、我々のセフィロトの樹は、『生命の樹』の奴等から『死の樹』と呼ばれている。
表のセフィロトの樹を仕切っている神を殺すため、私が作り出したモノだ。



「ルシファー様、失礼します。」
私は瞼を開き、視界を戻す。
視界の前には、黒い大きな鉄製の扉。
その扉から、私の座っている台座まで伸びている青い絨毯。
扉が鉄の軋む音をたてて開いた。
その扉から姿を表したのはメフィストだった。
「メフィストか…その様子を見ると、ティパレストでの戦いは敗れたか。」
私の予想していた通りになった。
この作戦を考えたのは、私ではなく…『プロセルピア』と言う女で…奴は、こちらのセフィロトの樹の『ネツァク』を仕切っている者だ。
ただ、でしゃばる邪魔な奴でしかない。
今回のティパレストでの戦力編成も奴の考えである。
大方、負けた予想はつく…
「で…『ケテル』の奴等の戦力は?」
「『ソロネ』・『ヴァーチャー』が目立った階級で、残りは皆『パワー』と『プリンシパティ』でした。」
メフィストは申し訳なさそうに言う。
それも予想していた戦力通りである。
いくら、高価な武器で武装していたとしても、メフィストの『アスモデウス』階級一人と、残りは全て『プリンシパティ』同等の『アスタロト』階級の者だけでの編成など…勝てる見こみがあるはずがない。
つくづく、あの女の頭の悪さには呆れる。
「それと…」
メフィストが何か言おうとする。
「誤るのならそんな事はしなくてよい。これは、プロセルピアの失態だ。それとも他の事か?」
「いえ、この戦いは私の失態です。それと、一つ気がかりな事がありまして…。」
メフィストが言葉を濁す。
「なんだ、気になった事は全て報告しろ。」
「確かではないのですが…『エンジェル』階級がいました。」
さすがに、それは予想していなかった。
『生命の樹』の『マルクト』の住民を、他のセフィラに移動させるなど滅多に無い事だからだ。
「そうか、神もとうとう本腰を入れてきたと言うわけか…『セラフィム』階級になる前に捕獲か……消せ。」
私は、そう言うとまた目を閉じ、深い眠りにつく。




第五話




【二〇〇四年 二月十日(マルクト表日・夜)】




俺は今、ティパレストのお城の中にいる。
ティパレストの王が、マトラとセレさんにお礼がしたくて呼んだらしい。
まぁ、当たり前だろうと思う。
あのまま、マトラやセレさんがティパレストに来なかったら、あのメフィストとか言う奴にボコボコだっただろうしな。
にしても、そんな事はどうでもいい、今現在俺は…城のどこにいるんだ?
長ー――――――――――――く続く廊下、それと同等の長さの綺麗な赤色の絨毯、壁にはロウソク立てが…ズラー――――と並び、扉も負けじと並ぶ。
俺はサブバックの中に入れていた、CDウォークマンを聞きながら立ち呆けていた。これは、受験校に行く前の電車の中で、聞こうと思って入れていた物だ。
すこし、十分前程度の事だった。
どこらへんに飾ってあったかは、忘れたが…鎧が飾ってあったのだ。
西洋風の鎧である。
ランスと言う、トンガリコーンの様な巨大な槍を持ち、白銀に輝く、全身を覆うカッコイイボディプレート、同様に顔全てを覆う、鳥の様に尖がっているヘルメット……そう、ヘルメットだ。
俺が珍しいからと言って、眺めまくっていたら歩いているマトラ達が、すこしづつ離れて行く。
最後にと思ってヘルメットをカパリコ……と、開けてみたら壁が回っていつのまにか、この廊下。
回ったはずの壁を叩いても変化なし、鎧の色々な所をいじっても変化なし、最終的に崩してみても変化なし。
俺はその場で諦めて、CDウォークマンを聞いていると言うわけだ。
ダメじゃん俺。
さっきの戦いで良いとこない上に、迷子ですか?
ダメだな俺。
ただ、もう三十分はかれこれたっている。五分間の曲を、六回聞いたから…三十分たっただろう。

そろそろ、この場に止まっているのも飽きたので、この長ったらしい廊下を歩いてみるとしよう。
俺は、
「面倒クセー…。」
こう呟き、CDウォークマンの電源を切って、歩き出した。
そして、すこし歩いて一つの扉から声が聞こえてきた。
そこに入ってマトラ達の場所を聞こうとしたが、気がかりな事が耳に入ってきたので、扉に耳を近づけてみる。

「じゃあ、カルニエウァウ様は…ティパレストを出てルシファー様の元へ?」
「今ここは弱っちまってるからなぁ、しかも…メフィストが帰還したばっかりだから、天移の残力がどこかに残っているはずだぜぇ。それを見つけて、俺様は『死の樹』へ降りるぜぇ。」
「なるほど、今が…今の今まで待ちつづけた時だと言う事ですね。」

二人の男の声が聞こえる。
俺は、更に扉に耳を近づけた…が、





ピッ

ウィ〜ム

シャー――――





俺のサブバックに入れてあったCDウォークマンが、扉のノブと接触して、スイッチが入る。
スイッチの入った事を示す音、微妙にうるさいスキャンカメラの機動する音、次は…そこまで気にならないが、CDの回る音。
ここまではいい、問題はない、ノンプログレム、モーマンタイである。
しかし、次のCDウォークマンの行動で完全にバレる。
「ガガガガガガガガ〜。」
曲が大きな音で鳴り響く、音の大きさは最大から二番目、イヤホンをしてなくても十分聞こえて、うるさい。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
声に出たのか、出ていないのか、よくわからない叫びをした俺は、CDウォークマンの電源を切るが……時、すでに遅し。
扉はすこし開いて、中年ぐらいの男の視線と、俺の視線が合った。
「……。」
「……。」
まず、俺が口を開く。
「あの、その、この…えーと、天気悪かったですよねぇ。」
バカだ…逆なら当っていた。「天気良いですよね。」なら間違っちゃいない。天気が悪かったのは、山向こうである。こちらは晴天だ…何故こんなことを言ってしまった、俺?
「天気は良かったが?」
男が顔色変えずに言った。
「…王座の間って、どこか知ってますか?」
俺は、道を尋ねた。
「先程の話を…聞いていたな?」
男は答えてはくれず、逆に俺に問う。
俺は、首の骨がイカれるほど首を横に振る。
だが、男は
「……。」
まだ、俺を見つづける。
やめろ、俺を見るなよ。気持ち悪いな…気でもあるのか?
気持ち悪いは本当だが、気はあるわけがない。
むしろ、殺意を感じる。
そして、男は扉の向こうへ視線を動かした。
「カルニエウァウ様、先程の話を聞いた者がいます。始末しますか?」
「自由ぅにしていいぃぜ。」
男は再度、視線を俺へ。
男は扉を完全に開けると、翼を二・三回軽く動かし、腰の剣を抜く。
「悪く思うな、貴様が悪いのだ。」
俺は悪くない!!悪いのはお前等だろ!!
さて、逃げよう。

俺は華麗に足首を捻って、後へ向く、そのまま床からかかとを離して、つま先で床を力強くける。
つまり、走った。

全速力で走った…つもりだったのだが…、
「無理だよ、君。」
後に振り向いて、ちょっと走ったところで、既に自分の前に奴がいた。
俺は覚悟を決めて、横に転がっている、さっきの鎧のランスを手に取り、すこし重いが…適当に構えてみる。
「ほぉう、やると言うのか?」
奴も剣を構える。

……無理だ。
無理無理無理無理!!
絶対死ぬ、これは無理!!
あぁ〜…俺、死ぬのかなぁ。
セレさんの嘘つき、守ってくれねぇじゃねぇか…うう…。

そんな時、ふと…CDウォークマンの事が頭に浮かんだ。
待てよ、こっちの『ケテル』の天使達って受験も知らないんだよな。


じゃあ…やってみるしかないか。

「ちょっと、待ってください!!」
「なんだ、命ごいか?」
俺はしゃがみこんで、サブバックを漁る。
そして、バックの中の筆箱から…一枚の『目盛りの書いた板』を出す。
「これが何か知ってますか?」
「なんだその板っ切れは?」
「わかりました。あと、ちょっと待ってください。」
やっぱりだ…『ケテル』の天使達、『定規』も知らない。

そして、俺は…作戦を実行に移した。




第六話





【二〇〇四年 二月十日(マルクト表日・夜)】




「今度はなんだ、貴様?」
俺は再度サブバックを漁る。
「すいません〜、ちょっと待ってくださいよ〜。」
…口調がセールスマン風だ。
すこし悲しい…いやいやいや、命には変えられん。
プラス、満面の笑顔もつけてやる。
俺はサブバックを漁りながら、剣を構えている天使に、満面の笑みを送った。
「ッ…。」
天使は、目元を引きつらせ、一歩ひいた。
その行動から、俺がだいぶ気持ち悪い事がわかり、普通の顔に戻す。
…悲しいよ俺。


あった…。
俺はサブバックの中で、CDウォークマンのスイッチをオンにする。
先程のような手順で、機動音が鳴り響く。
そして、次だ。

「ガガガガガガガガ〜。」
曲が大きく鳴り響く。
俺は曲が鳴るとともに、一度ランスを置き、サブバックに入っていた耳栓をする。
この耳栓は、俺が受験勉強中に使っていた物だ。
自信満万の顔で俺は、『ペテン』を言う。
「この曲を、なんでさっき焦って止めたかわかるか?」
天使の奴は睨んでくるが、確実にわからないと言う顔をした。
「それは貴様が見つかるといけないと…」
「んなわけないだろ!この曲はな…」
俺が途中で奴の喋りに割りこみ…さぁ、とうとう作戦開始だ!
「…死の曲なんだよ!!聞いた者の体を蝕んで行く!!」
そう言った後に、更に信じこませるようにペテンを続ける。
「この円盤を見よ!!」
俺は、CDウォークマンの本体をサブバックの中から取り出す。
「これは、神が特別な『エンジェル』階級のみに授けわたしてくれた物であり、弱き自分を守るための、死の曲を生み出す力の結晶だ!!」
我ながら、よくこんなにも口が回るものだ……セールスマンみたいだ。
…すこし悲しくなった。
いや、命には変えられん。
最後の仕上げだ。
「さぁ、そろそろ効き目が出る。耳を塞がないとえらい事になるぜ!!」
天使は、俺の言ってる事を疑うだろう。
だけど、自分が死ぬかもしれないんだ…かかってくれる。
そして、ランスを再度持つ。
とどめだ。
「あと2秒だ!!」
「っ・・・。」
天使は、思惑通りに引っかかってくれた。
両手持ちの剣を捨て、耳を塞ぎ、反射的に目まで閉じてくれた。
今だっ!!
俺は、そのまま床からかかとを離して、つま先で床を力強くける。
つまり、走った。
けど今度は違う、逃げやしない。
ランスを両手に構え、天使へ走る。
このまま…このまま…刺し殺せば、俺は助かる。

その時、俺の頭の中に懐かしい姿が出てきた。





『どんなに人が憎くても、殺すなんて言っちゃダメだよ。』

ああ、鬱陶しいよ。
今、アンタが出てこなくてもいいじゃないか…姉ちゃん。
死んだんだから、もう俺の思い出に出てくるなよ。
…思い出だから出てくるのか……わかったよ。
殺しやしないよ、殺しなんて…家族を殺した男だけで、もういっぱいいっぱいだ。
それに…



俺は、手に持っているランスの先端を、天使の足元に勢いをつけて、突き刺した。


「もう、そんな度胸ねぇよっ!!!」
俺は、あるスポーツの様に…ランスを棒として、高く飛んだ。
天使が目を開ける。
そして、空中に浮かぶ俺を見て、口がポカンと開く。
俺は、そのまま天使の顔面へ、拳を力一杯振り下ろした。
地面に鼻血を出して倒れこんだ天使、その上から外れた耳栓と俺が、ケツから天使の顔面へ落下した。

俺は腰を擦りながら、立ち上がり…
「ざまぁみろ」
天使を見下ろして力なく呟いた。
気絶していて、聞こえているわけもないが…。

俺は、調子づいて、カッコつけて…ランスを後向いて構えてみた。

最悪…。

俺の後ろには、扉の向こうで喋っていたと思われる『カルニエウァウ』と言う、とても発音しにくい名前の天使がいた。
だいぶチャラケタ格好の天使である。
顔は、渋谷でもほっつき歩いていたら遭遇しそうな…微妙なビジュアル系、耳には肩まで長いピアス、服も…あー、よくギターとかを叩きつけて壊す歌を歌う人のような服、腰には斬る剣とは違って、刺す為に刃をなくし、細身で先端を鋭く尖らせた『レイピア』と言う剣が吊るされていた。
今の服の例えはわかりづらい…けどそんな感じの奴だ。
本当に天使かよ。

「んん〜、マジでぇかよ。やられてんじゃあん、よわすっぎぃ。」
のばすな、聞き取りづらい!!
…こんな事を口にしたら殺される。
俺は固まったまま、冷や汗を出している。
ヤバイって…今度こそ無理だ。
「さぁて、どうしようかぁ?」
カルニエウァウは、腰のレイピアに手をむかわせる。
さっき使ったCDウォークマンは、カルニエウァウと俺の丁度真中にサブバックと一緒にある。
CDウォークマン戦法は使えない。
俺もランスを構える。





第七話





【一九九四年 二月×日(マルクト表日)】



 小さかった頃の俺がいる。
畳み九畳ぐらいのリビングに…俺はいる。
まだ朝日がさす窓、その横には小さい棚、棚の上には家族で撮った写真が飾ってある写真立て…。
そんな、いままでの思いでを物語る写真立てには、飛び散った血がついている。
俺の手には果物包丁、俺の目の前には、顔をバイク用ヘルメットで隠した男、その男の手には、殺傷能力の高いサバイバルナイフ。

その男は、俺がトイレに入っている間のものの数秒、俺の家族を殺した。
その光景を見た…五歳の俺。
普通なら泣きじゃくる、泣きじゃくるはずだ。





俺は微笑んだ。
その後、ゆくっりと歩き、台所の包丁を手にした。
男は、一歩後ずさった。
微笑んだ五歳の俺を見て…。

悪魔はいる。
誰の中にも悪魔はいる。
それはルシファーが率いる…普通の人間の姿ではない、醜い悪魔が。
そいつは、天使の翼を黒く塗った様な翼ではなく、人間の様な姿でもない。
角が生えて、牙をむき出して、爪はナイフの様に長く、眼光は鋭い獣の様で、それは醜い悪魔だ。
俺は悪魔になった…その時、自分でも何をしたのかわからない、一瞬の出来事だった。
五歳の俺は、その男に飛びかかって、腹を果物包丁で一突き、バイク用ヘルメットを脱がして…その後、何度も突き刺して…。
全てが終わった瞬間だった。




【二〇〇四年 二月十日(マルクト表日・夜)】


ドクンッ…




心臓から嫌な血が流れて来るのがわかった。
嫌だ……俺は死にたくない。

俺は目の前の、カルニエウァウと視線を合わせる。
「おぉいおぃ、気持ちワリィなぁ、やめ…。」
カルニエウァウの余裕の表情が変わった。
レイピアを素早く腰から抜き、ワンステップバックした。
「お前、本当に『エンジェル』階級か…?」
俺は笑っているらしかった。
口元を頬笑えませながら、あの重いランスを片手でカルニエウァウへ向ける。
「…ハハ……ムカツクんだよ、お前。」
嫌な気分だ。
俺の言う事を聞かない俺。

カルニエウァウが、二歩素早く前へステップ、その後、翼で勢いよく俺に接近する。
「ウゼェのは、テメェだろぉ!!」
レイピアが、俺を目掛けて直進…。
普通の俺なら死んじまってただろうな。
普通の方が良かった…死んだ方がよかったかもしんない。
死ぬところで死んで、生きるところで生きれば…けど、死ねなかった。

俺の脳天目掛けて直進するレイピアを、手の平で受けとめる。
勿論、手の平から甲へ貫通した…が、俺は頭を横にずらして脳天は免れる。
そして、レイピアの奥へ…わざと手を進ませる。
手の傷は大きくなったが、カルニエウァウに手で触れる程接近した。
「つっかまえた…。」
カルニエウァウは、レイピアを掴まれた事により、数秒は俺の近くから動けない、レイピアを手放すまで…。
俺は痛くないのか?痛いはずなのに…手から血が流れているはずなのに…痛くなかった。
微笑んだまま、ランスの先端をカルニエウァウのわき腹に刺した。
「ぐがっ…テメェェ……。」
カルニエウァウの血がランスを伝って流れていく。
俺の血もレイピアを伝って流れていく。

更にランスを奥へ突き刺していく。
前にも説明したが、ランスは先端から後に行くほど、大きくなっていっている。
もちろん、奥へ刺せば、傷も大きくなっていく。
「うっ……があぁぁ…。」
カルニエウァウが悶え、ランスを抜こうとするが、俺は更に奥へランスを突きたてる。
「死ねよ…死ねよっ!!」
俺は叫んだ。
自分が死ぬのが嫌だから、相手を殺す。
嫌な思考が巡っていた。
最後に、俺は勢いよくランスを奥まで刺した。
カルニエウァウは…力なくうなだれた。
「あ〜あ、死んじゃって…。」
俺はため息をついた後、ランスを抜いた。
そのまま、ランスが刺さっていて、辛うじて立っていたカルニエウァウは、床へ血を飛び散らせながら倒れた。
そして、俺も倒れた。
「うっあ……気持ち悪い…さっきの俺って…。」
やっと体が戻ってきた。あぁ〜…安心…
できる状態でもないな。
ダルイ…疲れた…眠……い…。
俺の視界は真っ暗になった。





第八話



 【二〇〇四年 二月十一日(マルクト表日・深夜)】




 俺が目覚めたら、牢屋に入っていた。
黒い鉄格子が目の前にずらりと並び、その他の壁は白い綺麗なレンガ製…お城のやつと同じである。
まぁ…どこにいるのかは、わかる。
ここはお城の牢屋だ。カルニエウァウと戦った後、きっと俺は運ばれたんだろう…ここに。

いやいやいや、何故に運ばれなきゃあかんのだ?

俺は牢屋の中で寝っ転がって考える。
髪がカルニエウァウの血ですこしバリバリするが、どうしようもない。
…冷静に考えれば簡単な事だ。
「…そうだよな、カルニエウァウ自体……ここの天使は悪い奴かわかってないもんな。あの時、たまたま俺が隠し部屋を見つけて、アイツの話を聞いただけだしなぁ〜…。」
「なんだ、そう言う事かよ。」
俺は一度天井に向けていた視線を、声のした鉄格子向こうへ素早く動かした。
そこにはマトラがいた。
「ただ…その話が本当でも、俊司…お前はなんでカルニエウァウに致命傷を負わす事ができた?」
そして、マトラは俺に…鉄格子に精一杯近づいて、俺と視線を合わせる。
「奴の階級は『パワー』、そう…姉さんの一つ下の階級で、『エンジェル』階級より三つ上の階級だ。」
そこまで言うと、マトラは一枚の白い羽をポケットから出した。
「これは姉さんの羽だ。『ヴァーチャー』階級の羽は天移能力がある、この能力でこっちの世界まで呼んだ…。」
そして、マトラはそこまで言うと…羽と白い紙を牢屋の中、俺の前へヒラヒラと落とした。
「その羽を白い部分に接触させると、天移能力が発動して元の世界へ帰れる。」
「そんな!!俺は受験までけっとばしてここに…」
「俺はお前のために言ってんだ!!」
マトラが俺の声を遮って叫ぶ。
「いいか、このままここにいると…カルニエウァウに致命傷を負わせた罰として、死刑にされるんだ、お前は!!いくらどんな理由があるにせよ、下級天使が自分より上の天使に手を出したら…どんな……理由があっても。」
マトラがすこし悲しい顔をした。その顔は今のそのままの年齢…いつもの『大人びた子供』の顔ではなかった。
俺はすなおに羽を手に取った。
「あ…あははは、あのさぁ…うん、俺の人生よくもめっちゃくちゃにしてくれたな……とか言いたいけどさ、また…こっちにこれるかな、マトラ?」
その問いに、マトラは元の顔に戻ってキツイ事を言う。
「…はっ、どうせお前が『受験』をうけたところで落ちただろうしな、言われる筋合いはない、最後だ…今度お前が来る時には、もうここは平和になっちまってるよ、俺がいる限りぜってールシファーなんかに手を出させるかよ。それに、ここの王様は俺より階級は下だし、お前を逃がしても咎められないって事で…安心してどこにでも行けよ。」
俺は苦笑いをして、羽を紙の上で手を離した。
「はは、結局俺はどーにも役に立たなかったって事か…。」
羽が紙と接触して、羽を中心に光の円がつくられる。
その上に俺が乗っている。
「じゃ、ありがとな。」
俺は下へ落ちるように消えた。



光輝く中で…
「…来た時みたいに、すぐに帰れるんだろうな。」
そう呟いた瞬間だった。

『よっていけよ。』

男の声がどこからともなく聞こえた。
その声は、昔の嫌な記憶を蘇らせる。


家族の亡骸が転がるリビング…。
母さんはエプロンと服の上から腹を切り裂かれ、魚のひらきの様になって死んでいる。
父さんは首から上がない状態で、写真立ての乗っているタンスにもたれ崩れている。
そして、姉さんの亡骸の前に…その男がいた。
顔をバイク用ヘルメットで隠し、サバイバルナイフを持った男。
そこで、俺の記憶は燃えた紙の様に、黒くなり消えた。


光が消し飛んだ。



目の前に現れたのは志望校の校門、前の時と同じように真っ白い雪が降っている。
ただ、その中に羽はない。

そして、校門近くの男に俺は気づいた。
「おや、こんなに早くから…がんばってくださいね。」
「あ…?」
俺はこのセリフを聞いた事があるような気がした。
いや、聞いたはずだ。
俺は校門の横に立て掛けてある看板を見る。
『○○高校試験会場 ⇒』
そして、それを見た後すぐに自分の腕時計へ視線を移す。
『二:十.』
「二月十日だ……。」

【二〇〇四年 二月十日(マルクト表日・朝)】

俺は感激した。最高です。マトラ様あんた最高です。
俺は空に手を合わせて拝んだ…ケテルがマルクトの上にあるからだ。
先程の声をかけてくれた先生は、まだ合格発表前なのに感激している学生を不思議そうに見ていた……俺は気づかない。



「ふっ……。」
俺はニヤニヤと…はたから見たら嫌らしい顔満天な表情で、校門を出てきた。
そして、一滴の涙が頬を流れた。
「…絶対落ちた……。」
俺は、校門の中心の雪の上でひざをついてうずくまる。
周りの生徒達が物珍しく俺を見て、通り過ぎて行く。
クソォウ…テメーら皆余裕な顔しやがって、悔しいぞ!!そんなに余裕なら、皆俺に十点ずつくれやコラァ!!
そんな俺の肩をポンと叩いた奴がいた。
「まぁ…そんなに気を落とさなくてもいいんじゃないかな?」
俺は立ちあがり、そいつの顔を見た。
そいつの顔に懐かしいような感覚を抱いたが…俺はだいぶ機嫌が悪く、そいつの手を肩から叩き落とす。
「うっせぇな!!名前も知らないお前なんかに…」
「あれ?心外だな、本当に知らないかい?」
コイツは何をほざいてんだ?お前の顔なんか、このかた生きてきた中で見たことなんかねぇよ!!…懐かしさつーかなんつーかは感じたけどよ…。
そんな事を思っている俺に対して、そいつの口から……忘れたくても忘れられない名前が出てきた。
「俺の名前…『北峰 政野(きたみね まさの)』って言うんだけど、覚えてないかなぁ?」

ドクンッ

燃え尽きて黒くなった記憶、それが断片だけ再生する。

『○月○日、○○都××区で…』
ニュースのアナウンサーがこれから俺の事を言う。

「…ねぇ……あのコがあの殺人鬼の犯人を…」
「…家族の人が殺されたのに滅多な事……」
「だってねぇ……いくらなんでもあんな子供が…」
俺が外に出ると知人の奴等はひそひそと陰口。

『〜住まいの35歳、北峰…』
ニュースのアナウンサーが犯人の名前を読み上げる所で…


バチッ

頭に頭痛のような痛みが走る。
俺が知っている犯人の顔にたしかに似ている。ただ…
「若すぎるだろ?冗談はよせよ…不愉快だ。」
俺はそいつへ言い捨てた。
そして、不快な気分を残して…そいつの…校門の前から立ち去ろうとした時、奴はまた声をかけてくる。
「嘘なわけないだろう?それとも…お前はここを『マルクト』だとでも思ってるのかい?」
また俺が立ち止まっちまうような単語を吐き出しやがった。

2004-04-23 20:34:05公開 / 作者:きくやん
■この作品の著作権はきくやんさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
始めまして。
聖書とか、そんな中に出てくる単語や成り立ちを使って、お話を書きたかった…と思って書いた作品です。まだまだ未熟で、おかしな所もあるかと思いますが、よろしくおねがいします。
この作品に対する感想 - 昇順
拝見しました。フォグシャドウです。聖書とか好きなんで面白いですd(^^) 早く続編を読みたいですね〜。でも結構ありがちな感じなんでインパクトが欲しいかな〜なんて思っちゃたりします。(苦笑) これからもがんばってください!(^^)
2004-03-30 14:15:57【★★★★☆】フォグシャドウ
質問なんです。聖書とあるという事は、キリスト教と見てよいのでしょうか? 更に神話の記述にあわせると、最高位の天使はアークエンジェルということになります。人間界に最も関わるという意では、作品の通りになると思われるのですが・・・。それに四大天使はウリエル・ラファエル・ミカエル・ガブリエルですので、ルシファーが四大天使と席を連ねるのは、いささか無理があるかと。あとルシファーは『独立』ではなく、『反逆』したのでは・・・。等と思うところがありましたので、答えていただければすっきり読めます(私が)。
2004-03-30 16:04:14【☆☆☆☆☆】堤
イスラエルのヘブライ神話を、土台として書かせてもらっていますが…まぁ多少自分で、この先は色々アレンジするかと思います。あと、ルシファーは「自分達の国をつくる」と(旧約聖書)に発言があったので、そこで反逆ではなく『独立』にしました。
2004-03-30 18:01:40【☆☆☆☆☆】きくやん
答えてくださり、誠にありがとうございます。つづき楽しみにしてますので、がんばって下さい。
2004-03-30 19:01:52【★★★★☆】蘇芳
下の名前間違ってますね・・・。別の所で使ってんのが出ました、すいません・・・
2004-03-31 19:25:33【☆☆☆☆☆】堤
えと、質問です。ルシファーは堕天する際に、神にもらった『ルシフェル』という名の『エル』(輝ける者)の部分を捨てて『ルシファー』になったのではなかったでしょうか?2話あたりで、まだ堕天してないのに『ルシファー』になってますよね?うーん、すいませんうろ覚えなんですが……間違ってたらごめんなさいっ!
2004-04-10 22:52:30【★★★★☆】ハルキ
たしか、ルシフェルとルシファーって名前が似てますけど違う天使です
2004-04-11 08:59:04【☆☆☆☆☆】きくやん
↓すいません、下のつけたしなんですが。ルシファーは神のつけた名の意味が「光を齎す者」で、ルシフェルが「神の薬」と言う意味なのです。ルシファーと言う、そのままの意味で「光を齎す者」意味になっているので…ルシファーは元々『エル』はついていなかったはずです。
2004-04-11 09:03:45【☆☆☆☆☆】きくやん
本当に何度もすいません…つけたしです。キリストの方のお話がそうなのかもしれません…キリストはまったくわかりません<汗、ただ、イスラエルだと別の天使という事になっています(ただ、ペルシア神話だと『アーリマン』と『ルシファー』は同一です)。最後に読んでくれてありがとうございました。
2004-04-11 09:13:43【☆☆☆☆☆】きくやん
計:12点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。