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リレー小説 『紅蓮の戦士(仮)』
05/03/10
00:38:23

紅堂幹人
     〜A boy takes a sword in his hand and fights for his justice.
      What it really induced which nobody understands for it.
      But therefore he fights In order to find something the...〜


 Ten years ago...

「……おい、ジーン。本当に、こっちであってるのか? どうも、違うような気がするんだが……」
「おいおい、おまえ、俺を信じられないのかよ? なあ、ジェグス」
 そんな話をしているうちに、日が傾きかけてきた。
「……おい、そろそろかえらねぇと、危ないぜ? この辺は、ジルグベアがよく出るからな」
 ジルグベアとは、この森の中でもっとも大きく、危険な動物である。性格は獰猛、雑食で、とにかく毒のないものは何でも食べる。
 そのため、夜になると、この森に人影はない。
「……やっべえ、日が沈んだ」
「早く帰ろう」
「ああ……」
 彼ら二人の訃報が彼らの住む町であるレンバル村に届いたのはその翌日だった。今年になって、四人目の被害者である。
 そもそも、ジルグベアは獰猛とは言っても、人を襲い、殺したということはなかった。しかし、今年になってから、動物の状態がどうもおかしいのだ。
 凶暴化……一言で言うとそうなる。
 しかし、そうは言い切れない現実があった。一部の動物は、自身の体を切り裂き、その肉を食べていた。また一部の動物は、ある日、突然死を起こした。
 そして、その異変は動物だけにはとどまらなかった。植物は一夜にして枯れ、農作物も急に枯れたりしている。
 何があったのか。それは誰にもわからなかった。
 そんな異変の中、彼は生まれた。

 シン=ベルナルド。

 彼の誕生は、村の希望だった。この村では、子供の誕生はとてつもなく高貴で、神聖なものだった。
 しかも、彼の肩には、この村の伝説である“紅き力”の紋章があったのだ。
 紋章を持つ者として生まれた運命。
 それを持ち、彼は育っていった。
 その肩に重い運命と、熱き戦いに巻き込まれる運命を背負いながら……。

05/03/10
00:38:23

紅堂幹人

  story is now...

 レンバル村の朝は早い。
 シン=ベルナルドは、十歳となり、元気に育っていった。
 シンは、眼を閉じ、草叢の中にいる。
05/03/10
00:38:23

七翅蒼季
 朝焼けの温もり……
 夜気は未だ晴れず、ただ、遠くの空がうっすらと明けを映すだけ。
「……ふぅ」
 この時間が一番好きだ。闇でもなく、かといって夜明けでもなく、
 その中間に位置する瞬間が、一つの発想となってシンの体を駆け巡るのだ。

 高台の上から街を見下ろす。
 中央広場は朝市に向けて動き始めている。まばらな人の流れが見える。
 生活の始まりは常に朝だ。
 地元の商人、せっせと働き者そうな女性は屋台に野菜を並べていく。
 食べ物では粥が人気のメニューで開店待ちの客が既に並び始めている。
 中には遠く異国からやってきた隊商の面々も見受けられる。
 遠く異国の地。
 そのイメージはシンの心を振るわせる。
 幾代前になるのか分からないが、彼の先祖は遠い異国からこの街に来たという。
 その異国の血筋から何故《紋章の子》が生まれたか、それは村の伝説にも書いているわけもなく、謎の一言ですまされた。
 伝説の信憑性を保つためには幾らかの謎というものは必要でもあったし、至極当然でもあった。
 そんな中にいて、シンが生まれたときはそれは、お祭りに近い様子だったらしい。
 子供が産まれるとはとても神聖で喜ばしいこと、そして紋章の紅蓮の光を授かる子は……
05/04/01
04:12:35

羽堕
「何を見ているんですか?」
 シンは、突然の声に吃驚して辺りに目を走らせる。
 するとシンの真後ろ三、四歩の所に旅人風の男が立っていた。
「驚かせてしまいましたか? 申し訳ありません」
 優しい声だった。先程は突然だった為に、声と言うよりは音としてしか捉えられなかったが、実際に男の顔を見て聞く声は優しい物のように感じられる。
 男は整った顔立ちに小さめの眼鏡をかけていた。その奥の瞳はとても優しい印象を受ける。歳の頃は、二十代後半といった所だろうか。
 ただ、夏を迎えようかと言うこの季節にしては、少々厚着をしているように思われた。
「小父さん誰?」
 シンは幾分、棘のある声音で尋ねた。優しそうな男ではあったが、ただシンには気に入らない事があったのだ。
 それは今まで、シンが人に真後ろに立たれるまで気づかない事などなかったから。紋章の運命を背負っているからなのか、シンは周りの気配を感じる力が常人より遙かにすぐれていた。
 そんなシンに気づかれることなく、真後ろに立った男に少なからず敵意のような物を感じていたのかもしれない。
「これは失礼、私の名前はシェイド=トゥリーズ。主の命で世界中を旅しているのです」
 シェイドはシンの棘のある声など全く気にしていないように、自分の名を名乗った。
「へぇー、世界中を旅しているの?」
 シンは世界と言う言葉に興味を持った。小さなレンバル村と父親が漁で獲った魚を卸しにくる、ここブロクの街以外をシンは知らなかった。
 だからこそシンにとって、世界と言う言葉はとても魅力的に感じられたのだ。
「ええ、私の主はいつも退屈していらっしゃるのです。だから、私は主の退屈を癒す為に世界中を旅しているのです」
「でも、あんたが旅しても、その主とかの退屈は癒せないだろ?」
 シンは、もっともな事を聞いたつもりだったが、シェイドは微かに笑い声を洩らした。
「なんだよ! 俺、変な事言ったか?」
「いえいえ、そんな事はありません。確かにそうだなと思ったのもので」
 シェイドは笑いを堪える様に話を続ける。
「主は、自由に外に出ることが出来ないのです。だから私が変わりに色々な物を見たり聞いたりして、それを主に伝えるのです」
「なんで、自由に外に出れないんだ?」
「そうですね、ちょっとした問題がありまして……」
 シェイドは言い難そうに言葉を濁しているように感じられた。だから、シンは敢えてその事について、深く聞く事を辞めた。
 それよりも、シンには世界中を旅していると聞いた時から、シェイドに頼みたいことがあったのだ。
「そっか、まぁいいや。……あのさ、俺にも世界の話聞かせてくれないか? 頼む」
 シンは第一印象の悪さの事などとっくに忘れてしまい、世界の話が聞きたいが為に、真剣な眼でシェイドを見つめている。
「いいですよ。その代わり、あなたの事を聞かせてください」
 シェイドは、そう言われるのを待ってたかのように、あっさりとその願いを承諾した。
「やった! ……って俺の話? 俺の話なんてつまんないぜ。この近くの小さな村の事しか知らなねえし、それでもいいのか?」
 シンは、あっさり承諾してくれた事の喜びと同時に、自分の事を聞きたいと言うシェイドに戸惑いを感じていた。
「ええ、それで結構です。主がどんな話を喜ぶのかは、私にも解らないので、どんな話でも聞きたいのです」
 そう言ってシェイドは、出会ってから一番の笑顔を見せた。

 シンとシェイドは、それから互いに話をした。
 シェイドは、シンが聞きたいであろう世界について、とても魅力的に話をし、シンもまたシェイドに誘われる様に自分の村に伝わる伝説や、自分がその伝説に出てくる紋章を持ってる事などを話した。
 二人は、互いの話を真剣に話し、また聞いた。そうしているうちに、陽はかなり高く昇り始めていた。

「あっ! そろそろ俺行かないと。親父に打ん殴られる」
 シンは、まだまだ世界について色々な話を聞きたかったが、自分自身が世界を旅することなど無いと言う想いも同時に抱き始めていた。
 そこで、話を終わらせる丁度良い理由に、父親の事を出したのだ。
「そうですか、それは残念です。でも、またお会いすることあるかもしれません。話の続きはまたその時にでも」
 シェイドは、本当に残念そうな表情を浮かべている。
「ああ、そうだな。じゃーな」
 シンは、それだけ言うと高台から街へと走って行った。
「シン=ベルナルド、“紅き力”の紋章を持つ少年か……」
 シェイドは今までの優しい口調とは別人のような声音で呟いた。
 次の瞬間、高台の上に人影は無かった。
06/11/07
21:57:28

いずみ


大地を駆けながらシンは想う。
(世界中を旅する・・・か)
シンには一つの夢があった。旅人シェイドの様に、世界を旅すること。世界のありとあらゆる所を巡り、この世を知れるところまで知りたい。そう想っていたのだ。シェイドが話してくれたことを思い出すと胸が高鳴り、ああ、自分の知らない世界へ早く行ってみたいなぁ、時を重ねる度に そのココロは拡張していく。叶わないとは思っても。







“紅き力”の紋章を持つ者が背負う運命も知らずに。









もうすぐ着くはず――――なのに、着かないどころか、見当たらない。
シンは家へ向かっているはずだった。高台から家までは徒歩15分ほど。もう40分くらい歩いてる。
“おかしい”そう感じた瞬間に、シンの背後を影が覆い被さった。

ついさっき陽の昇った空が、漆黒に染まろうとしていた。



06/12/31
00:02:55

「え?」
 シンはただ、漆黒の闇へと染まりゆくまわりの景色を、呆然と眺めることしかできなかった。
「“紅き力”の紋章を持つ者よ……貴様は闇の主(あるじ)の邪魔となる」
07/03/11
14:33:13

ラッパマン
 漆黒の闇が、シンの周りを取り巻いていく。
 もう闇は、シンの指先が見えないくらいにまで辺りを取り巻いていた。
「な…なんなんだ…一体」
 シンは、わけがわからなかった。
「我々は…闇の主の…崇高な目的を…達成するべく…貴様の命を」
 シンは、途切れ途切れに聞こえてくるおぞましい声に恐怖を覚えながら、そいつのものと思われる足音も感じ取っていた。
 コツコツと、ゆっくりした足取りで、その声の主はシンに迫っていた。
08/03/01
00:13:47

佐野幸村
 その足音はシンの目の前で止まった。
 どこにも声の主の姿は見当たらない。足音が止まると気配すら感じられない。
 シンは体が言うことを聞かないほどの恐怖に駆られた。――と同時に息が詰まる。

 閃光が闇の中を駆け抜け、一瞬でシンの胸を貫いた。

 シンは何があったか認知できなかった。自分の胸を見てやっと気がついた。激しい痛みが……シンの身体を襲った。
 シンはその場に倒れ込んだ。そうして意識を失った。
「これで……良い。邪魔な者は排除した……」
 声はどこからのものか分からない。
 しかしシンの周りの景色は瞬く間に、あの眼鏡の男と話した場所――高台に戻った。いつもシンがいる高台であった。
 何も変わらない。――ただ一点、高台が紅く染まっていること以外は……。



――高台のもとで……少年の肩の紋章は炯々と光る――。
08/03/04
01:17:41

佐野幸村
 シンが目を覚ましたとき、彼はベッドの上に寝ていた。どうやらレンバル村に一つしかない小さな病院のベッドらしい。
 母親のレシェがベッドに身をもたれて寝ている。父のガークの姿はない。
 シンは暫くの間何があったかを思い出そうとした。しかし思い出せなかった。
 そうこうしている間にシンの父――ガークがやってきた。彼は手に何も持っていなかった。どうやら少し前まではここにいたようである。外で飲んできたのか、微かにタバコの臭いを帯びている。
「おお、よかった!」
 ガークは目に涙を溜めて言った。そうしてシンに何があったかを聞く前に、医者を呼びに行った。
 ガークに連れて来させられた医者は簡単な往診をした。服を上ずらせてシンの胸部を見た後、心配そうなガークを傍らに、彼は大事ない事を告げた。
「ありがとうございます、先生!」
 ガークは不器用なりに精一杯の御礼を述べる。
 医者はいえいえと言って、
「私にも奇跡的としか思えませんよ。あれだけ出血しておきながら、胸の傷がしっかり修復されてしまうなんて……。伝説の紋章を持っているからでしょうか?」
 そう苦笑い顔で続けた。それではと口にして病室を後にする。
 ガークが馬鹿の一つ覚えのように「ありがとうございます」と繰り返していた。

 ガークとレシェは何があったのかを一言も聞かなかった。聞かないでいてくれた。それが優しさや思いやりからくるものであることは明白であった。暗に「怖い事は忘れてしまえ」と言っているようでもあった。
 ガークはただ、
「傷はもう大丈夫だから三日後には退院できるってよ」
 とだけ言った。レシェは、
「帰ったらシンが食べたいもの何でも作ってあげるよ。何がいい?」
 とだけ尋ねた。
 シンは心苦しくも、何があったかを思い出そうという気持ちを抑えられなかった。

 シンが退院する日、彼は一人病室で着替えている時にふと気がついた。
「肩の紋章が……無い……?」
 シンの左肩にはあるはずの紋章が無かった。何があったのか、それはシンにも分からなかった。
 ただシンは“親父や母さんは伝説の子供を産んだ事を自慢にしている……。だから言えない……。紋章が無くなったなんて知ったら……きっと失望される”と思った。
「おーい、行くぞー」
 ガークが彼を呼ぶ声がする。シンは急いで服を着て、病室から逃げるように立ち去った。
08/04/29
09:10:18

空幻
 シンの左肩から紋章が消えてから一週間とたたないうちに、異変は起こった。シンが生まれる前もあった動物の異常行動や農作物の枯死が、病気が再発するように起きた。
 村だけではない。商人や旅人によると、この国中、それどころか世界中で同様の異変が起きているらしい。
 異変がおき始めてから十日が過ぎたころのある夕食の席で、レシェがぽつりと言葉をこぼした。
「昔もこんなことがあったけど、シンが生まれてからはぴたりと無くなったのにねえ」
 その話は昔から何度も聞いていた。シンが生まれた次の日に、それまで起きていた異変が突然消えたという。それもあったせいか、紋章を持ったシンの誕生に村中が歓喜し、今までで最高に盛り上がった祭りになったと、父や母、村の大人達はよく話していた。
 シンは何かが引っかかった。母のその一言になぜか胸が締め付けられた。
 ガークが、異変により生活が苦しくなって最近元気のないレシェを、励ますように大きな声を出して言った。
「あの時は、村のみんなでお祝いしたなあ。紋章の子が現れたおかげで私達は助かった……ってな」
 ガークの言葉に、シンは動けなくなってしまった。
 紋章を持った子が生まれると、異変がおさまった。そして最近異変が起こったのは……紋章が消えてからだ。
 そう考えるとシンは夕飯をすませ、できるだけ平静をよそおい二階の自分の部屋に戻ることしかできなかった。
08/05/03
01:31:23

佐野幸村
 シンは大好きだったあの高台へ行かなくなった。無意識的に避けていた。それと同時に、前よりも家の仕事を手伝うようになった。
 シンがちょうどおつかいに行っている夕方の事。空からポツリポツリと雨粒が落ちてきた。深い闇色の雲は空を覆い隠していた。
「あ、雨……」
 シンがそう口にした、その瞬間、急にシンの左肩が痛み出した。
「痛っ……」
 シンは右手で肩をぎゅっと握った。シンの持っていた紙袋からレシェに頼まれたオレンジがいくつか零れ落ちた。
「オレンジ……拾わなきゃ……。やっといいの……売ってた……のに……」
 シンはそう言いながらも、肩を抱えたままその場に座り込んでしまった。
「おいおい、シン。何やってるんだ?」
 シンの後ろから声がした。の太いガークの声だった。
「あ……親父……」
「あーオレンジ落としちまったのか。早く拾わんと傷んじまうぞ」
 そう言うとガークはオレンジを拾い始める。
「親父……仕事は?」
「こんな雨の中、鉱山掘ってられねぇだろ。今急いで家に帰ろうとしてたところだよ」
 ガークは楽しいようにも苦いようにも見える笑みを浮かべた。
「そ……か」
 シンは……土砂降りの道に倒れ込んだ。
 その途端、雨脚が強くなった。そんな気がした。

 次にシンが目を開けて見たのは、自分の部屋の天井だった。妙に体が寒い。雨に打たれたせいだ。外を見ると雨が上がっていた。太陽は東にあった。
 すると、ガチャリと音を立ててガークが部屋に入ってきた。
「まだ目ェ覚めないか」
 ガークはふうと溜息を一つ。
「……起きてるよ」
 シンも目を瞑って溜息を一つ。
 ガークは素直に驚いた顔を作った。そして顔と体格に似合わない穏やかな声で、おはようと口にした。シンも無表情でおはようと返した。

 朝食を取った後、シンは散歩に出た。レシェの温かいご飯が体の寒気を取り除いてくれたらしい。シンは村中を回って、結局昼前には家に戻った。
「嘘でしょう?」
 シンが家の戸を開けようとした時、レシェが驚きの声を上げた。シンは思わずその状態で固まった。
「本当だよ。俺が服を替えた時、シンの肩に紋章は……」
 ガークの重苦しい声が家の中に響く。そして沈黙。
「そんな……あの紋章は――」
『――カランカラン!』
 突然、バケツの転がる音が家の外から飛び込んできた。
 空は虚しいくらいに蒼かった。まるで誰かの心を写すかのように……ただただ蒼かった。
09/10/17
23:02:54

内原幸矢
 シンは駆け出した。自分の意志ではない。 足が自然に走りだしたのだ。
 頭の中は真っ白だった。
 息が切れるまで走り続けた。
09/10/17
23:30:39

内原幸矢
 ドテッ
 シンは何かに躓いて転んだ。
 起き上がってみるとそれが寝転がった人間だったことに気付く。
 シンはいつの間にやら村はずれの草原にいた。
「痛いなあ……もう」
 シンに脇腹を蹴られた彼は脇腹を摩りながらのっそりと起き上がる。
 シンはいたたまれなくなってその場から逃げようとしたが、その前に彼はシンを呼び止めた。
「おい、君」
「は、はい」
「今日は気持ちのいいお天気だね」
「そ、そうですね」
「こんな日には草むらに寝転がって読書するのが一番だと、ボクは思うよ」
「はい……」
 シンは彼が少しも腹を立てた様子がないので動揺してしまっている。
「どう思う君は」
「えっ」
「こんなにいい天気の日に君ならどうする」
「えっと、えっと」
 シンは焦りながら彼への返答を考える。
 真っ青な空を見上げる。
 すると、シンの心は段々沈み始め、ついには俯いて沈黙してしまった。
「お天気の日は嫌いだったかな」
 彼は心配そうにシンの顔を覗き込む。
「いいえ」
 シンは顔をあげない。
「そうだ、ボクのとっておきをみせてあげよう」
 彼はそう言ってシンの手を引っ張った。
「平凡学者リワンカジ・キルヒホッフの一世一代の研究成果とくとご覧に入れましょう……なんてね」
09/10/20
14:00:29

佐野幸村
 彼はおもむろにマッチ箱と、それからマッチを取り出した。そしてそれを擦り火をつけた。彼は胡散臭い声でマッチは知っているねと一言。シンは軽く頷いた。
「これは普通のマッチ。だけどこれに体から練り出した魔力を加えると――」
 途端に火の勢いが増しマッチを燃やし尽くした。彼は慌ててマッチを離す。その横でシンは目を丸くしていた。そして凄いと呟いた。
「魔法を見るのは初めてかね? そう、私はリワンカジ・キルヒホッフ。魔法を研究している平凡な学者さ」
 リワンカジは楽しそうに先程と同じ事を口にした。シンは初めてだと答える。
「しかし、今のはまだ魔法とは呼べない。ここからが本物」
 彼はシンへと手を差し延べる。少年がそれを覗こうとした瞬間、彼の掌から炎が噴出した。驚いて尻餅をつくシン。リワンカジの呵呵大笑。
「何もない所から……火が出た」
「魔力は使い方によって何かしらのエネルギーに変化する。今のは見た通り火。あとはそうだな、人の治癒力を高めるエネルギーにもできる」
シンはまた凄いと呟いた。それを見てリワンカジは穏やかに笑い、一息ついてから何か悩んでいたようだねと問いかけた。シンの顔が再び曇る。
「確かに重要な悩みはなかなか人に話せんわな。だけどそれって知り合ったばかりのボクにも話せないもんかな? ……えーと名前は?」
 リワンカジはマイペースであった。シンは自分の名前を答えて笑った。
09/10/20
22:34:13

内原幸矢
「リワンカジさん」
「なんだい」
「俺にも魔法、できるかな」
「できるよ、無論」
 リワンカジは即答した。
「ほんとう」
 シンは驚嘆した。何気ない質問にその返答は強烈であった。
「魔法が精霊や魔女にしか使えないなんていうのは嘘っぱちだ、どんな人だろうとやろうと思えばできるよ」
 シンは自分の手の表と裏を交互に確認する。さっきのリワンカジのように手の内で火を操ることが自分のこの手で再現できるだなんてシンには信じがたいことである。
「人間、いや、生物がいきているのはエネルギーを胎内に蓄えているからで、ボクはそのエネルギーを“魔力”呼んでいるんだけど、魔力を他のエネルギーに変換して仕事させることをすなわち魔法とよんでいるわけで、もちろん個人差はあるけど生きているものならば誰でも使えるものということになる。」
 リワンカジはシンの様子に目もくれず説明をつづける。そしてだんだん熱が入ってくる。
「つまり変換する場合……エントロピーは……仕事と内部エネルギーの関係に等しくて……」
 シンの聞いたこともない専門的な用語が並んでいく。もはやシンの耳にはリワンカジの言葉がただの雑音にしか聞こえなくなっていた。だが、熱弁するリワンカジは全くシンの困惑に気づく様子はない。
 リワンカジはシンに延々と語りつづけた。
「先生、何をしているんだ」
 シンの耳にどこからか声が聞こえた。女の人の声だった。その声がした途端にリワンカジの講義が止まった。
「先生があんまり遅いから心配したじゃないか」
 声の主はシンの真後ろに立っていた。
「申し訳ない、つい長話をしてしまった」
「つい、じゃないよ、この子、呆気にとられちっまてるじゃないか」
「申し訳ない、シン」
「いえ」
 シンは愛想笑いをかえす気力すら残っていない。
「先生、もう夕飯の支度ができてる」
「もうそんな時間か……」
 リワンカジは空を見上げる。宵の明星が明々と光っていた。
「シン、君の大切な一日をボクの与太話につき合わせてしまって、本当にすまない」
「いえ、いえ、そんな、俺、俺、感動いたしました」
 リワンカジはクスと笑った。
「笑わないでください」
 シンは赤面する。
「ごめん、ごめん、そんなふうに感想を語られたのは初めてでね」
「でも、俺、魔法なんて初めてだし」
「ま、そうだな、このボクも初めてのときは心躍ったさ」
 シンとリワンカジは微笑みあう。
「先生、この子を家に送ったほうがいいんじゃないのかい」
 シンの後ろからまた女の声がした。
「うん、そうだ、もう暗いし、シン、帰ろうか」
09/10/21
00:26:36

内原幸矢
「リワンカジさん、何歳」
 シンは唐突に質問した。
「四十になる、でも、それがどうかした」
「いいえ、べつに」
 シンはリワンカジから視線をそらす。
「もっと若いのかと思った」
「そうかな」
 リワカンジはにやける。
「先生、その子を早く送り届けないと」
 シンの後ろの声がリワンカジをせかす。
「そうだね、ヒナ」
 シンはリワンカジがヒナと呼んだ彼女を振り返ってみる。
「そう、紹介し忘れてたよ、君の後ろにいるのは、ボクの唯一の助手兼警護をしてくれてる鬼のヒーナコールだ」
 シンが振り返ると優しそうな女性が微笑みながらシンに会釈した。その頭には人間にはない角がちゃんと一本ついていた。
09/10/29
18:50:13

内原幸矢
 けれども、彼女は角を除けば二十歳前後の娘にしかみえない。
 ヒーナコールの腰で束ねられた彼女の漆黒の髪の艶やそこから漂ってくる淡い匂いにシンはなんとなく魅かれた。
「ヒーナコールさん」
 シンは目の前の彼女をみて名前を呟いた。
「ヒナでいいよ、そのほうがよびやすいだろう、さんも無理につけなくていいよ」
「ヒナ」
 シンは少し恥ずかしそうにそれでいて嬉しそうに彼女の名前を呼んでみた。

10/01/04
18:27:20

闇崎 煉
それから少し戸惑った表情を見せてから尋ねた。
「えと・・・・・。こんな尋ね方は失礼かもしれないけど・・・・・。頭についてる?でいいのかな・・・・。その角≠轤オきものって・・・・・。」
振り返ると、少し恥ずかしそうに角に触りながらこう答えた。
「あ、あぁこれね。うーんとね、ちょっとあまり話したくないから詳しくは言わないけど、まぁ見てわかるとおり、私は普通の人間ではない存在ってトコかな。」
シンは少し驚いた顔を見せた。
「大丈夫だよ。ヒナは人を食べたりはしないから。なーんてね、アハハハハ。」
そういって話を茶化したリワンカジ。
「先生!怒りますよ!!」
怒るヒナ。少しだけ顔が赤くなっている。
「あ、いえ。そうゆうんじゃなくて、魔法が使える人と一緒にいる普通ではない女性ときたら、なんかすごいなって思って・・・。」
するとヒナがリワンカジの髪を引っ張った手をはなしてこう言った。
「別にあなたに怒ってるわけじゃないの。そりゃ角生えている人から普通じゃないなんていわれたら驚かないほうがおかしいもの。変なこと言った先生に怒ってるだけ。」
少し痛そうに頭をなでているリワンカジ。
10/09/30
15:50:21

だゐ
───────────────あの時、甲子園決勝で片方の角を持って行かれた事は忘れもしない・・・・
ヤツの放った魔球は一直線に自分の角を打ち砕いた・・・


「うあああああああああああああああああああああ!!!!」


激痛とともに眠っていた衝動が目を覚ました

(喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ、クイタイ!!!!!!!!)

「あ、あああ・・!」
12/01/14
02:38:05

ゼロ
「あ、いやいや、嫌な思い出が出てきたが、まあ、これは忘れよう」
 リワンカジが苦笑した。
「また大昔の思い出ですか?」
 呆れたようにヒナが笑う。
 1人取り残された気分のシンは苦笑を見せた。
「魔法を使うということは、自然の摂理を超えてしまう事がある。そういった記憶が混在して、出てくることがある。君には悪いが、そういう雰囲気を感じたら、私が異界を覗き見たときの話しをしてるのだろうと、そう、考えてくれたまえ」
 少し困ったような、それでいて懇願する様子に、シンは微笑んだ。
「魔法使いっていうのも、あれこれあって大変なんですね。了解しました」
 屈託なく笑うシンに、リワカンジが目を細める。
「では、代わりに、君が難儀している時、必ず、力を貸そう。こういう契約はどうだね、シン?」
 シンがきょとんとした。
 ヒナがくすっと小さく笑う。
「君は神の刻印を持つ者だ。君が生まれた時は、そら、大賑わいだったんだ。知る者は深く熟知している。いつか君の旅に必要になる力になるはずだ。そうしておけばいい。君の未来のために、ね」
 思わせぶりなリワカンジの言葉と、鬼娘のヒナが、にっこりと笑んだ。
「人外と言えば、聞こえは悪いけど、そこいらの人間より、ずっと役立つわよ」
 ヒナが自信満々に胸を張った。
 シンは呆気に捕らわれたまま、それでも尚、頭をせわしく稼働した。
 失った左肩の紋章、輝きを見せる右肩の紋章。
 何はともはれ、神の刻印というものがある以上、何かしらの運命に導かれるのだろう。
 ならば、彼らの申し出は、きっと、未来のためになるに違いない。
「いつかは、分かりませんが、その時は、是非、力添えを下さい」
 年不相応な笑みに、リワカンジがひゅうと口笛を吹いた。
 なかなかに、骨のある奴だ。
「では、契約成立だな」
 笑いうリワカンジに、シンが微笑み、ヒナが嬉しそうに笑った。
12/08/24
02:23:41

スコップン

「では、そろそろ行こうか。日が暮れてはこんな草原でも迷うことがある。見通しはいいが、あまりにも広いからね。君の家まで私たちが送ろう」
 そういってリワンカジは村の方角へと歩き出した。後ろをヒナとシンがついていく。
 日が暮れはじめている。このあたりは低地の湿地帯で、標高の高い山々から冷気が降りやすかった。
 昼夜の温度差が非常に激しいのだ。日が出ている間はジメジメとした暑さで唸るほどだが、一旦日が沈んだり隠れたりすると、急にくしゃみが出て、やがて体が震えだしてしまう。
 だからレンバル村の人々は、真夏だというのに丈の長い服を着て、決して肌を露出させることはなかった。
 ごく稀に、はるばる村近くまで観光に来た人が、レンバルの村人を見ると不思議に思った。きっと寒がりの人が多いんだろう。
 いや、そんなことはない。これは、この地に住む人々の知恵なのだ。
「急に寒くなってきたね。やはりこの標高の地は、今だ厳しい自然が残っているんだね」
「そっかな、普通だけど」
 この地でずっと育ってきたシンにはこれが普通だった。日が沈めば寒くなる。当たり前だ。
「何いってんのよ。あんたは寒くないの?」
 両手を胸に抱いて寒さを凌いでいたヒナが、そんなシンにやっかんだ。
「寒くないけど」
「先生、この子、ちょっと頭がおかしいみたい」
「あはは、それじゃあ、ちょっとした陽光を作ろう。これは少し燗性変化に力を消費してしまうんだが、まぁ大丈夫だろう」
 おもむろにリワンカジが右手のひらを広げると、その上で徐々にポツポツ小さな光が現出した。無数の小さな光はやがて結集していき、丸みを帯び、淡い光で球体の輪郭が縁取られた。
 手のひらの上で、暖かい丸い光が生まれたのだ。小さな太陽みたいだとシンは思った。
「すごい!」
 先ほどのマッチの炎にも驚いたけど、これにはもっと驚かされた。
「そんなこともできるの?」
「ああ、なんでもできる。それが魔法というものだ」
「きゃぁ、先生、ありがと!」
 ヒナはリワンカジの傍へ駆け寄り、悴んだ両手を伸ばし、魔法で作った陽光の恩恵を受けた。
 照射して見えたヒナの表情は、本当に嬉しそうな、幸せそうな笑顔だった。
 シンも本当ならヒナと同じようにすぐに陽光に駆け寄って、自慢の好奇心で光を眺めたいのだけれど、どうしてか今回は違っていた。
 あまりにも驚きすぎて、呆然としてしまっていたのだ。と同時に、未だ感じたことのない虚無感に襲われた。
 魔法を使えば、そんなこともできるようになるんだ……
「どうしたんだ、シン?」
「先生……先生は凄いんだね」
 どうやらシンは落ち込んでいるように見えた。
「先生は誰かを守れる力を持っていて、いいね」
「シン……やっぱり、なにかあったんだね。出会った時、君は苦しそうな顔をしていた」
「俺、力を無くしちゃったんだ」
「力? ……魔法のことかい?」
「ううん、たぶん違うと思う」
 シンはうな垂れて首を横に振った。わからないのだ、自分に何が起こって、そして腕の紋章がなぜ消えてしまったのか。
 なぜ、紋章が消えた途端、モンスターが凶暴化して人を襲ったり、大事に育ててきた作物が枯れたりしてしまうのか……
 なにもわからないのだ。自分が情けなくなるくらいに。
リレー小説 『紅蓮の戦士(仮)』 編集
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